緑内障 緑内障は日本において失明原因の第 1 位(25%)、網膜色 素変性症も第 3 位(14%)を占めています。緑内症の治療 法は眼圧低下を目指したものが主流ですが、緑内障患者の 6 割は正常眼圧緑内障である為、眼圧コントロール治療の 効果がないなどの問題がありました。 従来技術と研究技術の比較 緑内症の治療法は眼圧低下を目指した治療が主流ですが、緑内症患者の 6 割は正常眼圧で眼圧 コントロール治療の効果が期待できません。本研究は神経細胞保護作用を有する新規化合物を合 成しました。この新規化合物は、眼圧変化に非依存的に網膜神経細胞の変性を抑制できます。ま た網膜色素変性症に特徴的な視細胞の変性を抑制することにも効果的です。 実用の可能性 ・入手容易な物質から容易に製造することができます ・新たな作用機序による治療薬の開発につながる可能性があります ○本技術での適用分野: ・緑内障 治療薬 ・網膜色素変性症 治療薬 ・加齢黄斑変性 治療薬 ・その他、神経細胞保護を目的とした治療薬(神経細胞死に関与していると考えられるバロシン含 有蛋白質(VCP)の ATPase 活性を調節することができるため、神経細胞保護作用を有すると 考えられます) 図:正常眼圧緑内障のマウス モデル GLAST 欠損(+ / -) マウスに生理食塩水と化合物 を 毎 日 50 ㎎ /kg/day 投 与。 12 ヶ月齢での網膜フラットマ ウント(左)と神経細胞カウ ント結果(右)⇒新規化合物 では視神経節細胞がより多く 存在し神経細胞保護作用を有 することが分かります。 図 網膜色素変性症マウスモデル 生理食塩水と化合物 32 投与群の比較。 毎 日 50 g/kg/day を 腹 腔 内 投 与 し た、 25 日齢の OCT 画像。 ⇒新規化合物では視細胞層が厚く機能し ています。 235 緑内障 新規の作用機序による緑内障 及び網膜色素変性症治療薬 実用の裏付 研究事例 これまでに緑内障モデルマウス、および網膜色素変性症モデルマウスを使って効果の実証を行っ てきました。今後は本発明の実用化・産業応用を目指しています(上図参照) 特許関係、参考資料 特 許:PTC/JP2011/067320、 PTC/JP2011/073160 発明の名称:ナフタレン誘導体、眼疾患処理薬 発 明 者:垣塚 彰ほか 出 願 人:国立大学法人京都大学 主な科学技術研究費補助金: ・がん細胞の細胞死の制御機構(2005 年~ 2009 年) ・細胞内主要 ATP 分解酵素 VCP の機能とその調節機構の分析(2011/6 ~ 2014/3) ・VCP 阻害剤による眼疾患に対する新たな神経保護治療法の研究開発(2012/11 ~ 2015/3) ・アルツハイマー病予防効果を持つ漢方薬とその有効成分の同定(2010 ~ 2013/3) 研 究者 京都大学 大学院生命科学研究科 高次生命科学専攻 教授 垣塚 彰 研究テーマ ・神経変性疾患に共通する発症機構の解明 ・がん細胞において破綻している細胞死メカニズムの解明 ・核内受容体プロテインリガンドによる肥満エネルギー代 謝の調整機構 病態医科学、神経科学一般、 細胞生物学 問い合せ先 関西ティー・エル・オー株式会社 〒606-8501 京都市左京区吉田本町京都大学産官学連携本部内 TEL:075-753-9150/075-353-5890 FAX:075-753-9169 Email:[email protected] 236
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