考えを整理する 人の思いをつなぐ 図式化

考えを整理する
図式化
国語科
寺井
人の思いをつなぐ
秀行
社会科
「子どもが考えを整理する方法はないか。
」
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野茂
大樹
はじめ に
これは,小中の国語科における共通の課題の一
社 会 科は 社会 の 仕組 みや 人の営 みを 学ぶ
つです。もし解決できれば,子どもは更に,自ら
こと で ,社 会づ く りに 貢献 しよう とす る公
の考えを書いたり話したりするでしょう。
民的 資 質の 育成 を 図る 教科 です。 中学 校で
そこで,取り組んでいるのが,
「図式化」
。
は, 様 々な 社会 的 事象 を多 面的・ 多角 的な
図式化とは,キーワードを矢印で結ぶなどして
見方 を もっ て考 え ,公 正な 判断力 や合 意形
順序性や関係性を単純化することです。
成力 を 育て てい き ます 。そ こで, 小学 校で
図式化が効果的な場面は次の三つです。
○ 物語文の学習で,作品構造や人物相互の関係
は次の二つ のこ とを大切にしてい ます。
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をとらえる場面。
○
小 学 校の 社会 科 は, 子ど もにと って 時間
説明文の学習で,段落相互の関係をとらえ
たり,文章の要旨をまとめたりする場面。
○
「人の 営み に共感する」
的に も ,空 間的 に も「遠 いもの 」を 学習 しま
す 。 歴 史 学 習 は そ の 一 例 で す 。 こ の 「遠 い
話合い活動で,共通点や相違点を整理しな
がらメモをとる場面。
もの 」を 「身近 なも の 」に するた めに, 「人の
営 み 」に 共 感 す る 時 間 を つ く っ て い ま す 。
出来上がった図を見比べて,友達とのずれを基に
この 時 間は 社会 に 見え 隠れ する人 々の 工夫
話し合うことで,考えが整理され,言葉を適切に用
や努 力 に目 を向 け るこ とで ,社会 を身 近に
いることができるのです。
感じ た り, 様々 な 見方 で見 詰めた りす る時
図式化は,次のような手順で行っていきます。
①目的に合った図を選ぶ。
間で す 。こ の時 間 を大 切に するこ とで ,社
②視点に関わる文や言葉を教材文から抜き出す。
意欲 を 高め ,中 学 校に つな いでい きま す。
③矢印で関係のあるキーワード同士を結ぶ。
会の 複 雑な 仕組 み をも っと 知りた いと いう
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「社会 づく りの目を育てる」
社 会 は「 様々 な 立場 の人 の思い 」や 「安
第6学年「鳥獣戯画を読む」の図式化の例(クラゲチャート)
全安 心 ・地 理的 環 境な どの 観点」 で構 成さ
れて い ます 。そ こ で, 小学 校では 各学 年に
応じた社会 的事 象を「人の思い」や「観点」
で見 詰 め直 して い きま す。 この時 間は ,こ
れか ら の社 会を 担 う子 ども の見方 や考 え方
を 広 げ ,「 社 会 づ く り の 目 」 を 育 て て い く
時間 で す。 こう し て多 面的 な見方 や考 え方
を養い,中 学校 につないでいくの です。
中学校では,図式化を通して,作品分析をす
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おわり に
ると同時に,自分のものの見方や考え方を広げて
「 先 人 の 知 」 を 現 代 に つ な ぎ ,「 私 た ち
います。図式化は,考えを整理するだけではなく,
の知」を未 来に つなぐ。そこに「 人の思い」
考えを広げることにもつながっていくのです。
をつ な ぐこ とで , 持続 可能 な社会 を築 く子
どもを育て てい きたいと思う毎日 です。
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