「新規開業、その後」 Vol.29 [PDF/507KB/1ページ]

連載 第29回
小児神経学の医療で
患者さんとその家族に寄り添う
2015年8月、
東京都千代田区にオープンされた、
野村芳子小児神経学クリニック。
院長の野村 芳子先生に開業の経緯と開業されてからの感想をお伺いしました。
野村芳子小児神経学クリニック
院 長:野村 芳子 先生
開業年月:2015年8月
開業場所:東京都千代田区
診療科目:小児神経内科・神経内科・精神科
医院URL:http://www.nomura-yoshiko-clinic.com/
Q1開業のきっかけは? Q3 開業準備で特に苦労されたことは何ですか?
小児神経の臨床に携わり
たいと思い、本邦では最初
の個人の小児神経専門クリ
ニックである瀬川クリニッ
クで40年近い年月を小児神
経学に専念しました。昨年
末瀬川先生が亡くなられ、
瀬川クリニックは遺族に
より廃院とされました。私
野村芳子院長
が野村芳子小児神経学クリ
ニックを開院しましたのは、初心の夢を持ち続け、医
師として生涯現役で生きるためです。
Q2 医師になって本当にやりたいと思っていたことは?
私が医学部に行くことを考えたのは高校生時代の
中頃だったと思います。医者は一生をかけるに余りあ
る職業で、社会の一員として自分の役割を果たしてい
けると考えました。医学部に入り多くのことを学んだ
中で一番関心があったことは、脳の機能、神経学でし
た。私が学生時代は神経内科の独立した教室はなく、
神経の病気は主として精神科の講義で学びました。私
にとって大変運が良かったことは、当時、神経解剖を
勝又正先生、正井秀夫先生から、神経生理学、特に睡
眠について川上正澄先生から、精神医学について猪瀬
正先生からお教えを受けたことでした。人の脳、神経
系についての興味は学生時代から私をとりこにしたと
言っても過言ではありません。卒後米国に行きメーヨ
クリニックで小児科のレジデント、その後ワシントン
DC小児病院で小児神経のフェロー、そしてジョージタ
ウン大学で神経内科のレジデントを経て帰国し、以後
40年間小児神経学に没頭しました。これが私のやりた
いことでしたし、これからも続けていきます。
今となっては苦労したことはなかったと思います。
すべてが自分の夢への道でしたから、一つ一つが経験、
楽しいことでした。あえて言えば、当初、開業の場所、
私の希望した物件として適切なところに行き当たるま
でが大変でした。それさえも徹底的に調べ、質問し、
納得をしながら多くの良い人たちと出会っての過程で
したから苦労とは言えません。
Q4 日本光電のコンサルタントの価値は?
他のコンサルタントには頼んだことはないので比較
はできませんが、私自身はクリニックの開業は初めて
の経験でしたので、いろいろ知らないこと、どうする
のが通常のことなのかわからないことの連続でした。
そういう時にすべきこと、そのやり方などを教えても
らい、かなりのことに体力、知力を出していただき、
多大な時間もいただきました。私の小児神経学クリニッ
クの特殊性についても理解し、支援していただけたと
ありがたく思っています。
Q5 実際に開業をされた感想をお願いします。
まず開業して感じたことは「良かった」の一言です。
長年小児神経学の医療に携わってきましたので、改め
て気づいたことはほとんどありません。小児神経学を
保険診療として続けていくことの困難さ、慢性の神経
難病の患者さんの真の診療、発達過程に起きる疾患・
障害について早期に手を打っていくことの重要性を広
く知ってもらうための医療体制ができていないことを、
ますます強く感じています。
これらについていかに解決の道を探し当てることが
できるかが私の課題でもあります。
ありが とうございました
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