学校だより ふうしゃ 平成27年9月2日 アムステルダム日本人学校 No 16 http://www.jsa.nl/ 運転手さんの指示に従ってバスを降りて素早く避難する子どもたち(避難訓練) バス避難訓練を実施しました 校長 尾後貫 智 昨日 9 月 1 日は、日本では「防災の日」と位置づけられ全国の小中学校のみならず、各 自治体でも防災訓練が実施されました。本校でも、スクールバス乗車時の避難訓練を実施 しました。訓練に先立ち、私は子どもたちに以下の話をしました。 「私は、心配していることが一つあります。みなさん何だかわかりますか?それはみな さんがバスに乗っている時のことです。なぜ心配かというと、バスの中は子どもたちしか いないからです。学校の中で何か起こっても、先生方がたくさんいます。バスから降りれ ばみなさんのお母さんが待っていてくれます。だから安心です。しかし、バスの中は子ど もだけしかいません。だから、訓練をするのです。今日の訓練は、登下校の途中でバスが 止まってしまった場合にバスから降りて安全なところに避難するものです。ル-ト長の中 学部の人と運転手さんの指示に従って、素早くバスを降りて集合します。みなさんは、普 段ルート長の人の言っていることを守っていますか。ルート長を困らせていませんか。日 ごろから、しっかり指示が聞けるようにしておくことも大切です。」 子どもたちは、4台の方面ごとのバスでそれぞれ訓練しましたが、ルート長、運転手さ んの指示に従って素早く降りて避難することができました。 なお、訓練にはPTAのスクールバス委員の地区委員のみなさんにも立ち会っていただ き、その後方面ごとに乗車していただきました。ご協力ありがとうございました。 私の宝物 ある小学校で1年生による学級活動の授業を参観する機会があった時の話です。「おは なしキャッチボール」という授業で、自分の「たから」について友達に紹介するものでし た。毛糸玉を次の人に投げ渡していき、最後には毛糸がクモの巣を張ったような状態にな るのです。担任である男性の先生は、満面の笑みを浮かべ、子ども達が準備してきた「た から」を見せながら話す姿を追っていきました。紹介される「たから」は、カードゲーム のカード、テレビゲーム機、キャラクターのフィギュア、ビーズの飾り、携帯電話など、 現代の子ども達が宝物とイメージするものばかりでした。しかし、その中の一人に、外国 人の男の子がいました。その子が小さな箱から取り出した「たから」はサザエのふたでし た。真っ白なそのふたを見て、多くの子どもたちは不思議そうな表情をしました。それか ら、となりの女の子が小さな声で「きれい。」と言ってくれました。 男の子は、 「家族で海に行きました。その時にきれいだなと思って拾いました。これが ぼくの宝物です。」 少し顔を赤らめて、落ち着いた声で発表してくれました。次に、何人かの子が小さな拍 手をしてくれました。 この子には、家族で行った海での楽しい思い出がたくさん詰まったふたであったのだと 感じました。真っ白なそのふたは、照り付ける太陽の光であったり、真っ白い砂浜と青々 とした海や空とのコントラストであったり、幸せな家族の笑顔であったりと、たくさんの 情景が私の目に浮かんだのは言うまでもありません。 現代の子ども達が追い求めている喜びや幸せとはいったいどういったものか改めて聞い てみたくなりました。子どもたちの中で価値あるものとはいったい何なのか・・・。先ほ どの一件で救われた気がしたのは、小さな拍手をしてくれた子ども達がいたということで す。 私は、何の変哲も無いサザエのふた一個に多くの「たから」を見出すことのできる子ど も達が育ってくれることを願ってやみません。サザエのふたを「たから」としたあの外国 人の子どもが、やがて青年になり大人となって社会で活躍する頃が楽しみです。私たち子 どもの周りにいる大人も、サザエのふた一個に幸せを見出すことのできるそんな感性を忘 れないようにしたいものです。
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