も く じ 第 139 号 発行 2014. 12. 18 新潟青陵高等学校 特集 作家 荻原 浩 …… 1 荻原浩作品・寄贈作品を読む… 2 図 書 委 員 会 印 刷 コーエイ印刷㈱ 読書エッセイ………… 3 新潟青陵大図書館訪問 …… 4 荻 原 浩 作 家 10 月 8 日(水)、今年度の文化鑑賞会 が新潟日報社主催「高校生のための文化 講演会」として開催され、講師に作家の 荻原浩さんをお迎えしました。講演で荻 原さんは「試験には出ない!小説のつく り方」と題して、さまざまな具体例を挙 げてわかりやすく話してくれ、「執筆に当 たっては想像力を大切にしている。皆さ んも普段の人間関係の中で想像力を生か してほしい」と締めくくりました。生徒 代表が「小説を書く上での苦労がわかり ました。私も今後の人間関係に想像力を 生かし、相手の思いをいつも意識してい <ジェスチャーも交えて語りかける荻原浩さん> きたいと思います。」とお礼の言葉を述べました。 講演会の後、荻原さんからサイン入りの著書2冊と色紙、講 演会の主催者から集英社文庫 100 冊を寄贈していただきました。 この講演会は翌日の新潟日報にも取り上げられ、広く紹介さ れました。なお、荻原さんは講演会の直後に『二千七百の夏と冬』 で第5回山田風太郎賞を受賞されました。 荻原さんの作品は現代社会を反映したテーマのものが多く、 <寄贈されたサイン入りの著書と色紙、集英社文庫> 読者に読ませる力があり、幅広い読者から支持されています。 プロフィール 1956 年埼玉県生まれ。成城大学卒業。広告会社勤務を経て、コピーライターとして独立。97 年『オ ロロ畑でつかまえて』で第 10 回小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。2005 年『明日の記憶』で第 18 回山本周五郎賞を受賞。2014 年「二千七百の夏と冬」で第5回山田風太郎賞を受賞。著書に『ハー ドボイルドエッグ』、『誘拐ラプソディー』、『母恋旅烏』、『神様からひと言』、『僕たちの戦争』、『あの 日にドライブ』、『四度目の氷河期』、『砂の王国』『花のさくら通り』などがある。 −1− 荻原浩作品・寄贈作品を読む 『愛しの座敷わらし』 『明日の記憶』 荻原 浩/光文社 荻原 浩/朝日新聞出版 この本は、若年性アルツハイマー病にかかっ た 50 歳の広告代理店営業部長佐伯と、家族や周 りの人たちの話。忘れないようにとメモを必死 にとり、何度も確認をとる姿など、丁寧に主人 公の目線で病気の進行が描かれているので、ア ルツハイマーの怖さや、周りの人たちの支えが 感じられる作品だと思います。 2年9組 伊藤 清菜 この作品は、実写映画化されたことがあ 『家族写真』 荻原 浩/講談社 この作品は、「家族」をテーマにして書かれ た短編集です。中でも私のおすすめは、「しり とりの、り」という話です。家族内での会話が 足りないと考えていた父親は、家族4人でしり とりをしようと言い出します。最初は普通にし りとりをしていたのですが、だんだん父親が熱 くなってしまい‥‥。この他にも6つの話が入っています。ど れも笑った後に切なくなる物語ばかりです。ぜひ読んでみてく ださい。 2年3組 大湊 桃花 『メリーゴーランド』 荻原 浩/新潮社 主人公は過労死続出の職場を辞め、田園都 市の市役所に勤務を始め、妻と子どもたちと平 穏な生活を送っていた。ある日、主人公が超赤 字で有名だったテーマパークの再建を依頼さ れ、平凡な主人公の孤軍奮闘が始まる。いろい ろな問題を解決してもまた新たな問題にぶつか る、という描写がとても細かく書かれていて、 わかりやすくておもしろい作品でした。 1年9組 平澤 果奈 『地下街の雨』 宮部みゆき/集英社文庫 挙式の直前で破談になり、職と幸せを同時 に失ってしまった麻子は、アルバイトをしてい る喫茶店で同じような境遇の一人の女性に出会 う。それが彼女の人生を大きく変えることにな る「地下街の雨」 。一家四人が車ごと海中へ飛 び込んだ事件について、関係者の話が飛び交う 「不文律」等、読んでいて、最後には驚かされる話が詰まった短 編集です。休み時間に、たまの息抜きに。ぜひ手にとって読ん でみてください。 2年7組 本間 千智 『夏から夏へ』 佐藤多佳子/集英社文庫 これは塚原直貴、末續慎吾、高平慎士、浅原 宣治の4人が世界陸上大阪大会に出場し、400 mリレーで優勝を目指す物語です。海外や沖 縄などで練習合宿を重ねるところから物語は 始まります。果たして大会の結果は?そして 大会後のストーリーとは?内容が面白いので すらすら読めます。運動部に入っている人におすすめです。 2年2組 川上 真輝 り、ご存じの方も多いでしょう。主人公は東 京から岩手に左遷された、中間管理職のサラ リーマン。都会育ちで田舎に馴染めない妻、 いじめに悩む中学生の娘、喘息持ちの小学生 の息子、そして認知症の母。こんな一家が築 200 年の古民家に引越し、そこで座敷わらし に出会い、家族や村、社会、人間関係が変化し、やがて家族に 幸運がもたらされるという心温まるお話です。 1 年 4 組 井澤 朋美 1年6組 佐々木智也 『千年樹』 荻原 浩/集英社 森林破壊などで自然が減少している現在、 樹木は大切なものとなり、関心も高まってい ます。この本は森の中に生えている木を主人 公にした物語です。萌芽から伐採されるまで の千年間、この木が見守ってきた人間たちの 生き方を描いた短編集となっています。過去 と現在が交わり、人々がつながっていく仕組 みなど、表現力の素晴らしさを味わえます。現代の環境問題を 考えさせられるだけでなく、人間の本質が伝わってくる読みご たえのある本です。ぜひ読んでみてください。 1年7組 古山 綾香 『箱庭図書館』 乙一/集英社文庫 この本には、第1話に「小説のつくり方」 という話が入っています。文化講演会の時の 荻原浩さんの話に似ているのではと読んで みると、少し違い、ひとりの小説家が書いた 本のあとがきから始まる物語でした。「小学 校の頃、クラスの日誌の感想欄に、ありきた りな内容を書くのではなく、私は自作小説の 冒頭部を書いてみました。すると担任は一冊のノートを提出し ました。 」このあとがきに隠された作者のメッセージとは‥‥。 ぜひ読んでみてください。 2年5組 間野 佑香 『学校の怪談』 岡崎 弘明/集英社文庫 夏休みを明日に控えた終業式の夜、取り壊 しが決まり、立ち入り禁止の旧校舎に、一人 の先生と数人の生徒が迷い込み、閉じ込めら れる。なぜか出られない校舎の中、トイレか ら聞こえるのは行方不明の女の子の声。追い かけてくるのは死んだはずの用務員さん。子 どもたちの間でささやかれる恐ろしい噂話 が、現実になって彼らを襲う。夏の夜に子どもたちが経験する、 謎と恐怖と友情の物語。 2年3組 本間 楓 −2− 読 書 エ ッ セ イ 「ネットの時代」 青木 茂則 副校長 かつてインターネットもスマートフォンもなかった時代、活字あるいは文字がほとんど 唯一の思考のツールであった。 おそらく九十年代以前は、本を読み、書かれていることについて考える、または文章を 書き、書いたものを考える、というのが、「思考」の基本のパターンであったろうと思う。 公的な情報は新聞とテレビ、私的な情報は手紙や電話で伝達されるのが当たり前で、普通の人々の「つぶやき」 や愛犬のスナップショットが「世界」に流通するとは、だれも想像しなかったし、必要とも感じなかった。 ちな 因 みに、私が初めて日本語変換ソフトウェアを使ったのが 1984 年、インターネットに接続したのが 1993 年であ る。隔世の感がある。私は新種の玩具のような電子機器としてワードプロセッサーやインターネットに接していたが、 瞬く間にパーソナルコンピュータとインターネット、携帯電話は時代の最前線に躍り出てしまった。 れいめい その結果、我々は何を得たのか?と時々考える。少なくともパソコンとネットの黎 明期に喧伝されたような「人 間の脳の無限の拡張」がこの二十年間で起きたとはとても実感できない。むしろ我々は二十世紀よりも非文化的、 非文明的になっているように感じられることさえある。 目に見えないものを見る力、他人の痛みを感知する能力、イマジネーションは、ネット上に氾濫する表層的な言 辞と画像を呆然と眺めていても、培われることはない。 読書によって、それも難解な評論や歴史書を読むことによってのみ、我々は想像力を伴うタフな知力を鍛えるこ とができるのだと思う。そして強靭な知力がなければ、生き抜くことが困難な超情報化社会にだれもが生きている のだ。 「つまみ食い読書のススメ」 白井 裕紀 司書 私は読書とおやつは同じだと考えている。例えば、なくても困らないが、あればより 充実した気分になれるという点が同じである。一度に大量に摂取しようとすると体調を 崩してしまうところも同じだ。しかし、同時に両者にはとても大きな違いがある。それ はおやつで得たカロリーは時として自身を裏切るが、読書で得た知識は裏切らないということだ。0 カロリーで 充実した気分になれ、新しい知識までついてくる。読書ほど素晴らしいものはない。 それにも関わらず、読書が苦手という人は多い。その多くが、本は読破しなければならないものと考えている からだ。確かに著者の意図を理解するためにも、読破することは大切だ。しかし、読破しなければならないとい うルールはどこにもない。そもそも読書は「しなければならない」ものではない。好きな本を好きな時に好きな だけ読めばいいのだ。 「何を読んだらいいかわからない。」 「読書は苦手だ。」そういう人にこそ試してもらいたい読書方法がある。ま ず、図書館に行き本棚の間をぶらぶらし、気になったタイトルの本を手に取る。そして、目にとまったページを 読み、気に入れば借りる。飽きたら返却する。本を最後まで読む必要はない。最初から読む必要もない。つまみ 食いでいいのだ。飽きたり、理解できないということは、今は読むべき時ではないということだ。また読みたく なる時を待てばいい。 そのようにつまみ食いを続けていると、いずれ読破したい本にめぐり合える。その時につまみ食いで得た知識 がその本への理解を深める手助けをしてくれるはずだ。 そして、何かを読みたいけれど何を読んだらいいのかわからない、という時は司書に聞いてほしい。司書はそ の人が必要としている情報のありかを示すという魔法が使える。読みたい本に出会う近道になるはずだ。 −3− 新潟青陵大学図書館に行ってきました 新潟青陵大・同短大部図書館は本校生も利用できると聞き、図書委員会では早速、夏休み中の 8 月 21 日(木)に訪問してきました。大学の図書館には高校の図書室とは違った色々な特徴があり、 私たちにも便利な図書館という印象でした。大いに利用しましょう。 DVDやビデオが利用できる。 専門分野の実際の技術もDVD で見られるんだ。 15万冊も本がある。 そのうち1万冊は洋書! (本校の蔵書は4万冊) ポイントカード制。 借りれば借りるほど 無料コピーできる枚数が 増えるなど、便利な特典 があるんだって。 スイッチ 1 つで動く 本棚がある。スペースの 有効利用なんだね。 看護や幼児教育分野の専門書や 雑誌が驚くほどたくさんそろっ ている。青松祭の読み聞かせで 使った絵本もここから選んだよ。 私たちも利用できそうだ。 可動式の書 棚。 ボ タ ン を押すと見 たい書棚が 開く。 第一観覧室。本や資料について調べられ る。奥に個人の閲覧スペースも見える。 係の先生に尋ねてみました 大学図書館の本や資料は高校生でも借りられますか? 高校の図書室で申し込むと借りられます。借りたい本や資料があったら、司書の先生に声 をかけてください。高校の図書室で受け取れます。 どんな本や資料があるか調べるにはどうすればいいですか? 高校の図書室にある検索用PCで調べることができます。他のPCからも、大学図書館の HPを開いて調べることができます。 実際に大学図書館に行って閲覧はできますか? 高校の図書室で申し込むと大学図書館で閲覧できます。司書の先生に声をかけてください。 本校生の利用が進めば、サービスの内容がいっそう充実していきます。どんどん使ってください。 ● ● 編集スタッフ ● ● 五十嵐 舞(3−6) 伊藤 清菜(2−9) 本間 千智(2−7) 間野 佑香(2−5) 本間 楓(2−3) 大湊 桃花(2−3) 川上 真輝(2−2) 平澤 果奈(1−9) 古山 綾香(1−7) 佐々木智也(1−6) 井澤 朋美(1−4) −4−
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