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A-2 抗がん剤マイトマイシ
ンCの作用における交流磁
界の周波数に対する評価
環日本海域環境研究センター
生体機能計測研究部門 河村一平
目次
1.はじめに
2.材料と交流磁界の影響評価方法
3.交流磁界の影響評価結果
4.まとめと今後の課題
1.はじめに
抗がん剤MMC
(マイトマイシンC)
・
・
・ ・
+
パルス磁界
(パルス幅2.0 ms,磁束密度4 mT)
非磁界曝露(Control); 死亡率66%
磁界曝露(Exposure); 死亡率23%
パルス磁界を曝露することによって抗がん剤治療の効
果が高まった
磁界曝露影響において効果的な磁界条件(磁束密度,周波数,
時間)は未だ明確にされていない
研究目的
抗がん剤シスプラチンにおいて磁場強度を固定して
交流磁界曝露を行った結果,抗がん作用増強率が
周波数60 Hz > 周波数600 Hz
抗がん剤MMCの毒性作用も磁場の周波数によって変化するのか
磁束密度を50 mTと固定し,周波数を6,30,60 Hzと変化さ
せたときの抗がん剤MMCの作用における交流磁界の周
波数による影響を評価した
2.交流磁界の影響評価方法
2.1 抗がん剤マイトマイシンC(MMC)
・分子式 C15H18N4O5 =334.33
・化学構造式
酵素によって還元され
活性代謝物となる
DNAの複製
を阻止する
DNA鎖
2.2 大腸菌 JE5595 recA
ヒト細胞
大腸菌
⇒
⇒
2/day
248/day
増殖サイクルの早い
大腸菌を使用
DNA修復機能のrecA遺伝子を人工的に機能しなくした変異株
野生株よりもDNA損傷に対する感受性が高い
ExposureとControlで磁界曝露の影響が検出されやすい
2.3 交流磁界の影響評価方法
~コロニーアッセイ法~
Exposure
(磁界曝露側 )
MMC
サンプリング
一晩培養
サンプリング
一晩培養
+
大腸菌
Control
( 非磁界曝露側 )
3.交流磁界の影響評価結果
大腸菌 JE5595 磁界密度 50 mT 周波数 6 Hz
MMC濃度 0.7g/ml
実験回数 11回
MMC+MFの生菌数
相対比
1l中の生菌数
1000000
=
MMCの生菌数
1.8
MMC
1.6
100000
10000
MMC+MF
1.2
相対比
生菌数 [cfu/μl]
1.4
1000
100
1
0.8
0.6
0.4
10
0.2
1
0
0
1
2
3
4
実験時間 [h]
5
6
0
2
4
実験時間 [h]
対数表示
6
MMCしな
MMCりあ
Control(側露曝界磁非)
しな
MMC
Exposure(側露曝界磁)
MF
MMC+MF
大腸菌 JE5595 磁界密度 50 mT 周波数 30 Hz
MMC濃度 0.7g/ml
実験回数 8回
相対比
1000000
1.2
100000
1
10000
0.8
相対比
生菌数 [cfu/μl]
1l中の生菌数
1000
*
*
*
0.6
100
0.4
10
0.2
0
1
0
1
2
3
実験時間 [h]
4
5
6
0
2
4
6
実験時間 [h]
*P<0.05はMMCとMMC+MFとの間にお
けるT検定の結果を示す
大腸菌 JE5595 磁界密度 50 mT 周波数 60 Hz
MMC濃度 0.7g/ml
実験回数7回
相対比
1000000
1.2
100000
1
10000
0.8
相対比
生菌数 [cfu/μl]
1l中の生菌数
1000
*
*
*
0.6
0.4
100
0.2
10
0
1
0
1
2
3
実験時間 [h]
4
5
6
0
2
4
実験時間 [h]
*P<0.05はMMCとMMC+MFとの間にお
けるT検定の結果を示す
6
周波数特性結果
大腸菌 JE5595
周波数 6 Hz,30 Hz,60 Hz
*
*
1.8
1.6
*
*
磁界密度 50 mT
MMC濃度 0.7g/ml
*
*
1.4
6時間後の相対比
相対比
1.2
1
6 Hz 約1.1倍
0.8
30 Hz 約0.6倍
0.6
60 Hz 約0.45倍
0.4
0.2
0
0
4
2
時間 [h]
6
周波数変化によって
毒性作用が変化する
4.まとめと今後の課題
・ 周波数6 HzのときControlとの有意差が確認できなかった
周波数が低すぎて静磁場に近い状態になった可能性がある
・周波数30 Hzと60 HzのときそれぞれControlとの有意差が確認できた
30 Hzでは曝露時間が6時間後のとき約0.6倍
60 Hzでは曝露時間が6時間後のとき約0.45倍
周波数変化によって毒性作用が変化した
① うず電流による影響
② ローレンツ力による影響
有意差なし
0.016
0.014
0.012
減少率=
減少率
0.01
0.008
6時間目におけるMMC+MFの生菌数
0時間目におけるMMC+MFの生菌数
0.006
0.004
周波数に依存している
0.002
0
0
10
20
30
40
50
60
周波数 [Hz]
① うず電流による影響
② ローレンツ力による影響
抗がん剤MMCの動きが活発になった
抗がん剤と大腸菌との衝突回数が増加され反応が促進された
今後の課題
・より周波数を上げて磁界曝露影響の検証を行う
・ヒト細胞を使って磁界曝露影響を検証する
ご清聴ありがとうございました
30 mT静磁場曝露実験
骨芽細胞・・・骨を作る細胞
破骨細胞・・・骨を吸収する細胞
両細胞の相互作用によって
骨代謝が行われる
静磁場30mTにおける破骨細胞活性比
静磁場30mTにおける骨芽細胞の活性比
1.4
1.4
Control
0.8
0.6
0.4
1.2
Controlを1とした時の活性比
Controlを1としたときの活性比
1.2
1
Control
Exposure
Exposure
1
0.8
0.6
0.4
0.2
0.2
0
0
静磁場30mTでは骨芽細胞,破骨細胞ともに磁場曝露ウロコと非磁界曝
露ウロコの間で有意差が見られなかった
恒温槽内の磁界分布
5
容器の深[cm]
4
3
mT
mT
mT
2
mT
1
0
1
2
3
4
容器の幅[cm]
5
6
うず電流について
J:うず電流密度,s:導電率,r:径,
うず電流密度 J=-sprfB
f:周波数,B:磁束密度
抗がん剤 シスプラチン
H2Oにより加水分解

H2Oにより加水分解
Oにより加水分解

DNAのG塩基に共有結合

もう片方のClもG塩基に共有結合
もう片方のClもG塩基に共有結合

DNA一本鎖に架橋結合

DNA複製を阻害
抗がん剤マイトマイシン(MMC)
慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、胃癌、結腸・直腸癌、
肺癌、肝癌、子宮体癌、乳癌、頭頸部腫瘍、膀胱腫瘍
1.間歇投与法
成人1日4~6mgを週1~2回静脈内に注射する
2.連日投与法
成人1日2mgを連日静脈に注射する
3.大量間歇投与法
成人1日10~30mgを1~3週間以上の間隔で静脈内に注射する
4.他の抗悪性腫瘍剤との併用
成人1日2~4mgを週1~2回他の抗悪性腫瘍剤と併用して投与する
T検定について
T分布
0
2つの分布の重なっているところが全体の何%あるか?
例;5%重なっているとき、T検定値P=0.05