コンプライアンス綱領 - 大内山酪農農業協同組合

大内山酪農農業協同組合
コンプライアンス綱領
~平成20年6月制定~
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組合章
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1滴の乳滴のなかに大内山酪農・大内山牛乳の「大」の字をデフォルメしている。
1滴の乳滴は、牛乳の一滴一滴が酪農家の血と汗の結晶であることを表し、大きく
両手を大空に掲げた姿を現す「大」の字は夢と希望を表している。
はじめに
近年、企業の不祥事が相次ぎ、不祥事を起こした企業は社会から次々と淘汰されています。
高度の情報ネットワーク社会の中では、ひとたび事件・事故を起こすと瞬時にかつ広範囲にその
企業の「マイナス」のイメージが広まり、消費生活者にとってはその企業の商品は購入の選択対
象から排除され、厳しい「不必要」のレッテルが貼られることにより、ついには企業生命が絶たれ
てしまいます。
特に、私たちのように食品に関わる企業組織は、その不祥事が人の生命の危険にまで及びか
ねないことから、さらなる厳しい社会からの選択評価の中にいます。
また、評価の対象もその企業の生産する製品そのものに対するものに加え、その企業自身の
社会的人格(企業活動の公明正大性、法令遵守性、協調性、社会貢献性等)に対する評価に
まで及んできています。
このような社会環境の中で、私たち企業組織はどのような明確な社会的意思をもって活動して
いかなければならないでしょうか?
農業協同組合という組織形態をとり、この社会のなかで協同組合活動を実践していくためには
組合員一人一人、また役職員一人一人が、「組合が社会に求められているものは何か」を常に
考えて行動することが大切ではないでしょうか?
そのひとつの指針となるのがコンプライアンスであると考えます。
この「大内山酪農農業協同組合コンプライアンス綱領」は、協同組合原則に則り、組合、組合
員、並びに役職員の基本行動原則を取りまとめたものです。まだまだ未整備な部分もありますが、
皆様のご意見をいただきながらより良いものにしていきたいと思います。
平成20年6月
大内山酪農農業協同組合
代表理事組合長
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協同組合原則
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協同組合のアイデンティティーに関するICA宣言
定義
協同組合は自発的に結合した人々の自主自立の組織体であり、その目的は自分たちがオ
ーナーとなって民主的に運営する企業体によって、みんなに共通の経済的、社会的、文化的
な必要を充たし願望を達成することにある。
基本的価値
協同組合運動は、自助、自己責任、民主主義、平等、公正、連帯をその基本的価値とする
運動である。協同組合の組合員は、創始者たちの伝統を受け継いで、誠実、開放性、社会
に対する責任、他人への配慮という倫理的な価値をその信条としている。
協同組合原則
協同組合原則は、協同組合が自分たちが抱いている上記の諸価値を実践活動に活かす
ための運営指針(ガイドライン)である。
第1原則 自発的で開かれた組合員組織
協同組合は自発的な組織体であって、組合の事業を利用することができ、組合員としての
責任を進んで引き受けようとするすべての人に門戸を開いている。男女の別、社会的性格、
人種、政治的な立場、宗教などによって差別することはない。
第2原則 組合員による民主的運営
協同組合は組合員によって運営される民主的な組織体で、組合員は組合の企画立案や
意思決定に積極的に参加する。選ばれて組合員代表の役についている人たちは、組合員に
対して責任を負う。第一次組織である単位組合では、組合員は平等の投票権(一組合員一
票)を持つ。連合会などの上部組織も、民主的な組織形態をとるものとする。
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第3原則 経済的側面での組合員参加
組合員は自分たちの組合の資本形成に分に応じて公正に寄与し、またその資本を民主的
に管理する。この資本の少なくとも一部は、通常組合の共有財産とする。組合員が加入の条
件として出資した資金に対して、報酬として利子を与えられる場合は(ない場合もあるが)、そ
の率は通常制限される。剰余金は組合員によって次の使途の一部もしくは全部に充てられ
る。すなわち、
・自分たちの組合の発展のため、できれば準備金として留保し、その少なくとも一部を不分
割とする。
・組合員との取引高に比例して、組合員に分配するため。
・組合員の承認のもとで、自分の組合以外の活動を支援するため。
第4原則 自立と独立
協同組合は組合員が運営する自律、自助の組織体である。協同組合が政府を含む外部
の組織と提携し、あるいは外から資本を調達する場合には、組合員による民主的運営を堅
持し、協同組合の自律性を確保できるような条件のもとで行なうものとする。
第5原則 教育、研修、広報
協同組合は、その組合員、選挙された役員、管理職、従業員に対して、それぞれが組合の
発展に効果的に貢献できるように、教育や研修を与える。また公衆 -とくに若者や世論に
影響力のある人たち- に対して、協同組合の特質やその利点について広報活動を行なう。
第6原則 協同組合間の協同
協同組合は、組合員にもっとも効果的に役立ち、また協同組合運動全体を強化するために、
地区内で、全国的に、国際的なブロックで、さらには世界的な規模で、その連帯の仕組みを
通して互いに連携、協力する。
第7原則 地域社会への配慮
協同組合は、組合員が同意する方針にしたがって、地元の地域社会の持続可能な発展の
ために力を尽くす。
(1995年第2回ICA全体総会にて採択)
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Ⅰ.組合基本理念
わたしたちは、協同組合の相互扶助の精神に基づき、私たち酪農生産者自らが、
牛乳の生産、処理、販売事業を一貫して行なうことにより、地域の酪農振興と私たち
の社会的地位の向上を目指します
わたしたちは、すべてのひとが健康で生き生きとした生活を送れるよう願い、牛乳に
よる健康づくりを通して社会に貢献します
わたしたちは、牛とともにめざめ、牛とともに生きる酪農と、その生産物である牛乳に
愛着を持ち、その社会的、産業的意義の重要性を広く啓蒙します
わたしたちは、牛乳の生産および乳食品を製造するものとしてその安全性をすべて
に優先し、消費生活者との相互信頼のもと、すべてのひとが安心して食することがで
きるよう責任を果たします
わたしたちは、私たちの牛乳づくりによって築かれたすべての人々との輪を未来に
亘り大切にします
わたしたちは、以上のことを実践するため、常に「いまのままでよいか」を考え、日々
研鑽研究し、向上する意欲をもって取り組みます
わたしたちは、以上のことを実践するうえで、常に協同組合人としての自覚をもち、
法令を遵守し、社会規範に則った行動をします
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Ⅱ.品質方針
人の健康、生命にかかわる食品を製造するものとして、その安全性を最優先し、
また、安全性が常に確保されるよう品質保証体制を確立し、お客様に信頼と満足を
得られるよう責任ある行動をします。
1.組合員ならびに役職員は、生産から消費まで、安全で高品質な生乳生産および乳
食品製造に一致団結して取り組みます。
2.安全性はすべての業務活動に優先し、万が一、安全が損なわれるような事態が発
生したとき、またはその恐れがあるときは直ちにその原因の究明と情報公開を含む
万全な対策を実施し、安全の確保が検証されたあと業務を再開します。
3.安全性、品質の確保のために、先ず5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)の実践を全員が一
丸となって徹底して実行します。
4.安全性および品質の確保を図るため、公に通用する安全基準、品質基準を明確に
定め、遵守します。
5.HACCPをはじめとする品質マネジメントシステムを確立し、それに沿った作
業標準を策定し、遵守します。
6.安全基準、品質基準ならびに作業標準を逸脱することがないよう常に監視し、ま
たその記録を記帳し保管管理します。
7.安全で高品質な乳食品の製造をするため、それにかかわるすべての人の教育、訓
練を計画的に実施します。
8.常に危機意識を持ち、現状に満足することなく、
「さらなる安全」、
「さらなる品質」
を求め、日々研鑽努力します。
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Ⅲ.基本行動基準
1.基本行動規範
1.組合、組合員および役職員(以下組合人という)は、組合人である前に先ず良識ある社会
人(組織)としての行動をします。
2.模範たる組合人として行動するために次の通り基本行動基準を定めます。
(1)基本的人権尊重基本行動
①差別的取り扱いの禁止
良識ある社会人(組織)として基本的人権の尊重を旨とし、人種、思想、信条、宗教、
支持政党、肌の色、性、年齢、国籍、民族、言語、身体的特徴、知的・身体的障害、病
歴、学歴、家族構成、社会的身分、地位、役職、財産、出身地等によるあらゆる差別、
および差別的言動、嫌がらせ(セクシャルハラスメントおよびパワーハラスメントを含む)
をしません。また、それらの差別が社会から無くなるよう率先して行動します。
②情報の適切な管理
業務上知り得た組合内および第3者の情報について、その取扱いについては取扱
規程を策定し、適切に管理し、また、セキュリティー対策を施すことにより外部に漏えい
することのないようにします。
③プライバシーの尊重
個人のプライバシーを尊重し、保護します。また、組合の名誉や信用にかかわる事柄
以外の私的生活上の行動をもって、不利益な取扱いをすることはしません。
④公益通報の適正な取り扱い
組合員、役職員ならびに第3者から寄せられた公益通報については、法律に基づき
公正かつ適正に取り扱い、通報者を保護し、また、通報者の不利益になるような取り扱
いはしません。
(2)社会貢献基本行動
①地域社会との関係
地域社会の十分な理解の上で組合活動を行います。万一、地域社会または地域住
民との間においてトラブル等が発生したときは、関係機関の協力を得ながら十分話し合
いのうえ、協議し相互に納得ができる解決をします。
②環境への配慮
酪農生産活動および牛乳・乳製品の処理・加工を行う上で、自然環境や生活環境に
十分配慮します。また、排出された廃棄物については、その保管管理を厳重に行い、
関係法令に基づいた適正な処置を実施します。さらに、エネルギー資源の効率的使用
や資源のリサイクルの促進等を図り「自然にやさしい」生産活動をめざします。
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③地域貢献活動への支援
地域社会と一体となった企業活動を行うため、地域の社会・福祉・文化・教育・スポー
ツ活動やボランティア活動を支援します。
④消費生活者との交流
消費生活者との交流を通じて、酪農および牛乳・乳製品への理解醸成を図り、広くそ
の重要性を啓蒙します。
⑤社会正義実現への貢献
社会秩序を乱したり、健全な企業活動を妨害するあらゆる個人および団体に対して
は毅然たる態度で対応し、いかなる要求にも応じません。また、暴力団および暴力団系
政治団体等反社会的団体による民事介入暴力については、社会から排除するよう警
察行政に協力します。
(3)法令遵守基本行動
法社会の一員として組合活動を実践するためには、法令の遵守を最低限のルール倫
理として行動します。
①国内法令遵守
組合活動を行うにあたっては、法社会の一員として、憲法をはじめ、すべての法律、
政令、施行令、省令、施行規則、通達、条例等を遵守し、模範たる組合人をめざします。
また、法令等に違反する行為が予測されるときは直ちに是正し、万一違反する行為が
あったときは直ちに改めるとともに、厳正かつ厳格に処分し、同じ過ちを犯さないよう将
来にわたり戒めます。
②組合規範遵守
組合の基本理念を達成し、事業運営を適正かつ迅速に行うために、組合定款をはじ
めすべての規程および事業実施要領・規則(以下組合規範という)を遵守します。また、
組合員および役職員に組合規範を周知徹底し、十分理解した上で行動できるようにし
ます。
(4)意欲啓発基本行動
①意欲的創意工夫
組合員および役職員は酪農およびその生産物である牛乳・乳製品の社会的、産業
的意義を充分理解し、その生産活動に従事することへのやりがい、生きがい、働きがい
をもって、意欲的にかつ創意工夫して自ら率先して取り組みます。
②健康への配慮
「働きがいは先ず健康から」をモットーに、組合員および役職員は自らの健康管理に
は十分留意し、毎日健康で生産活動に従事します。
③安全で快適な職場環境の実現
労働環境の衛生および安全に配慮し、安全で事故のないいきいきと働ける職場づく
りをします。
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2.役員の行動規範
(1)役員は、自ら果たすべき義務や責任を十分認識し、その職務に最善を尽くします。
(2)役員は、業務執行の意思決定に積極的に参加し、業務執行が適正に行われるよう努め
ます。
(3)役員は、迅速かつ的確に意思決定ができるよう、常に情報収集に努めます。
(4)役員は、業務上知り得た組合員・取引先の秘密や組合の経営上の秘密を、在任中はも
ちろんのこと退任後においても、厳に保持します。
(5)役員は、役職員の業務執行が適正に行われるよう、十分監督・指導します。
(6)役員は、コンプライアンスの徹底が経営上の重要事項であることを十分認識するとともに、
その実践につき率先して取り組みます。
(7)役員は、業務執行が適正に行われるよう、適切かつ有効な内部統制システムが構築さ
れ、有効に機能するよう努めます。
(8)役員は、常に確固たる倫理観と誠実さに基づき、公正な行動をとることを心掛けます。
(9)役員は、他の理事等の法令違反行為を発見した場合には、法律上要求される権限を
忠実に実行するとともに、業務の健全化に必要な対応策を迅速に講じます。
3.職員の行動規範
(1)職員は、組合の仕事を職業として選択した職業人であることを常に自覚し、自らの役割
をしっかりと理解したうえで、それぞれ職務に専念します。
(2)職員は、組合の基本方針を十分理解し、組合員および地域社会発展のために創意工
夫し積極的に行動するよう努めます。
(3)職員は、職務上知り得た組合員・取引先の秘密や組合の経営上の秘密を、在職中はも
ちろんのこと退職後においても、厳に保持します。
(4)職員は、法令、定款、内部規程等を十分に理解し、コンプライアンスの実現に向けて適
正な業務処理に努めます。
(5)職員は、勤務中はもとより、勤務外の私生活においても組合の名誉や信用を損なうよう
な行為や組合の利益に反するような行為を厳に慎みます。
(6)職員は、職業人として公私の別をはっきりとさせ、個人の感情で差別することのないよう
公正に処理します。
(7)職員は、組合および組合員・利用者の犠牲の上において個人的な利益を追求しませ
ん。
(8)職員は、就業規則に定められた服務規律を誠実に遵守します。
(9)職員は、コンプライアンス上の問題が発生した場合等は、コンプライアンス担当者等に
報告します。
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Ⅳ.コンプライアンス推進体制
組合の法令遵守体制が守られているかどうか、またはコンプライアンスを逸脱する恐れのあ
る事項がないかを検証するため、次の通りコンプライアンス推進体制を確立します。
1.体制図
※
はコンプライアンス情報の流れ(報告・連絡・相談・公益通報)
理事・理事会
(コンプライアンス体制の確立・維持)
監事
監査および
報告
監
査
総務委員会
(コンプライアンス体制全
般の検討・審議)
決
定
事
項
指
示
・
報
告
統括責任者:組合長
統括管理者:参 事
内部監査
指示およ
び報告
コンプライアンス統括部署
(総務部)
内部監査
コンプライアンス担当窓口
(各部・課)
指示・報告
組合員・役職員
外部第3者
(公益通報者)
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2.体制
(1)総務委員会
①委員会
組合のコンプライアンス態勢全般に係る企画・推進・進捗管理に関する検討・審議
を行い、併せて責任体制を明確化するための委員会を総務委員会とする。
②役割
・コンプライアンス態勢およびリスク管理態勢全般にかかる企画・推進に関する事項の
審議・コンプライアンス・マニュアルおよび関係規程等の制定・見直し審議
・コンプライアンスおよびリスク管理に係る啓蒙・指導等の審議・コンプライアンス・プロ
グラムの実践状況の審議
・重要なコンプライアンス上の事項の理事会への附議・報告
(2)コンプライアンス統括部署
①統括部署
コンプライアンスに関する問題を一元的に管理・統括する部署を総務部とし、組合
長を統括責任者とし参事を統括管理者とする。
②役割
・コンプライアンス態勢全般に係る企画・推進・進捗管理
・コンプライアンス・マニュアルおよび関係規程等の制定・見直し・コンプライアンス・プ
ログラムの策定および進捗管理
・コンプライアンスについての教育・啓蒙
・コンプライアンス上の問題発生時等(その懸念がある場合を含む)の関係部署に対
する調査・事後処理・防止等の指示ならびに報告内容の取りまとめおよび再発防止策
等の企画・指示
・重要なコンプライアンス上の問題発生時等の総務委員会への報告
・総務委員会事務局
(3)コンプライアンス担当窓口
①コンプライアンス担当者
コンプライアンスに係る職員の相談窓口とし、各部署部長をコンプライアンス担当者
とする。
②役割
・部署内におけるコンプライアンス関連事項の統括
・部署内におけるコンプライアンスについての教育・啓蒙
・部署内におけるコンプライアンス上の問題発生時等のコンプライアンス統括部署へ
の連絡・相談・報告
(4)理事の役割
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・コンプライアンス態勢の確立・維持
・コンプライアンスに基づく業務執行
・理事会での十分な議論に基づく業務執行の意思決定と業務執行者の監督
なお、理事会はコンプライアンスに係る重要事項の意思決定機関及び監督機関として、コン
プライアンス・マニュアルおよびコンプライアンス・プログラムの承認および重要な見直し
を行う。
また、役員はコンプライアンスに関し、誠実かつ率先垂範して取り組むとともに、特に常勤理
事はコンプライアンス重視の組織風土を醸成し、コンプライアンスのあらゆる局面におい
て積極的に関与する。
(5)監事の役割
・コンプライアンスに係る監査
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