PDFを見る - 全国コーディネート活動ネットワーク

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・
材
料
愛知県「知の拠点」を
先端分析機器の活用拠点に
名古屋大学 産学官連携推進本部
産学官連携コーディネーター
野崎 彰子
〒464- 8601
愛知県名古屋市千種区不老町
TEL 052- 747- 6476
FAX 052- 788- 6002
Email [email protected] u.ac.jp
■キャリア
シンクロトロン光の産業利用のために
平成13年に兵庫県の山奥にあるシンクロトロン光施設、
世界一の性能を持つSPring- 8での経験
を活かしながら、愛知県や名古屋大学お
よび地域の産業界と連携を進め、建設を
進めているシンクロトロン光施設の成功
に貢献したいと思っています。
■目標
「知の拠点」
を課題解決拠点に
愛知県
「知の拠点」
に設置されるシンクロトロン光施設は、
高輝度光科学研究センター
(SPring- 8/ JASRI)
に設置され
他に類を見ない大学と行政と地域産業界がタッグを組んで
SPring- 8では、
まだ敷居の高いと利用が少なかった企業
多くの困難にいつもぶち当たっています。
既存の枠に当て
た産業利用推進室に材料メーカーから転職しました。
ユーザーの受け皿となり、
利用の相談・実験の計画・課題申
請手続きの支援・実験支援・解析のフォローなど行ってきま
完成させようとしています。
「これまでにない」
と言う点で
はめようとすることで生じる歪みを、
多くの方々による知
恵の結集と情熱で、
後一歩のところにまでやってきました。
した。
SPring - 8は世界一の性能を持つだけあり、
測定でき
愛知のシンクロトロン光施設には大学がついている。
これ
できました。
いることを意味しています。
る手法も多岐にわたり、
測定技術も数多く習得することが
待つだけの姿勢では利用者の増加は見込めず、
多くの企
業へ乗り込み利用の可能性や性能の紹介など営業的な活動
も行い、
幅広い分野の方々と知り会う機会を得ることがで
きました。
は材料・加工・現象など多岐にわたる専門家が後ろに控えて
知の拠点に相談に行けばシンクロトロン光による分析だ
けでなく、
他の分析機器、
そして相談相手が課題を解決する
アドバイスやツールを探してくれる。
そして目の前のシン
クロトロン光も使える。
ここはそんな課題解決拠点にして
いきたいと考えています。
■活動内容
愛知県のシンクロトロン光施設建設計画
主なネットワーク
SPring- 8を辞め愛知県という新しい土地に移住した年に、
愛知県シンクロトロン光施設建設が実現に向かうことが決
SPring- 8時代のつながり
SP8産業利用推進室
定しました。
SPring- 8やフォトンファクトリー
(PF)
など既
存の施設は学術的な利用が多かったのですが、
愛知県の施
設は産業界の利用を主体に置いた施設運営を目指すと言う
ものでした。
産業界の利用が徐々に増えてきたものの、
まだまだ大手
SPring- 8
産業ユーザー
企業の利用がほとんどを占め、
敷居の高さを訴える方が多
いのが現状でした。
コーディネーターとなり、
研究会の開催・
展示会への出展・企業への個別訪問・施設の見学会などを企
画し、
完成までの時間に幅広い分野の多くの方に、
シンクロ
トロン光の原理から産業的事例や施設の整備情報など説明
する普及活動、
言うなれば、
敷居を下げる活動に従事してい
ます。
平 成 13年 よ り 高 輝 度 光 科 学 研 究 セ ン タ ー
のざき あきこ (SPring - 8/ JASRI)にてシンクロトロン光の
放射光利用支援に従事。
主な測定手法は、
無機系材料のX線回折・
散乱。
平成18年に退所し、
名古屋へ移住。
平成19年より名古屋大
学産学官連携コーディネータとして、
主に愛知県の知の拠点計画、
シンクロトロン光利用施設の建設に関わる。
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愛知県との
利用促進に
向けた協力
運営に関する
科学技術交流財団
への助言
名古屋大学
野崎 彰子
名古屋大学
シンクロトロン光
研究センター教員
との連携
名古屋大学
産学行政の連携で創る
愛知県にシンクロトロン光
施設が完成します
愛知県・名古屋大学を始めとする大学連合および地
域産業界の働きによって、10年来の構想であるシンク
ロトロン光利用施設が、平成24年度後半に愛知万博開
催地にほど近いリニモ沿線に完成する。
できるだけ取り除き、
新たなユーザーの掘り起こしに努力し
たいと考えている。
測定に割く人がいない、
測定後はどこまで
サポートされるのか、
費用はどれくらいかかるのかなど、
数多
くの具体的な問い合わせや意見が寄せられている。
利用制度
の案や試算を前に並べて説明を行っても実際のイメージはわ
かないのが現実であり、
完成時にユーザーが求めていたもの
を提供できるのか不安に感じることもある。
運用開始までに
多くのユーザーにヒアリングを行い、
利用者と施設側に温度
差が生じないよう調整の役割を担って、
完成に備えていきた
いと考えている。
勉
強会に参加するユー
●きっかけ
ザーとは引き続き情
愛知県が
「知の拠点」
設置を決定
報交換を密に行い、
シンクロトロン光とは、
光速に近い速さの電子を電磁石
将来は施設の利用者
などで曲げる時に放出される光のことである。
この光は、
物
コンソーシアムとし
質の構造や化学状態、
非破壊の分析など材料分野から土壌
て活動できるよう準
や考古学など幅広い分野の研究で利用されている最先端の
備を進めていく予定
技術である。
愛知県はシンクロトロン光の産業界への利用
である。
シンクロトロン光施設
拡大を見据え、
万博跡地に研究開発拠点
「知の拠点」
の設置
を決定した。
*5項目の合計は100
●技術内容
30
さまざまな測定手法と測定技術
シンクロトロン光は幅広いエネルギー利用し多岐にわた
る科学分析・測定が可能である。
特に材料分野に威力を発揮
地域連携
40
20
ニーズとの
マッチング
知財化
10
し材料開発に欠かせないツールとなりつつある。
装置を設
0
計し十分に活用するためには、
大学の知識と技術を借りる
以外に他はない。
名古屋大学では、
平成19年にシンクロトロ
ン光研究センターを設置し、
強力なバックアップ体制を組
織している。
多くの先生方が設計、
作業や研究会などに関わ
り完成に向けて邁進している。
その他(プロジェクト
企画・施設)
インキュベーション
技術移転のバランスチャート(成功要因)
●コーディネート活動
より使いやすい施設になるために
地域のニーズが強く大学で基盤的研究が長年培われ
コメント ていた。愛知県の科学技術計画が一貫していた。公的
な既存の施設がユーザーの基盤を作り上げていた。
平成24年度の共用開始からは、
マシンタイムを利用者に
買い上げてもらい運用していく。
利用者のニーズに合った
施設であることは絶対の条件である。
そのために、
利用者か
らの声を集める勉強会や既存の実験施設での予備実験、
立
ち上げ中の分析装置の見学会などを実施している。
多くの
産業界からの参加がある。
測定装置や手法を開発する先生
進 捗 表
事業化レベル
連携協定の締結
状況
開始年月
愛知県、名古屋大学、名古屋工業大学、豊橋技術 H19.3
科学大学、豊田工業大学により締結
方にもユーザーからの要望をフィードバックさせて装置の
JST地域産官学共同研究 ビームライン、
測定装置の整備
拠点整備事業に採択
H21.12
設計に反映させている。
SR施設建設開始
H22.8
平成24年度の完成に向け、
愛知県や運営母体となる公益
ユーザーの掘起こし活動 利用者研究会・既存施設での予備
実験・立ち上げ装置の見学会 H23.7∼
SR施設装置の立ち上げ
H23.10
財団法人科学技術交流財団とも常に連絡を取り合い情報の
共有に心がけ、
大学と連携したチーム作りに成功している。
●今後に向けた反省と課題
運用開始は来年
さらなる利用者の掘り起こし、
そして次へ
シンクロトロン光の利用は、
既存施設の利用者と全く初め
ての利用者との間に非常に大きなギャップがあることを強く
加速器、
ビームライン、
測定装置の立上調整
SR利用施設の供用開始
H24 冬
■所属機関
名古屋大学 産学官連携推進本部
連携推進・知財・起業推進・国際連携
に力を入れ、
重点的な研究分野を主題
とした一気通貫の支援体制。
感じている。
完成までの残り1年を有効に利用し、
ギャップを
ホームページ http://www.sangaku.nagoya- u.ac.jp/
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