リバプール熱帯医学研究所

A-10346A
Life in the laboratory
リバプール熱帯医学研究所
マラリア治療を効果的にモニタするために Beckman Coulter の
GenomeLabTM GeXP を利用しています
1898年、英国リバプール市の船主Alfred Lewis Jones氏
は業界のメンバーとともに熱帯病の研究機関として世界で
初めてリバプール熱帯医学研究所(Liverpool School of
Tropical Medicine:LSTM)を設立しました。1898年から
1913年にかけて、当校はシエラレオネ、コンゴ、アマゾンな
どの熱帯地方に32にも及ぶ遠征隊を派遣しました。1902年
にマラリアは蚊が媒介することが発見されると、LSTMの
研究者はマラリアを治療する最初の薬を開発し、睡眠病や
回帰熱の治療法をも開発しました。
長年にわたり、アフリカでのフィールドワークがLSTMの
優れた業績の舞台でしたが、現在では最先端設備を備えた
LSTMの研究室に部隊を移し、研究の中でも最も魅力的な
分子生物学の世界において一流の研究部隊が活躍してい
ます。LSTMは病気を媒介するベクター管理から生化学的
観点で研究する寄生虫学まで、また小児医学から生殖医学
まで、その極めて幅広い研究
のポートフォリオを維持して
いますが、中でも、どのように
疾患をコントロールするかに
ついての研究が行われて
います。それゆえに極めて
致死率の高いマラリア蔓延の
制御とマラリア治療プログラ
ムの効果的モニタリングが
LSTMの重要な使命であり、
研究の中心となっています。
「 GenomeLab GeXP は
一 度 に 20 個 か ら 30 個 の
遺伝子の発現を定量できま
す。一匹の蚊からは極めて
微量のRNAしか採取できな
いため、少量のRNAで最大
限の発現解析ができる
GeXP は 私 た ち の 研 究 に
とってこれは理想的です」と
LSTMの主席研究員である
▲LSTM のマラリア研究
は蚊の遺伝子にフォー
Hilary Ranson博士は述べ
カスを当てています。
ています。「GeXPで得られ
る結果の再現性の高さと確
立された技術力がすばらしい。GeXPでは候補遺伝子の発
現を定量するだけでなく、配列の多型も検出もできることか
ら、ある遺伝子の配列を決定
する価値があるかどうかを検
討することもできるのです」。
「LSTM の研 究の 最 終目 的
は2個か3個の遺伝子を用いた
現場で使える簡易な検査法を
開発し、アフリカ全土と南アメリ
カでの薬剤耐性モニタリングを
広げることです」とRanson博士
は続けます。「そうすれば、ある
殺虫剤に対する耐性が蔓延
していれば制御プログラムで
毎年3億人から5億人が
「LSTM の研究の目的は、現場で使えるような、
その殺虫剤を使う意味がない
マラリアを発症し、このうち
2 個か 3 個の遺伝子を用いた簡易な検査法を
ことを明らかにすることができ
100万人以上が死亡している
開発し、アフリカ全土と南アメリカでの蚊の薬剤
ます。第二に、ある遺伝子が
と推定されています。マラリア
耐性モニタリングを広げることです」
コードする薬剤耐性に関与する
発生の制御は病気を媒介
-Hilary Ranson、LSTM-
酵素が別の殺虫剤も無効に
する蚊を駆虫する殺虫剤の
するかどうかなど、耐性がどの
使用に大きく依存しています。
ように発生するかを理解して、新しい殺虫剤の開発を進めら
殺虫剤の使用量を数十年にわたって増やし続けた結果、
れると考えています」。
現在ではある種の殺虫剤に対する耐性が大きな問題となっ
LSTMの眼前には新しい研究分野が未だ広がり、さらなる
ており、マラリア制御プログラムの有効性を損なう脅威と
活躍が必要とされています。LSTMは現在新しいマラリア
なっています。LSTMは蚊集団の耐性を監視することと、
治療薬と殺虫剤の研究開発を目的として総額2300万ポンド
薬剤耐性に関与する遺伝子と4種類の殺虫剤に対する関連
(約48億円)をかけた最新設備である熱帯感染症疾病セン
の調査を行っています。まず、それぞれの蚊サンプルの
ターの建設をしています。この施設の完成予定である2008
採取場所から耐性の全体像を把握するために遺伝子発現
年は、リバプール市の欧州文化首都としての年の始まりでも
スクリーニングを行います。
あり、新しい研究施設とリバプール市の双方が活気に満ち
次に、このスクリーニングをさらに処理能力の高いマルチ
あふれることと思います。
プレックス解析で行うために、LSTMはベックマン・コール
ターの遺伝子発現定量解析システム GenomeLab GeXP
を購入しました。