研 究 シ ー ズ 東北農業研究センター

研 究 シ ー ズ
東北農業研究センター
シーズ名
稲わらのセルラーゼ糖化性を大幅に高める白色腐朽菌
所属 / 職 / 氏名
環境保全型農業研究領域/主任研究員/山岸賢治
キーワード
稲わら、白色腐朽菌、高分子リグニン、飼料価値向上
分類:12
どんな技術?
稲わらの高分子リグニンを速やかに分解する特殊な白色腐朽菌
を利用し、セルラーゼによる糖化率を大幅に高めます
【概要】特殊な白色腐朽菌を稲わらに植菌することにより、高分子リグニンを分解して稲わら
のセルラーゼ糖化性を大幅に高めます。
【詳細】稲わらに短時間蒸気をかけて簡易減菌処理を
稲わら(乾燥重量200g相当、湿重量1kg)
酢酸 (30mM,pH=3.4)に浸漬(2時間)
行い、稲わらのリグニン分解力に優れる特殊な白色腐
引き揚げ後水切り(含水率=0.8)
朽菌(ハタケチャダイゴケ調布菌株)を植菌します(図
蒸気吹きかけによる減菌操作(75秒)
1)
。稲わらの高分子リグニンは植物性バイオマスであ
るホロセルロースと複雑に絡み合いその有効利用を阻
腐朽菌植菌、培養25日(静置培養)
図1 腐朽稲わらの調製行程
スはセルラーゼによって容易に処理できる状態にな
り、処理前には10%程度しか分解されなかった稲わ
ら中ホロセルロースが、腐朽処理後には60%近く分
解されるようになります(図2)
80
20
n=4
15
60
10
40
5
20
0
0
0日 14日 25日 35日
(植菌なし) 培養日数
セルラーゼによる稲わら
ホロセルロース糖化率(%)
分子リグニンは分解が進みます。その結果、セルロー
腐朽稲わら
高分子リグニン含量 (%)
害していますが、25日間静置培養することにより高
高分子リグニン含量(%)
セルラーゼによる稲わらホロセルロースの糖化率(%):
腐朽稲わら糖化率(%) /
腐朽稲わら中ホロセルロース含量
図2 腐朽稲わらの高分子リグニン減少率と
腐朽稲わら糖化率上昇効果
何に使えるの?
○消化性が低い稲わらを脱リグニン化し、粗飼料としての栄養価値を向上させます
○強アルカリ等の化学物質を使わず、環境負荷の少ない方法で稲わらからバイオエタノール
の原料となる還元糖を生産できます
関連特許
関連資料等
平成23年度研究成果情報(東北農業・基盤技術(流通加工))
Bioresource Technology, 102,6937-6943 (2011)