Page 1 Page 2 学イ立`壽命文の草稿では、 強い重力場を用いた2, 3 の

熊本大学学術リポジトリ
Kumamoto University Repository System
Title
Synthesis of novel materials under strong
gravitational field
Author(s)
緒方, 裕大
Citation
Issue date
2015-03-25
Type
Thesis or Dissertation
URL
http://hdl.handle.net/2298/32321
Right
氏名
緒方裕大
主論文審査の要旨
学イ立論文の草稿では、強い震カ揚を用いた 2,3の物質の材料プロセッシング、具体的には銅/黄
銅拡散対界面における拡散、lll:カ場印加によるマグネタイトの構造相転移、強い重力場実験によ
るY
C系強磁性体合成の実験的研究について報告している。
第一章では、序論として、強い重力場実験についての研究背景、強い重力揚が引き起こす現象
と、既往の研究について述べた。
第二章では、研究に用いた熊本大学のエアタービン型高視超遠心装置と、実験手順について述
べている。
第三章では、強い重カ場を用いた銅/'黄銅拡散対』宇宙における拡散について実験を行い、物質
界面の重カの効果を調べた。強い重力場下における、銅/煎ー銅界面の拡散現象を、試料界面を重
力方向と水平、垂直と条件を変えて、加速度 4
0万 G
、実験混度 4
0
0
"C、実験時間 6
0時間の実験
を行い、水平モードサンプルでは、低重力側において組成の著しい変化、細孔が多数観察し、強
い重力場によって発生した結晶のゆがみに起悶する多数の空孔が低重力側に変位し、拡散を促進
することを明らかにした。垂直モードサンプルでは、黄銅を上側にセットしたサンプルの方が銅
を上側にセットしたサンプルよりも、組成傾斜が急勾配である事が観察し、密度の大きい銅が重
力方向に沈降し、また、沈降シミュレーションの結果より、銅の拡散係数が通常よりも変化して
いることを明らかにした。これらの結果から、重力誘起の拡散現象は空孔の挙動が大きく関与し
ていることを議論した。
第四章では、強い重カ場によるによるマグネタイトが構造相転移することを見出している。重
力誘起の構造変化は全くの未開拓の研究であるが、本実験では a面のマグネタイト単結晶を周い
0
て、最大加速度 4
0万 G、実験混度 4
0
0
C、実験時間 2
4時間の強い重カ場実験を行い、結晶構造
が立方晶、 Fd-3mからハウスマンナイト (Mn30,)と同じ構造である正方晶、 14/amdに相転移をし
ていることが明らかにした。ラマンスベクトノレの結果においても、対称性が落ちていることを示
す新しい二つのピークが観測され、この物質は新物質であることがわかった。 SQUID を用いて磁
化特性を計測した結果、 Z
重力印加方向に磁場を印加した場合、重力実験後サンプルでは透磁率の
40%上昇と残留磁化が上昇していることも確認している。
第五躍では、フラーレンイットリワム混合物の強い重力場実験によって新しい Y
C強磁性体合
成について報告している。フラーレン (
c,
o
) とイットリウム (
y
)を 1・1(
a
t
.%)の混合紛体を用
0万 G、実験温度 4
0
00Cで重力実験を行い、初期サンプルではフラーレンの反
いて最大加速度 4
磁性の特徴を示したが、重力実験後サンプルでは、飽和磁化、保持カが著しく上昇し、強磁性の
特性を持つことを明らかにした。 EDXによる元素分析では、強微性を示す不純物の混在は確認で
きなかった。強磁性体の XRD分析では、既存のイットリウム炭化物に適合しない新規なパター
ンで、 YK
-e
d
g
eXANESの結果から、重力後の磁性を示す物質は初期のイットリウム金属の電子
構造を保持したまま、炭化物的電子構造にケミカノレシフトしていることが観測された。。
銅/黄銅界面の研究では原子の沈降メカニズムの解明にヒントを与え、マグネタイトの相転移、
YC強磁性体の合成では強い重力場を用いた新しい物質合成と新規な物性の出現の可能性を示唆し
ており、様々な応用研究が期待され、基礎科学的にも工学的にも評価できる成果である。