DIG、ビオチン、蛍光分子を用いたDNA、RNA、オリゴヌクレオチド の

DIG、ビオチン、蛍光分子を用いたDNA、RNA、オリゴヌクレオチドのラベリング方法
DIG、ビオチン、蛍光分子を用いたDNA、RNA、オリゴヌクレオチド
のラベリング方法
以下に紹介するラベリング方法のほとんどは、弊
社から発売されている製品の使用説明書を引用し
たものです。
ただし、4 番目にご紹介する方法は、それぞれDepartment of Cytochemistry and Cytometry, University of LeidenおよびDepartment of Genetics, Yale
Universityにより開発されたニックトランスレー
I.
ション法を最適化したものです。ジゴキシゲニ
ン、ビオチンおよび蛍光分子のいずれを用いたラ
ベリング方法でも、本質的に同じます。DIGラベ
ルした核酸のラベリング効率の判定については、
セクション IX にある「DIGラベルされた核酸の収
量検定」
(65ページ)で解説されています。
DIG-、ビオチン-、またはフルオレセイン-High Prime反応ミックスを用いた、
ランダムプライム法による2本鎖DNAのラベリング
ランダムプライム法によるDNAラベリング
(Feinberg
and Vogelstein, 1984)により、少量(10 ng)から多
量
( 3μgまで)
のDNAを効率よくラベリングするた
めに用いられます。このラベリング法は、短い
DNA(200 bp)から長いDNAフラグメント(コスミ
ドまたはλDNA)まで応用することができます。
標準的なラベリング反応は短時間(1 時間)で終了
し、新たに合成されるDNAプローブの20∼25塩基
DIG - ラベル
テンプレート
DNA
(ng)
1 時間後の
収量
(ng)
に 1 分子の修飾ヌクレオチド
(DIG-、ビオチン-、ま
たはフルオレセイン-dUTP)
が取り込まれます。こ
のラベリング密度は、間接的な
(免疫)
検出において
最も高い感度が得られます。
新たに合成されたラベルDNA量は、テンプレート
の量と精製度、ラベルの種類、およびインキュベー
ション時間に依存します
(表 1 )
。
フルオレセイン - ラベル
20 時間後の
収量
(ng)
4
1 時間後の
収量
(ng)
20 時間後の
収量
(ng)
ビオチン - ラベル
1 時間後の
収量
(ng)
20 時間後の
収量
(ng)
10
45
600
30
250
70
850
30
130
1050
70
320
160
1350
100
270
1500
200
650
350
1650
300
450
2000
320
1350
700
2200
1000
850
2300
850
1700
1250
2600
3000
1350
2650
1200
2100
1600
2600
表 1:High Primeラベリング反応における、テンプレート量および反応時間がプローブ収量に与える影響
ビオチン-、DIG-、またはフルオレセイン-High Primeラベリングミックスと、異なる量の精製テンプレートを用いてラ
ベリング反応を行った。1時間および20時間のインキュベーション後に得られるラベルDNAの合成量については、ラジ
オアクティブなトレーサーの取り込みによる判定を行い、ドットブロットで確認を行った。表に示すデータは、それ
ぞれ10回ずつ行ったラベリングアッセイの平均値です。テンプレートの精製度、シーケンス、その他により、実際の
ラベリングの収量とは異なる場合があります。
ランダムプライム法により得られるラベルDNAフ
ラグメントのサイズは、テンプレートDNAの量と
サイズに依存します。直鎖化したpBR328プラスミ
ドDNAを用いた標準的なラベリング反応では、約
200∼1000 bpの範囲のラベルDNAフラグメントが
得られます。
ノート:直鎖化されたDNAの方が、環状および
スーパーコイルよりも効率よくラベルされます。
いずれの場合でも、ランダムプライム法によるラ
ベリングの前にテンプレートDNAの熱変性を完全
に行ってください。低融点アガロース中のDNAフ
ラグメントも効率よくラベルされますが、カイネ
ティクス速度はしばしば遅くなります。
41
DIG、ビオチン、蛍光分子を用いたDNA、RNA、オリゴヌクレオチドのラベリング方法
A. 溶液中のDNAをラベルするための標準的な方法
ステップ
4
1
1.5 ml のマイクロ遠心チューブに、1μg のテンプレートDNA(直鎖またはスーパーコイル)および滅
菌再蒸留水を加え、最終容量が16μl となるよう調整します。
ノート:この標準的な反応では、この16μl 中に含まれるDNA量は10 ngから3μgまでの範囲として
ください。3μg 以上の DNAをラベルするには、サンプル数に応じて以下の反応量と組成をスケール
アップしてください。
2
沸騰水中でチューブを10分間加熱してDNAを変性させた後、チューブを氷水の入ったウォーターバ
ス中で急冷します。
注意:完全に DNAを変性させることが、効率のよいラベリングに必要不可欠です。
3
よく混和した、DIG-High Prime、ビオチン-High Primeまたはフルオレセイン-High Primeのいずれか
を4μl 加えます。
ノート: それぞれのHigh Prime反応ミックスには、5 × 濃度の反応バッファー、50%グリセロール、
1 U/μl ラベリング用クレノー酵素、5 × 濃度のランダムプライマーミックス、dATP、dCTP、
dGTP各1 mM、0.65 mM dTTPおよび0.35 mM X-dUTP[X = DIG(アルカリ不安定)、ビオチン、または
フルオレセイン]
が含まれています。
4
試薬を混和した後、手短に遠心してチューブの底に集めます。
5
42
操 作
37℃で少なくとも 1 時間インキュベートします。
ノート:インキュベーション時間を長くすると(20時間まで)、ラベルDNAの収量は増加します
(表 1)。
6
反応を停止させるには、反応チューブに2μl の0.2 M EDTA(pH 8.0)を加えるか、チューブを65℃、
10分間加熱します。
7
オプション:ラベルしたプローブを以下のステップで沈殿させます。
ノート:以下のエタノール沈殿の別法として、100 bpより長いラベルされたプローブの精製にHigh Pure
PCR Product Purification Kit を利用することもできます。この操作方法については、本Chapter の71
ページを参照ください。
sラベルされたDNAに、2.5μl の 4 M LiCl と予め冷却(─15 ∼ ─25℃)した75μl の100%エ
タノールを加え、よく混和します。
s─70℃で少なくとも30分間、または─15 ∼ ─25℃で 2 時間静置し、沈殿を形成させます。
s 2 ∼ 8℃で15分間遠心します(13,000 × g)。
s上清を捨てます。
s50μl の氷冷70%(v/v)エタノールで、ペレットを洗浄します。
s 2 ∼ 8℃で 5 分間遠心します(13,000 × g)。
s上清を捨てます。
sペレットを吸引乾燥させます。
注意:ハイブリダイゼーション溶液中にデキストラン硫酸が含まれる場合、少量でもエ
タノールの残渣が存在すると沈殿を生じる恐れがあるため、ペレットを乾燥させるステップ
は重要です。エタノールの残渣はまた、バックグラウンドの原因にもなる場合があります。
sペレットを最少量のTEバッファー(10 mM Tris-HCl、1 mM EDTA、pH 8.0)で懸濁し
ます。
8
以下の いずれかの操作を選択してください。
sラベルされたプローブをすぐに使用しない場合、プローブ溶液を─15 ∼ ─25℃にて保存
します。
sラベルされたプローブをすぐに使用する場合、プローブ溶液の一部を希釈し、in situ 実
験に使用するハイブリダイゼーションバッファーに適当な濃度
(例:10∼40 ng / ml)とし
て希釈します(本マニュアルのChapter 2 および 5 を参照ください)。
注意:この操作方法で用いた DIG-dUTPはアルカリ不安定です。DIGラベルされたプロー
ブを強アルカリ
(0.2 M NaOHなど)にさらさないようにしてください。標準的な in situ の
操作間で、DIGラベルがプローブからはずれることはありません。
DIG、ビオチン、蛍光分子を用いたDNA、RNA、オリゴヌクレオチドのラベリング方法
この操作に使用する弊社から販売されている試薬
試薬名
組 成
Cat. No.
包装単位
DIGHigh Prime
5 × 濃度の溶液:dATP, dCTP, dGTP 各 1 mM;0.65 mM
dTTP;0.35 mM DIG-11-dUTP(アルカリ不安定)
;ランダ
ムプライマー混合液;1 U/μl ラベリング用クレノー酵素
(反応バッファー中), 50%グリセロール(v/v).
1 585 606
160μl
(40 反応)
BiotinHigh Prime
5 × 濃度の溶液:dATP, dCTP, dGTP 各 1 mM;0.65 mM
dTTP;0.35 mM ビオチン-16-dUTP;ランダムプライマー
混合液;1 U/μl ラベリング用クレノー酵素(50%グリセ
ロール(v/v)を含む反応バッファー中)
1 585 649
100μl
(25反応)
FluoresceinHigh Prime
5 × 濃度の溶液:dATP, dCTP, dGTP 各 1 mM;0.65 mM
dTTP;0.35 mM フルオレセイン-12-dUTP;ランダムプ
ライマー混合液 ; 1 U/μl ラベリング用クレノー酵素(50%
グリセロール(v/v)を含む反応バッファー中)
1 585 622
100μl (25反応)
4
II. PCR DIGプローブ合成キットまたはPCRラベリングミックスを用いた、
2本鎖DNAのPCRラベリング
ここで紹介する操作方法は、可能な限り一般化さ
れたものです。最適なPCR反応条件は、テンプ
レートDNAやプライマーのシーケンスに大きく依
存しています。新しいプライマーとテンプレート
との組み合わせで行なうたびに、テンプレート、
プライマー、Mg2 +イオン、およびポリメラーゼの
最適濃度や、最適なインキュベーション時間と温
度を、実験的に決定する必要があります(Innis et
al., 1990, Rolfs, A. et al., 1992)。
このセクションで解説する3 つの操作方法は、PCR
を利用してジゴキシゲニン(DIG)またはフルオレ
セインで直接ラベルするものです。これらの方法
は、限られた量のテンプレートDNAから高い効率
でラベルされたプローブを作成する際に特に有用
です。それぞれの方法は、プレミックスのラベリ
ングミックスやキットの利点を生かし、特定の種
類のプローブ作成に最適化されています。
sPCR DIGプローブ合成キット(PCR DIG Probe
Synthesis Kit)は、dTTPとDIG-dUTPが 2:1 の
比率で含まれ、特異的なシーケンスを持ちラベル
効率の高いハイブリダイゼーションプローブの
作成に理想的です。作成されたプローブは、複雑
なゲノム中のコピー数の少ないターゲットを検出
するのに適しています。
sPCR DIGラベリングミックス
(PCR DIG Labeling
Mix)は、dTTPとDIG-dUTPが19:1 の比率で含
まれ、反復シーケンスを含み中程度にラベルさ
れたハイブリダイゼーションプローブの作成に
理想的です。作成されたプローブは、複雑なゲ
ノムのコピー数の高いターゲット(ヒトalphoid
シーケンスなど)
を検出するのに適しています。
sPCRフルオレセインラベリングミックス(PCR
Fluorescein Labeling Mix)は、dTTPとフルオレ
セイン-dUTPが 3:1 の比率で含まれ、直接検出
法によるin situで使用するのに適切なハイブリ
ダイゼーションプローブを生成します。
43
DIG、ビオチン、蛍光分子を用いたDNA、RNA、オリゴヌクレオチドのラベリング方法
A. ユニークなシーケンスを持つ高度にラベルされたプローブを作成する
PCR DIGラベリング反応
このラベリング反応は、50μl のDIGラベルされた
プローブ溶液を作成するためのものです。
50μl のDIGラベルされたプローブ溶液は、コント
ロール実験であればハイブリダイゼーション反応
を25回行うのに十分な量です。
ノート:プローブ作成量を少なくするには、反応
容量と組成を同じ割合でスケールダウンして
ください。
ステップ
1
4
操 作
各PCR毎に、氷上に置いた滅菌済みマイクロ・遠心チューブへ以下の組成を加えます。
s 5μl の15 mM MgCl2を含む10 × 濃度のPCRバッファー(バイアル 3)
ノート:バイアル番号は、PCR DIGプローブ合成キット(PCR DIG Probe Synthesis Kit)
の構成内容と対応しています。
s 5μl の10 × 濃度のPCR DIGプローブ合成ミックス
この混合液にはdTTP:DIG-dUTPが 2 : 1 の比率で含まれます(dATP、dCTP、dGTP各
2 mM; dTTP 1.3 mM; DIG-dUTP(アルカリ不安定)0.7 mM)
(バイアル 2)。
s上流プライマー 1∼10μM溶液(最終濃度 0.1∼1μM)
s下流プライマー 1∼10μM溶液(最終濃度 0.1∼1μM)
ノート:PCRプライマーの濃度は、実験的に決定する必要があります
(Innin et al., 1990)
。
まず反応液中の各プライマー濃度を0.3 mMから試してみてください。
sテンプレートDNA:
プラスミドDNA 10∼100 pg(最適量は10 pg)
ジェノミックDNA 1∼50 ng(最適量は10 ng)
s0.75μl の酵素ミックス(2.6 U)。Expand High Fidelity が含まれます(バイアル 1)。
s滅菌再蒸留水を加え、最終容量を50μl に調整します。
2
試薬を混和し、手短に遠心してチューブの底に集めます。
3
100μl のミネラルオイルを重層し、PCR増幅時における試薬の蒸発を減少させます。
ノート:トップヒーター式のサーマルサイクラーの場合、ミネラルオイルでの重層は必要ありません。
4
サンプルをサーマルサイクラーに設置し、PCRをスタートさせます。
ノート:PCRサイクルの条件は、テンプレート、プライマー、およびサーマルサイクラーに依存しま
す。下記の条件が必ずしも全てのテンプレートとプライマーとのコンビネーションに適するとは限り
ませんが、初期実験をスタートさせるための目安として良好です。
PCRプログラムは以下の通りです。
最初の熱変性:95℃、2 分間
サイクル 1 ∼ 10サイクル まで:
熱変性 95℃、30秒間
アニーリング 60℃、30秒間
伸長反応 72℃、40秒間
サイクル 11∼ 33サイクルまで:
熱変性 95℃、30秒間
アニーリング 60℃、30秒間
伸長反応 72℃、40秒間 + サイクル数が増えるごとに20秒ずつ追加
ノート:伸長反応時間の延長が必要なケースは、長いフラグメント( 3 kb)の使用時のみです。短い
フラグメントでは、30サイクル全ての伸長反応時間を40秒のまま行ってください。
最終サイクルの伸長反応:72℃、7 分間
反応終了後は 4℃のままでホールドします。
5
PCRラベルされたプローブをアガロースゲル上で確認(例えば 5μl をゲルへロード)し、DIGラベル
されていないPCR産物と比較します。
6
以下のいずれかの操作を選択してください。
s短期間の保存の場合、ハイブリダイゼーションに使用するまで 2 ∼ 8℃で保存します。
s長期間の保存の場合、─15∼ ─25℃で最低 1 年間は保存できます。
▼
44
DIG、ビオチン、蛍光分子を用いたDNA、RNA、オリゴヌクレオチドのラベリング方法
ステップ
操 作
7
オプション:ラベルしプローブを以下のステップで沈殿させます。
ノート: 以下のエタノール沈殿法の別法として、100 bpよりも長い、ラベルしたプローブの精製に
High Pure PCR Product Purification Kitを利用することもできます。
この操作方法については、本Chapter 71ページを参照ください。
sラベルされたDNAに、5μl の 4 M LiCl と150μl の予め冷却(─15 ∼ ─25℃)
した100%エタ
ノールを加え、よく混和します。
s ─70℃で少なくとも30分間または─15 ∼ ─25℃で 2 時間冷却し、沈殿を形成させます。
s 2 ∼ 8℃で15分間遠心します(13,000 × g)。
s上清を捨てます。
s100μl の氷冷した70%(v/v)エタノールでペレットを洗浄します。
s 2 ∼ 8℃で 5 分間遠心します(13,000 × g)。
s上清を捨てます。
sペレットを吸引乾燥させます。
注意:ハイブリダイゼーション溶液中にデキストラン硫酸が含まれる場合、少量でもエタ
ノールの残渣が存在すると沈殿を生じる恐れがあるため、ペレットを乾燥させるステップ
は重要です。エタノールの残渣はまた、バックグラウンドの原因にもなる場合があります。
sペレットを50μl のTEバッファー
(10 mM Tris-HCl、1 mM EDTA、pH 8.0)
で懸濁します。
ノート:ハイブリダイゼーションバッファー(ステップ 7 で使用)中に高濃度のフォルム
アミドが含まれる場合、プローブのペレットを少量のTEバッファーで懸濁し、高濃度の
プローブストック溶液を作製してください。
8
以下のいずれかの操作を選択してください。
s調製したプローブをすぐに使用しない場合、プローブ溶液を─15 ∼ ─25℃にて保存し
ます。
注意:プローブの凍結融解を繰り返すことは避けてください。
s調製したプローブをすぐに使用する場合、プローブ溶液の一部をin situ 実験に使用する
ハイブリダイゼーションバッファー(本マニュアルのChapter 2 および 5 を参照ください)
で希釈します。
ノート:ハイブリダイゼーション反応に使用するプローブ溶液の量は、実験的に決定す
る必要があります。まずは、ハイブリダイゼーション反応(24 × 24 mm カバースリップ
下)あたり2μl のプローブ溶液(オリジナルの50μl 中から)を20μl のハイブリダイゼー
ション溶液に加えて使用してください。プローブが50μl 未満のTEバッファーに懸濁さ
れている場合(上記ステップ 6)、ハイブリダイゼーションバッファーに加える、この濃
縮プローブのストック溶液を比例して減らしてください。
注意:この操作方法で用いたDIG-dUTPはアルカリ不安定です。DIGラベルされたプロー
ブを強アルカリ(0.2 M NaOHなど)にさらさないようにしてください。標準的な in situ
の操作間で、DIGラベルがプローブからはずれることはありません。
4
45
DIG、ビオチン、蛍光分子を用いたDNA、RNA、オリゴヌクレオチドのラベリング方法
B. 中程度にラベルされたプローブを調製するPCR DIGラベリング反応
このラベリング反応により、100μl のDIGラベル
されたプローブ溶液が作成されます。100μl のDIG
ラベルされたプローブは、コントロール実験であ
れば、細胞分裂中期染色体における反復シーケン
ステップ
ス(ヒトalphoid)の間接法によるin situ 検出を20∼
50回行うのに十分な量です。プローブ作成量を少
なくするには、反応容量と組成を同じ割合でス
ケールダウンしてください。
操 作
1
各PCR毎に氷上に置いた滅菌済みマイクロ遠心チューブへ、以下の組成を加えます。
反応を始める前に、全ての試薬を手短に遠心します。
2
まずは、 2 種類の試薬ミックスを(氷上の)滅菌済みマイクロ遠心チューブ内で調製します。
ミックス 1(最終容量25μl)
s10μl の10 × 濃度のPCR DIGラベリングミックス
この混合液にはdTTP : DIG-dUTP(各2 mM)が19 : 1の比率で含まれます。
s上流プライマー 0.1 ∼ 0.6μM
s下流プライマー 0.1 ∼ 0.6μM
sテンプレートDNA:
プラスミドDNA 0.1ng ∼ 15 pg
ヒトジェノミックDNA 10 ∼ 250 ng
ノート:テンプレートDNAの懸濁に適したバッファーは、滅菌再蒸留水または 5 ∼10 mM
Tris(pH 7∼8)です。TEバッファー中のEDTAがMg2+のキレート剤となるため使用を避け
4
てください。
ミックス 2(最終容量25μl)
s19.75μl の滅菌再蒸留水
s 5μl の10 × 濃縮 PCR反応バッファー
15 mM MgCl2 を含みます(Taq DNAポリメラーゼに添付されます)。
s0.25μl のTaq DNAポリメラーゼ
3
氷上の薄壁(thin-walled)PCRチューブ内で、ミックス 1とミックス 2を混合します。
均一な反応溶液を調製するためヴォルテックスで穏やかに混和し、手短に遠心してチューブの底に
集めます。
直ちにサーマルサイクリングの操作に移ります。
ノート:サーマルサイクラーの種類によりミネラルオイルが必要な場合、注意深くミネラルオイル
を重層します。
4
サーマルサイクリング
サンプルをサーマルサイクラーに設置し、Taq DNAポリメラーゼの使用説明書(Cat. No. 1 146 165)
に記載される温度プロファイルを使用してサイクルをスタートさせます。
使用説明書の内容は、http://www.roche-applied-science.com/pack-insert/1146165a.pdf でもご覧い
ただけます。
5
オプション:ラベルしプローブを以下のステップで沈殿させます。
ノート:以下のエタノール沈殿法の別法として、100 bpより長いラベルしたプローブの精製にHigh
Pure PCR Product Purification Kitを利用することもできます。この操作方法については本Chapter
71ページを参照ください。
sラベルされたDNAに、10μl の 4 M LiCl と、300μl の予め冷却(─15 ∼ ─25℃に)した
100%エタノールを加え、よく混和します。
s─70℃で少なくとも30分間または─15 ∼ ─25℃で 2 時間冷却し、沈殿を形成させ
ます。
s 2 ∼ 8℃で15分間遠心します(13,000 × g)。
s上清を捨てます。
s100μl の氷冷70%(v/v)エタノールでペレットを洗浄します。
s 2 ∼ 8℃で 5 分間遠心します(13,000 × g)。
s上清を捨てます。
sペレットを吸引乾燥させます。
注意:ハイブリダイゼーション溶液中にデキストラン硫酸が含まれる場合、少量でもエタ
ノールの残渣が存在すると沈殿を生じる恐れがあるため、ペレットを乾燥させるステップ
は重要です。エタノールの残渣はまた、バックグラウンドの原因にもなる場合があります。
ペレットを100μl のTEバッファー
(10 mM Tris-HCl、1 mM EDTA、pH 8.0)
で懸濁します。
ノート:ハイブリダイゼーションバッファー(ステップ 6で使用)中に高濃度のフォルム
アミドが含まれる場合、プローブのペレットを少量のTEバッファーで懸濁し、高濃度の
プローブストック溶液を作製してください。
▼
46
DIG、ビオチン、蛍光分子を用いたDNA、RNA、オリゴヌクレオチドのラベリング方法
ステップ
6
操 作
以下のいずれかの操作を選択してください。
sプローブを直ちに使用しない場合、プローブ溶液を─15 ∼ ─25℃にて最低 1 年間保存する
ことが可能です。
注意:プローブの凍結融解を繰り返すことは避けてください。
sプローブを直ちに使用する場合、プローブ溶液の一部をin situ 実験に使用するハイブリダイ
ゼーションバッファー
(本マニュアルのChapter 2 および 5 を参照ください)
で希釈します。
ノート:ハイブリダイゼーション反応に使用するプローブ溶液の量は、実験的に決定す
る必要があります。まずは、ハイブリダイゼーション反応(24 × 24 mm カバースリップ
下で)あたり2 ∼ 5μl のプローブ溶液(オリジナルの100μl 中から)を20μl のハイブリダ
イゼーション溶液に加えて使用してください。プローブが 100μl 未満のTEバッファーに
懸濁されている場合(上記ステップ 3)、ハイブリダイゼーションバッファーに加える、
この濃縮ストック溶液を比例して減らしてください。
4
47
DIG、ビオチン、蛍光分子を用いたDNA、RNA、オリゴヌクレオチドのラベリング方法
C. In situ(直接法)に用いるプローブを調製するPCRフルオレセインラベリング
反応
このラベリング反応により、100μl のフルオレセ
インラベルされたプローブ溶液が作成されます。
100μl のフルオレセインラベルされたプローブは、
コントロール実験であれば細胞分裂中期染色体に
ステップ
1
4
操 作
氷上に置いた1.5 ml の滅菌済みマイクロ遠心チューブへ、以下の組成を加えます。
s10μl の10 × 濃度のPCRバッファー、MgCl2 を不含(100 mM Tris-HCl、500 mM KCl、
pH 8.3)
(バイアル 2)
ノート:バイアル番号は、PCRフルオレセインラベリングミックス内のバイアルに対応
します。
s12∼20μl の 25 mM MgCl(バイアル
2
3)
ノート:MgCl2 濃度については実験的に決定する必要があります。弊社では標準的な濃
度として4 mM MgCl(バイアル
2
3、16μl)を使用しています。
s10μl の10 × 濃縮PCRフルオレセインラベリングミックス
(dATP、dCTP、dGTP各2 mM; dTTP 1.5 mM ; DIG-dUTP(アルカリ不安定)0.5 mM)
(バイアル 1)。
s0.1∼ 1.0μM プライマー 1
s0.1∼ 1.0μM プライマー 2
ノート:PCRプライマーの濃度は、実験的に決定する必要があります
(Innin et al., 1990)。
まず各プライマー濃度を0.3 mM から試してみてください。
sテンプレートDNA
(ヒトジェノミックDNA:1∼ 100 ng またはプラスミドDNA:10 ∼ 100 pg)
s 1 ∼ 5 U のTaq DNAポリメラーゼ
ノート:ポリメラーゼの添加量は実験的に決定する必要があります。まず2.5 ユニットを
試してみてください。
s滅菌再蒸留水を加え、最終容量を100μl に調整します。
2
試薬を混和し、ミネラルオイルで重層した後、上記の操作方法 IIA(ユニークなシーケンスを持つプ
ローブのラベリング)のステップ 2 から 5 の方法に則ってPCRを実行します
3
オプション:ラベルプローブを以下のステップで沈殿させます。
ノート:以下のエタノール沈殿法の別法として、100 bpよも長いラベルしたプローブの精製にHigh
Pure PCR Product Purification Kitを利用することもできます。
この操作方法については、本Chapter 71ページを参照ください。
sラベルされたDNAに、10μl の 4 M LiCl と300μl の予め冷却(─15 ∼ ─25℃に)
した100%
エタノールを加え、よく混和します。
s─70℃で少なくとも30分間または─15 ∼ ─25℃で 2 時間冷却し、沈殿を形成させます。
s 2 ∼ 8℃で 15分間遠心します(13,000 × g)。
s上清を捨てます。
s100μl の氷冷した70%(v/v)エタノールでペレットを洗浄します。
s 2 ∼ 8℃で 5 分間遠心します(13,000 × g)。
s上清を捨てます。
sペレットを吸引乾燥させます。
4
48
おける反復シーケンス
(ヒトalphoid)
の直接法 in situ
の検出を20∼50回行うのに十分な量です。プロー
ブの作成量を少なくするには、反応容量と組成を
同じ割合でスケールダウンしてください。
注意:ハイブリダイゼーション溶液中にデキストラン硫酸が含まれる場合、少量でもエタ
ノールの残渣が存在すると沈殿を生じる恐れがあるため、ペレットを乾燥させるステップ
は重要です。
エタノールの残渣はまた、バックグラウンドの原因にもなる場合があります。
sペレットを100μl のTEバッファー(10 mM Tris-HCl、1 mM EDTA、pH 8.0)で懸濁し
ます。
ノート:ハイブリダイゼーションバッファー(ステップ 4 で使用)中に高濃度のフォルム
アミドが含まれる場合、プローブのペレットを少量のTEバッファーで懸濁し、高濃度の
プローブストック溶液を作製してください。
以下のいずれかの操作を選択してください。
sプローブを直ちに使用しない場合、プローブ溶液を─15 ∼ ─25℃にて保存します。
注意:プローブの凍結融解を繰り返すことは避けてください。
sプローブを直ちに使用する場合、プローブ溶液の一部をin situ 実験に使用するハイブリダイ
ゼーションバッファー
(本マニュアルの Chapter 2 および 5 を参照ください)
で希釈します。
ノート:ハイブリダイゼーション反応に使用するプローブ溶液の量は、実験的に決定す
る必要があります。まずは、ハイブリダイゼーション反応(24 × 24 mmカバースリップ下
で)あたり2 ∼ 5μl のプローブ溶液(オリジナルの100μl 中から)を20μl のハイブリダイ
ゼーション溶液に加え使用してください。プローブが100μl 未満のTEバッファーに懸濁
されている
(上記ステップ 3)
場合、ハイブリダイゼーションバッファーに加える、この濃
縮ストック溶液を比例して減らしてください。
DIG、ビオチン、蛍光分子を用いた DNA、RNA、オリゴヌクレオチドのラベリング方法
この操作に使用する弊社から販売されている試薬
試 薬 名
組 成
Cat. No.
包装単位
PCR DIG Probe Synthesis Kit*,#
DIG-dUTP(アルカリ不安定)をPCRによ
りプローブに取り込ませるラベリング
反応25回分の試薬が含まれるキット
1 636 090
1 キット
(25 反応)
PCR DIG Labeling Mix‡
dATP, dCTP, dGTP 各 2 mM ; 1.9 mM
dTTP ; 0.1 mM DIG-dUTP(アルカリ不安
定); pH 7.0
1 585 550
2 × 25
PCR反応用
PCR Fluorescein Labeling Mix
dATP, dCTP, dGTP 各 2 mM ; 1.5 mM
1 636 154
dTTP ; 0.5 mM フルオレセイン-dUTPを
含む混合液
10 × 濃度のPCRバッファー
(MgCl2 不含)
25 mM MgCl2 溶液
(フルオレセイン-dUTPラベルされ
たプローブを迅速かつ再現をよく合
成するための試薬。ラベルされた
プローブは蛍光 In situ ハイブリダ
イゼーション(FISH)に特に有用で
す。
10 PCR反応用
Taq DNA Polymerase, 5U/μl #
PCRバッファーを含む
1 146 165
1 146 173
1 418 432
1 596 594
1 435 094
100 ユニット
500 ユニット
4 × 250 ユニット
10 × 250 ユニット
20 × 250 ユニット
Taq DNA Polymerase, 1U/μl #
PCRバッファーを含む
1 647 679
1 647 687
250ユニット
4 × 250 ユニット
4
* Roche Diagnostics GmbHにより所有されるEP特許0324 474
‡この製品はRoche Molecular Systems, Inc.およびF. Hoffmann-La Roche Ltd("Roche")が所有する特許により保護さ
れるポリメラーゼチェーンリアクション
(PCR)
への使用に至適化されています。PCRプロセスを使用する際、これら
の特許下におけるライセンス譲渡は、製品購入における購入者への提示を含めて特に示されません。
# ライフサイエンス研究でのポリメラーゼチェーンリアクション
(PCR)
プロセスの使用に関するライセンスは、Applied
Biosystemsを発売元とするか、あるいは認定されたサーマルサイクラーを使用する場合において、ライセンス供与者
である当社からの特定の試薬を購入する際にこれに付随します。
III. ニックトランスレーションミックスを用いた、ニックトランスレーション法に
よるin situ プローブ用の 2本鎖DNAのラベリング
ニックトランスレーション法は、Rigby et al.(1977)
により開発され、Langer et al.(1981)
により核酸の
アナログを取り込ませるために用いられるように
なりました。ここで紹介する方法は、新たに合成
されるDNAに対して、約 20∼25 塩基ごとに 1 分子
の修飾ヌクレオチド(DIG-、ビオチン-、フルオレ
セイン-、AMCA-、あるいはテトラメチルローダミ
ン-修飾されたdUTP)
が取り込まれます。このラベ
リング密度は酵素による修飾ヌクレオチドの取り
込みに最適であり、間接法(免疫学的方法)による
検出において最も高い感度が得られます。
この方法で作成された in situ ハイブリダイゼー
ション用プローブのサイズは、約200∼ 500 塩基と
なるはずです。
ノート: ニックトランスレーションによりラベリ
ングを行なう場合、反応前にDNAを変性させる必
要はありません。
49
DIG、ビオチン、蛍光分子を用いた DNA、RNA、オリゴヌクレオチドのラベリング方法
A. DIG-dUTPまたはビオチン-dUTPを用いたラベリング反応
ステップ
操 作
1
氷上に置いた1.5 ml 滅菌済みマイクロ遠心チューブへ、以下の組成を加えます。
s 1μg のテンプレートDNA
(直鎖化DNAまたはスーパーコイル)
を含む16μl の滅菌再蒸留水
s 4μl の DIG-ニックトランスレーションミックス、またはビオチン-ニックトランスレー
ションミックス
ノート:各ニックトランスレーションミックスには5 × 濃度の反応バッファー、50 %グ
リセロール、DNAポリメラーゼ I、DNase I、dATP, dCTPおよびdGTP各 0.25 mM、
0.17 mM dTTP、0.08 mM X-dUTP(X = DIGまたはビオチン)が含まれます。
2
試薬を混和し、手短に遠心します。
3
15℃、90分間インキュベートします。
4
反応チューブを冷却(0℃)します。
5
反応液から 3μlを分取し、以下の方法で解析します:
s分取した反応液と適量のゲルローディングバッファーを混ぜ、アガロースゲル(ミニゲ
ル)の 1ウェルにアプライ可能な液量となる様に調製します。
sこのサンプル
(プローブ + ゲルローディングバッファー)
を95℃、 3 分間変性させます。
s変性したサンプルを氷上で 3 分間急冷します。
sサンプルとDNA分子量マーカーをアガロースゲル
(ミニゲル)
電気泳動します。
6
プローブの平均的なサイズにより、以下のいずれかの操作を行います。
sプローブの長さが 200∼ 500ヌクレオチドの場合、ステップ 7 へ進みます。
sプローブの長さが 500ヌクレオチド以上の場合、DNAフラグメントが適切なサイズにな
るまで反応チューブを15℃で更にインキュベートします。
ノート:フラグメントが長すぎる場合、ラベル後にプローブを超音波破砕し、適切な
サイズにすることも可能です。
7
以下のいずれかの方法で反応を停止させます。
s 1μl の 0.5 M EDTA(pH 8.0)を 加えます。
sチューブを65℃、10分間加熱します。
4
B. フルオレセイン-dUTPまたはテトラメチルローダミン-dUTPを用いたラベ
リング反応
ステップ
操 作
操 作
1
氷上に置いた 1.5 ml のマイクロ遠心チューブへ以下の組成を加え、50μl の 5 × 濃度の蛍光分子ラベ
リング混合液(12回のラベリング反応に十分な量)を調製します。
s 5μl の 2.5 mM dATP
s 5μl の 2.5 mM dCTP
s 5μl の 2.5 mM dGTP
s 3.4μl の 2.5 mM dTTP
s 4μl の 1 mM フルオレセイン-dUTPまたはテトラメチルローダミン-dUTP
s 27.6μl の滅菌再蒸留水
2
氷上に置いた 1.5 ml のマイクロ遠心チューブへ、以下の組成を加えます。
s 1μg のテンプレートDNA(直鎖またはスーパーコイル)を含む12μl の滅菌再蒸留水
s 4μl の5 × 濃度蛍光分子ラベリング混合液(ステップ 1 で調製したもの)
s 4μl のニックトランスレーションミックス
3
50
ステップ
ノート:ニックトランスレーションミックスには、5 × 濃度の反応バッファー、50 %グ
リセロール、DNAポリメラーゼ I、および DNase I が含まれます。
上記の DIG-およびビオチン-ラベリングのステップ 2 ∼ 7 と同様の操作で、反応液の混和、インキュベー
トおよび反応の停止ステップを行います。
DIG、ビオチン、蛍光分子を用いた DNA、RNA、オリゴヌクレオチドのラベリング方法
C. ラベルされたプローブの精製(オプション)
ステップ
操 作
1
(上記のいずれかの方法により)
ラベルしプローブを以下のステップで沈殿させます。
以下のエタノール沈殿法の別法として、100 bpより長いラベルしたプローブの精製に High Pure PCR
Product Purification Kit を利用することもできます。この操作法については、本Chaprer 51ページを
参照ください。
sラベルされたDNAに、2.5μl の 4 M LiCl と75μl の予めに冷却(−15 ∼ −25℃に)した100
%エタノールを加え、よく混和します。
s−70℃で少なくとも30分間または−15 ∼ −25℃で 2 時間冷却し、
沈殿を形成させます。
s 2 ∼ 8℃にて 15分間遠心します(13,000 × gで)。
s上清を捨てます。
s 50μl の氷冷70 %(v / v)エタノール でペレットを洗浄します。
s 2 ∼ 8℃で 5 分間遠心します(13,000 × gで)。
s上清を捨てます。
sペレットを吸引乾燥させます。
注意:ハイブリダイゼーション溶液中にデキストラン硫酸が含まれる場合、少量でもエ
タノールの残渣が存在すると沈殿を生じる恐れがあるため、ペレットを乾燥させるス
テップは重要です。エタノールの残渣はまた、バックグラウンドの原因にもなる場合があ
ります。
2
以下のいずれかの操作を選択してください。
s調製したプローブをすぐに使用しない場合、ペレットを最少量のTEバッファー
(10 mM
Tris- HCl、1 mM EDTA、pH 8.0)
で懸濁し、このプローブ溶液を−15 ∼ −25℃にて保存し
4
ます。
注意:プローブの凍結融解を繰り返すことは避けてください。
s調製したプローブをすぐに使用する場合、ペレットを最少量の適切なバッファー
(TEバッ
ファー、リン酸ナトリウムバッファー等)で懸濁し、このプローブ溶液をin situ 実験
で用いるハイブリダイゼーションバッファーで適当なストック溶液濃度
(例えば10∼40
ng /μl)に希釈します
(本マニュアルの Chapter 2 および Chapter 5 を参照ください)。
この操作に使用する弊社から販売されている試薬
試 薬 名
組 成
Cat. No.
包装単位
DIG-Nick Translation Mix
50 %(v / v)グリセロールを含む5 × 濃度の
反応バッファー溶液:
DNAポリメラーゼ I、DNase I、0.25 mM
dATP、0.25 mM dCTP、0.25 mM dGTP、
0.17 mM dTTPおよび0.08 mM DIG-11dUTP(アルカリ不安定)を含む。
1 745 816
160μl
(40ラベリング反応)
Biotin-Nick Translation Mix
50 %(v / v)グリセロールを含む5 × 濃度の
反応バッファー溶液:
DNAポリメラーゼ I、DNase I、0.25 mM
dATP、0.25 mM dCTP、0.25 mM dGTP、
0.17 mM dTTP および 0.08 mMビオチン
-16-dUTPを含む。
1 745 824
160μl
(40ラベリング反応)
Nick Translation Mix
50 %(v / v)グリセロールを含む5 × 濃度の
反応バッファー溶液:
DNAポリメラーゼ I、DNase Iを含む。
1 745 808
200μl
(50ラベリング反応)
dNTP Set
dATP、dCTP、dGTP、dTTP各100 mM
リチウム塩溶液のセット
1 277 049
4 × 10μmol
(100μl)
Fluorescein-12-dUTP
テトラリチウム塩、1 mM 溶液
1 373 242
25 nmol
(25μl)
Tetramethylrhodamine-5dUTP
テトラリチウム塩、1 mM 溶液
1 534 378
25 nmol
(25μl)
51
DIG、ビオチン、蛍光分子を用いた DNA、RNA、オリゴヌクレオチドのラベリング方法
IV. DIG、ビオチン、または蛍光分子ラベルされたdUTPを用いた、ニックトランス
レーション法による2本鎖DNAのラベリング
Department of Cytochemistry and Cytometry, University of Leiden, Netherlands, and Department of
Genetics, Yale University, U.S.A.
ステップ
ノート:この方法で作成されたin situ ハイブリダ
イゼーション用プローブのサイズは、約200∼400
塩基となるはずです。
操 作
1
氷上に置いた1.5 ml のマイクロ遠心チューブへ、以下の組成を加えます。
s 27μl の滅菌再蒸留水
s 5μl の10 × 濃度のニックトランスレーションバッファー[500 mM Tris-HCl(pH 7.8)
、
50 mM MgCl2、0.5 mg / ml Bovine Serum Albumin(ヌクレアーゼフリー)
]
s 5μl の 100 mM ジチオスレイトール(DTT)
s 4μl のヌクレオチド混合液(dATP、dCTP、dGTP各0.5 mM; 0.1 mM dTTP)
s 2μl の 1 mM DIG-dUTP、または 1 mM ビオチン-dUTP、または 1 mM 蛍光分子ラベルさ
れた dUTPのいずれか
s 1μg のテンプレートDNA
s 5μl(5 ng)のDNase I
s 1μl(10 U)のDNAポリメラーゼ I
2
試薬を混和し、手短に遠心します。
3
15℃、2 時間インキュベートします。
4
反応チューブを冷却(0℃)します。
5
反応液から 3μl を分取し、これをサンプルとしてDNA分子量マーカーと共にアガ ロースゲル(ミニ
ゲル)電気泳動します。
6
プローブの平均的なサイズにより、以下のいずれかの操作を行います。
sプローブの長さが 200∼400ヌクレオチドの場合、ステップ 7 へ進みます。
sプローブの長さが 400ヌクレオチド以上の場合、DNAフラグメントが適切なサイズ
になるまで反応チューブを15℃で更にインキュベートします。
ノート:フラグメントが長すぎる場合、ラベル後にプローブを超音波破砕し、適切なサイ
ズにすることも可能です。
7
以下の方法で反応を停止させます。
sチューブにキャリアーDNA(50倍量のフラグメント化したニシン精子DNAなど)および
キャリアーRNA(50倍に相当する過剰量の酵母RNAなど)を加えます。
s 0.1倍量の 3 Mの酢酸ナトリウム、pH 5.6を加えます。
s 2.5倍量の予め冷却(−20℃)した100%エタノールを加えます。
s試薬をよく混和します。
注意:混和する際、ピペットチップを使用しないでください。
sチューブを氷上で30分間静置します。
sマイクロ遠心機で 2 ∼ 8℃で30分間遠心します。
s上清を捨てます。
sペレットを吸引乾燥させます。
4
注意:ハイブリダイゼーション溶液中にデキストラン硫酸が含まれる場合、少量でもエ
タノールの残渣が存在すると沈殿を生じる恐れがあるため、ペレットを乾燥させるス
テップは重要です。エタノールの残渣はまた、バックグラウンドの原因にもなる場合があ
ります。
8
以下のいずれかの操作を選択してください。
sプローブをすぐに使用しない場合、ペレットを最少量のTEバッファー
(10 mM Tris-HCl、
1 mM EDTA、pH 8.0)
で懸濁し、このプローブ溶液を−15 ∼ −25℃で 保存します。
注意:プローブの凍結融解を繰り返すことは避けてください。
sプローブをすぐに使用する場合、ペレットを最少量の適切なバッファー
(TEバッファー、
リン酸ナトリウムバッファー等)で懸濁し、このプローブ溶液をin situ 実験で用いるハ
イブリダイゼーションバッファーで適当なストック溶液濃度(例えば10∼40 ng /μl)に
希釈します(本マニュアルの Chapter 2 および Chapter 5を参照ください)。
52
DIG、ビオチン、蛍光分子を用いた DNA、RNA、オリゴヌクレオチドのラベリング方法
この操作に使用する弊社から販売されている試薬
試 薬 名
組 成
Cat. No.
包装単位
Digoxigenin-11-dUTP,
alkali-stable
テトラリチウム塩、1 mM 溶液
1 093 088
1 558 706
1 570 013
25 nmol(25μl)
125 nmol(125μl)
5 × 125 nmol(5 × 125μl)
Fluorescein-12-dUTP
テトラリチウム塩、1 mM 溶液
1 373 242
25 nmol(25μl)
Tetramethylrhodamine-5-dUTP
テトラリチウム塩、1 mM 溶液
1 534 378
25 nmol(25μl)
Biotin-16-dUTP
テトラリチウム塩、1 mM 溶液
1 093 070
50 nmol(50μl)
DNase I
グレード II、凍結乾燥
104 159
100 mg
DNA Polymerase I
エンドヌクレアーゼフリー
642 711
642 720
250 U
1000 U
4
53
DIG、ビオチン、蛍光分子を用いた DNA、RNA、オリゴヌクレオチドのラベリング方法
V. DIG、ビオチン、またはフルオレセインによるRNAラベリングミックスを用
いた、in vitro トランスクリプションによるRNAラベリング
SP6、T7、またはT3 RNAポリメラーゼのプロモー
ターをもつ転写ベクターのポリリンカーサイトに、
転写されるDNAをクローンする必要があります
(Dunn and Studier, 1983; Kassavetis, 1982)。
"ラン・オフ" 転写産物を合成するため、転写
(トラ
ンスクリプション)
を行なう前に制限酵素でテンプ
レートを直鎖化し、5’
末端オーバーハングを作成
します。または、" ラン・アラウンドの転写産物を
作成するには、環状ベクターDNAをテンプレート
として用いることもあります。
5’末端に適切なプロモーターをライゲートさせた
PCRフラグメントも、転写テンプレートとして使用
できます。
以下の反応条件下では、転写産物の約20∼25塩基
ごとに1 分子の修飾ヌクレオチド(DIG-、ビオチ
ン-、またはフルオレセイン-UTP)が取り込まれま
す。ここで解説するヌクレオチド濃度は、十分に
高く保たれているので、2 時間のインキュベーショ
ンで 1μgの直鎖化されたプラスミドDNA
(1kbのイ
ンサート)
から、約10μg の完全長のラベルされた
RNAプローブを得ることができます。反応組成を
スケールアップすることにより、更に多量のラベ
ルされたRNAを合成することが可能です。
ノート:新たにラベルされたRNA量は、テンプ
レートDNAの量、サイズ、直鎖化の部位、および
純度に依存します。
4
ステップ
操 作
1
以下のいずれかの方法により、テンプレートDNAを精製します。
s制限酵素消化により直鎖化したプラスミドDNAは、フェノール /クロロフォルム抽出およ
びエタノール沈殿にて精製します。
s環状プラスミドDNAはエタノール沈殿し、ペレットを10 mM Tris-HCl, pH 8.0で懸濁します。
s 5’末端に適当なプロモーターをライゲートしたPCRフラグメントは、アクリルアミドゲ
ル電気泳動をし、10 mM Tris-HCl, pH 8.0で溶出します。
2
氷上に置いた 1.5 ml のマイクロ遠心チューブへ、以下の組成を加えます。
s 1μgの精製された直鎖プラスミドDNA、あるいは環状プラスミドDNA、あるいは100∼
200 ng の精製されたPCRフラグメントのいずれか
s 2μl の10 × 濃度のDIG RNAラベリングミックス、または10 × 濃度のビオチンRNAラベリ
ングミックス、または10 × 濃度のフルオレセインRNAラベリングミックスのいずれか。
ノート:10 × 濃度のRNAラベリングミックスには、ATP、CTP、GTP各10 mM および
6.5 mM UTP、3.5 mM X-UTP(X = DIG、ビオチン、またはフルオレセイン);pH 7.5(20
℃)が含まれます。
s 2μl の10 × 濃度のトランスクリプションバッファー
[400 mM Tris-HCl(pH 8.0, 20℃)、
60 mM MgCl2、100 mM ジチオスレイトール(DTT)、20 mM スペルミジン]
ノート:10 × 濃度のトランスクリプションバッファーは、SP6、T3、またはT7 RNAポリ
メラーゼ(単品試薬)に添付されるバッファーです。
s 2μl のRNAポリメラーゼ(SP6、T7、またはT3)
s滅菌再蒸留水を加え、最終容量を20μl に調整します。
3
試薬を混和し、手短に遠心します。
4
37℃、2 時間インキュベートします。
ノート:インキュベーション時間を長くしてもラベルされたRNAの収量は増加しません。より多量
のRNAを作成するためには、反応組成をスケールアップしてください。
5
以下のいずれかの操作を行ってください。
sオプション:テンプレートDNAを除去する場合、2 U の DNase I, RNaseフリーを加え、
37℃、15分間インキュベートしします。ステップ 6 へ進みます。
sテンプレートDNAをの除去を行わない場合、ステップ 6 へ進みます。
ノート:ラベルされたRNA転写物の量はテンプレートDNA量をはるかに上回るため
(およそ
10倍程度まで)、プローブをin situ ハイブリダイゼーション実験で使用する前にDNase
処理によるテンプレートDNAの除去を行う必要は通常ありません。
6
2μl の 0.2 M EDTA(pH 8.0)を加え、ポリメラーゼ反応を停止します。
▼
54
DIG、ビオチン、蛍光分子を用いた DNA、RNA、オリゴヌクレオチドのラベリング方法
ステップ
操 作
7
オプション:ラベルしたRNA 転写産物を以下のステップで沈殿させます。
ノート:以下のエタノール沈殿法の別法として、100 bp より長いラベルしたプローブの精製にHigh
Pure PCR Product Purification Kitを利用することもできます。この操作方法については、本Chapterの71ページを参照ください。
s反応チューブに、2.5μl の 4 M LiCl と75μl の予め冷却(−15 ∼ −25℃に)した100 %エタ
ノールを加え、よく混和します。
s−70℃で少なくとも30分間または−15 ∼ −25℃で 2 時間冷却し、沈殿を形成させます。
s 2 ∼ 8℃にて15分間遠心します(13,000 × g)。
s上清を捨てます。
s 50μl の氷冷 70%(v / v)エタノールでペレットを洗浄します。
s 2 ∼ 8℃にて 5 分間遠心します(13,000 × g)。
s上清を捨てます。
sペレットを吸引乾燥させます。
sRNAペレットを100μl の DEPC(ジエチルピロカーボネート)処理した再蒸留水
(または滅
菌再蒸留水)中にて37℃、30分間インキュベートし、懸濁します。
8
転写産物の収量を検定するために、以下の操作を行います。
s転写産物から少量を分取し、既知濃度の RNA スタンダードと共にアガロースまたはアク
リルアミドゲル電気泳動します。
s臭化エチジウム染色を行います。
sラベルされた転写産物と既知濃度のスタンダードとの相対的な染色強度を比較します。
9
4
以下のいずれかの操作を選択してください。
sプローブを直ちに使用しない場合、プローブ溶液を−70℃で保存します。
注意:プローブの凍結融解を繰り返すことは避けてください。
sプローブを直ちに使用する場合、このプローブ溶液をin situ 実験で用いるハイブリダイゼー
ションバッファーで使用濃度(例えば 0.2 ∼ 10 ng /μl)に希釈します(本マニュアルの
Chapter 5 を参照ください)。
アルカリ加水分解によるRNAプローブの長さの調節
アプリケーションによって、他の技術と比べ短い
RNAプローブを必要とする場合があります。
In situ ハイブリダイゼーションを行なう際、組織
内への浸透が可能な程度に短いプローブが必要と
されます。アルカリ加水分解は、このようなアプ
リケーションのためにRNAプローブのサイズを調
節することを可能とします。
操 作
以下の操作方法は、Cox, et al.(1984, Develop. Biol.
101, 485-502)により発表されたアルカリ加水分解
によるRNAプローブのサイズを調節するプロト
コールに変更を加えたものです。このプロトコー
ルは、DIG-UTPラベルされたRNAプローブでの使
用に適しています。
55
DIG、ビオチン、蛍光分子を用いた DNA、RNA、オリゴヌクレオチドのラベリング方法
ステップ
操 作
1
1μg のRNAに等量のDMPC処理水と 2 倍量の炭酸バッファーを加え、60℃、10∼60分間インキュベー
トし加水分解します。
インキュベーション時間は以下の式に基づいて計算します。ただし、最適なインキュベーション時
間は実験的に決定する必要があります。炭酸バッファーを加えた後、わずか30秒で加水分解反応が
始まることが確認されています。
2
等量の加水分解-中和バッファーを加え、加水分解反応を停止させます。
3
3 倍量の予め冷却したエタノールを加え、RNAを沈殿させます。よく混和し、−70℃、30分間静置し
ます。
4
マイクロ遠心機で、+ 4℃で15分間遠心します(13,000 × g)。
5
エタノールを捨て、100μl の予め冷却した70 %エタノールでペレットを洗浄します。
マイクロ遠心機で、+ 4℃で 5 分間遠心した(13,000 × g)後、70 %エタノールを捨てます。
6
ペレットを乾燥させ、100μl のDMPC処理水で再懸濁します。このプローブを直ちに使用しない場
合には、−70℃で保存します。
7
10μl の加水分解されたRNAを、臭化エチジウムを含む1 %アガロースゲルで電気泳動し、プローブ
の長さを確認します。
4
追加で必要とされる溶液
組 成
DMPC-処理水
0.1 %ジメチルピロカーボネートで処理した滅菌蒸留水
炭酸バッファー
60 mM Na2CO3、40 mM NaHCO3;pH 10.2
加水分解-中和バッファー
3 M 酢酸ナトリウム、1 %(v / v)酢酸;pH 6.0
エタノール
─20℃で冷却した無水エタノール。70 %エタノールはこれを
DMPC処理水で希釈したもの。
限定されたアルカリ加水分解(オプション)
以下の式にしたがって、インキュベーション時間を計算します。
t=
(L o - L f)
k x Lo x Lf
L o = 転写産物の最初の長さ(kb)
L f = 目的とするプローブの長さ(kb)
k = 定数 = 0.11 kb/min
56
DIG、ビオチン、蛍光分子を用いた DNA、RNA、オリゴヌクレオチドのラベリング方法
この操作に使用する弊社から販売されている試薬
試薬名
内 容
Cat. No. またはバイアル番号
DIG RNA Labeling Kit
[SP6, T7]
2 × 10ラベリング反応用のキット
Cat. No. 1 175 025
DIG RNA Labeling Mix
ATP、CTP、GTP各10 mM、6.5 mM
UTP、3.5 mM DIG-UTP が Tris-HCl,
pH 7.5(+ 20℃)溶液中に溶解されて
いる
・DIG RNA Labeling Kit(SP6 / T7)
(Cat. No. 1 175 025)のバイアル 7
・DIG RNA Labeling Mix(Cat. No. 1 277 073)
または、以下のいずれかをお選びください。
Biotin RNA Labeling
ATP、CTP、GTP各10 mM、6.5 mM
Mix
UTP、3.5 mM ビオチン-16-UTP が
Tris-HCl, pH 7.5(+ 20℃)溶液中に溶
解されている
Cat. No. 1 685 597
Fluorescein RNA
Labeling Mix
ATP、CTP、GTP各10 mM、6.5 mM
UTP、3.5 mM フルオレセイン-12UTP がTris-HCl, pH 7.5(+ 20℃)溶液
中に溶解されている
Cat. No. 1 685 619
10x Transcription
buffer
400 mM Tris-HCl, pH 8.0 ; 60 mM
・DIG RNA Labeling Kit(SP6 / T7)
DNase I, RNase-free
4
MgCl2、100 mM ジチオエリスリトー
(Cat. No. 1 175 025)のバイアル 8
ル(DTE)、20 mM スペルミジン、
100 m M NaCl、1 U / ml RNaseイン
ヒビター
・RNAポリメラーゼの添付バッファーとして
10 U /μl DNase I, RNaseフリー
・DIG RNA Labeling Kit(SP6 / T7)
(Cat. No. 1 175 025)のバイアル 9
・DNase I, RNase-free(Cat. No. 776 785)
Protector RNase
Inhibitor
2,000 U
Cat. No. 3 335 399
10,000 U
Cat. No. 3 335 402
20 U /μl SP6 RNA ポリメラーゼ
・DIG RNA Labeling Kit(SP6 / T7)
以下のいずれかをお選びください。
SP6 RNA Polymerase
(Cat. No. 1 175 025)のバイアル 11
・SP6 RNA Polymerase
(Cat. No. 810 274, 1 487 671)
T7 RNA Polymerase
20 U /μl T7 RNA ポリメラーゼ
・DIG RNA Labeling Kit(SP6 / T7)
(Cat. No. 1 175 025)のバイアル 12
・T7 RNA Polymerase
(Cat. No. 881 767, 881 775)
T3 RNA Polymerase
20 U /μl T3 RNA ポリメラーゼ
・T3 RNA Polymerase
(Cat. No. 1 031 163, 1 031 171)
57
DIG、ビオチン、蛍光分子を用いた DNA、RNA、オリゴヌクレオチドのラベリング方法
VI. DIG-ddUTPまたはビオチン-ddUTPを用いた、オリゴヌクレオチドの 3' 末端
ラベリング
ターミナルトランスフェラーゼを使用し、オリゴ
ヌクレオチドの3’
末端に修飾ジデオキシウリジン3リン酸(DIG-ddUTPなど)を 1 分子付加させる方
法です(Schmitz et al., 1990)。
ステップ
ノート:この方法により、HPLCまたはゲルによ
り精製された14∼100ヌクレオチドの長さのオリゴ
ヌクレオチドをラベルすることが可能です。
操 作
1
精製されたオリゴヌクレオチドを滅菌再蒸留水に溶解します。
2
X-ddUTP(X = DIGまたはビオチン)を再蒸留水で、1 mM 溶液を調製します。
3
氷上に置いたマイクロ遠心チューブへ、以下の組成を加えます。
注意:5 × 反応バッファーには毒性物質が含まれています。取り扱いには十分ご注意ください。
s 4μl の 5 × 反応バッファー[1 M カコジル酸カリウム、0.125 M Tris-HCl、1.25 mg / ml
ウシ血清アルブミン ; pH 6.6(25℃)]
(バイアル 1)
ノート:バイアル番号は、DIG Oligonucleotide 3'-End Labeling Kit, 2nd Generation 内
のバイアルに対応します。
s 4μl の25 mM CoCl(バイアル
2
2)
s 100 pmol のオリゴヌクレオチド
ノート: この標準的な反応では、オリゴヌクレオチド濃度を高くしないでください。
ラベルされたオリゴヌクレオチドを大量に合成したい場合、反応組成および容量全て
をスケールアップしてください。
s 1μl の 1 mM DIG-ddUTP(バイアル 3)または 1 mM ビオチン-ddUTPいずれか
s 1μl(400 U)
のターミナルトランスフェラーゼ
[60 mM K-リン酸
(pH 7.2, 4℃)
15 mM KCl、
4
1 mM 2-メルカプトエタノール、0.5% Triton X-100、50% グリセロール溶液; pH 6.5
(25℃)]
(バイアル 4)
s再蒸留水を加え、最終容量を20μl に調整します。
4
試薬をを混和し、手短に遠心します。
5
37℃、15分間インキュベートした後、氷上に静置します。
6
オプション:以下のいずれかの操作で反応を停止させます。
s 200μl の 0.2 M EDTAに 1μl のグリコーゲン溶液
(再蒸留水中にて20 mg / ml)を加え混和し
ます。反応溶液へ 2μl のグリコーゲン-EDTA混合試薬を加えます。
s反応溶液へ 2μl の 0.2 M EDTA(pH 8.0)を加えます。
ノート:フェノール/ クロロフォルム抽出による反応停止を行わないでください。
ラベルされたオリゴヌクレオチドが有機層へ移行し失われてしまうためです。
7
オプション:ラベルしたオリゴヌクレオチドを以下のステップで沈殿させます。
s反応チューブに、2.5μl の 4 M LiCl と75μl の予め冷却
(−15 ∼ −25℃)
した100 %エタノー
ルを加え、よく混和します。
s−70℃で少なくとも30分間または −15 ∼ −25℃で 2 時間冷却し、沈殿を形成させます。
s 2 ∼ 8℃にて15分間遠心します(13,000 × g)。
s上清を捨てます。
s 50μl の氷冷した70 %(v / v)エタノールでペレットを洗浄します。
s 2 ∼ 8℃にて 5 分間遠心します(13,000 × g)。
s上清を捨てます。
sペレットを吸引乾燥させます。
▼
58
DIG、ビオチン、蛍光分子を用いた DNA、RNA、オリゴヌクレオチドのラベリング方法
ステップ
操 作
8
以下のいずれかの操作を選択してください。
sラベルされたプローブをすぐに使用しない場合、ペレットを最少量の滅菌再蒸留水で溶解
し、このプローブ溶液を−15 ∼ −25℃にて保存します。少なくとも 1 年間保存すること
が可能です。
注意:プローブの凍結融解を繰り返すことは避けてください。
sプローブをすぐに使用する場合、ペレットを最少量の滅菌再蒸留水に溶解し、in situ 実
験に用いるハイブリダイゼーションバッファーで適当な濃度
(例えば 1 ∼ 7 ng /μl)に希釈
してストック溶液を作成します。
(本マニュアルの Chapter 2 および 5 を参照ください)
。
9
ラベリング効率の検定は、ラベル済みのコントロール・オリゴヌクレオチド(バイアル 6 )とプロー
ブとの、ハイブリダイゼーションまたは直接検出により比較することで確認が可能です。直接検出
による定期的なラベリング効率の検定を行うことをお勧めします
(65ページを参照ください)
。
10
ラベルされたオリゴヌクレオチドは、未ラベルのオリゴヌクレオチドと合わせてポリアクリルアミ
ドゲル電気泳動-銀染色を行って解析します。DIGラベルされたオリゴヌクレオチドは、ラベルの付
加のため高分子量側へシフトします。標準的な反応でラベルされたコントロール・オリゴヌクレオ
チドは全て、末端ラベルされた状態を示す高分子側へのシフトがみられます。
ノート:ラベリング反応中のオリゴヌクレオチド量を増加させることはお勧めできません。
プローブの収量を増やしたい場合、反応容量および組成の全てを比例して増やしてください。
4
この操作に使用する弊社から販売されている試薬
試薬名
内 容
Cat. No. またはバイアル番号
DIG Oligonucleotide 3’-End Labeling Kit, 2nd Generation
・(Cat. No. 3 353 575)100 pmol のオリゴヌクレ
オチド × 25回ラベリング用のキット
5 x Reaction Buffer
1 M カコジル酸カリウム、125 mM
Tris-HCl、1.25 mg / ml ウシ血清アル
ブミン、pH 6.6(+ 25℃)
・DIG Oligonucleotide 3’-End Labeling Kit, 2nd
Generation(Cat. No. 3 353 575)のバイアル 1
・ターミナルトランスフェラーゼの添付バッファー
として
CoCl2 solution
25 mM 塩化コバルト(CoCl2)
・DIG Oligonucleotide 3’-End Labeling Kit, 2nd
Generation(Cat. No. 3 353 575)のバイアル 2
・ターミナルトランスフェラーゼの添付バッファー
として
DIG-ddUTP
1 mM ジゴキシゲニン-11-ddUTP
・DIG Oligonucleotide 3’-End Labeling Kit, 2nd
(2’
, 3’
-ジデオキシウリジン-5’-3リン Generation(Cat. No. 3 353 575)のバイアル 3
酸、11原子のスペーサーを介してジゴ ・DIG-ddUTP(Cat. No. 1 363 905)
キシゲニンと結合)
、水溶液
Biotin-16-ddUTP
1 mM テトラリチウム塩溶液
・Cat. No. 1 427 598、 25 nmol(25μl)
Terminal Transferase,
recombinant
400 U /μl ターミナルトランスフェラー
ゼ、60 mM K-リン酸(pH 7.2, 4℃)、
150 mM KCl、1 mM 2-メルカプト
エタノール、0.5% Triton X-100、
50% グリセロール
・DIG Oligonucleotide 3’-End Labeling Kit, 2nd
Generation(Cat. No. 3 353 575)のバイアル 4
・Terminal Transferase(Cat. No. 3 333 566);
8,000 U、テーリングまたは3’-末端ラベリング
反応20回分
・Terminal Transferase(Cat. No. 3 333 574);
24,000 U、テーリングまたは 3’-末端ラベリング
反応60回分
From E. coli
59
DIG、ビオチン、蛍光分子を用いた DNA、RNA、オリゴヌクレオチドのラベリング方法
VII.DIG-dUTP、ビオチン-dUTP、またはフルオレセイン-dUTP混合液を用いた、
オリゴヌクレオチドのテーリング
ターミナルトランスフェラーゼを使用し、オリゴ
ヌクレオチドの3’
末端に、ラベルされたdUTPおよ
びdATPとの混合物をテンプレートには依存しない
反応として付加させる方法です(Schmitz et al.,
1990)
。このテーリング反応において、ラベルされ
たdUTPおよび未ラベルのdATPの混合比は、ラベ
ルに用いるハプテンの取り込みが最大となり、ハプ
テンが最適な間隔で取り込まれ、かつ
(特に)
最高の
感度が得られるようにデザインされています。
このラベリング方法では、10から100ヌクレオチド
(平均50ヌクレオチド)
の長さのテールが付加され、
ステップ
4
そのテール中に平均 5 分子のラベルされたdUTPが
取り込まれます。また、ラベルされたdUTPのみか
らなる 2 ∼ 3 ヌクレオチドの長さのテイルを付加さ
せることも可能です
(テールの長さや組成の変更に
ついては、DIG Oligonucleotide Tailing Kit 2nd
Generation の使用説明書を参照ください)。
ノート:この方法により、HPLCまたはゲルによ
り精製された14∼100ヌクレオチドの長さのオリゴ
ヌクレオチドをラベルすることが可能です。
操 作
1
精製されたオリゴヌクレオチドを滅菌再蒸留水に溶解します。
2
X-dUTP(X = DIG、ビオチンまたはフルオレセイン)を再蒸留水で、1 mM 溶液を調製します。
3
氷上に置いたマイクロ遠心チューブへ、以下の組成を加えます。
注意:5 × 反応バッファーには毒性物質が含まれています。取り扱いには十分ご注意ください。
s 4μl の 5 × 反応バッファー[1 M カコジル酸カリウム、0.125 M Tris-HCl、1.25 mg / ml
ウシ血清アルブミン ; pH 6.6(25℃)]
(バイアル 1)
ノート:バイアル番号は、DIG Oligonucleotide Tailing Kit, 2nd Generation 内のバイアル
に対応します。
s 4μl の 25 mM CoCl(バイアル
2
2)
s 100 pmol のオリゴヌクレオチド
ノート:この標準的な反応では、オリゴヌクレオチド濃度を高くしないでください。
ラベルされたオリゴヌクレオチドを大量に合成したい場合、反応組成および容量全てを
スケールアップしてください。
s 1μl の 1 mM DIG-dUTP(バイアル 3)、あるいは 1 mM ビオチン-dUTP、あるいは 1 mM
フルオレセイン-dUTPのいずれか
s 1μl の10 mM dATP[Trisバッファー溶液、pH 7.5(25℃)]
(バイアル 4)
s 1μl(400 U)のターミナルトランスフェラーゼ[200 mM カコジル酸カリウム、1 mM
EDTA、 200 mM KCl、0.2 mg / ml ウシ血清アルブミン、50% グリセロール溶液にて;
pH 6.5(25℃)]
(バイアル 5)
s再蒸留水を加え、最終容量を20μl に調整します。
4
試薬を混和し、手短に遠心します。
5
37℃、15分間インキュベートした後、氷上に静置します。
6
オプション:以下のいずれかの操作で反応を停止させます。
s 200μl の 0.2 M EDTA(pH 8.0)に1μl のグリコーゲン溶液
(再蒸留水中にて20 mg / ml)
(バ
イアル 9)
を加え、混和します。反応溶液に、 2μl グリコーゲン-EDTA混合試薬を加えます。
s反応溶液へ 2μl の 0.2 M EDTA(pH 8.0)を加えます。
ノート:フェノール / クロロフォルム抽出による反応停止を行わないでください。
ラベルされたオリゴヌクレオチドが有機層へ移行し失われてしまうためです。
▼
60
DIG、ビオチン、蛍光分子を用いた DNA、RNA、オリゴヌクレオチドのラベリング方法
ステップ
操 作
7
オプション:ラベルしオリゴヌクレオチドを以下のステップで沈殿させます。
s反応チューブに、2.5μl の 4 M LiCl と75μl の予め冷却(−15 ∼ −25℃)した100%エタノー
ルを加え、よく混和させます。
s−70℃で少なくとも30分間または −15 ∼ −25℃で 2 時間冷却し、
沈殿を形成させます。
s 2 ∼ 8℃にて15分間遠心します(13,000 × g)。
s上清を捨てます。
s 50μl の氷冷した70%(v/v)エタノールでペレットを洗浄します。
s 2 ∼ 8℃にて 5 分間遠心します(13,000 × g)。
s上清を捨てます。
sペレットを吸引乾燥させます。
8
以下のいずれかの操作を選択してください。
sラベルされたプローブをすぐに使用しない場合、ペレットを最少量の滅菌再蒸留水で溶解
し、このプローブ溶液を−15 ∼ −25℃にて保存します。
注意:プローブの凍結融解を繰り返すことは避けてください。
sプローブをすぐに使用する場合、ペレットを最少量の滅菌再蒸留水に溶解し、in situ 実
験に用いるハイブリダイゼーションバッファーで適当な濃度
(例えば 1∼7 ng /μl)
に希釈してストック溶液を作成します。
(本マニュアルの Chapter 2 および 5 を参照ください)
。
9
ラベリング効率の検定は、ラベル済みのコントロールオリゴヌクレオチド(バイアル 7)とプローブ
との、ハイブリダイゼーションまたは直接検出により比較することで確認が可能です。直接検出に
よる定期的なラベリング効率の検定を行うことをお勧めします
(DIG Nucleic Acid Detection Kit を参照)
。
10
テーリングされたオリゴヌクレオチドは、テーリングされていないオリゴヌクレオチドと合わせて
ポリアクリルアミドゲル電気泳動-銀染色を行って解析します。DIGでテーリングされたオリゴヌクレ
オチドは、高分子量側への不均一なシフトがみられ、ポリアクリルアミドゲル上でスメアとして検出
されます。標準的な反応でテーリングされたコントロールオリゴヌクレオチドは全て、高分子側へ
のシフトがみられます。
ノート:ラベリング反応のオリゴヌクレオチド量を増加させることはお勧めできません。
プローブの収量を増やしたい場合、反応容量および組成の全てを比例して増やしてください。
4
ラベルされたプローブの安定性
DIGラベルされたプローブは、−15 ∼ −25℃にて少なくとも 1 年間保存することが可能です。
61
DIG、ビオチン、蛍光分子を用いた DNA、RNA、オリゴヌクレオチドのラベリング方法
この操作に使用する弊社から販売されている試薬
試薬名
内 容
DIG Oligonucleotide Tailing Kit,
2nd Generation
Cat. No. またはバイアル番号
・(Cat. No. 3 353 583)100 pmol オリゴヌクレ
オチド × 25回ラベリング用のキット
5x Reaction Buffer
1 M カコジル酸カリウム、125 mM
Tris-HCl、1.25 mg / mlウシ血清アル
ブミン、pH 6.6(+ 25℃)
・DIG Oligonucleotide Tailing Kit, 2nd Generation
(Cat. No. 3 353 583)のバイアル 1
・ターミナルトランスフェラーゼの添付バッファー
として
CoCl2 solution
25 mM 塩化コバルト(CoCl2)
・DIG Oligonucleotide Tailing Kit, 2nd Generation
(Cat. No. 3 353 583)のバイアル 2
・ターミナルトランスフェラーゼの添付バッファー
として
DIG-dUTP
1 mM ジゴキシゲニン-11-dUTP(2'-
・DIG Oligonucleotide Tailing Kit, 2nd Generation
デオキシウリジン-5’-3リン酸、11原
子分のスペーサーを介してジゴキシ
ゲニンと結合)、水溶液
(Cat. No. 3 353 583)のバイアル 3
・DIG-dUTP, alkali-labile(Cat. No. 1 573 152、
1 573 179)
・DIG-dUTP, alkali-stable(Cat. No. 1 093 088、
1 558 706、1 570 013)
dATP
10 mM dATP, リチウム塩、
Trisバッファー, pH 7.5 中に溶解
・DIG Oligonucleotide Tailing Kit, 2nd Generation
(Cat. No. 3 353 583)のバイアル 4
・dATP[Cat. No. 1 051 440
(100 mM溶液として
販売。使用前に希釈する必要があります。)]
Terminal Transferase,
recombinant
400 U /μl ターミナルトランスフェラ
・DIG Oligonucleotide Tailing Kit, 2nd Generation
From E. coli
150 mM KCl、1 mM 2 -メルカプト ・Terminal Transferase(Cat. No. 3 333 566);
エタノール、0.5% Triton X-100、50% 8,000 U、テーリングまたは3’-末端ラベリング
グリセロール
反応20回分
・Terminal Transferase(Cat. No. 3 333 574);
24,000 U、テーリングまたは3’
-末端ラベリング
反応60回分
Glycogen
20 mg / ml、水溶液
4
ーゼ、60 mM K-リン酸(pH 7.2, 4℃)、 (Cat. No. 3 353 583)のバイアル 5
・Cat. No. 901 393
From mussels
リファレンス
Dunn, J. J.; Studier, F. W. (1983) Complete nucleotides
sequence of bacteriophage T7 DNA and the locations of T7
genetic elements. J. Mol. Biol. 166, 477-535.
Feinberg, P.; Vogelstein, B. (1984) A technique for radiolabeling DNA restriction enzyme fragments to high specific
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62
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Labeling deoxyribonucleic acid to high specific activity
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Nonradioactive labeling of oligonucleotides in vitro with the
hapten digoxigenin by tailing with terminal transferase.
Anal. Biochem. 192, 222-231.
DIG、ビオチン、蛍光分子を用いた DNA、RNA、オリゴヌクレオチドのラベリング方法
VIII. DIGまたはビオチンを用いた、DNAまたはRNAのChem-Linkラベリング
DIGまたはビオチンの直接ラベリング法は、シン
プルなRNAやDNAから複雑なものまでをワンス
テップでラベルする技術です。このラベリング反
応では、平均10ヌクレオチドごとに 1 分子のDIG
またはビオチンが挿入されます。DIGあるいはビ
オチンは、グアノシン基およびアデノシン基のN7
位に直接結合されます。ここでは、どのような
DNA(プラスミド、PCR産物、mRNA由来のcDNA
+
など)
やRNA
[トータルRNA、poly
(A)mRNAなど]
をDIG Chem-Linkで直接ラベルする方法について
解説します。
ノート: DIG-Chem-LinkまたはビオチンChemLinkをオリゴヌクレオチドのラベリングにも利用
できます。より詳しい情報は、DIG Chem-Link Labeling and Detection SetあるいはBiotin Chem-Link
の使用説明書を参照ください。
操作方法
DIG直接ラベリングのためのプロトコールは、2 つ
の操作方法からなります。各操作の所要時間は下
記の通りです。
DNAまたはRNAテンプレートの調製
8 ∼ 60分間
▼
DIGの直接ラベリング
35分間
4
DNAまたはRNAテンプレートの調製
標準的なラベリング反応には、0.2 ∼ 0.5μl の精製
DNAまたはRNAが必要です。DIG Chem-Linkはオ
リゴヌクレオチド、DNA、またはRNAのラベリン
グに利用可能ですが、いずれのラベリング用テン
プレートでも十分に精製しておく必要がありま
す。精製度に関する一般的なガイドラインを以下
に示します:
DIG Chem-Linkのテンプレートとして必要とされる純度
核酸タイプ
必要とされる純度
血液、培養細胞、組織、酵母、細菌
由来のジェノミックDNA
RNAおよびヌクレオチドを含まない。
細胞の残渣や他のマクロ分子を含まない。
精製方法の例:High Pure PCR Template Purification Kit1 を用
いてジェノミックDNAを調製し、オプションとしてRNase
処理を行いRNAを除去します。
E. coli 由来のプラスミドDNA
RNA およびヌクレオチドを含まない。
細胞の残渣や他のマクロ分子を含まない。
精製方法の例:High Pure Plasmid Isolation Kit1 を用いて
プラスミドDNAを調製します。
PCR産物またはRT-PCR産物
(cDNA)
増幅反応に使用したヌクレオチド、プライマー、その他の小分
子(バッファー構成分など)を含まない。
精製方法の例:PCR または RT-PCR 産物をQuick Spinカラム
(Sephadex G-50 fine)で精製するか、High Pure PCR Product
Purification Kitを用いて精製します。
細胞または組織由来のトータルRNA DNAおよびヌクレオチドを含まない。
細胞の残渣や他のマクロ分子を含まない。
精製方法の例:High Pure RNA Isolation Kit1 を用いてトータル
RNAを分離することが可能です。
トータルRNA、培養細胞または組織 RNA、DNAおよびヌクレオチドを含まない。
+
由来のpoly(A) mRNA
細胞の残渣や他のマクロ分子を含まない。
精製方法の例:mRNA Isolation Kit1 を用いてpoly(A)+ mRNAを
分離することが可能です。
1 これらの精製操作には、8 ∼ 60分間要します。詳しくはそれぞれのキットの使用説明書を参照ください。
また、使用説明書は弊社ウェブサイトからもご覧頂けます(http://www.roche-applied-science.com)。
63
DIG、ビオチン、蛍光分子を用いた DNA、RNA、オリゴヌクレオチドのラベリング方法
DIG Chem-Linkを用いて、mRNAまたはcDNAを直接DIGラベリングする
ノート:バイアル番号は、DIG Chem-Link ラベリン
グおよび検出セット内のバイアルに対応します。
ステップ
4
64
操 作
所要時間
1
ウォーターバスまたはヒートブロックを85℃に加温します。
3 分間
2
滅菌済み反応チューブに以下の組成を加えます:
・ 2μg の精製DNAまたは RNA
・ 2μl の DIG Chem-Link(バイアル 1)
・滅菌再蒸留水で最終容量が 20μl に調整します。
ノート:このラベリング反応はスケールアップまたはスケールダウンすることが
可能です。この場合、テンプレートとDIG Chem Linkとの比率は必ず 1:1 とします。
例えば、最終容量が 50μl の溶液中で 0.2μl のテンプレートを0.2μl のDIG ChemLink でラベルするなど。
1 分間
3
反応チューブをウォーターバスまたはヒートブロックに設置し、85℃、30分間
インキュベートします。
30分間
4
チューブを手短に遠心し、溶液を全てチューブの底に集めます。
1 分間
5
5μl のストップ溶液(バイアル 2)を加え、反応を停止させます。
ノート:ラベルされた核酸はハイブリダイゼーションプローブとして、精製せず
に直接使用することが可能です。
6
キットの使用説明書に解説される方法で、ラベリング効率の検定を行います。
http://www.roche-applied-science.com/pack-insert/1836463
-
DIG、ビオチン、蛍光分子を用いた DNA、RNA、オリゴヌクレオチドのラベリング方法
DNAまたはRNAの直接ラベリングのための製品
製品名
Cat. No.
内 容
DIG Chem-Link Labeling 1 836 463
and Detection Set*
・DIG Chem-Link 試薬
・ストップ溶液
・抗DIG抗体, アルカリホスファターゼ標識
Biotin Chem-Link*
・ビオチン Chem-Link試薬
・ストップ溶液
1 812 149
直接ラベリングに必要追加な試薬および設備
必要となる試薬 / 設備
内容 / 製品
DNAを精製するためのキット ・ジェノミックDNA:High Pure Template Purification Kit‡
(Cat. No. 1 796 828)
・プラスミドDNA:High Pure Plasmid Isolation Kit
(Cat. No. 1 754 777 または 1 754 785)
・PCR産物またはRT-PCR産物:High Pure PCR Product
Purification Kit‡(Cat. No. 1 732 668)またはQuick Spin Columns,
4
Sephadex G-50 fine(Cat. No. 1 273 973)
RNAを精製するためのキット ・トータルRNA:High Pure RNA Isolation Kit‡(Cat. No. 1 828 665)
または、
+
・poly(A) mRNA:mRNA Isolation Kit(Cat. No. 1 741 985)
ラベルされたプローブを精製 長期保存するためのラベルされたプローブの調製:Quick Spin Columns
するためのカラム
Sephadex G-50 fine(Cat. No. 1 273 965 または 1 273 973)
* この製品はKREATECH Biotechnology B.V. のライセンスに基づいて販売されています。この製品またはその使用に
ついては、KREATECH Biotechnology B.V.の 1 つまたは複数の特許により保護される場合があります。これらの特許
には以下のものが含まれます。EP特許0539466(承認済み); U.S.特許 5,580,990(承認済み)。
‡この製品はポリメラーゼチェーンリアクション(PCR)への使用のために最適化され、Roche Molecular Systems, Inc
および F. Hoffmann-La Roche Ltd(Roche)の所有する特許により保護されます。これらの特許保護下では、この製品
の購入によりそのPCRプロセスへの使用権が購入者に直接または間接的に譲渡されることはありません。
IX. DIGラベルされた核酸の収量検定
ラベリング反応から得られるD I G ラベルされた
DNAを正確に定量することは、メンブレンハイブ
リダイゼーションあるいは in situ ハイブリダイゼー
ションの結果を最適化し、再現性をもたらすため
に極めて重要です。ハイブリダイゼーション溶液
中のプローブ濃度が高すぎればバックグラウンド
の原因となり、低すぎればシグナルが弱くなってし
まいます。
DIGラベリングによる収量を検定するには以下の
方法があります:
ラベリング反応物の希釈系列および既知スタン
ダード希釈系列の双方をナイロンメンブレン上に
スポットします。このメンブレンを短時間の検出
法で処理します。
例外:PCRラベルされたDIGプローブはアガロー
スゲル上でチェックを行ってください
(44ページを
参照ください)。
DIGラベルされたコントロールを用いた、スポット試験による収量の検定
DIGラベルされた、核酸サンプルとコントロール
(ラベリングキットの構成内容として含まれる)を
同時に比較することにより、収量の検定が行えま
す。それぞれの希釈系列を調製し、メンブレン上
にスポットします。続いてこのメンブレンに対し
て発色検出サンプルおよびコントロールの発色強
度を比較することにより決定できます。
必要となる製品
DNAおよびRNAの収量検定に用いるDIGラベルさ
れたコントロールは、単一試薬として、あるいはラ
ベリングキットの構成内容として供給されます。
DIG-dUTP/dATPによりテーリングおよび 3’
-末端
ラベルされたオリゴヌクレオチド・コントロールは、
DIG Oligonucleotide Tailing Kit, 2nd Generation
およびDIG Oligonucleotide 3’-End Labeling Kit,
2nd Generation にのみ含まれています。
65
DIG、ビオチン、蛍光分子を用いた DNA、RNA、オリゴヌクレオチドのラベリング方法
この操作に使用する弊社から販売されている試薬
試薬名
内 容
Cat. No. またはバイアル番号
ラベル済みコントロールDNA
pBR328 DNAを標準的なラベリング方法
に則り、ランダムプライム法によりジゴキ
シゲニンラベルしたもの。バイアル中の
トータルDNA濃度は25μg / ml ですが、
そのうちDIGラベルされたDNAは 5μg
/mlです。
・DIG DNA Labeling and Detection Kit
(Cat. No. 1 093 657)のバイアル 4
・ DIG DNA Labeling Kit
(Cat. No. 1 175 033)のバイアル 4
・DIG Nucleic Acid Detection Kit
(Cat. No. 1 175 041)のバイアル 1
・DIG-labeled Control DNA
(Cat. No. 1 585 738)
DIG-ddUTPラベル済み
コントロールオリゴヌクレオチド
2.5 pmol /μl のオリゴヌクレオチド。標準 ・DIG Oligonucleotide 3’-End Labeling Kit,
的なラベリング方法に則り、ジゴキシゲニ 2nd Generation(Cat. No. 3 353 575)のバイア
ン-11-ddUTPでラベルしたもの。
ル 6
DIG-dUTP/dATPテーリング済み 2.5 pmol /μl のオリゴヌクレオチド。標準 ・DIG Oligonucleotide Tailing Kit, 2nd Generation
コントロールオリゴヌクレオチド
的なラベリング方法に則り、
ジゴキシゲニン (Cat. No. 3 353 583)
-11-dUTPおよびdATPでラベルしたもの。
ラベル済みコントロールRNA
1μg のテンプレートDNAを標準的なラベ ・DIG RNA Labeling Kit
リング方法に則り、T7 RNAポリメラーゼ (Cat. No. 1 175 025)のバイアル 5
を用いた転写反応によりジゴキシゲニン ・DIG-labeled Control RNA
でラベルしたアンチセンス-Neo RNA。 (Cat. No. 1 585 746)
この溶液には、約100μg / ml のDIGラベル
されたRNAおよび10μg / ml の未ラベルの
テンプレートDNAが含まれます。
DNA希釈バッファー
50μg / ml の魚精子由来DNAを含む10 mM ・DIG DNA Labeling Kit
Tris-HCl, pH 8.0(20℃)。
(Cat. No. 1 175 033)のバイアル 3
・DIG DNA Labeling and Detection Kit
(Cat. No. 1 093 657)のバイアル 3
・DIG Nucleic Acid Detection Kit
(Cat. No. 1 175 041)のバイアル 2
・DIG Oligonucleotide 3’-End Labeling Kit,
2nd Generation(Cat. No. 3 353 575)のバイア
ル 9
・DIG Oligonucleotide Tailing Kit, 2nd Generation
(Cat. No. 3 353 583)のバイアル 10
4
66
RNA希釈バッファー
DMPC処理水、20 × SSCおよびフォルムアル
デヒドを 5:3:2 の容量比で混合した溶液。
ブロッキング試薬
核酸ハイブリダイゼーション用ブロッキン ・DIG DNA Labeling and Detection Kit
グ試薬。白色の粉末。
(Cat. No. 1 093 657)のバイアル 11
・DIG Nucleic Acid Detection Kit
(Cat. No. 1 175 041)のバイアル 6
・Blocking Reagent(Cat. No. 1 096 176)
AP標識抗ジゴキシゲニン
アルカリホスファターゼ標識抗ジゴキシ ・DIG DNA Labeling and Detection Kit
ゲニン抗体(Fab)。
(Cat. No. 1 093 657)のバイアル 8
・DIG Nucleic Acid Detection Kit
(Cat. No. 1 175 041)のバイアル 3
・Anti-Digoxigenin-AP, Fab fragments
(Cat. No. 1 093 274)
NBT溶液
ジメチルフォルムアミド中に75 mg / ml に ・DIG DNA Labeling and Detection Kit
溶解したニトロブルーテトラゾリウム塩。 (Cat. No. 1 093 657)のバイアル 9
・DIG Nucleic Acid Detection Kit
(Cat. No. 1 175 041)のバイアル 4
・NBT(Cat. No. 1 383 213)
(100 mg/ml か
ら希釈して使用)
BCIP溶液
ジメチルフォルムアミド中に50 mg / ml に ・DIG DNA Labeling and Detection Kit
溶解した 5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル (Cat. No. 1 093 657)のバイアル 10
リン酸(BCIP)。トルイジン塩。
・DIG Nucleic Acid Detection Kit
(Cat. No. 1 175 041)のバイアル 5
・ BCIP(Cat. No. 1 383 221)
DIG、ビオチン、蛍光分子を用いた DNA、RNA、オリゴヌクレオチドのラベリング方法
以下の必要な溶液のうちTEバッファーを除き、DIG Wash and Block Buffer Set
(Cat. No. 1 585
762)として 10 × 濃度のバッファーにて販売しています。かっこ内のボトル番号は本セットに対応し
ています。あるいは、それぞれの溶液を使用説明書に従って自家調製してください。
追加で必要となる溶液
組成など
洗浄バッファー(ボトル1を再蒸留水
で10倍に希釈して使用)
100 mM マレイン酸、150 mM NaCl;pH 7.5(20℃);
0.3 %(v / v)Tween 20
マレイン酸バッファー(ボトル 2 を
再蒸留水で10倍に希釈して使用)
100 mM マレイン酸、150 mM NaCl;pH 7.5(20℃)
ブロッキング溶液(ボトル 3 を 1×
濃度のマレイン酸バッファーで
10倍に希釈して使用)
核酸ハイブリダイゼーション用ブロッキング試薬を、マレイン
酸バッファーで1 %(w / v)に溶解させた溶液。このブロッキン
グ溶液は不透明ですが、ろ過する必要はありません。 この溶液は
2 ∼ 8℃保存にて少なくとも 2 週間安定です。使用前に15∼25℃
まで戻してから使用してください。
検出バッファー(ボトル 4 を再蒸留
水で10倍に希釈して使用)
100 mM Tris-HCl、100 mM NaCl;pH 9.5(20℃)
TEバッファー
10 mM Tris-HCl、0.1 mM EDTA;pH 8.0(20℃)
4
操 作
ステップ
1
操 作
・5μl のDIGラベルしたコントロールDNA
(オリジナル濃度は 5 ng /μl)と、20μl のDNA希釈バッ
ファーを混和し、1 ng /μl 濃度の溶液を調製します。
・ 2μl のDIGラベルしたコントロールRNA
(オリジナル濃度は100 ng /μl)と、18μl のRNA希釈バッ
ファーとを混和し、10 ng /μl 濃度の溶液を調製します。
・DIG 3’
-末端ラベルまたはテール付加されたオリゴヌクレオチドについては、希釈の必要はありません。
2
適切な希釈方法に従って、( 予め希釈した)コントロールの希釈系列を作成します。
各希釈ステップ間では、溶液をよく混和してください。
希釈方法 A(DNAプローブ用)
チューブ番号
DNA(μl)
D1*
もとのチューブ
番 号
DNA希釈
バッファー(μl)
-
(チューブD1からの)
希釈率
最終濃度
なし
1 ng/μl
D2
2
D1
198
1 : 100
10 pg/μl
D3
15
D2
35
1 : 330
3 pg/μl
D4
5
D2
45
1 : 1000
1 pg/μl
D5
5
D3
45
1 : 3300
0.3 pg/μl
D6
5
D4
45
1 : 10,000
0.1 pg/μl
D7
5
D5
45
1 : 33,000
0.03 pg/μl
D8
5
D6
45
1 : 100,000
0.01 pg/μl
D9
0
-
50
-
0
*ラベルしたプローブまたはコントロールDNAの調製済み溶液
67
DIG、ビオチン、蛍光分子を用いた DNA、RNA、オリゴヌクレオチドのラベリング方法
希釈方法 B(オリゴヌクレオチドプローブ用)
チューブ番号
オリゴ(μl)
もとのチューブ
番 号
DNA希釈
バッファー(μl)
N1*
(チューブ N1からの)
希釈率
-
なし
最終濃度
100 fmol/μl
N2
3
N1
7
1 : 3.3
30 fmol/μl
N3
2
N1
18
1 : 10
10 fmol/μl
N4
2
N2
18
1 : 33
3 fmol/μl
N5
2
N3
18
1 : 100
1 fmol/μl
N6
0
-
20
-
0
*ラベルしたプローブまたはコントロール・オリゴヌクレオチドの調製済み溶液
希釈方法C(RNAプローブ用)
チューブ番号
4
RNA(μl) もとのチューブ RNA希釈
(チューブ R1からの) 最終濃度
番 号
バッファー(μl) 希釈率
R1*
-
10 ng/μl
1 : 10
1 ng/μl
R2
2
R1
18
R3
2
R2
198
1 : 1000
10 pg/μl
R4
15
R3
35
1 : 3300
3 pg/μl
4
R5
5
R3
45
1 : 10
R6
5
R4
45
1 : 3.3 × 104
0.3 pg/μl
R7
5
R5
45
1 : 105
0.1 pg/μl
R8
5
R6
45
1 : 3.3 × 10
6
R9
5
R7
45
1 : 10
R10
0
-
50
-
*ラベルしたプローブまたはコントロールRNAの調製済み溶液
水で高度に希釈されたRNAはあまり安定ではない
ため、希釈溶液の調製後、速やかにスポットする
ようにしてください。RNAをRNA希釈バッファー
(DMPC処理水、20 × SSCおよびフォルムアルデ
ヒドをそれぞれ 5:3:2 の容量比で混合したもの)
を用いて希釈することも可能です。
68
なし
1 pg/μl
5
0.03 pg/μl
0.01 pg/μl
0
DIG、ビオチン、蛍光分子を用いた DNA、RNA、オリゴヌクレオチドのラベリング方法
ステップ
操 作
3
41ページの表 1 を使用して、DNAラベリング反応で予想される収量を概算します。
新たにラベルした実験用 DNAプローブの一部を最終濃度が約 1 ng /μl となるよう、予め希釈しておき
ます。
あるいは、
新たにラベルした実験用オリゴヌクレオチドプローブの一部を最終濃度が100 fmol /μl となるよう、
予め希釈しておきます。
あるいは、
新たに合成された実験用 RNAプローブの一部を最終濃度が約10 ng /μl となるよう、予め希釈して
おきます。標準的なRNAラベリング反応では、1μg のDNAテンプレートから約 10μg の DIGラベル
されたRNAが新たに合成されます。
4
適切な希釈方法に従って、予め希釈しておいた実験用プローブを基に希釈系列を作成します。
- DNAプローブの場合、希釈方法 A をご利用ください。
- オリゴヌクレオチドプローブの場合、希釈方法Bをご利用ください。
- RNAプローブの場合、希釈方法 C をご利用ください。
5
細長く切った
(約 3 × 5 cm)、ポジティブチャージのナイロンメンブレン(Cat. No. 1 209 272)上に、
プローブの希釈系列を 1μlずつ 1 列にスポットします。
- DNAプローブの場合、D2 ∼ D9
- オリゴヌクレオチドプローブの場合、N2 ∼ N6
- RNAプローブの場合、R3 ∼ R10
6
プローブの希釈系列のスポットと並列に、対応するコントロールの希釈系列を1μlずつスポットし
ます
(D2 ∼ D9、N2 ∼ N6、またはR3 ∼ R10にそれぞれ対応した、適切なコントロールから作成され
4
た希釈系列)。
7
メンブレン上にスポットした核酸を以下のいずれかの方法で固定します。
sStratalinker(120 mJ)を用いてクロスリンクさせます。
sUV光を 3 ∼ 5 分間照射しクロスリンクさせます。
sメンブレンを 120℃で30分間ベークします。
sメンブレンを 80℃で 2 時間ベークします。
8
20 ml の洗浄バッファーが入ったプラスチック容器(ペトリ皿など)にメンブレンを移します。
振とうしながら 2 分間洗浄した後、洗浄バッファーを捨てます。
9
10 ml のブロッキング溶液でメンブレンを30分間インキュベートします。
ブロッキング後、溶液を捨てます。
10
ブロッキング溶液でアルカリホスファターゼ標識抗 DIG 抗体を5,000倍希釈し、10 ml の抗体溶液を
調製します。この希釈率は、
NBT/BCIP を基質とする検出用として推奨されます。抗DIG-AP抗体を使
用する前には、オリジナルのバイアルを10,000 rpm にて 5 分間遠心した後、液面からピペットで必
要量を分取して使用してください。
11
10 ml の抗体溶液で30分間メンブレンをインキュベートします。
12
10 ml の洗浄バッファーで、メンブレンを15分間 × 2 回洗浄します。
13
10 ml の検出バッファーで、メンブレンを 2∼5 分間平衡化させます。
14
10 ml の検出バッファーに45μl のNBT溶液と35μl のBCIP溶液を加え混和します。この発色基質溶
液は、使用時に新しく調製してください。
ノート:別法として、DIG Luminescent Detection Kitを用いた化学発光検出を行うことも可能です。
▼
69
DIG、ビオチン、蛍光分子を用いた DNA、RNA、オリゴヌクレオチドのラベリング方法
ステップ
操 作
15
検出バッファーを捨て、発色基質溶液を加えます。遮光して発色を展開させます。発色沈殿は反
応開始数分後からおよそ16時間続きます。発色展開中は容器を揺らさないようにしてください。
16
スポットが十分な発色強度に達したら、メンブレンをTEバッファーまたは再蒸留水で 5 分間洗浄し、
反応を停止させます。
17
コントロールと実験用との希釈系列のスポット発色強度を比較し、実験用プローブの濃度を概算し
ます(図 1を参照ください)。
10
3
1
0.3 0.1 0.03
A
0.01
0
pg
Control
Experimental
100
B
10
1
0.1 0.01
0
pg
Control
Experimental
4
70
図 1:DIGラベルされたDNAの収量の概算
ラベルされたコントロールDNAおよび新たにラベルした
(実験用)
DNAの希釈系列を、弊社のナイロンメンブレン
上にスポットし、固定後、発色
(パネル A)および化学発
光
(パネル B)
による直接検出を行った。
DIG、ビオチン、蛍光分子を用いた DNA、RNA、オリゴヌクレオチドのラベリング方法
X. High Pure PCR Product Purification Kitを用いた、ラベルしたプローブの
精製
High Pure PCR Product Purification Kit は、PCR
増幅反応の産物を効率よく簡便に精製するために
デザインされています。また、DIG DNAおよび
RNAラベリング反応で取り込まれなかったヌクレ
オチドの除去にも最適です。カオトロピック塩存
在下で、グラスファイバー表面に DNA が特異的
に結合します。プライマー、取り込まれなかった
ヌクレオチド、アガロース粒子やタンパクの残渣
は、シンプルな 1 回の洗浄ステップで取り除かれ
ます。続いて、グラスファイバーに結合している
DIGラベルされたDNAは、低塩バッファーで溶出
されます。
ノート: グラスファイバーへの効率よい結合に
は、少なくとも約100 bp の長さが必要です。
従って、このキットはオリゴヌクレオチドのラベ
リング反応液から未反応のヌクレオチドを除去す
る目的には使用できません。
必要となる製品
試薬名
内 容
Cat. No. またはバイアル番号
High Pure PCR Product
Purification Kit
50 回精製用キット
250 回精製用キット
Cat. No. 1 732 668
Cat. No. 1 732 676
核酸バインディグバッファー;
3 M グアニジン-チオシアネート、10 mM
Tris-HCl、5%(v/v)エタノール、
pH 6.6(25℃)
洗浄バッファー;使用前に 4 倍量の無水
エタノールを加えてください
最終濃度;20 mM NaCl, 2 mM Tris-HCl,
pH 7.5(25℃)、80 %エタノール
溶出バッファー;10 mM Tris-HCl,
pH 8.5(25℃)
ポリプロピレンチューブ、予め特殊処理
したグラスファイバー製フリースが 2 層
充填されています。
最大サンプル容量は 700μl
2 ml ポリプロピレンチューブ
バイアル 1
各バッファーの組成:
・結合バッファー、
緑色キャップ
・洗浄バッファー、
青色キャップ
・溶出バッファー
・High Pureフィルター
チューブ
・回収用チューブ
4
バイアル 2
バイアル 3
71
DIG、ビオチン、蛍光分子を用いた DNA、RNA、オリゴヌクレオチドのラベリング方法
操 作
ノート:洗浄バッファー
(バイアル 2、青色キャッ
プ)
には、必ず 4 倍量のエタノールを加えてくださ
い。結合バッファー(バイアル 1、緑色キャップ)
には、刺激性のあるグアニジン-チオシアネートが
含まれます。手袋を着用し、実験室の安全基準に
従って操作を行ってください。
ステップ
4
操 作
1
ラベリング反応液量を再蒸留水で、100μl に調整します。
2
500μl の結合バッファー(バイアル 1、緑色キャップ)を加え、よく混和します。
ノート:サンプルと結合バッファーとの容量比が 1:5 であることが重要です。
サンプルの容量が100μl と異なる場合には、結合バッファーの容量もそれに応じて調節してください。
3
・High Pureフィルターチューブを回収用チューブの中へ挿入します。
・ステップ 2 のサンプルを、フィルターチューブの上部リザーバーへピペットを用いてアプライします。
・標準的な卓上型遠心機を用いて、15∼25℃にて30∼60秒間遠心します(最大速度)。
4
・フィルターチューブを回収用チューブから取り外し、回収用チューブ内のフロースル溶液を捨てます。
・再びフィルターチューブを同じ回収用チューブに取り付けます。
5
・500μl の洗浄バッファーを、フィルターチューブの上部リザーバーへ加えます。
・最大速度で 1 分間遠心します(上記と同様)。
6
・回収用チューブ内のフロースル溶液を捨てます。
・再びフィルターチューブを同じ回収用チューブに取り付けます。
・200μl の洗浄バッファーを加えます。
・最大速度で 1 分間遠心します(上記と同様)。
ノート:この 200μl を使った 2 回目の洗浄ステップでは、最適な純度およびグラスファイバーか
らの洗浄バッファーの完全な除去が必要となります。
7
・回収用チューブ内のフロースル溶液を捨てます。
・フィルターチューブを、新しい 1.5 ml マイクロ遠心チューブに取り付けます。
8
・50∼100μl の溶出バッファーを、フィルターチューブの上部リザーバーへ加えます。
・ 最大速度で 1 分間遠心します。
ノート:最適な収量を得るためには pH がアルカリ性でなければならないため、溶出に水を使用し
ないでください。
9
このマイクロ遠心チューブには、精製されたDNAが含まれています。
ノート:溶出バッファーの量が増えることで、溶出の効率は上がります。
溶出バッファーの量が 50 または 100μl での回収率は、それぞれ少なくとも68 %または79 %です。
この回収率は直接検出アッセイにより確認されています。
精製プローブの用途
操作または保存方法
72
すぐに実験で使用する場合
溶出された精製DNAを使用します。
すぐに実験に使用せず、ここで
操作を止める場合
DNAを2∼8℃または−15∼−25℃にて保存します。