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第9回 大気大循環
B,8,C大気中のエネルギーの流れ
低緯度では地球が受け取る熱量が多く、高緯度では逆C
!過不足を補うようなエネルギーの流れがあるはずC
!大気の水平方向の対流運動!大気大循環
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9*:1;4()'+,<#3&8=>?#@A9*:1;4()'+,<#3
DE.)'FC>==>G
B,>,C南北方向の循環
熱の南北輸送量
赤道域で対流によって上昇C
!成層圏に到達C
!緯度方向へ広がるC
!高緯度で下降?C
C C CHC
実際は南北I=Jあたりで下降C
(ハドレー循環)
海流も熱を輸送している
全輸送量C
海流による輸送量C
顕熱輸送量C
潜熱輸送量
DE.)'FC>==>G
矢印のついた曲線が空気の密度の重みをつけ
た流線を表す
ハドレー循環と貿易風
北東貿易風
熱帯収束帯KLMNOP
南東貿易風
熱帯収束帯の上層で中緯度に向かって
流れ出す
大西洋熱帯海域の風の分布K8BQB年R月8?日)D小倉F8BBBG
極循環とフェレル循環
フェレル循環は逆回り(高緯度で上
昇、低緯度で下降)C
!赤道域ではどこでも上昇流だが、
Q=Jくらいでは発達した低気圧で強
い上昇流&後は弱い下降流C
!平均すると上昇流
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年平均海面気圧
ハドレー循環の上昇流域:赤道低圧帯C
ハドレー循環の下降流域:亜熱帯高圧帯
!"#%&&*3,*2.V)5*,1+'&W(0.(.4!&+2X,!60(
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D小倉F8BBBG
水蒸気の南北輸送
B,I,C東西方向の循環
南北と東西を分けたのは説明の便宜上C
ただし、風速が1桁異なるC
下降流域は天気がよく
雨が少ないC
!砂漠は亜熱帯にあるC
C
C
!1年に80以上の水が
蒸発するが降雨量はそ
のQ=YC
!大気中にたまった水
蒸気C
!一部はLMNOで積乱雲C
!一部は中緯度で温帯
低気圧の雨
ある日の高層天気図
等高線がつまっているところで風速が大きいC
月平均でも日本上空と北米大陸東岸上空は気圧の谷C
南半球ではみられない!海陸分布や山脈などの効果
回転する流体の対流
二重円筒に水を入れ、外側を加熱し内側を冷却するC
回転が遅い場合KZC=,SC2#0P
!"#%&&#*)4,0.6,1+'&(*7-17&(*7R&3T+;R,!60
暖かい外側の水が上昇して内側へ入り、冷
たい内側の水は下降して外側へC
!底部は内から外向きに広がる流れ(桃色)
回転が速い場合K[C8,=C2#0P
!"#%&&#*)4,0.6,1+'&(*7-17&(*788&3T+;88,!60
渦が出現し、渦の間をぬって蛇行する
幅が狭く速い流れが生じる
傾圧不安定波
東西風の鉛直断面図
• 
回転が遅いときC
ハドレー循環と特性が同じ(低緯度の方がコリオリ
力が弱い)C
• 
• 
回転が速くなるとC
赤道域に弱い東風(偏東風)
!貿易風C
上空にも東風(いつもあるわ
けではない)C
偏西風:I= ?=Jで最大
!円周方向(東西方向)の流れが速くなるC
!熱の南北輸送には役立たないC
!渦と速い流れからなる系に移行C
渦が低気圧、速い流れがジェット気流C
!傾圧不安定波
B,?,C大気大循環の変動
季節変化:C
日射加熱の最大が夏に北半球に移動C
!ハドレー循環も北に移動C
!盛夏には日本付近も亜熱帯高圧帯に含まれるC
!晴れるC
長期変動K8=日程度PC
–  \U](マッデンAジュリアン振動)C
–  レジームシフトC
C
B,^,C気団
気温・湿度などの特性がかなり一様な空気の塊C
!高気圧の中心付近で出来やすいC
1文字目:湿度(4%C大陸性気団FC0%海洋性気団)C
2文字目:温度(_%極気団FCM%熱帯気団FC`%寒帯気団FCa%赤道気団)C
シベリア気団
オホーツク海気団
小笠原気団
8=,C成層圏・中間圏の大気
成層圏、中間圏の運動はまとまった8つの風系C
!これらの層をまとめて中層大気というC
対流圏界面%C
熱帯域で8^A8R/0、中緯度で8>/0まで下がり、極に向
けてさらに下がっていく
8=,>,C中層大気の大循環
8=A>=/0:赤道上で最低、高緯度で高くなるC
!対流圏界面まで温度下降、下部成層圏では等温C
>=AQ=/0:夏極が最高、冬極が最低
!太陽放射エネルギーが大き
く、オゾン層の加熱量が違うC
R=/0以上:夏極が最低、冬
極が最高C
!中層大気の子午面循環に
よる
南北の違いがあまりないので、両半球で夏と冬の傾向を同時に見ているとみなすこと
!"#%&&---A*)$,1#$,$,'A6)/X),*4,<#&W/*)2'&b1$1*24!&0.++(1A*60)$#!121&.5+1@I,!60(
ができる
東西風の分布
対流圏内では中緯度帯に西風ジェット気流(青)C
中層では高度B=/0まで夏半球では東風、冬半球では
西風
気温と東西風は温度風の
関係で結びついているC
!東西風の鉛直方向の傾
度は、気温の緯度方向の傾
度に比例し、気温が極向き
に下降していれば西風強く
なるC
中層大気の子午面循環
成層圏下部に熱帯で上昇、中緯度で下降する循環!
ブリューワー・ドブソン循環
夏半球の上昇流は断熱
冷却を引き起こし、中間
圏界面付近の気温を放
射平衡温度より低くするC
冬半球は逆!中間圏の
南北温度勾配
矢印は子午面循環C
陰影は波による加速域C
c%C傾圧不安定波C
d%C大気重力波C
`%Cプラネタリー波
D廣岡FG
大気重力波
8=,I,C中層大気の変動
北半球の地形や海陸分布によって励起された停
滞性のプラネタリー波が成層圏に伝わっている
小規模な山を風が越えるときに生じる大気重力波の模式図Da25$6F8BRQG
成層圏突然昇温
冬期、極域成層圏の気温が数十度上昇する現象C
南半球ではあまり発生しないC
C
突然昇温発生後、^=/0以下では気温が上昇、
^=/0以上では気温が降下!成層圏界面下降
8B^>年、成層圏の突然昇温がはじめて発見されたときの、 突然昇温前後の典型的な気温の鉛直分布C
ベルリン上空における気温の時間的変化CD小倉FC8BBBG
DE*7.6V/1FC8BR>G
Ub_A>^Cデータ D]5)3.C16C*(,FC>==RGCで作成 した 8BBRC年K左P8C月の北半球FCおよびK右PRC月の南
半球の 8=!`*C面K高度約 I=/0Pにおける 月平均天気図 大昇温前後の時間高度断面
準二年周期振動CKfg]P
赤道上空の成層圏には西風と東風が平均周期約>Qヶ
月で交互に現れる現象が存在するC
上層で始まり、時間が経つと下層に降りてくる
S=Jeにおける圏界面高度、8=!`*FCQ=Jeにおける帯状平均東西風