マイナンバー制の導入

ニュースレターのタイトル
<1> ごさん今すぐ
APO_社会保険労務士法人
第 82 号 発行日 2015.1.1
マイナンバー制の導入
1.制度の導入
一般的にマイナンバー制、と呼ばれていますが、正式には「社会保障・税番号制度」といい、社会保障・税制度の効率化・透
明性を高め、国民にとって利便性の高い公平・公正な社会を実現するための社会基盤として、社会保障・税・災害対策の各分
野において導入されます。内閣官房のアナウンスでは、以下の効果が期待されるとしています。
 より正確な所得把握が可能となり、社会保障や税の給付と負担の公平化が図られる
 社会保障や税に係る各種行政事務の効率化が図られる
 IT を活用することにより添付書類が不要となる等、国民の利便性が向上する 等
2.マイナンバーの付与
今年 10 月より、個人番号(マイナンバー)が国民一人一人に付番されます。対象者は住民票に記載されている日本国籍を有
する者、中長期在留者や特別永住者などの外国人とされ、市区町村より、原則として住民票の住所宛にマイナンバーが記載さ
れた通知カードが送付されます。また、法人等に対しても、国税庁より法人番号が付与されます。
3.マイナンバーの利用範囲
付与されたマイナンバーは、2016 年 1 月以降、社会保障、税、災害対策の行政手続きに必要となります。2013 年 5 月に公布
された「行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(いわゆるマイナンバー法)では、マ
イナンバーの利用範囲を以下のように限定しています。
社会保障分野(年金、労働、医療、福祉)
税分野
・年金の資格取得、支給等に関する事務(確定給付・確定
拠出年金を含む)
・雇用保険の資格取得、失業等給付の支給等に関する事務
・労災保険による保険給付の支給等に関する事務
・健康保険の保険給付の支給、保険料の徴収に関する事務
・児童扶養手当の支給に関する事務 等
・税務当局に提出する確定申告書、届出書、調書等に記載
・税務当局の内部事務
災害対策分野
・被災者生活再建支援金の支給に関する事務等
・被災者台帳の作成に関する事務
4.事業主によるマイナンバー使用例
会社は以下のような届出の際に社員、及び社員の被扶養者のマイナンバーを使用することが想定されます。
健康保険、厚生年金保険
・
・
・
雇用保険
被保険者の資格取得・喪失、住所・氏名変更
・ 被保険者の資格取得・喪失
報酬月額、賞与額
所得税
健康保険被扶養者、国民年金第 3 号被保険者の認定
・ 給与・退職所得の源泉徴収票、支払調書の提出
(課税証明書などの添付書類の省略が可能となる見込みです)
等
※実際の手続き・提出方法については、まだ詳細の発表はありません。発表されましたら、本誌にて紹介します。
会社は、社員から入手したマイナンバーを人事システム等で管理することとなるでしょう。マイナンバーを入手する方法の策
定や社内での各種申請フローの改定、人事システムの改修などが必要となると考えられます。
第 82 回
退職願の撤回の可否
退職願などで退職の意志を伝えた労働者が、その後退職の意志の撤回を求めてきた場合、会社はこれに応じる必要はあるのでしょ
うか? 労働者発意による退職の場合、その意思表示の仕方で二通りに捉えることが出来ます。
① 辞職・・・労働者から一方的に労働契約を打ち切る意思表示であり、使用者の承諾がなくとも労働契約は解約されるものと解さ
れています。辞職の場合は、意思表示と同時に労働契約の解約日が特定され、民法 540 条でもその「意思表示は、撤回するこ
とができない」としています。このため、会社は退職届などの撤回に応じる必要はありません。
② 合意解約・・・労働者と使用者の双方が合意の下で労働契約を解約することで、多くのケースはこちらに該当します。労働者が
退職願を提出するなどして退職の申し出をし、会社がこれを「承諾」することで合意が成立します。承諾がなされるまでの間は、
労働者はいつでも撤回することが出来る一方で、一度承諾がなされると、申出を撤回することが出来ません。例えば退職願が
直属の上司に提出された状態で慰留の話し合いになり、人事権をもつ者にまで上がっていない場合は、まだ承諾がなされてい
ない状態となるため、労働者はその撤回を申し出ることが出来ます。また、懲戒解雇を示唆しながら自主退職を求めるなど使用
者による脅迫や、労働者の錯誤による場合など、本人の真意による意思表示で無い場合には、承諾の有無に関わらず撤回で
きるものとされています。(民法 93 条・95 条・96 条)。
トラブルを防止するためにも、会社は退職願を書面で提出してもらうと共に、受理(承諾)通知を書面で交付するなど、承諾したことを
明らかにしておくことが有用です。
お問い合わせは担当スタッフまたは下記までご連絡ください。
APO-社会保険労務士法人 三浦俊彦 / 本田和子 / 望月伸恵 / 吉本多津子
〒162-0824 東京都新宿区揚場町 1-18 飯田橋ビル 7F 電話 03(5228)1820
ホームページもご覧下さい。
FAX 03(5228)1830