市ガス事業民営化に伴う土地・施設など財産売却に反対する理由 【2012年9月議会における反対討論】 日本共産党市会議員団の塩見卯太郎です。議員団を代表して、ただいま各委 員長報告がありました16議案の内、議第56号財産の処分について、反対の 討論を行います。 ガス事業の民営化については、2008年 平成20年11月福知山市ガス 事業民営化検討委員会からの答申に基づき民営化への取り組みを開始しました が、リーマンショックによる世界的景気悪化に伴い、2009年5月公募を延 期した経緯がありました。しかし昨年3月の東日本大震災以降、ガスエネルギ ーが見直される状況から、民営化の動きを再開しました。 平成23年12月議会に、ガス事業を取り巻く状況を踏まえ、事業民営化の ため譲渡先選定委員会を設置し、公募を開始しました。 その時、共産党議員団は、ガス事業を取り巻く状況が若干好転したからといっ て民営化公募を行なうことは安易な民営化につながり需要家の利益を損なう恐 れがあると指摘しました。また、平成24年ガス事業会計予算のなかで、平成 25年3月に民営化を目指す提案についても、資産の評価、建設改良の継続、 料金、職員の処遇の問題含め数多くの課題が未解明でもあり、また、需要家と の合意などきわめて慎重な対応が求められると指摘してきました。 ガス事業の民営化に関わって、その都度問題を指摘してきた経過があります。 今回提案された財産の処分には、重要な問題があります。 その一つは、民間譲渡のデメリットとして、事業者側の希望する購入額が必 ずしも評価額を上回るとは限らず、売却損が発生する可能性がある問題です。 それは、土地の資産の評価です。 今年8月9日の全議員協議会の説明では、土地取得価格1億3411万3千 円であったが国庫補助金を差引き、今年の7月31日時点で土地評価額を修正 され1億2120万円でした。ところが委員会審査資料の売却予定財産の内訳 書では土地譲渡価格は9,653万2千円と2,467万円も減少しています。 市と譲渡先業者の交渉のなかで、譲渡先業者が譲渡希望価格を10億円と算 定しており、市としては業者の希望価格以上の資産があるとして、土地の評価 の違いも含め、市の譲渡資産価格は総額11億5300万円以上として交渉を 重ねた結果 市の企業債残高の11億8400万円に見合う譲渡価格にするた め業者と市の希望価格の差異に見合う1億5000万円は、道路占用料免除を 予定して合意しました。結果として土地の減少は、売却損になっていることは 否めない事実といえます。 次に、事業譲渡方式のデメリットとして、市が実施していたサービスが円滑 に引き継がれない不安があります。 それは、委員会審査資料の譲渡契約書の概要で、業者の誓約事項のガス料金は、 譲渡日後当分の間、譲渡日前の料金水準を上回らないこと。またこの根拠にな るのが市の譲渡後の誓約事項の占用料の免除申請を譲渡先業者がしたときは、 譲渡日から当分の間免除するとしていることです。 この問題は、委員会審査の後、契約書写しと9月6日時点の協議覚書(案)が 議員に配布され、その中でガス料金の据え置きを5年間、占用料は5年限りと あり、5年後の不安があります。 一般需要家へはガス水道だより第4号で取り組み状況を説明していますが、 譲渡にかかる周知徹底では、きわめて不十分であります。 議案の説明で、譲渡の目的として公営事業のデメリットの項に、公営企業独 自の制約があり積極的、弾力的な事業展開が困難、とありますが、本市のガス 事業は1955年 昭和30年11月にスタートし、当時1,552戸でした が現在では約6,000戸に供給しています。 ガス事業はここ数年収益的収支で黒字を計上しています。平成24年度ガス会 計予算も1,101万円の黒字を予定しています。こうした努力があります。 ガス事業の奥野部の基地をはじめ取得価格は58億6千万円であり、ガス事 業は市民の財産であります。 多くの需要家があるだけに、慎重を期す事が重要です。 現在も業者と協議中ですが、譲渡に当たっての問題点を指摘して反対討論とし ます。 なお、今後とも市民の利益と需要家の安心・安全、関連する地元業者の仕事な ど、必要な対応を求めておきます。
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