アジア太平洋地域の安全保障 非対称な均衡による秩序の可能性?

 アジア太平洋地域の安全保障
非対称な均衡による秩序の可能性?
安倍政権下での 安全保障政策の展開 「国家安全保障戦略」
の策定
防衛計画の大綱
中期防衛力整備計画
(2013.12) 防衛装備移転三
原則(閣議決定)
(2014.4) 国の存立を全うし、
国民を守るため
の切れ目のない
安全保障法制の
整備について (2014.7) 日米防衛協力のた
めの指針
安全保障関連法制
の整備 (2015-­‐)
「国家安全保障戦略」にみるアジア太平洋情勢 グローバルなパワーバランスの変化は、国際社会におけるアジア太平
洋地域の重要性を高め、安全保障面における協力の機会を提供すると
同時に、この地域における問題・緊張も生み出している。
特に北東アジア地域には、大規模な軍事力を有する国家等が集中し、
核兵器を保有又は核開発を継続する国家等も存在する一方、安全保障
面の地域協力枠組みは十分に制度化されていない。
域内各国の政治・経済・社会体制の違いは依然として大きく、このため
に各国の安全保障観が多様である点も、この地域の戦略環境の特性で
ある。
領域主権や権益等をめぐり、純然たる平時でも有事でもない事態、いわ
ばグレーゾーンの事態が生じやすく、これが更に重大な事態に転じかね
ないリスクを有している。
U.S., China Japan Nominal GDP (2010-­‐2030 ProjecJon)
Unit: USD/billion Currency Rate as of 2012 45000.00 38,562.5
40000.00 Russia 29,285.5 30000.00 15,864.8 17,814.0 15000.00 0.00 10,166.6
8,227.0
5,798.0 5000.00 JPN 22,945.1 25000.00 10000.00 USA IND 35000.00 20000.00 CHN 2,021.9 6,196.3
7,655.8
7,060.8
3,782.8 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025 2026 2027 2028 2029 2030 Source: IMF World Economic Outlook Databases 2013(Modified) Goldman Sachs Growth Model (2007) Applied Nominal GDP of Emerging States in East Asia 2010-­‐2030 ProjecJon
Currency Rate as of 2012
14000.00 ASEAN6 IND 12000.00 Russia JPN IND>JPN(2027)
10000.00 KOR AUS ASEAN6>JPN (2024)
Taiwan 8000.00 6000.00 4000.00 RUS>JPN (2029)
2000.00 0.00 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025 2026 2027 2028 2029 2030 Source: IMF World Economic Outlook Databases 2013 (Modified) Goldman Sachs (2007) 7 Military Expenditure as percentage of GDP (1995-­‐2012)
7 USA Russia 6 KOR IND CHN 5 4.4% AUS ASEAN5 JPN 4 3.0% 3 2.0% 2 1 1.0% 0 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 • 
2011年の予算管理法に基づき、2017年までの今後5年間で、国防歳出を2,590億ドル削減(2023会計年度ま
での今後約10年間で、国防歳出は4,870億ドル削減される)予定。
• 
2013会計年度(本年10月~来年9月)国防省予算要求額は、本予算5,250億ドル、海外作戦経費884億ドル
(2012会計年度予算額:本予算5,310億ドル、海外作戦経費1,150億ドル)。
• 
焦点となる削減幅は、米国防費の削減は想定されるベースライン増額(及びインフレーション)からの削減額
(FY12より年率x%の伸び)として算出され、「想定される伸び率からの削減 (Projected Saving)」の5年間の総
和を削減額(=2,590億ドル)と定義している。
(出所)Travis Sharp, “Down Payment:Defense Guidance 2013” (2012)
Military Expenditure of U.S., China and Japan (2010-­‐2030 ProjecJon)
Unit: Million USD (Currency Rate as of 2012)
(% of GDP)
1,600,000 USA (4.6%) 1,379,567 1,400,000 USA (3.0%) CHN (2.1%) Russia (4.2%) 1,200,000 1,055,476 JPN (1.0%) 1,000,000 878,565 US High EsAmate (4.6%)
800,000 688,354 668,841 US Low EsAmate (3.0%)
600,000 374,095 400,000 China (2.1%)
200,000 0 157,603
90,646
59,242
X11.4 321,543 158,875 X6.1 70,608 Russia (4.2%)
Japan (1.0%)
809,813 60,618 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025 2026 2027 2028 2029 2030 Source: SIPRI Military Expenditure Database 2013 (Modified) Military Expenditure of Emerging States in Asia (2010-­‐2030 ProjecJon)
Unit: Million USD (Currency Rate as of 2011)
(% of GDP)
350,000 IND (2.7%) ASEAN6 300,000 KOR (2.7%) JPN (1.0%) ASEAN5>KOR(2028)
250,000 ASEAN5>JPN (2025)
AUS (1.9%) Taiwan(2.1%) 200,000 KOR>JPN (2024)
150,000 ASEAN6>JPN(2021)
ASEAN6>AUS (2012)
100,000 IND>JPN (2015)
50,000 0 Source: SIPRI Military Expenditure Database 2013 (Modified) 「国家安全保障戦略」にみるアジア太平洋情勢 グローバルなパワーバランスの変化は、国際社会におけるアジア太平
洋地域の重要性を高め、安全保障面における協力の機会を提供すると
同時に、この地域における問題・緊張も生み出している。
特に北東アジア地域には、大規模な軍事力を有する国家等が集中し、
核兵器を保有又は核開発を継続する国家等も存在する一方、安全保障
面の地域協力枠組みは十分に制度化されていない。
域内各国の政治・経済・社会体制の違いは依然として大きく、このため
に各国の安全保障観が多様である点も、この地域の戦略環境の特性で
ある。
領域主権や権益等をめぐり、純然たる平時でも有事でもない事態、いわ
ばグレーゾーンの事態が生じやすく、これが更に重大な事態に転じかね
ないリスクを有している。
出典:「安全保障と防衛力に関する懇談会」(2013年9月12日)資料
アジア域内のアーキテクチャの形成
米国との相互防衛
防衛義務の停止
機能的安全保障協力
中国との機能的協力
本図は2010年8月時点におけるアジア太平洋地域の主要な安全保障協力
の取決めを表したものであるが、全てを網羅したものではない。
ASEAN内の機能的協力
「国家安全保障戦略」にみるアジア太平洋情勢 グローバルなパワーバランスの変化は、国際社会におけるアジア太平
洋地域の重要性を高め、安全保障面における協力の機会を提供すると
同時に、この地域における問題・緊張も生み出している。
特に北東アジア地域には、大規模な軍事力を有する国家等が集中し、
核兵器を保有又は核開発を継続する国家等も存在する一方、安全保障
面の地域協力枠組みは十分に制度化されていない。
域内各国の政治・経済・社会体制の違いは依然として大きく、このため
に各国の安全保障観が多様である点も、この地域の戦略環境の特性で
ある。
領域主権や権益等をめぐり、純然たる平時でも有事でもない事態、いわ
ばグレーゾーンの事態が生じやすく、これが更に重大な事態に転じかね
ないリスクを有している。
Freedom House 2007
Freedom House 2011
Freedom House 2013
Freedomhouse, Map of Freedom 2014
「国家安全保障戦略」にみるアジア太平洋情勢 グローバルなパワーバランスの変化は、国際社会におけるアジア太平
洋地域の重要性を高め、安全保障面における協力の機会を提供すると
同時に、この地域における問題・緊張も生み出している。
特に北東アジア地域には、大規模な軍事力を有する国家等が集中し、
核兵器を保有又は核開発を継続する国家等も存在する一方、安全保障
面の地域協力枠組みは十分に制度化されていない。
域内各国の政治・経済・社会体制の違いは依然として大きく、このため
に各国の安全保障観が多様である点も、この地域の戦略環境の特性で
ある。
領域主権や権益等をめぐり、純然たる平時でも有事でもない事態、いわ
ばグレーゾーンの事態が生じやすく、これが更に重大な事態に転じかね
ないリスクを有している。
中国の南シナ海・東シナ海への進出 南シナ海 1951年年 東シナ海 領領有の主張(後に問題棚上げ・共同開発提案) 海洋調査の実施 1980年年代 1987年年 1980年年代 海軍艦艇の展開(プレゼンス・訓練) 優勢な兵⼒力力投⼊入可能
情勢⾯面で好機と判断 87年年
1971年年 1999年年 ⽂文⺠民(漁⺠民)の上陸陸
主権碑設置 現 状 軍事衝突の発⽣生
・効果的な反撃実施
・⾃自衛的な⾏行行動との声明 今後? 海軍部隊の駐留留
軍事拠点の建設 領領海法制定(1992年年) 1988年年 現 状 岩礁を守る中国兵⼠士
22 安全保障環境の変化
1990年年代:冷冷戦終結後の地域紛争・⼈人道危機
2000年年代:9.11テロリズム・「ならず者国家」と⼤大量量破壊兵器の拡散
2010年年代:⼤大国間の緊張関係(中・露露)・過激主義の再形成(ISIL/AQC)
2020年年代:パワーバランスの⼤大幅な変化
⽶米国の状況:オバマ政権の現地点
イラク・アフガニスタン戦争からの撤退
アジア・太平洋地域へのリバランス
財政的制約
シリア情勢の悪化
ウクライナ危機の発⽣生
イスラーム国の台頭
安全保障戦略略の
ミスマッチと分極化
中間選挙敗北北後の困難な
コンセンサス形成
⽇日本の状況:安倍政権の現地点
中国の台頭が主軸に:防衛計画の⼤大綱・「グレーゾーン事態」の重視 戦略略的関係の多元化:豪・インド・東南アジア・欧州(NATO)・中東諸国
防衛政策の新展開:国家安全保障戦略略・防衛装備移転・法的基盤の⾒見見直し
法的基盤の形成は可能か?
財政的制約
消費税増税・TPP・原発再稼働・集団的⾃自衛権
⽇日⽶米同盟の課題
⽇日⽶米防衛協⼒力力ガイドラインの⾒見見直し:「全段階・シームレス」を調整できるか?
アジア太平洋域内の安全保障協⼒力力:「⾮非対称の均衡」を構築できるか?
対中戦略略の調整:⽶米中関係と⽇日中関係を調整できるか?
オバマ政権II:アジア太平洋地域へのリバランスの推進
出典:『防衛白書』(平成25年度版) 旧・ガイドライン(1997)
・平素から⾏行行う協⼒力力
・⽇日本に対する武⼒力力攻撃に際する共同⾏行行動 3つの事態を想定 ・周辺事態の協⼒力力
キーワード:切れ目ない(seamless)、力強い、柔軟かつ実効的な日米共同の対応
持続する、および発生する脅威は、日米両国の平和および安全に対し深刻かつ即時の影響を与
えうる。この複雑さを増す安全保障環境において、日米両政府は、日本に対する武力攻撃を伴わ
ない時の状況を含め、平時から緊急事態までのいかなる段階においても、切れ目のない形で、
日本の平和及び安全を確保するための措置をとる。 日米防衛協力のための指針 ( 2015年4月27日)
平時
グレーゾーン事態
平時と有事の中間領領域における
⼒力力による現状変更更
「対A2/AD」
中国との本格的な紛争への備え
グレーゾーン
A. CooperaJve Measures from PeaceJme
B. Responses to Emerging Threats to Japan’s Peace and Security
低烈烈度度紛争
C. AcJons in Response to an Armed Adack against Japan
⾼高烈烈度度紛争
D. AcJons in Response to an Armed Adack against a Country other than Japan
アジア太平洋の安全保障 非対称的均衡の可能性?
  米中関係の戦略的安定の模索   アクセス阻止(A2)/地域拒否(AD)環境の増大 vs 作戦アクセス能力   「米中・新型の大国間関係」→?   日米防衛協力のガイドラインの見直し   「グレーゾーン事態」に対する日米同盟の関与を担保   米国の防衛コミットメントとエスカレーション管理   集団的自衛権の行使容認との関係:平時・危機時   南シナ海の海洋安全保障:拒否能力の形成   海洋監視能力(Maritime Domain Awareness)   海洋拒否能力(Maritime Denial Capability)   多層的な安全保障協力(地域的capacityの強化) 26