超音波検査について 超音波は開発当時主に軍事目的に利用されていましたが、現在は医療、化学、電気、工業、などいろん な分野で利用されています。医療面では診断用から治療まで幅広く用いられている。そこで超音波検査は、 人体に害がなく痛みを与えず繰り返し簡単に検査できること、血液検査ではわからなかったことまで情報 を与えてくれます、超音波とは可聴域(人間の聞くことの出来る音 20~20,000Hz〈ヘルツ〉)より高い 周波数の音です、“超音波”と聞いて、まず思い浮かべるのはイルカやこうもりが獲物を取るために真っ 暗闇でも自由に泳いだり飛んだりできるのは、超音波をからだから出して跳ね返ってくる音波を捉えて自 分の位置や周囲の状態を確認できるからです、魚群探知機はこの超音波を利用して魚の群れを見つけてい るのです、比較的身近なところで超音波は利用されています、人間の“からだ”の中も水槽の中に浮いた 臓器だと想像してもらえればわかりやすいと思います。 超音波検査で見える臓器には腹部、胸部領域は肝臓、胆嚢、膵臓、脾臓、腎臓、の大きさ・形・表面凹 凸の有無・内部エコーの強弱・脈管の太さ・腫瘍の有無と周囲臓器との位置関係、さらに腹水、胸水がど の程度貯留しているのかがわかります、また針を刺して抜くときはどの位置に針を刺すか場所を決めると きにもエコーを使いますので鍼灸でも活用可能かもしれません。 表在領域は甲状腺および乳腺の大きさ形、表面凹凸の有無、内部エコーの強弱、腫瘍の有無がわかります。 関節領域では股、肩、膝、肘、手足、など骨周囲の関節包の厚さやその周囲における関節液貯留の有無、 手根管内の正中神経の太さと表面凹凸の有無を検査することにより透析アミロイドーシスおよび手根管 症候群の有無がわかります。 心臓血管領域は心臓の心筋の厚さ、心腔内の大きさ、動きを診る左心機能(収縮能)の程度、弁の状態 から血液の逆流、心嚢液の有無はもちろんどの程度の量が貯留しているのかまでリアルタイム(実際動い ているところ)で見ることができます、頚動脈血管は内膜中膜の厚さ、石灰化、プラークの有無をみるこ とにより動脈硬化の程度がわかります。 その他腹部血管、末梢血管が主な検査ですが近年では褥瘡診断にも超音波検査が活用されています。 今までに診断できた超音波検査結果は肝硬変、肝嚢胞、肝血管腫、肝膿瘍、肝癌、うっ血肝、日本住血 吸虫症、胆嚢結石、胆嚢ポリープ、胆嚢線筋症、胆管結石、胆嚢癌、膵臓結石、膵嚢胞、膵癌、腎嚢胞(ACDK 含む)、腎癌、水腎症、腎結石、腎嚢胞内出血、膀胱腫瘍、尿管結石、前立腺肥大、腸閉塞、子宮筋腫、 卵巣嚢腫、卵巣腫瘍、甲状腺嚢胞、甲状腺腺種、副甲状腺腫大、移植副甲状腺腫大、乳腺腺維腺腫、乳腺 嚢腫、乳癌、皮下脂肪腫、関節包膨隆、関節液、胸水、腹水、心肥大、心拡大、心房中隔欠損症、心室中 隔欠損症、心嚢液貯溜、弁膜石灰化、僧房弁逆流、大動脈弁逆流、三尖弁逆流、心タンポナーゼ、腹部大 動脈瘤、下肢静脈瘤、下肢静脈血栓、シャント血管内血栓等が診つけられました。 以上、超音波検査をすることでどのようなことがわかるのか理解いただけたかと思います、早期発見・ 早期治療をするためにも超音波検査をすすめます。 超音波検査と鍼灸とのかかわりは現在の状況では不明確です。しかし本日の講演後ひとりでも多くの鍼 灸師さんがエコーを理解し実践で活用して頂けたら幸いです。
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