薬物依存のある刑務所出所者等の支援に関する地域

(地Ⅲ166)
平成27年11月24日
都道府県医師会
担当理事 殿
日本医師会常任理事
松本 純一
「薬物依存のある刑務所出所者等の支援に関する
地域連携ガイドライン」の発出について
時下益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。
今般、別添のとおり、法務省保護局長・矯正局長、ならびに厚生労働省社会・援護
局障害保健福祉部長の連名により、各都道府県知事等宛に「薬物依存のある刑務所出
所者等の支援に関する地域連携ガイドライン」の発出について通知が出され、本会に
対しても情報提供がありました。
本ガイドラインは、薬物依存のある刑務所出所者等に対する支援に関し、関係機関
及び民間支援団体が、相互に有効かつ緊密に連携し、その責任、機能又は役割に応じ
た支援を効果的に実施することができるよう、関係機関が共有すべき基本的な事項を
定めるものであり、中では、関係機関の基本的な役割として、薬物依存者に対する医
療的支援を行う医療機関に求められる事項や、保護観察中における医療的支援の在り
方等についても示されております。
つきましては、貴会におかれましても本件についてご了知いただき、貴会管下郡市
区医師会、及び関係医療機関への周知方よろしくご高配のほどお願い申し上げます。
法 務 省 保 観 第119号
障発第1119第1号
平 成2 7 年11 月19 日
都
道
府
県
知
事
指
定
都
市
市
長
地方更生保護委員会委員長
各
矯
正
管
区
長
保
護
観
察
所
長
矯
正
施
設
の
長
殿
関 係 法 人 等 の 長
法 務 省 保 護 局 長 ・ 矯 正 局 長
(
公
印
省
略
)
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長
(
公
印
省
略
)
「薬物依存のある刑務所出所者等の支援に関する地域連携ガイドライ
ン」の発出について
薬物依存の問題を抱える者に関しては、「「世界一安全な日本」創造戦略」
(平成25年12月閣議決定)や「第四次薬物乱用防止五か年戦略」(平成2
5年8月薬物乱用対策推進会議決定)等において、関係機関や団体が緊密に連
携してその社会復帰を支援していく方針が示されているところです。
しかしながら、全国的に見れば、現状において、関係機関や団体の間の連携
は必ずしも緊密に行われているとは言い難い状況にあり、このことが、刑務所
出所者等を含めた薬物依存の問題を抱える者の社会復帰を妨げ、再乱用へと至
らせてしまう一因になっているとも考えられます。
さらに、いわゆる危険ドラッグを含めた薬物乱用が大きな社会問題となって
いること、薬物依存のある刑務所出所者に対する処遇の充実を前提とした刑の
一部の執行猶予制度が平成28年6月までに施行されること等をも鑑みれば、
関係機関や民間支援団体の連携をより緊密にするための対策を喫緊に講じる必
要があります。
ついては、今般、法務省及び厚生労働省において、別添のとおり、保護観察
所や医療・保健・福祉機関による連携の指針となるガイドライン「薬物依存の
ある刑務所出所者等の支援に関する地域連携ガイドライン」を定め、平成28
年4月1日から実施することとしましたので、通知します。同日以降は、別添
のガイドラインを参照の上、薬物依存者への支援に特段の配慮をお願いします。
各都道府県及び指定都市においては、管内の特別区、市町村、関係機関及び
民間支援団体に周知を図るとともに、各関係法人においては、会員各位など関
係者に周知いただき、各地域において円滑な連携が確保されるよう、お取り計
らい願います。
なお、本通知は地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1
項の規定による技術的助言ですので申し添えます。
(添付資料)
・「薬物依存のある刑務所出所者等の支援に関する地域連携ガイドライン」
・「薬物依存のある刑務所出所者等の支援に関する地域連携ガイドライン」の
概要
・ガイドラインを踏まえた薬物依存者に対する支援等の流れ(イメージ図)
別添
薬物依存のある刑務所出所者等の支援に関する地域連携ガイドライン
平成27年11月19日
法
務
省
保
護
局
・
矯
正
局
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部
目
次
第1
趣旨
第2
総論
1
用語の定義
2
基本方針
3
関係機関の基本的な役割
(1) 保 護 観 察 所
(2) 都 道 府 県 等
(3) 精 神 保 健 福 祉 セ ン タ ー
(4) 保 健 所
(5) 福 祉 事 務 所 、 市 町 村 障 害 保 健 主 管 課
(6) 依 存 症 治 療 拠 点 機 関
(7) 薬 物 依 存 者 に 対 す る 医 療 的 支 援 を 行 う 医 療 機 関 ( (6)を 除 く 。 )
(8) 地 方 更 生 保 護 委 員 会
(9) 刑 事 施 設
4
地域支援体制の構築
5
情報の取扱い
6
その他
第3
1
各論
薬物依存者本人に対する支援
(1) 刑 事 施 設 入 所 中 の 支 援
(2) 保 護 観 察 中 の 支 援
(3) 保 護 観 察 終 了 後 の 支 援
2
家族に対する支援
(1) 家 族 の 意 向 へ の 配 慮
(2) 家 族 へ の 助 言 等
(3) 他 機 関 等 の 紹 介
(4) 保 護 観 察 終 了 後 の 支 援 に 向 け た 調 整
第1
趣旨
本 ガ イ ド ラ イ ン は 、薬 物 依 存 の あ る 刑 務 所 出 所 者 等 に 対 す る 支 援 に 関 し 、関 係
機 関 及 び 民 間 支 援 団 体 が 、 相 互 に 有 効 か つ 緊 密 に 連 携 し 、そ の 責 任 、機 能 又 は 役
割 に 応 じ た 支 援 を 効 果 的 に 実 施 す る こ と が で き る よ う 、関 係 機 関 が 共 有 す べ き 基
本的な事項を定めるものである。
第2
1
総論
用語の定義
(1) 薬 物 依 存 者
規 制 薬 物 等( 指 定 薬 物 及 び 危 険 ド ラ ッ グ を 含 む 。以 下 同 じ 。)の 乱 用 に よ り 、
健 全 な 社 会 生 活 に 障 害 を き た し て い る 者 を い う( 必 ず し も 精 神 作 用 物 質 の 依 存
症として医師の診断を受けている場合に限らない。)。
(2) 支 援 対 象 者
薬物 依存 者 のう ち 、保護 観察 付 執行 猶予 者( 刑 の 一部 の 執行 を猶 予さ れ その
猶 予 の 期 間 中 保 護 観 察 に 付 さ れ て い る 者 * 1を 含 む 。 ) 又 は 仮 釈 放 者 と し て 保 護
観察を受けている者をいう。
(3) 関 係 機 関
保護観察所、都道府県等(政令指定都市を含む。以下同じ。)、精神保健福
祉センター、保健所、福祉事務所、市町村(特別区を含む。以下同じ。)障害
保 健 主 管 課 、 刑 事 施 設 、 地 方 更 生 保 護 委 員 会 * 2、 依 存 症 治 療 拠 点 機 関 * 3及 び 薬
物依存者に対する医療的支援を行うその他の医療機関をいう。
(4) 民 間 支 援 団 体
刑法等の一部を改正する法律(平成25年法律第49号)及び薬物使用等の罪を犯
した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律(平成25年法律第50号)の施行
(施行日はこれらの法律の公布(平成25年6月19日)から3年を超えない範囲で
政令で定める日)によるもの。
*2 法 務 省 の 地 方 支 分 部 局 で あ り 、 高 等 裁 判 所 の 管 轄 区 域 ご と に 置 か れ 、 主 と し て 仮 釈
放等の事務を行っている。
*3 平 成 26 年 度 か ら 実 施 さ れ て い る「 依 存 症 治 療 拠 点 機 関 設 置 運 営 事 業 」に お い て 、依
存症に関する専門的な相談支援、関係機関(医療機関、自治体、自助団体等)や依存
症者の家族との連携・調整等を試行的に実施し、依存症についての知見を集積するこ
とを目的として指定された5か所の医療機関。
*1
-2-
更 生 保 護 施 設 * 4 、ダ ル ク 等 の 回 復 支 援 施 設 、NA( ナ ル コ テ ィ ク ス・ア ノ ニ マ
ス )等 の 自 助 グ ル ー プ や 、そ の 他 薬 物 依 存 か ら の 回 復 を 支 援 す る 民 間 の 団 体 を
いう。
(5) 地 域 支 援
支援対象者の薬物依存からの回復及び安定した社会生活の維持に向けた関
係機関及び民間支援団体による働き掛けをいう。
2
基本方針
(1) 精 神 疾 患 と し て の 認 識 共 有
規制 薬物 等 の乱 用は 、犯 罪行 為で あ ると 同時 に 、しば し ば薬 物依 存の 一 症状
で も あ る た め 、関 係 機 関 は 、薬 物 依 存 者 が 薬 物 依 存 と い う 精 神 症 状 に 苦 し む 一
人 の 地 域 生 活 者 で あ る と い う こ と を 改 め て 認 識 し 、刑 事 処 分 の 対 象 と な っ た こ
とに伴う偏見や先入観を排して支援対象者の薬物依存からの回復と社会復帰
を支援する。
(2) シ ー ム レ ス な 支 援
関 係 機 関 は 、薬 物 依 存 者 に 対 す る 支 援 を 刑 事 施 設 や 保 護 観 察 所 又 は 医 療 機 関
い ず れ か の 単 一 の 機 関 に 委 ね る の で は な く 、相 互 に 連 携 し 、そ れ ぞ れ が 有 す る
責任、機能又は役割に応じた支援を、切れ目なく実施するよう努める。
(3) 民 間 支 援 団 体 と の 連 携
関係機関は、薬物依存者に対する支援において、民間支援団体との連携が極
めて重要であることを踏まえ、民間支援団体との連携体制を構築するととも
に 、当 該 団 体 が 薬 物 依 存 者 に 対 す る 支 援 を 行 う に 当 た っ て 、過 重 な 負 担 と な ら
ないように配慮しつつ、その活動を支援する。
3
関係機関の基本的な役割
(1) 保 護 観 察 所
・
保 護 観 察 所 は 、刑 事 施 設 入 所 中 の 薬 物 依 存 者 に つ い て 、円 滑 な 社 会 復 帰
に 向 け た 生 活 環 境 の 調 整 * 5を 行 う 。
*4
*5
刑務所出所者等を一定の期間保護して、その円滑な社会復帰を助ける民間の施設。
刑事施設や少年院等の矯正施設にいる者の釈放後の住居や就業先などの帰住環境を
調査し、改善更生と社会復帰にふさわしい生活環境を整えることによって、仮釈放等
の審理の資料等にするとともに円滑な社会復帰を目指すもの。保護観察と同様、保護
観察所の保護観察官と民間篤志家である保護司の協働態勢により実施する。
-3-
・
保護観察所は、支援対象者の保護観察期間が終了するまでの間、専門的
処 遇 プ ロ グ ラ ム * 6、 簡 易 薬 物 検 出 検 査 * 7の ほ か 、 生 活 状 況 の 把 握 及 び そ れ
に基づく生活指導など、支援対象者に対する指導監督を継続的に行うとと
もに、支援対象者を地域の関係機関や民間支援団体が実施する薬物依存か
らの回復に向けた支援につなげるために、保護観察期間中から関係機関等
との調整及び支援対象者への指導を積極的に行う。
・
保護観察所は、支援対象者の家族に対して助言を行うとともに、他の関
係機関や民間支援団体の支援につなげるための調整を行う。
・
保護観察所は、保護観察の実施責任を担う機関として、薬物再使用や粗
暴行為など、支援対象者の犯罪行為又は重大な問題行動に対して、関係機
関と連携しつつ、迅速に対処する。
(2) 都 道 府 県 等
・
都道府県等は、精神保健福祉センター、保健所、依存症治療拠点機関等
の医療機関等の関係機関が果たすべき役割と分担を調整する。
・
都道 府県 等 はそ れぞ れの 管 轄区 域内 にお いて 、支 援 対象 者が 適当 な 通院
先又は入院先を得られない場合や、支援対象者の精神症状が急性増悪した
場合などにおいて適当な医療機関の紹介等を行う、保護観察所との連絡・
対応窓口となる機関(夜間又は休日における連絡・対応窓口を含む。)を
定める。
・
都道府県等は規制薬物等の取締りを担当する部署や精神保健福祉を担当
する部署を含む関係部署の間の緊密な連携を図る。
(3) 精 神 保 健 福 祉 セ ン タ ー
・
精神保健福祉センターは、地域の精神保健福祉の要として、地域におけ
る関係機関と民間支援団体との連携が円滑に行われるよう、協力体制の構
築に向け、平素から必要な企画・調整を行い、連携推進の中核的役割を果
たす。
・
精神保健福祉センターは、保護観察所と連携し、支援対象者及びその家
族に対する相談支援及び必要な他の支援に結び付けるための調整を行う
特定の犯罪的傾向を改善するため、認知行動療法等の理論に基づき、認知の偏りや
自己統制力の不足等の問題点を自覚させた上で、再犯しないための具体的な方法を習
得させることを目的として実施するプログラム。
*7 規 制 薬 物 等 の 使 用 を や め よ う と す る 対 象 者 の 意 志 を 強 化 し 、 こ れ を 持 続 さ せ る こ と
を目的として、プログラムの一環又は対象者の自発的意思に基づいて実施する簡易な
薬物検出検査。
*6
-4-
とともに、保護観察所又は支援対象者若しくはその家族からの求めに応じ
て、保護観察期間終了後も引き続き必要な支援が受けられるよう調整を行
う。
・
精神 保健 福 祉セ ンタ ーは 、支 援 対象 者及 びそ の 家族 に対 する 支援 に 資す
る地域の民間支援団体を把握し、その活動を支援する。
・
精神 保健 福 祉セ ンタ ーは 、薬 物 依存 から の回 復 を地 域社 会で 支え る こと
についての理解が促進されるよう啓発活動を行う。
・
精神 保健 福 祉セ ンタ ーは 、薬 物 依存 から の回 復 に資 する 支援 技術 に 関す
る研修を行うこと等により人材育成を行う。
(4) 保 健 所
・
保健所は、保護観察所等の他の関係機関と連携し、支援対象者及びその
家族に対して、地域に根ざした相談支援を行う。
・
保健所は、精神保健福祉センター・市町村と協力し、薬物依存からの回
復を地域社会で支えることの理解が促進されるよう啓発活動を行い、地域
の民間支援団体の活動を支援する。
・
保健所は、より専門的な支援が必要な支援対象者に対して、他の適切な
関係機関又は民間支援団体を紹介する。
(5) 福 祉 事 務 所 、 市 町 村 障 害 保 健 主 管 課
・
福祉 事務 所 及び 市町 村障 害 保健 主管 課は 、福 祉的 支 援を 必要 とす る 支援
対象者に対して、協力(連携)しながら、適切な対応を行い、必要な支援
を提供する。
・
福祉 事務 所 及び 市町 村障 害 保健 主管 課は 、必 要な 福 祉的 支援 が円 滑 に提
供されるよう、刑事施設、保護観察所を始めとする他の関係機関又は民間
支援団体等と連携する。
・
市町 村障 害 保健 主管 課は 、支 援 対象 者及 び そ の 家族 が地 域 で 排除 さ れる
ことなく回復に取り組めるよう、地域住民の薬物依存への理解を促進する
啓発に努める。
(6) 依 存 症 治 療 拠 点 機 関
・
依 存 症 治 療 拠 点 機 関 は 、支 援 対 象 者 の 専 門 的 な 治 療 や 、そ の 家 族 へ の 相
談支援を行う。
・
依 存 症 治 療 拠 点 機 関 は 、関 係 機 関 、 民 間 支 援 団 体 等 に 対 し て 、 薬 物 依 存
症治療に関する助言・指導を行う。
・
依 存 症 治 療 拠 点 機 関 は 、支 援 対 象 者 や そ の 家 族 、地 域 住 民 等 に 対 し て 薬
物依存症からの回復支援に関する普及啓発活動を行う。
-5-
(7) 薬 物 依 存 者 に 対 す る 医 療 的 支 援 を 行 う 医 療 機 関 ( (6)を 除 く 。 )
・
薬物依存者に対する医療的支援を行う医療機関は、薬物依存症のほか、
身体合併症等の治療に関する各機関の専門性に応じ、支援対象者の治療や
その家族への相談支援を行う。
・
薬 物 依 存 者 に 対 す る 医 療 的 支 援 を 行 う 医 療 機 関 は 、関 係 機 関 、民 間 支 援
団体等に対して、薬物依存者に対する支援に関する助言を行う。
(8) 地 方 更 生 保 護 委 員 会
・
地方更生保護委員会は、刑事施設入所中の薬物依存者との面接等を通じ
て、出所後の社会復帰を見据えた調査(アセスメント)を行い、必要に応
じて関係機関等と情報共有や協議を行う。
・
地方更生保護委員会は、刑事施設入所中の薬物依存者の意向を踏まえ、
円滑な社会復帰のために最も適当な生活環境が確保されるよう、広域的な
見地から、保護観察所が行う生活環境の調整に関し必要な指導・助言等を
行う。
・
地方更生保護委員会は、調査や生活環境の調整の結果を踏まえて、仮釈
放等に関する審理を行う。
(9) 刑 事 施 設
・
刑事施設は、刑事施設入所中の薬物依存者に対し、薬物依存からの回復
に向けたプログラム等の働き掛けを行うほか、社会資源に関する情報を提
供するなどして、薬物依存者が適切な帰住希望地を選択し生活計画を立て
ることができるように支援する。
・
刑事施設は、刑事施設入所中又は出所後の薬物依存者の円滑な社会復帰
に向けて、当該薬物依存者の処遇や医療に関する情報を提供するなど、地
方更生保護委員会、保護観察所のほか、必要に応じて他の関係機関と連携
する。
4
地域支援体制の構築
(1) 関 係 機 関 は 、 地 域 の 薬 物 依 存 問 題 に つ い て の 認 識 を 共 有 し 、 治 療 や 回 復 支 援
に 関 わ る 機 関 ・ 団 体 が 協 働 し て そ の 解 決 に 取 り 組 む た め 、民 間 支 援 団 体 等 の 適
当な者の出席を求めつつ、定期的に連絡会議を開催する。
(2) 関 係 機 関 は 、 医 療 ・ 保 健 ・ 福 祉 従 事 者 そ の 他 薬 物 乱 用 の 問 題 に 携 わ る 可 能 性
が あ る ス タ ッ フ の 養 成 又 は 研 修 に お い て 、薬 物 依 存 者 へ の 支 援 に つ い て 取 り 上
げるなど、人材の育成に努める。
-6-
(3) 関 係 機 関 は 、 民 間 支 援 団 体 も 含 め 、 薬 物 依 存 者 へ の 支 援 に 関 し て 他 の 参 考 と
な る 事 例 、研 究 そ の 他 の 知 見 を 共 有 す る な ど 、地 域 に お け る 薬 物 乱 用 に 関 す る
問題解決力の向上を図る。
(4) 関 係 機 関 は 、 外 部 講 師 や 非 常 勤 ス タ ッ フ と し て 他 の 関 係 機 関 や 民 間 支 援 団 体
の 職 員 等 を 招 へ い し た り 、回 復 プ ロ グ ラ ム に 関 す る 勉 強 会 や 家 族 相 談 会 を 共 同
で開催するなどして、相互の取組に関する理解及び支援の促進に努める。
5
情報の取扱い
(1) 関 係 機 関 は 、 関 係 機 関 及 び 民 間 支 援 団 体 が 連 携 し 効 果 的 に 支 援 を 行 う た め 、
支 援 対 象 者 に 関 す る 情 報 に つ い て は 、他 の 機 関 又 は 団 体 に お け る 情 報 の 取 扱 方
針等に配慮しつつ、必要な範囲で共有する。
(2) 関 係 機 関 は 、 支 援 対 象 者 の 情 報 を 他 の 機 関 又 は 団 体 に 提 供 し 、 こ れ を 共 有 す
る に 当 た っ て は 、法 令 上 明 ら か な 場 合 を 除 き 、原 則 と し て 支 援 対 象 者 の 同 意 を
得 る も の と す る 。た だ し 、支 援 対 象 者 に 対 す る 支 援 の 可 否 等 に つ い て 検 討 す る
な ど の 事 前 協 議 に 関 し て は 、支 援 対 象 者 の 同 意 を 得 る 前 で あ っ て も 、匿 名 を 前
提として必要な情報を提供し、協議等を行うことができる。
(3) 関 係 機 関 は 、 提 供 を 受 け た 情 報 に 関 し て 、 用 途 以 外 の 使 用 、 漏 洩 等 が な い よ
う、厳格に管理する。
(4) 関 係 機 関 は 、 民 間 支 援 団 体 に 情 報 を 提 供 し 、 こ れ を 共 有 す る に 当 た っ て は 、
適切に情報を管理し、用途以外に使用しないよう求める。
6
その他
(1) 法 務 省 及 び 厚 生 労 働 省 は 、 本 ガ イ ド ラ イ ン が 実 効 性 あ る も の と な る よ う 必 要
かつ具体的な対応を行う。
(2) 法 務 省 及 び 厚 生 労 働 省 は 、 本 ガ イ ド ラ イ ン に つ い て 、 こ れ を 踏 ま え た 地 域 支
援の実施状況、関係法令等の改正等を踏まえ、適宜の時期に見直す。
(3) 保 護 観 察 所 及 び 他 の 関 係 機 関 は 、 薬 物 依 存 者 の う ち 、 保 護 観 察 処 分 少 年 、 少
-7-
年 院 仮 退 院 者 又 は 更 生 緊 急 保 護 * 8の 申 出 が あ っ た 者 に 対 し て も 、 そ の 求 め に 応
じて、本ガイドラインに準じ、必要な支援を行う。
第3
1
各論
薬物依存者本人に対する支援
(1) 刑 事 施 設 入 所 中 の 支 援
ア
アセスメント
・
刑 事 施 設 、地 方 更 生 保 護 委 員 会 及 び 保 護 観 察 所 は 、 刑 事 施 設 入 所 中 の 薬 物
依存者に関しては、生活歴、家族等の状況のほか、特に、薬物依存の程度、
入所前に受けていた支援の内容、精神科通院・入院歴、服薬状況を含む現在
の心身の状況、出所後の支援に関する本人の意向等を調査する。
・
刑 事 施 設 、地 方 更 生 保 護 委 員 会 及 び 保 護 観 察 所 は 、 上 記 の 調 査 を 行 う に 当
たっては、必要に応じて、関係機関、民間支援団体、薬物依存に関する専門
的知見を有する者等の協力を得る。
イ
支援の方針等
・
刑 事 施 設 、地 方 更 生 保 護 委 員 会 及 び 保 護 観 察 所 は 、 刑 事 施 設 入 所 中 の 薬 物
依存 者に 対 し、それ ぞれ が関 与 する 段階 にお いて 、前 記 アの 調査 の結 果 や生
活 環 境 の 調 整 の 状 況 等 を 踏 ま え 、各 種 社 会 資 源 に 関 す る 情 報 を 提 供 す る な ど
して 、当 該薬 物 依存 者が 適切 な 生活 計画 を立 てる こ とが でき るよ う指 導・支
援する。
・
保 護観 察所 は 、アの 調査 を 踏ま え 、出所 後の 社 会復 帰上 の課 題と 対 応方 針
を検討する。特に、住居の確保のほか、出所の直後から福祉又は医療の支援
が必要と認める場合には、その確保に向けた課題と対応方針を検討する。
ウ
事前協議
・
保護観察所は、上記の方針等を検討するに当たっては、必要に応じて、関
係機関及び民間支援団体と協議を行う。特に、出所後の住居については、刑
事 施 設 入 所 中 の 薬 物 依 存 者 の 特 性 を 踏 ま え 、マ ッ チ ン グ に 配 慮 し て 調 整 す る
とと もに 、福 祉 及び 医療 に関 し ては 、出 所後 速や か にこ れら の支 援が 受 けら
れるように調整する。
・
*8
刑 事 施 設 、地 方 更 生 保 護 委 員 会 及 び 保 護 観 察 所 は 、 特 に 必 要 と 認 め る 場 合
満期釈放者、起訴猶予者等が、親族からの援助や公共の衛生福祉に関する機関の保
護を受けられない、又はそれらのみでは改善更生をすることができない場合等に、そ
の者の申出に基づいて、食事・衣料・旅費等を与え、又は更生保護施設等に宿泊を委
託するなどの措置を講じるもの。
-8-
は、関係 機関 及 び民 間支 援団 体 の参 加を 得て ケア 会 議を 開催 して 、前 記の 方
針等につき協議する。
・
保 護観 察所 は 、当該 薬物 依 存者 につ いて 、帰住 先が な く 、か つ 高齢 又は 障
害により出所後直ちに福祉サービスを受ける必要がある者(特別調整対象
者 )と し て 保 護 観 察 所 が 選 定 し た 場 合 は 、特 に 地 域 生 活 定 着 支 援 セ ン タ ー * 9 と
の連携を密にする。
・
保 護観 察所 は 、ケア 会議 を 含め た上 記の 協議 に 当た って は 、関 係機 関又 は
民 間 支 援 団 体 が 、刑 事 施 設 入 所 中 の 薬 物 依 存 者 の 出 所 後 の 支 援 に 関 す る 具 体
的 な 検 討 を 行 う 上 で 必 要 な 情 報 を 、刑 事 施 設 又 は 地 方 更 生 保 護 委 員 会 か ら 提
供を受け若しくは自ら調査をして、関係機関又は民間支援団体に提供する。
エ
協力依頼への対応
・
関 係 機 関 は 、 刑 事 施 設 、地 方 更 生 保 護 委 員 会 又 は 保 護 観 察 所 か ら 上 記 ア な
いし ウに 関 する 協力 依頼 があ っ たと きは 、そ れぞ れの 専 門性 、薬 物依 存者 に
対する支援実績等に基づき、必要な協力を行う。
(2) 保 護 観 察 中 の 支 援
ア
保護観察等開始時の調査等
・
保 護 観 察 所 は 、保 護 観 察 の 開 始 に 当 た っ て は 、支 援 対 象 者 と の 面 接 を 行 い 、
支 援 対 象 者 の 刑 事 施 設 入 所 中 に 実 施 し た 前 記 の 調 査 や 検 討 、そ の 後 の 状 況 の
変 化 等 を 踏 ま え て 保 護 観 察 の 実 施 計 画 を 作 成 し 、計 画 的 に 指 導・支 援 を 行 う 。
・
保 護観 察所 は 、支援 の方 針 を決 定 又 は修 正す る に当 たっ ては 、支援 対象 者
及 び そ の 家 族 の 意 向 、関 係 機 関 又 は 民 間 支 援 団 体 と の 連 携 に 十 分 配 慮 す る こ
ととし、必要に応じて関係機関又は民間支援団体と協議を行うとともに、特
に 必 要 と 認 め る 場 合 は 、関 係 機 関 又 は 民 間 支 援 団 体 の 参 加 を 得 て ケ ア 会 議 を
開催する。
・
関 係機 関は 、保 護観 察所 か らの 意見 照会 や協 議 があ った 場合 には 、それ ぞ
れの専門性、薬物依存者に対する支援実績等に基づき、意見等を述べる。
イ
医療的支援
・
保 護 観 察 所 は 、薬 物 依 存 か ら 回 復 す る た め に 医 療 が 必 要 と 認 め る 支 援 対 象
者については、本人の意向を確認するとともに、医療機関とも協議の上、受
*9
高齢又は障害により福祉的な支援を必要とする刑務所出所者等について、出所等後
直ちに福祉サービス等につなげるための準備を、保護観察所と協働して進める支援機
関。全都道府県に設置されている。
-9-
診するよう指示等を行う。
・
保 護観 察所 は 、支援 対象 者 が、医 師 によ り入 院 治療 が必 要で ある と 判断 さ
れた場合には、医師の指示に従い入院治療を受けるよう指導するとともに、
医 療 機 関 並 び に 必 要 に 応 じ て 他 の 関 係 機 関 及 び 民 間 支 援 団 体 と 連 携 し て 、退
院後を見据えた必要な調整を行う。
・
医 療 機 関 は 、入 院 中 の 支 援 対 象 者 が 退 院 後 に 円 滑 に 地 域 支 援 を 受 け る こ と
が で き る よ う 、保 護 観 察 所 並 び に 必 要 に 応 じ て 他 の 関 係 機 関 及 び 民 間 支 援 団
体 に 対 し 、支 援 対 象 者 の 心 身 の 状 況 等 に つ い て 必 要 な 情 報 提 供 又 は 協 議 を 行
う。
・
保 護観 察所 は 、支援 対象 者 が、医 師 によ り通 院 治療 が必 要で ある と 判断 さ
れた場合には、医師の指示に従い通院治療を受けるよう指導する。
・
医 療 機 関 は 、通 院 中 の 支 援 対 象 者 が 必 要 な 地 域 支 援 を 受 け る こ と が で き る
よう、保護観察所並びに必要に応じて他の関係機関及び民間支援団体に対
し、支援対象者の心身の状況等について必要な情報提供又は協議を行う。
ウ
専門的援助等
・
保 護観 察所 は 、支援 対象 者 の生 活環 境、心 身の 状況 等 を 考慮 し 、薬 物依 存
の改善のために回復プログラム等の専門的な援助が必要と認める支援対象
者に つい て、本 人の 意向 を確 認 した 上で 、専 門的 な援 助 が受 けら れる よ う関
係 機 関 に 協 力 を 依 頼 す る と と も に 、支 援 対 象 者 に 通 所 等 に よ る 専 門 的 援 助 を
受けるよう指導する。
・
都 道 府 県 、精 神 保 健 福 祉 セ ン タ ー 又 は 保 健 所 は 、支 援 対 象 者 が 薬 物 依 存 の
改善に向けた回復プログラム又は個別の相談支援を受けることを希望して
いる場合は、回復プログラム若しくは個別の相談支援を実施し、又は地域で
提供されている他の適当な支援を紹介し、調整する。
・
保 護 観 察 所 は 、 支 援 対 象 者 が 薬 物 依 存 か ら 回 復 す る た め 、ダ ル ク 等 の 回 復
支 援 施 設 又 は NA 等 の 自 助 グ ル ー プ 等 に 入 所 又 は 通 所 し て グ ル ー プ ミ ー テ ィ
ン グ 等 に 参 加 す る こ と が 必 要 で あ る と 判 断 し た 場 合 に は 、本 人 の 意 向 を 確 認
するとともに、必要に応じ、入所又は通所について施設等と事前に協議した
上で、支援対象者に対して上記施設に入所又は通所するよう指示等を行う。
エ
福祉的支援
・
福 祉 事 務 所 又 は 市 町 村 障 害 保 健 主 管 課 は 、支 援 対 象 者 が 障 害 福 祉 サ ー ビ ス
等の利用を希望している場合は、速やかに当該支援の要否等を判断の上、必
要な支援を実施する。
・
福 祉 事 務 所 又 は 市 町 村 障 害 保 健 主 管 課 は 、直 接 的 な 制 度 の 運 用 と 合 わ せ て 、
必要に応じ、地域で提供されている他の適当なサービス等の利用を援助す
- 10 -
る。
オ
その他の支援
・
保 護 観 察 所 は 、支 援 対 象 者 が 上 記 イ な い し エ の 各 事 項 に 掲 げ る 以 外 の 支 援
を 受 け る 必 要 が あ る と 認 め る と き は 、支 援 対 象 者 の 意 思 に 反 し な い こ と を 確
認の上、必要に応じて、関係機関又は民間支援団体の協力を得る。
・
保護観察所は、支援対象者の生活環境、心身の状況、意向等を勘案し、支
援 対 象 者 が 就 労 支 援 を 受 け る こ と が 必 要 と 認 め る と き は 、公 共 職 業 安 定 所 の
協力を得るなどして、就労支援を受けられるよう調整する。
カ
協力依頼への対応
・
関 係 機 関 は 、 保 護 観 察 所 か ら 支 援 に 関 す る 協 力 を 求 め ら れ た と き は 、依 頼
され た協 力 の内 容に 応じ 、自 ら支 援 を実 施し 、又 は他 の 機関 又は 団体 か ら必
要な支援が受けられるよう他の機関又は団体の紹介等を行う。
・
関 係 機 関 は 、保 護 観 察 所 か ら 福 祉 若 し く は 医 療 に 関 す る 専 門 的 な 助 言 又 は
通院先若しくは入院先として適当な医療機関等の紹介等を求められたとき
は、各機関の役割や専門性に応じてこれに応え、又は適当な機関の紹介等を
行う。
キ
緊急時の対応
・
関 係機 関は 、支 援に 当た り 、緊 急 に 対応 すべ き 事態 が生 じた 場合 に は 、相
互に協力して解決に当たる。
・
保 護 観 察 所 は 、薬 物 乱 用 に よ り 、支 援 対 象 者 の 幻 覚( 幻 聴・幻 視 )や 妄 想 、
極 度 の 気 分 の 変 動 や 興 奮 と い っ た 症 状 が 発 現 す る な ど 、医 療 的 支 援 が 必 要 と
思 わ れ る 事 態 が 生 じ た 場 合 に は 、速 や か に 依 存 症 治 療 拠 点 機 関 又 は 都 道 府 県
等が定めた保護観察所との連絡・対応窓口である機関に連絡する。
連 絡 を 受 け た 医 療 機 関 は 診 断 及 び 必 要 な 治 療 を 実 施 し 、ま た 、治 療 を 実 施
する上で他に適当な医療機関がある場合は、当該医療機関を紹介し、調整を
行う。
た だ し 、保 護 観 察 所 は 、上 記 の 症 状 が 明 ら か に 規 制 薬 物 等 の 再 使 用 に よ る
ものであると認める場合には、警察に連絡するなど適切な対応をとる。
・
関 係機 関は 、心 身の 状態 が 特に 不安 定な 支援 対 象者 に関 して は 、自 傷・他
害のおそれが生じた場合など緊急に対応すべき事態に備え、必要に応じて、
その情報を共有する。
・
保 護 観 察 所 以 外 の 関 係 機 関 は 、自 ら の 機 関 が 行 う 治 療 又 は 支 援 の 対 象 と な
った薬物依存者が保護観察付執行猶予者又は仮釈放者であることを把握し
た場 合は 、当 該 支援 対象 者の 心 身の 状況 その 他の 状 況に 鑑み 、必 要に 応じ て
- 11 -
保護観察所に連絡する。
(3) 保 護 観 察 終 了 後 の 支 援
ア
保護観察中の調整
・
保 護 観 察 所 は 、保 護 観 察 終 了 後 も 支 援 対 象 者 が 保 護 観 察 所 以 外 の 関 係 機 関
及 び 民 間 支 援 団 体 か ら 引 き 続 き 必 要 な 支 援 を 受 け る こ と に つ い て 、支 援 対 象
者の意向を確認する。
・
保 護観 察所 は 、支援 対象 者 が、薬 物 依存 から の 回復 のた めの 継続 的 支援 を
希 望 す る 場 合 に お い て 、保 護 観 察 終 了 後 も 引 き 続 き 必 要 な 支 援 を 受 け ら れ る
よう 、保 護観 察 の終 了ま でに 、精 神 保健 福祉 セン タ ー若 しく は他 の関 係 機関
又は民間支援団体が実施する支援につなげる。
・
保 護観 察所 は 、継続 的支 援 を希 望す る支 援対 象 者が 、保 護観 察の 終 了ま で
に適当な関係機関又は民間支援団体につながる見込みが得られなかった場
合は 、保 護観 察 の終 了前 に精 神 保健 福祉 セン ター と 協議 の上 、同 セン ター に
支援対象者に対する支援の実施を依頼する。ただし、同協議において、他の
適当な機関又は団体が支援の実施を引き継ぐことが適当であると認められ、
当該機関又は団体に引き継がれた場合は、この限りではない。
イ
支援の実施等
・
精 神 保 健 福 祉 セ ン タ ー は 、支 援 対 象 者 が 薬 物 依 存 か ら の 回 復 の た め に 精 神
保健 福祉 セ ンタ ーの 支援 を望 む 場合 にお いて 、支 援対 象 者の 同意 を得 て、保
護 観 察 所 か ら の 必 要 な 情 報 提 供 を 受 け 、関 係 機 関 及 び 民 間 支 援 団 体 等 と 協 力
・連携して、回復プログラム又は個別の相談支援を実施する。
2
家族に対する支援
(1) 家 族 の 意 向 へ の 配 慮
・
関係機関は、刑事施設入所中、保護観察中、保護観察終了後を通じて、薬
物依 存者 の 意向 とと もに 、薬 物依 存 者の 家族 の意 向 を十 分に 汲み 、薬 物依 存
者への支援の実施に当たって必要な配慮を行う。
・
関 係 機 関 は 、 薬 物 依 存 者 本 人 へ の 支 援 を 行 う に 当 た っ て 、薬 物 依 存 者 の 家
族に対して負担を強いることがないよう十分に留意する。
(2) 家 族 へ の 助 言 等
・
保 護観 察所 は 、刑事 施設 入 所中 の薬 物依 存者 の 家族 に対 し 、薬 物依 存に 係
る 知 識 や 本 人 と の 接 し 方 に 係 る 助 言 な ど 、当 該 薬 物 依 存 者 の 社 会 復 帰 に 資 す
る支援を行う。
・
関 係機 関は 、刑 事施 設入 所 中の 薬物 依存 者に 関 して 、他 の関 係機 関 から の
- 12 -
依 頼 又 は 当 該 薬 物 依 存 者 の 家 族 か ら の 相 談 を 受 け た と き は 、そ れ ぞ れ の 機 関
の専 門性 に 応じ て、当該 家族 に 対し て助 言等 を行 う とと もに 、当 該家 族に 対
する支援が効果的に行われるよう相互に協力する。
・
関 係 機 関 は 、出 所 後 の 支 援 対 象 者 本 人 に 対 す る 支 援 に 並 行 し て 、そ の 家 族
が支援を望む場合においては、その家族に対して、引き続き、継続的に助言
等を行う。
(3) 他 機 関 等 の 紹 介
・
関 係 機 関 は 、支 援 対 象 者 の 家 族 が 求 め て い る 支 援 の 内 容 、意 向 等 を 踏 ま え 、
他 に 支 援 を 行 う 適 当 な 機 関 又 は 民 間 支 援 団 体 が あ る と 判 断 し た 場 合 は 、当 該
機関又は団体から必要な支援が受けられるよう当該機関の紹介等を行う。
・
関係機関は、必要に応じ、紹介先の機関又は団体との間で情報を共有し、
より効果的な支援が行われるよう配慮する。
(4) 保 護 観 察 終 了 後 の 支 援 に 向 け た 調 整
・
保 護 観 察 所 は 、支 援 対 象 者 の 家 族 が 保 護 観 察 終 了 後 も 他 の 関 係 機 関 又 は 民
間 支 援 団 体 か ら 必 要 な 支 援 を 継 続 的 に 受 け る こ と が で き る よ う 、保 護 観 察 中
から 調整 を 図り 、支 援対 象者 の 家族 が希 望す る場 合 には 、保 護観 察の 終 了ま
でに、これらの機関が実施する支援につなげる。
- 13 -
「薬物依存のある刑務所出所者等の支援に関する地域連携ガイドライン」の概要
策定の背景
・危険ドラッグを含め,薬物依存は大きな社会問題となっており,その対策は政府の重要な政策課題の一つ。そうした中,薬物依存者等
を対象とした刑の一部の執行猶予制度が平成28年6月までに施行。
・薬物依存者の再犯(再使用)の防止は,刑事司法機関のみでは不十分。保護観察所と,地域の医療・保健・福祉機関及び民間支援団体
との有効かつ緊密な連携体制の構築が不可欠。
ガイドラインの概要
各 論
総 論
基本方針
・精神疾患としての認識共有
・シームレスな支援
・民間支援団体との連携
関係機関
保護観察所,都道府県等,精神保健福祉センター,保健所,
福祉事務所,市町村(特別区を含む)障害保健福祉主管課,
刑事施設,地方更生保護委員会,依存症治療拠点機関及び
薬物依存者に対する医療的支援を行うその他の医療機関
地域支援体制の構築
・定期的に連絡会議を開催する。
・薬物依存者の支援に関する人材の育成に努める。
・知見の共有等により,地域における薬物乱用に関する問
題解決能力の向上を図る。
・相互の取組に関する理解及び支援の促進に努める。
情報の取扱い
・必要な情報は,他の機関又は団体における情報の取扱方
針等に配慮しつつ,共有する。
・支援対象者に関する情報共有は,原則として本人の同意
を得る。
等
薬物依存者本人に対する支援
(刑事施設入所中の支援)
・刑事施設,地方更生保護委員会及び保護観察所は,出所
後に必要な支援等に関するアセスメントを行う。
・保護観察所は,アセスメントの結果を踏まえ,出所後の
社会復帰上の課題と対応方針を検討する。
等
(保護観察中の支援)
・保護観察所は,支援対象者に対する指導監督を行うとと
もに,必要な支援を受けることができるよう調整する。
・医療機関は,支援対象者の治療や,必要に応じて関係機
関に対する情報提供等を行う。
・都道府県,精神保健福祉センター又は保健所は,支援対
象者の希望に応じ,回復プログラム等を実施する。
・福祉事務所又は市町村障害保健福祉主管課は,支援対象
者の希望に応じ,必要な福祉的支援を実施する。
・関係機関は,保護観察所等の求めに応じ,支援対象者に
対する支援に関するケア会議等に出席する。
等
(保護観察終了後の支援)
・保護観察所は,支援対象者の希望に応じ,精神保健福祉
センターその他の関係機関に支援を引き継ぐ。
等
家族に対する支援
・関係機関は,支援対象者に対する支援に当たっては,本
人の意向とともに家族の意向を汲む。
・関係機関は,相互に協力して効果的に家族支援を行うと
ともに,希望に応じ,保護観察終了後も支援を行う。等
ガイドラインを踏まえた薬物依存者に対する支援等の流れ(イメージ図)
刑事施設
入所
刑
事
仮釈放又は
実刑期間の満了
施
設
収
容
保護観察
期間終了
中
社
会
内
福祉事務所等による福祉支援
協議又はケア会議
回復支援
施設入所
調査(アセスメント)
支援の方針等の検討
帰住先の調整
事前協議又はケア会議
調査(アセスメント)
薬物依存者(本人)
更生保護
施設入所
支援の方針の決定、保護観察の実施計画の作成
親許等
に帰住
保護観察期間終了後の支援
のための調整・引継ぎ
情報提供・協議・
ケア会議等の実施
医療機関における治療
精神保健福祉センター等における援助
民間支援団体による支援
※ 複数機関への通所・通院含む
緊急時の対応
・相互に協力して解決に当たる。
・医療的支援が必要な場合は県等が定める連絡・対応窓口等に連絡
・明らかな犯罪行為は保護観察所が警察等に連絡 等
精神保健福祉センター等における援助
家族
民間支援団体による支援
引受人会の開催
保護観察期間終了後の支援のための調整・引継ぎ
保護観察所による個別相談・支援,家族会の開催
薬物依存のある刑務所出所者等の再犯(再使用)防止・社会復帰
保護観察所による指導監督・補導援護
薬物乱用防止プログラム(教育・薬物検出検査)の実施