姫路循環器病センター

(様式3)
O-81
当院での Antimicrobial stewardship 活動における薬剤師の取り組み
○山本みどり、東 佑輔、小林 真弓、數田 素子、井上 量代、桂 智美、高橋 知孝、井本 孝子、
髙村 志保、上田 里恵、鹿島 孝子、兵頭 純子
(姫路循環器病センター 薬剤部)
【はじめに】
Antimicrobial stewardship(AS)とは抗菌薬など感
染症治療薬の適正使用を推進するための組織的なチーム
活動を意味する。2007 年に米国感染症学会(IDSA)と米
国医療疫学学会(SHEA)から共同で発表されたガイドラ
インでは、抗菌薬の適正使用の方法として「抗菌薬の使
用制限」と「介入とフィードバック」の2つをあげてい
る。今回、2014 年 4 月から当院における AS 活動を開始
したので報告する。
【方法】
指定抗菌薬(抗 MRSA 薬、カルバペネム系薬剤、キノロ
ン系薬剤(注射)、第 4 世代セフェム)使用患者につい
て、薬剤師が適正使用の観点から確認を行い、その中で
検討を必要とする症例については ICT チームでカンファ
レンスを行い、必要に応じて介入を行った。介入に対す
る抗菌薬使用適否の検討項目として「抗菌薬投与の適否」
「de-escalation 可能であるか」「血液培養がされてい
るか」「抗菌薬による副作用の確認」等があげられる。
<抗菌薬処方変更症例>
抗菌薬選択変更例のうち、カルバペネムからの変更が
5 件、抗 MRSA 薬、菌に感受性のない抗菌薬からの変更が
3 件ずつとなっており、カルバペネムに対する介入が多
く見られる結果となった(図1)。
用法用量変更例は、カルバペネムが 4 件、それ以外が
2 件であり、その全てにおいて投与量が不十分なため変
更になった症例であった(図2)
。また投与が中止された
例については、抗菌薬副作用による投与中止、カルバペ
ネム中止がともに 2 件、バンコマイシン投与中止が 1 件
であった。
<提案受け入れ率>
処方提案の受け入れ率は提案件数 27 件中 22 件で
81.5%、
その内訳は抗菌薬の変更提案 12 件中 11 件(92%)、
用法用量 6 件中 6 件(100%)、投与中止 9 件中 5 件(56%)
であり、全体として高い受け入れ率となった。
【結果】
平成 26 年度 5 月~6 月の 2 ヶ月間において介入した症
例、全 37 件のうち処方変更症例が 22 件で 59.4%、未変
更は 13.5%、その他は 27.0%、処方変更症例のうち抗菌
薬選択の変更が 29.7%、用法用量の変更が 16.2%、投与中
止が 13.5%であった。
【考察】
指定抗菌薬使用症例への介入を行った結果、多くの症
例で処方薬変更の提案が受け入れられ、抗菌薬の適正使
用推進に寄与できたと考える。
介入例の多かったカルバペネムについては投与量が不
十分な症例が多く見受けられたため、啓発活動を行って
いく必要性が示唆された。今後は本活動を継続し、さら
なる抗菌薬の適正使用に努めたい。