学力が確実に向上する「なぎさ式反復トレーニング

学力が確実に向上する「な ぎさ式反復トレーニングシステム」
~ポスト大学入試センター試験を見 通して~
広島なぎさ中学校・高等学校 副校長 鈴
木
伊 佐 男
はじめに
あるという状況を総括して反省したうえ
格可能性判定は機能しなくなります。
広 島なぎさ中 学・高 校 で
での目標設定となります。
の、模試をつなぐ「なぎさ式」実施スケジ
学校のコア機能は、学力保証と進路
は、2 0 1 1 年 度の冬 休みから
この数値目標を実現するために、高校
ュールとなります。
保 証です 。前 者の学 力 保 証について
「なぎさ式反復トレーニングシ
1年と高校2年の学年主任・クラス担任・
は、ポスト大学入試センター試験
ステム
(通称「なぎさ式」)」
と
教 科 担 当 が そ れ ぞ れ のフォームでP
では「学び」の成果を評価するの
名づけた本校独自の学力養
DCAシートを運用し、7月模試・10月模試
で、広 島なぎさの「 学び 」重 視の
成システムを開始しました。
それぞれで「C→A」を実行しています。
教育が真価を発揮することになり
右のグラフは、学力養成の
ます。
また、
「なぎさ式」で活用した
学びと勉強と教え
成 果を示しています 。グラフ
学習到達ゾーンは、
まさに段階別
2 0 1 1 年 春に就 任した角島 校 長が、
学力評価指標です。検定試験で
達ゾーンと呼ばれる5段階の
学びと勉 強とを意 識 的に分けて、
「学
2級、1級を目指すような感覚で勉
学力到達度指標です。進研
び・勉強・教え」
という学校方針を打ち出
強できるので、ポスト大 学 入 試セ
模試基準で分割点を設定す
しました。
ンター時 代にも通 用 する学 力 養
中の「 S A B C D 」は、学 習到
る到達度評価指標であり、中
下の図は、
この方針イメージです。
成方式だと言うことができます。
学実施の学力推移調査と高
広島なぎさ中学・高校の軸足は「学び」
しかし、高校3年で模試判定を
です。
「勉強」はトレーニングであり、
このト
もとに受験大学を絞って実現す
校 実 施の進 研 模 試とをつな
ぐことで、中学高校6カ年の学力状態の
10
下の図が、中学3年から高校3年まで
4760S40A80
学3年の1月から3月、高校1年の4月から
レーニング(勉強)を学力養成システムと
るような“進路保証”はできなくな
変化をみることができます。
「なぎさ式」を実施することで、広島な
7月まで、
「なぎさ式」で緊張感ある勉強
して具体化したのが、
「なぎさ式」です。
ります。模試依存から転換し、情
「Sゾーン」は、模試基準で全国偏差
ぎさ中学・高 校での学 力飛 躍のツボが
を継続実行します。その結果、上のグラ
値68相当で、いわゆる旧帝大レベル以
明らかになりました。
フのように、Sゾーンの最上位層が大幅
上、
「Aゾーン」は58相当以上で広島大
1つ目は、中学3年10月です。
に増加するなど、
目覚ましい学力飛躍を
レベル以上。
「Bゾーン」は48相当以上
1 0月に、広 島なぎさ高 校 進 学のため
実現することができるのです
昨 年 1 2月2 2日に、新中学 1
各 生 徒の進 路を保 証しなければなら
で地方国公立大レベル。
「Cゾーン」は
の関 門 があります 。夏 休みに課 題を課
「4760S40A80」、
これは、4年(高1)7
年に該当する学年から大学入
なくなります。
38相当以上で競争選抜がある程度残
し、秋休みに学習特訓をし、2日間で実力
月進研模試全国平均偏差値60、Sゾー
試センター試験が廃止されて、
そこで、本 校では、独自教 科「 人 間
るレベル、
「Dゾーン」はそれ以下です。
テスト
(5教科)
を実施します。その後、不
ン40人、Aゾーン80人を意味する学力
新しい大学入試に改革する旨
科 」の資 産を活かした進 路シラバスを
「中2・10月」、
「中3・10月」は、中学2年3
合格者に合格基準に達するまで再試験
養成の数値目標です。
この目標を実現
の中央 教 育 審 議 会 答申案 が
来年と再来年度の2か年かけて作成し
年の1 0月に実 施した学 力推 移 調 査の
を実施します。中学の学力推移調査は
すれば、本校生が第一志望とする大学
文部科学大臣に答申されまし
て新中学1年が中学3年(=高校0年)
に
結果、
「高1・7月」は、高校1年の7月に実
10月末に実施されますので、実力テスト
に合格できる学力状況になります。
この
た。1点刻みの点数による選抜
なる時から適用する実 行 計 画づくりに
施した進研模試結果を示しています。
を通じた勉強の成果を検証でき、
まさに、
数値目標はほぼ達成できるようになり、
から、段階別評価での選抜へ
今年1月から着手しています。
なお、学年団・教科担当が協働し、担
上のグラフのように、見事、中学2年から
二 巡目に入った現 在の中学 3 年では、
と転換します。
任が生 徒を励まして、教 科 担当はシラ
学力がワンランク飛躍しています。
実現できる勢いとなっています。
ところで、高校3年の大学合
バスに組み込んで指導します。
2つ目は、高校1年7月です。
「5160S40A80」、
これは、今年度あ
格可能性判定に使用される模
らたに設置した指標です。
ポスト大学入試
センター試験に向けて
報 収 集 力や主 体 的 進 路 選 択
力、ベースとなる生き方 在り方を養う
「本来の」進路進学指導を組み立て、
最後に
「 高 校 教 育・大 学 教 育・大 学 入 学 者
「なぎさ式」を学校行事のように実施
多くの中高 一 貫 校では、中学 3 年は
擬試験偏差値は、大学入試が
選 抜 の 三 位 一 体 の 改 革( 中 教 審 答
して「勉強」が日常化することを狙って
「中だるみ」に悩んでいます。
また、選抜
5年(高2)1月実施進研模試5教科総
「なぎさ式」では、上のイメージ図のよ
1 点 刻 みで選 抜されることで機 能しま
申)」
という大波が押し寄せようとしてい
いましたが、4年目に入りその狙いが実
性の高い公立高校の1学期は「ゆった
合の全国平均偏差値60をめざす数値
うに、3年間の教材をバインダーにファイ
す。段階別評価に転換し、
さらに、多面
ます。
これをチャンスととらえ、チャレンジ
現しつつあります。
り」
しています。
目標です。高校1年7月がピークで、その
ルし、何回も反 復して学 力を積み上げ
的・総合的な評価をすることになれば、
精 神で取り組むことが必 要との思いを
一方、広島なぎさ中学・高校では、中
後の学力層分布に変化がなく横ばいで
ていきます。
高校3年での模擬試験の中心機能=合
強くしております。
季刊誌「鶴学園」 No.157 2015 冬号
季刊誌「鶴学園」 No.157 2015 冬号
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