分散分析 二元配置法(繰返しあり) 解説 二元配置法(繰返しあり)の解析

■分散分析
二元配置法(繰返しあり)
解説
●二元配置法(繰返しあり)の解析手順
★実験データの準備
☆例題
A1
A2
A3
A4
B1
7.2
6.8
1.4
1.0
6.2
6.8
9.6
9.4
B2
7.2
6.6
2.2
2.4
5.4
5.4
9.6
8.8
因子 A の数
因子 B の数
実験繰返し数
★データのグラフ化
-1-
a=4
b=3
r=2
B3
5.8
6.6
7.8
7.4
3.6
3.2
6.4
6.0
★統計量の計算
*平方和
修正項
2
(データの総計)
T ...2
CT 

総データ数
abr
総平方和
ST  個々のデータの二乗和  CT   xijk  CT
a
b
r
2
i 1 j 1 k 1
因子 A の平方和
2
a
(A 水準での実験データの合計)
T ..2
SA  i
 CT   i  CT
Ai 水準での実験データ数
i 1 br
因子 B の平方和
2
b T . .2
(B j 水準での実験データの合計)
j
SB 
 CT  
 CT
B j 水準での実験データ数
j 1 ar
2
S AB
2
a b T .
(Ai B j 水準での実験データの合計)
ij

 CT  
 CT
Ai B j 水準での実験データ数
r
i 1 j 1
SA×B=SAB-SA-SB
誤差 E の平方和 SE=ST-SAB=ST-SA-SB-SA×B
*平方和の自由度
総平方和の自由度
φT=総データ数-1=abr-1
因子 A の平方和の自由度 φA=因子 A の水準数-1=a-1
因子 B の平方和の自由度 φB=因子 B の水準数-1=b-1
φAB=ab-1
φA×B=φA×φB=(a-1)(b-1)
誤差 E の平方和の自由度 φE=φT-φA-φB-φA×B=φT-φAB=ab(r-1)
-2-
★分散分析表の作成
要因
因子 A
因子 B
交互作用 A×B
誤差 E
合計
平方和
S
SA
SB
SA×B
SE
ST
自由度
φ
φA
φB
φA×B
φE
φT
平均平方
V
VA=SA/φA
VB=SB/φB
分散比
F0
F0(A)=VA/VE
F0(B)=VB/VE
VA×B=SA×B/φA×B
F0(A×B)=VB/VE
棄却域境界値
R
F(φA,φE;α)
F(φB,φE;α)
F(φA×B,φE;α)
有意確率
P
Pr(F≧F0(A))
Pr(F≧F0(B))
Pr(F≧F0(A×B))
VE=SE/φE
☆例題の分散分析表
要因
要因 A
要因 B
要因 A×B
誤差 E
合計 T
平方和
S
71.22
0.16
70.64
1.44
143.46
自由度
φ
3
2
6
12
23
平均平方
V
23.74
0.08
11.77333
0.12
分散比
F0
197.8333
0.666667
98.11111
棄却域 R
F(φ,φE;α)
3.490295
3.885294
2.99612
有意確率
P値
1.76E-10
0.531441
1.72E-09
★検定の結果の判断
要因 A、要因 B、交互作用 A×B について、次の条件が成り立つときに、有意水準αで検定結果は有
意であり、要因、交互作用の効果があり、要因の水準によって母平均が変化する。
・分散比 F0 ≧ 棄却境界値 F(φ,φE;α)
・有意確率 P ≦ 有意水準α
*交互作用の有意水準について
交互作用 A×B の有無の判断基準に関して、要因 A,B の検定の有意水準 α ではなく、
有意水準として、0.2(20%)を採用する場合がある。この場合は、次の条件が成り立つときに、
交互作用の効果があると判断する。
・分散比 F0 ≧ 棄却境界値 F(φ,φE;0.2)
・有意確率 P ≦ 有意水準 0.2
☆例題の検定結果(有意水準α=0.05)
*要因Aの効果の検定結果
・F0=197.8 ≧ F(φA,φE,α)=3.49
→有意水準α=0.05 で有意である
・有意確率(P 値)=1.76E-10 ≦ 有意水準α=0.05
→有意水準α=0.05 で有意である
・要因 A の水準により、有意水準α=0.05 で、特性の母平均が変化する
*要因Bの効果の検定結果
・F0=0.667 ≧ F(φB,φE,α)=3.89
→有意水準α=0.05 で有意とは言えない
・有意確率(P 値)=0.531 > 有意水準α=0.05
→有意水準α=0.05 で有意とは言えない
・要因 B の水準により、有意水準α=0.05 で、特性の母平均が変化するとは言えない
*交互作用 A×B の検定結果
・F0=98.1 ≧ F(φA×B,φE,α)=2.996
→有意水準α=0.05 で有意である
・有意確率(P 値)=1.72E-09 ≦ 有意水準α=0.05
→有意水準α=0.05 で有意である
・有意水準α=0.05 で、交互作用 A×B があると言える。
-3-
★有意となった要因効果の推定
繰返しありの二元配置実験では、因子 A と因子 B の交互作用の有無を考慮して、次に示す手順で要
因の効果を推定する。
☆交互作用 A×B が有意ではなく、因子 A または因子 B の片方が有意な場合
*点推定
ˆ ( Ai )  xi .. 
Ti ..
br
ˆ ( B j )  x. j. 
T . j.
ar
*区間推定
信頼率 1-αの母平均の信頼区間は、
信頼上限
信頼下限
VE
br
V
(  Ai ) L  xi ..  t (E , ) E
br
VE
ar
V
(  Bj ) L  x. j.  t (E , ) E
ar
(  Ai )U  xi ..  t (E , )
(  Bj )U  x. j.  t (E , )
☆交互作用 A×B が有意ではなく、因子 A および因子 B の両方が有意な場合
因子 A と B の組み合わせにおける最適水準の母平均μ(AiBj)を求める。
*点推定
ˆ ( Ai B j )  xi ..  x. j.  x...
xi .. 
Ti ..
br
x. j . 
*区間推定
信頼率 1-αの母平均の信頼区間は、
信頼上限
ˆ ( Ai B j )U  xi ..  x. j.  x...  t (E , )
VE
ne
信頼下限
ˆ ( Ai B j ) L  xi ..  x. j.  x...  t (E , )
VE
ne
有効反復数: ne 
abr
(田口の式)
a  b 1
☆交互作用 A×B が有意な場合
*点推定
ˆ ( Ai B j )  xij . 
Tij .
r
*区間推定
信頼率 1-αの母平均の信頼区間は、
信頼上限
信頼上限
VE
r
V
(  Ai B j ) L  xij .  t (E , ) E
r
(  Ai B j )U  xij .  t (E , )
-4-
T . j.
ar
x... 
T ...
abr
☆例題の推定計算結果
信頼率 1-α=95%
*母平均の推定
因子
A×B
A×B
A×B
A×B
A×B
A×B
A×B
A×B
A×B
A×B
A×B
A×B
水準
A1,B1
A1,B2
A1,B3
A2,B1
A2,B2
A2,B3
A3,B1
A3,B2
A3,B3
A4,B1
A4,B2
A4,B3
点推定
7
6.9
6.2
1.2
2.3
7.6
6.5
5.4
3.4
9.5
9.2
6.2
信頼上限
7.533698
7.433698
6.733698
1.733698
2.833698
8.133698
7.033698
5.933698
3.933698
10.0337
9.733698
6.733698
信頼下限
6.466302
6.366302
5.666302
0.666302
1.766302
7.066302
5.966302
4.866302
2.866302
8.9663 →最適水準
8.666302
5.666302
☆例題の信頼区間のグラフ
最適水準
例題では特性値は大きい方が良いので、上記のグラフより、最適水準は水準 A4,B1 であり、
水準 A4,B1 の推定値は、次のとおりである。
・点推定
9.5
・信頼上限
10.03
・信頼下限
8.97
●解析プログラム
分散分析(二元配置実験)
(繰返しなし)の解析プログラムと例題の計算結果は次の資料を参照のこ
と。
→ 分散分析(二元配置法) (繰返しあり)プログラム 参照
→ 分散分析(二元配置法) (繰返しあり)例題 参照
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