幽門側胃切除後の早期残胃癌に対する内視鏡的切除の適応 背景:ESD の登場により、従来の EMR では限界があった大きな病変や不整形な病変、潰 瘍瘢痕を伴う病変に対しても一括切除が可能となった。内視鏡技術の進歩により早期胃癌 の割合が増加しているが、これらのリンパ節転移は極めて少ないことが明らかになり、ESD の適応は徐々に拡大されてきた。 意義:早期残胃癌に対して従来はリンパ郭清を伴う残胃全摘術が行われてきたが、周知の 通り初回手術の影響による解剖学的変化や癒着により、早期癌に対する治療としては侵襲 が大きい。また、初回手術によりリンパ流は変化しており、郭清もすでになされているた め、早期残胃癌に対するリンパ郭清の必要性は疑問であり、再考する必要があると思われ る。 目的:早期残胃癌に対して、残胃局所切除が残胃全摘に比べて安全かつ有効であるという 報告がある 1。また、早期残胃癌に対する ESD も徐々に普及してきている。残胃癌に対す る ESD の適応については定まっていないが、胃癌に対する適応を残胃癌にも適応できる可 能性が報告されている 2。これらは早期残胃癌治療を縮小できる可能性を示唆しているが、 実際に ESD 施行例を追跡および検討した報告はない。今回、ESD 適応を拡大し、早期残 胃癌に対する治療の選択肢となりうる可能性について検討した。 引用文献:1.Limited subtotal gastrectomy for early remnant gastric cancer. Gastric Cancer (2014) 17:332-336 Y.Hosokawa et al. 2.Can we apply the same indication of endoscopic submucosal dissection for primary gastric cancer to remnant gastric cancer. Gastric Cancer (2014) 17:310-315 Y.Y.Choi et al. 追記) 方法:2014 年 11 月から 2015 年 12 月に当院および京大病院にて早期残胃癌に対して手術 もしくは内視鏡治療を施行された患者(主施設は虎の門病院)に関して、該当患者の術前 診断、術後診断、病理結果、術後経過、予後等を retrospective に検討する。 研究機関:虎の門病院消化器外科、京都大学消化管外科 問い合わせ連絡先:虎の門病院消化器外科 福井雄大
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