Page 1 of 2 Chemicals case study 有機低分子の結晶構造予測−ブラインド・テスト Industry Sector ケンブリッジ結晶学データセンターが行なった,4種類の低分子有 機化合物の結晶構造を予測するためのブラインド・テストで,MS Plymorph Predictor が活用されました。 1999 年春、有機化合物の原子結合性に関する情報のみが与えら れたときに、結晶構造を予測するために現在使うことのできる方法 を評価する目的で、ケンブリッジ結晶学データ・センター(CCDC)は ブラインドテストを実施しました。4 つの化合物に対して、それぞれ 3 つの構造を提出するために、11 の参加者が招待されました(図1 参照)。そのブラインドテストの結果の公表は公開されています[1]。 ここでは、オランダのナイメーヘン大学及び英国のアクセルリスの 研究者らによって、アクセルリス Polymorph Predictor[2]を用いて 得られた結果を要約します。 Organization Nijmegen University (オランダ) Accelrys Key Product MS Polymorph Predictor (C2 Polymorph) すべての格子エネルギーの計算は Dreiding2.21 力場を用いました。分子 I、II 及び III(図 1 参照)に関して、初期構造と ESP 電荷は、HF 6-31G*レベルの abs initio 計算で求めました。分子 IV(プロパ ン)については、分子構造は Dreiding 2.21 力場によって最適化されたもので、原子 電荷は全く用いられていません。 最初の 3 つの化合物に対して、構造予測 は 10 の最も一般的な空間群で実行され ましたが、プロパンの場合は、17 の最も一 般的な空間群について調査しています。 合 計 で 37959 、 58715 、 80337 、 お よ び 86552 の構造が化合物 I-IV に対して最適 化されました。各々の化合物の結果は、 計算された格子エネルギーに従って、ラン ク付けされました。 図 1:化合物 I-IV の分子構造。 全ての場合で、実験的に得られた結晶構造は最適化された結晶 構造の中に含まれており、これはサンプリングアルゴリズムが全て の低有機分子に対して、十分機能していることを示しています。 Page 2 of 2 Chemicals case study 分子 I については、実験的に得られた2つの多形体の 中の 1 つが、シミュレーションのグローバルミニマムと して見いだされましたが(図 2 参照),一方第 2 の多形 体はグローバルミニマムから 1.55kcal/mol のエネル ギー差で No.266 に位置付けられました。化合物 II-IV については、1 つの多形体だけが観測され、実験的に 得られた結晶構造はそれぞれ 0.06 kcal/mol, 0.23 kcal/mol 及び 0.15 kcal/mol の相対エネルギー差に よって No.2、5、15 にランクされました。 エネルギーランキングの成功、不成功は用いた力場 の正確さに依存します。エネルギーランキングの結果 は、第一原理電荷と併用し Dreiding2.21 を用いるによ って、約 0.25Kcal/mol の精度で、低分子の異なる結 晶充填の相対格子エネルギーを計算することが可能 になったことを示しています。しかしながら、化合物 I の第 2 の多形体で示されているように、力場に関する エラーは 1 kcal/mol を超え得るものです。この多形体 の予測によって、推定される結晶構造の単位格子の 大きさは、実験値の 5%以内となりました。 図 2:化合物 I の多形体 1 に対する実験(赤)と予測 (青)結晶構造の比較。 これらの結果は、最も可能性の高い多形体として一連の構造を提 案できるアクセルリスの MS Polymorph Predictor の能力を示して います。多くの低エネルギー結晶構造は 0.数 kcal/mol の相対エネ ルギー範囲の中に存在することがわかっています。多形体を明解 に予測するにあったては、結晶化プロセスにおいて重要な役割を 果たす速度論的効果を考慮に入れる新手法と、力場の改良が必 要になります。 References 1. J.P.M. Lommerse, W.D.S. Motherwell, H.L. Ammon, J.D. Dunitz, A. Gavezzotti, D.W.M. Hofmann, F.J.J. Leusen, W.T.M. Mooij, S.L. Price, B. Schweizer, M.U. Schmidt, B.P. van Eijck, P. Verwer and D.E. Williams, Acta Cryst. B, 2000, 56, 697-714. 2. P. Verwer and F. J. J. Leusen, in: Reviews in Computational Chemistry, Volume 12, edited by K. B. Lipkowitz and D. B. Boyd, Wiley-VCH, New York, pp. 327 - 365, 1998. Crystal Structure Prediction of Small Organic Molecules - a Blind Test
© Copyright 2024 ExpyDoc