実習の解析について 今回の実習ではジアゼパム投与の影響、懸垂試験

実習の解析について
今回の実習ではジアゼパム投与の影響、懸垂試験による評価と消化管運動におけるアセチ
ルコリンの影響を観察した。フルマゼニルがジアゼパムにより誘発される筋弛緩作用に対
して効果があるかおよびアトロピンとネオスチグミンの腸管への効果を判定するために統
計学的手法を用いて各自解析を行い、その結果を考察をする。
統計解析についてはすでに講義が行われていると思うので詳しくは各自で復習して頂きた
い。ここではどのように統計解析をしたらよいのかの一例を示す。
医学・薬学領域における、統計解析は種々の統計解析ソフトウェアが使われる。代表的な
例として
Excel
SPSS
SAS
StatView
JMP(大学のPCにインストールされている)
GraphPad Prism
R (フリーソフト)
などがあるが、今回はGraphPad Prismを使用したジアゼパムの実験の例を示す。
任意のジアゼパム濃度に対するパラメータとして
独立変数:要因1(薬物) ジアゼパム群、フルマゼニル群
要因2(ジアゼパム投与後経過時間) 0分、15分、30分、45分、60分
従属変数:懸垂時間
帰無仮説:薬物によって各測定時間の平均懸垂時間に変化はない
懸垂時間に経時変化は見られない
薬物と各測定時間での懸垂時間に及ぼす影響に交互作用はない
として統計解析を行う。
今回の実験は従属変数が間隔変数、正規分布をしている、分散が等しい、多群の比較、2
因子、対応のあるデータ(同一マウスにおける経時変化)として解析するため、Two-Way
Repeated measures ANOVA法を用いる。(詳しくは統計の解説書に詳しく記載されて
いる)
Prismの使用法
Prismはgraphpad社のホームページ(http://www.graphpad.com/demos/)から30日の
トライアル版がダウンロードできる。
使い方 (※解説はver.5。現在はver.6がダウンロード可能)
1. ソフトを立ち上げる
2. New table& graphの項目でGroupedを選ぶ
3. Sample data 項目は初期値のまま
4. Choose a graphではCategory graph, symbols and linesを選択
5. Y subcolumns for replicates or error barsは 9 replicateを入力
6. Createをクリック
3
2
4
5
6
7.Aにジアゼパム群、Bにフルマゼニル群としてタイトルを入力
8.1から5にそれぞれ時間を入力
9.数値を入力(事前にexcel、numbersなどのソフトで値を入力してからコピーすると楽)
10.左側のナビゲータ画面を選択するとグラフやほかのデータが見れる
7
11
足りないところ
は空欄のまま
10
8
9
解析方法
11. Analyzeをクリック
12. Analyze Dateウィンドウが出てくるので初期値のまま(Two-way ANOVA選択、チェッ
クマークがAとBについている状態)でOKをクリック
13. 列のデータが対応のあるタイムポイントの値なので上から三番目をクリック
14. Variable namesに適当な名前をいれてOKをクリック
13
14
15. 統計結果が出るのでグラフと合わせて考察
16. グラフは書式設定ができるので見やすくする
交互作用、薬物、
時間についてP値
有意差があるかど
うか
なお、t-testやOne-way ANOVAを行う場合は
• New table& graphでcolumnを選びグラフをColumn bar graph, vertical、Plotを
Mean with SEMにする。
• それぞれ値を入力
• Analyzeでt-testやOne-way ANOVAを選ぶ(t-testの場合はデータセットのチェックは
2つだけ)
• t-testであればそのままクリック
• One-way ANOVAであればPost testにtukeyなどを選ぶ
Two-way repeated ANOVAはpost test(多重比較)ができないので(対応がないデータ
ならばできる)各時間について比較するときはすべての群をOne-way ANOVAで比較す
るか、t-testでそれぞれ二点を比較するなどして考察する。
注意点
• 今回の実習で死んだマウスはデータにしない。
• 結果にはグラフと必要なデータを添付(Two-way ANOVAで有意差がでた項目、t-testや
One ANOVAのpost testにおいて有意差が出たかなど)。
• 考察のやり方については細かく指定しない。各自でもう一度統計について復習して、考
察する時に追加で解析したい場合はそれも添付する。少なくとも実習書に記載してある
課題は検討はすること。
• 解析ソフトは特に問わないが使用したソフトとバージョンは必ず記載すること。
2015.07.14
分子医科薬理学講座
冨田 賢吾