流用元図面の安全性 1 流用元図面の安全性 1 図面ファイルを流用(切り貼り作業も含む)する場合は、流用元の図面に 異常な情報が含まれないかを確認します。異常な情報を流用してしまっ た場合、想定外の問題を引き起こす、動作が不安定になる、最悪のケー スでは正常な情報までにも悪影響を及ぼす可能性があります。流用する 前に、流用元図面の安全性について確認することをお勧めします。 1-1.図面ファイルに異常がないかを確認 AutoCAD LT の[修復]コマンドを使用し、流用元図面フ ァイルの異常な情報を修復します。 [修復]コマンドを実行し、流用元図面ファイルを選択しま す。チェックが完了すると、メッセージが表示されます。 本章の作業を行う前に、必要に応じて流用元図面 ファイルをバックアップしてください。 メニュー[ファイル]►[図面ユーティリティ]►[修復] 【修復なしの場合】 【修復された場合】 修復された場合、図面内の情報が削除される可能 性があります。 2 流用元図面の安全性 1-2.図面内の異常なオブジェクトを削除 項番 1-1 の処理では、長さゼロのオブジェクトや空白文 字オブジェクトなど、本来、図面内に存在しない異常な オブジェクトは削除されません。このようなオブジェクト を流用しないためにも、下記のコマンドを実行し、図面 内に存在する場合は削除します。 1.[名前削除]コマンドの実行 ここでは、図面内の長さゼロのオブジェクトや半角スペ ース文字/マルチテキストオブジェクトを削除します。 メニュー:[ファイル]►[図面ユーティリティ]►[名前削除] 図面内に長さゼロのオブジェクトや空白文字オブジェ クトが存在する場合は、[長さゼロのジオメトリおよび 空白の文字オブジェクトを名前削除]が使用可能な 状態になります。 [長さゼロのジオメトリおよび空白の文字オブジェクト を名前削除]のチェックをオンにし、[名前削除]ボタン をクリックします。 図面内に長さゼロのオブジェクトや空 白文字オブジェクトが存在しない場合 は「使用不可」状態になります。 2.[文字検索]コマンドの実行 ここでは、図面内の全角スペース文字オブジェクトを削 除します。 メニュー:[編集]►[文字検索] 以下のように設定します。 [検索する文字列]: 全角の空白を入力 [検索結果を表示]: ON [検索する場所]: 図面全体 [検索]ボタンをクリックします。 流用元図面の安全性 3 【存在しない場合】 【存在する場合】 以下の操作を行います。 ヘッダー部をクリック するとソートされます。 削除する項目を選択(Shift キーや Ctrl キーを押しな がら複数選択)し、[選択セットを作成]ボタンをクリッ クします。 ※文字列の途中に全角スペースが含まれるオブジェク トも検索されるので、ご注意ください。 下図のように、選択されたオブジェクトの選択セット が表示されます。 次に、キーボードの[DEL]キーを押します。 これで、空白文字オブジェクトを削除することができ ます。 1-3.図面ファイルを保存 図面ファイルを上書き保存 または、名前を付けて保存 します。 本章の作業で、流用元図面内の異常な情報を削除 できます。本章の作業完了後、次章からの「図面の 流用」、「図面間の切り貼り」作業を行うことを推奨し ます。 4 図面の流用 図面の流用 2 図面ファイル(DXF,DWG)を流用して作業を行うケースは多々あります。 流用元の図面ファイルの不必要な情報をそのまま流用した場合、流用先 図面ファイルで動作が遅いや不安定になるなどの要因になります。本ドキ ュメントの操作を参考に図面ファイルを流用することをお勧めします。 2-1.流用元の図面ファイルを開きます。 2-2.流用するオブジェクトを書き出します。 【ブロック書き出し】ダイアログ メニュー:[作成]►[ブロック]►[ブロック書き出し] キーボード:WBLOCK 以下のように設定します。 [作成元]: オブジェクト [オブジェクト] [オブジェクトを選択] ボタンをクリックし、 オブジェクトを選択 [書き出し先] [ファイル名とパス] 任意のフォルダー、ファイル名 [OK]ボタンをクリックします。 流用するオブジェクトを選択することで、選択された オブジェクトの情報以外の不必要な情報を流用先図 面へ反映させないことが可能です。 2-3.流用元の図面ファイルを閉じます。 図面の流用 5 2-4.流用先の図面ファイルを作成します。 1.新規図面を作成します。 テンプレートを指定して新規図面を開きます。 2.前項2-2.で作成した DWG ファイルを挿入します。 【ブロック挿入】ダイアログ 前項「2-2」で書き出した流用オブジェクトを、テンプ レートを指定した新規図面へ挿入します。 メニュー:[挿入]►[ブロック] [名前]: [参照]ボタンをクリック (書き出したファイルを指定します) [挿入位置][画面上で指定]:OFF (座標位置(0,0)以外に挿入する場合は任意) [分解]:ON [OK]ボタンをクリックします。 3.流用先図面ファイルとして保存し、図面を完成させま す。 挿入元図面と同一名の画層、スタイル、ブロック...が 挿入先図面にも存在する場合、「 既に存在している 情報が優先する」という AutoCAD LT の仕様が適用 されます。 例えば、図面1と図面2があり、図面1には「画層 A (赤色)」のオブジェクトがあり、図面2にも「画層 A (黄色)」のオブジェクトが存在している場合 ■図面1→図面2へ挿入した場合 挿入されたオブジェクトは「黄色」で表示。 ■図面2→図面1へ挿入した場合 挿入されたオブジェクトは「赤色」で表示。 流用作業終了後に「名前削除」を行います。 ※ 名前削除 流用時に取り込んだ不必要な情報(画層、スタイル、ブ ロック...)を削除します。「名前削除」を行うことで、流用 先の図面ファイルのサイズを小さくし、いろいろな問題を 解消できる可能性があります。 操作方法については「4 章.名前削除」を参照ください。 流用図面作業中に以前と比べて、コマンドのレスポ ンスが遅い、不安定な動作をするなどを感じられた 場合は、「名前削除」を行ってください。 操作方法については「4 章.名前削除」を参照くださ い。 6 図面間の切り貼り 図面間の切り貼り 3 複数枚の図面ファイルを開き、切り貼り作業を行うことは、よく行う作業の 1 つです。しかし、切り貼り作業を繰り返し行っていると、コピー先の図面フ ァイルが大きくなり、コマンドの実行速度に対して影響を及ぼす可能性が あります。本章では、切り貼り作業の例と「同名ブロック」についての注意 事項に記載します。 3-1.切り貼りする図面ファイルを開きます。 切り貼り作業を行い、図面を完成させます。 切り貼り作業終了後に「名前削除」を行います。 メニュー:[編集]►[コピー] メニュー:[編集]►[貼り付け] ※ 名前削除 切り貼り作業時に取り込んだ不必要な情報(画層、スタ イル、ブロック...)を削除します。「名前削除」を行うこと で、貼り付け側図面のファイルをサイズを小さくし、いろ いろな問題を解消できる可能性があります。 操作方法については「4 章.名前削除」を参照ください。 貼り付け作業中に意図していないオブジェクト が貼り付く場合があります。原因の 1 つに「同名 ブロックが存在する」ことが挙げられます。 「同名ブロック」の切り貼り作業については項番 「3-2」または「3-3」を参照ください。 切り貼り作業中に以前と比べて、コマンドのレス ポンスが遅い、不安定な動作をするなどを感じ られた場合は、「名前削除」を行ってください。 操作方法については「4 章.名前削除」を参照く ださい。 図面間の切り貼り 3-2.同名ブロックオブジェクトの切り貼り(1) <コピー元図面> ブロック 「BLOCK-1」 コピー <コピー先図面> 同名ブロック 「BLOCK-1」を 「BLOCK-1A」に 名前変更後に切り 貼りを行う。 貼り付け 7 既にコピー先の図面に、コピー元図面の同名のブロ ック名が定義されている場合、意図しないオブジェク ト(コピーしたオブジェクトとは違う)が貼り付けられま す。このような場合、コピー元かコピー先のどちらか のブロック名を変更する必要があります。 ただし、コピー先でブロックオブジェクトとして取り扱う 必要がなければ、「3-3.同名ブロックオブジェクトの 切り貼り(2)」の操作でも問題ありません。 メニュー:[形式]►[名前変更] 以下のように設定します。 [オブジェクト名]: ブロック [項目]: BLOCK-1 [新しい名前]: BLOCK-1A [新しい名前]ボタンをクリックします。 [OK]ボタンをクリックします。 【名前変更】ダイアログ オブジェクトが「ブロック」かを確認するには、[オブジ ェクト情報]コマンドを使用します。 メニュー:[ツール]►[情報]►[オブジェクト情報] 3-3.同名ブロックオブジェクトの切り貼り(2) <コピー元図面> ブロック 「BLOCK-1」を 分解後に切り貼り を行う。 コピー <コピー先図面> 同名ブロック 「BLOCK-1」 貼り付け コピー先図面でブロックオブジェクトとして取り扱う必 要がないので、コピー元図面で切り貼りするオブジェ クトを[分解(EXPLODE)]コマンド後に、切り貼り作業 を行います。 メニュー:[修正]►[分解]►[分解] ブロックは階層構造を持ちます。多階層ブロックの場 合、完全に分解できるまで、[分解]コマンドを繰り返 し実行してください。 8 名前削除 名前削除 4 「図面間で切り貼り作業」を行うことにより、図面ファイルの容量が大きくな り、さまざまな悪影響を及ぼす可能性があります。本章では、図面ファイ ルの容量が大きくなる 1 つの要因である「多数の未使用な非表示オブジ ェクト(画層、スタイル、ブロック...)が図面内に定義されている」場合の対 処方法について記載します。 4-1.使用していない情報の削除(1) 1.使用していない情報を項目を指定して削除します。 【名前削除】ダイアログ 図面間で切り貼り作業を行った場合は「名前削 除」コマンドを実行し「未使用な非表示オブジェクト (画層、スタイル、ブロック...)」を削除することをお 勧めします。また、名前削除する前に必要に応じ てバックアップしてください。 メニュー:[ファイル]►[図面ユーティリティ]►[名前削除] 以下のように設定します。 [名前削除可能な項目を表示]: ON [図面内で使用されていない項目]: ブロックなどを選択 [名前削除時にそれぞれの項目も確認]: ON [名前削除]ボタンをクリックします。 項目や名前を確認しながら、削除します。 2.ファイルを上書き保存します。 名前削除を実行すると、その定義情報は図面 から情報がなくなります。図面内で使用されて いる情報は削除できません。 [ブロック]項目展開時に表示される[*D○○] は図面保存時に自動削除されます。 名前削除 4-2.使用していない情報の削除(2) 1.使用していない情報を一括で削除します。 【名前削除】ダイアログ 9 図面間で切り貼り作業を行った場合は「名前削 除」コマンドを実行し「未使用な非表示オブジェクト (画層、スタイル、ブロック...)」を削除することをお 勧めします。また、名前削除する前に必要に応じ てバックアップしてください。 メニュー:[ファイル]►[図面ユーティリティ]►[名前削除] 以下のように設定します。 [名前削除可能な項目を表示]: ON [名前削除時にそれぞれの項目も確認]: OFF [すべて名前削除]ボタンをクリックします。 削除可能なすべてのオブジェクト(図面内で未使用 な非表示オブジェクト)が削除されます。 2.ファイルを上書き保存します。
© Copyright 2025 ExpyDoc