平成27年 8月 6日 生 活 文 化 局 トイレ等水周りのリフォーム事業者に対して業務停止命令(3か月) -「水漏れしている」などとうそを告げて消費者の不安感を煽り勧誘- 本日、東京都は、事実ではないのに「メーカーに頼まれて点検に来ました。」などと言って高齢者 が住むマンションを訪問し、「水漏れしています。このままにしておくと、階下に迷惑をかけ、高 額な費用が必要となります。」などとうそを告げ、リフォーム工事を勧誘していた訪問販売事業者 に対し、特定商取引に関する法律(以下「特定商取引法」という。)第8条に基づき、業務の一部 を停止すべきことを命じました。 1 事業者の概要 事業者名: シールズ株式会社 代表者名: 山内 勇吾(やまのうち ゆうご) 本店住所: 神奈川県横浜市中区住吉町六丁目69番地 設 立: 平成24年11月20日(法人登記) 業務内容: 住宅リフォームの役務提供(訪問販売) 売 上 高: 約2億1千万円 (平成25年11月~平成26年10月) 従業員数: 15名(代表者含む) 馬車道STビル7階 2 勧誘行為等の特徴 (1) リフォーム工事の契約締結が目的であることを告げずに、 「メーカーに頼まれて点検に来まし た。」「この地域の仕事が終わったので訪ねてきました。水周りの工事業者で点検を行っていま す。」などと言って、マンションの高齢者宅を訪問する。 (2) 消費者宅のトイレの点検を行い、水漏れの事実がないにもかかわらず、「便器と足元との間に パッキンがあり、そこから、水が漏れているから黒ずんでいるのです。タンクや便器を交換しな ければいけない。」、「濃く緑色のコケ様のものが付いた箇所は、水漏れしているからです。この ままにしておくと漏水になる。下の階に迷惑がかかります。」などとうそを告げ、消費者の不安 感を煽って契約締結に結び付ける。 (3) 契約締結時に消費者に交付する契約書面に、「一式○○万円」と記入し、工事内容や単価を詳 細に記載しない。 3 業務の一部停止命令の内容 平成27年8月7日(命令日の翌日)から平成27年11月6日までの間(3か月間)、特定商 取引法第2条第1項に規定する訪問販売に係る次の行為を停止すること。 (1) 契約の締結について勧誘すること。 (2) 契約の申込みを受けること。 (3) 契約を締結すること。 【問合せ先】 担 当 生活文化局消費生活部取引指導課 電 話 (直通)03-5388-3073 4 業務の一部停止命令の対象となる不適正な取引行為 不 適 正 な 取 引 行 為 特定商取引法の条項 消費者宅を訪問するに際し、 「トイレのメーカーに頼まれて点検に来まし た。」、 「この地域の仕事が終わったので訪ねてきました。水周りの工事業者 で点検を行っています。」などと告げ、勧誘に先立って、事業者の名称及び 本件契約の締結について勧誘をする目的である旨を明らかにしていなかっ た。 消費者に交付する契約書面に、商品・役務の種類、名称、型式、数量等 を記載せず、また、合計金額を一式計上するのみで、工事内容及び単価を 詳細に記載していなかった。 法第3条 勧誘目的等不明示 法第5条第1項 契約書面の記載不備 契約の締結について勧誘をするに際し、水漏れの事実がないにもかかわ らず、「便器と足元との間にパッキンがあり、そこから、水が漏れている から黒ずんでいるのです。タンクや便器を交換しなければいけない。」、 「濃く緑色のコケ様のものが付いた箇所は、水漏れしているからです。こ のままにしておくと漏水になる。下の階に迷惑がかかります。」などと、 消費者が契約の締結を必要とする事情に関する事項について不実のことを 告げていた。 5 法第6条第1項 不実告知 今後の対応 業務停止命令に違反した場合は、行為者に対して特定商取引法第70条の2の規定に基づき2年 以下の懲役又は300万円以下の罰金又はこれを併科する手続きを、法人に対しては特定商取引法 第74条の規定に基づき3億円以下の罰金を科する手続きを行う。 (参考) 東京都内における当該事業者に関する相談の概要 契約者平均年齢 平均契約額 76.5歳 (最高92歳) 73.9万円 (最高160万円) (平成27年8月5日現在) 相 談 件 数 25年度 26年度 27年度 5件 11件 1件 合 計 17件 消費者へのアドバイス ◆リフォームを勧めるために、 『点検』と称して高齢者宅を訪問し、 「水漏れしている。」などと うそを言って契約を迫る業者がいるので注意しましょう。 ◆相手の言葉巧みな話術に惑わされることなく、その場で契約せずに家族に相談したり、複数 の事業者から見積をとり、工事内容・金額を十分検討しましょう。 ◆少しでも不審に思ったら、すぐに最寄りの消費生活センターにご相談ください。 ◆クーリング・オフができる場合があります。詳細は下記をご覧ください。 ※基礎知識『クーリング・オフ』 http://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/sodan/k_c_off/ <参考> ●東京都消費生活総合センター 03-3235-1155(相談専用番号) ●悪質事業者通報サイト http://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/tsuho/honnin-form.html 参考資料 【事例1】 平成 26 年9月、甲は突然のインターフォンに応対すると、男が「トイレのメーカーの△△に頼ま れて点検に来ました。」と言った。甲は製造元から直接トイレの点検に来るのは変だとは思ったが、 玄関ドアを開けた。すると、作業服姿の男2人が立っており、1人が「シールズのAと言います。 トイレの点検に伺いました。」と言った。 甲は2人を部屋に上げ、トイレに案内した。Aが「甲さんは、10 年前に、トイレのタンクや便器 を交換していらっしゃいますよね。以前、トイレ工事をした会社が倒産してクレームが多く、△△ に頼まれて点検に来ました。」と言った。甲は以前トイレのリフォームをしたことをAらが知ってい たので、本当に製造元から依頼されて点検に来たと思った。Aらはタンクや便器を点検していたが、 その場では結果は言わず、1人が部屋から出て行き、Bを連れて戻って来た。 Bはタンクや便器と床との間を点検し、甲に「素人にはわからないが、内部で水が漏れている。 タンクを交換したほうがよい。ほら、便器と床との間が黒ずんでいる箇所があるでしょう。これは、 便器と足元との間にパッキンがあり、そこから、水が漏れているから黒ずんでいるのです。タンク や便器を交換しなければいけない。」と言った。 甲がBに「足元のパッキンを交換するだけで、用は足りるのではないの。」と尋ねると、Bは「そ うは、いかないです。トイレ本体を交換しなければいけないです。水漏れしているので、これは、 大変だ、階下に迷惑がかかる。水というのは、階下だけでなく、隣の部屋にも水漏れしたりすると、 大ごとになる、10 万とか 20 万円ではすまされませんよ。そうなる前に交換しなければいけない。」 と言った。甲は、リフォームのプロであるBに強い言葉で言われ、階下等に迷惑をかけることは絶 対避けなければいけないと思い、契約をすることに決め、購入申込契約書に記名・押印した。 契約書には「契約品名 トイレ便器タンク 単価・数量1 金額 XXX,XXX 円、温水洗浄便座、床 /CF、総合計 XXX,XXX 円」などと記載されていたが、個々の単価や型番等は記載されていなかっ た。 その後、本当に水漏れしているか他社に点検を依頼した。結果は「特に異常なし。」とのことで、 点検作業員からは「便器と床との間の黒ずんでいる所は、水漏れで発生したものではない。この箇 所から水漏れすることはない。お宅の場合、タンクも便器も異常はなく、まったく水漏れの心配は ない。」と説明を受けた。 【事例2】 平成 26 年3月、乙は玄関のチャイムが鳴ったのでドアを開けると、男Cが1人で立っていた。C は「メーカーの△△から依頼されて来ました。風呂や水周りの具合はどうですか。近くを回ってい ます。メンテナンスに来ました。」と言ったが、会社名や名前は名乗らなかった。乙は以前風呂や水 周りのリフォームを行った関係で、リフォームをした会社の者が来たと思い、部屋の中に入れて風 呂場に案内した。 Cは風呂場の点検を簡単に終えると、次にトイレ内を丹念に点検し、 「今日、明日ではないですが 床が傷んでいる。落ちる可能性がある。もし落ちた場合、水漏れして下の人に迷惑がかかる。」と言 った。乙は水周りの点検の専門家から言われたので、これは大変なことになったと不安感を覚え、 水漏れすると階下等に迷惑をかけると思い、それだけは避けなければいけないと思った。 乙はCに「修理するのにいくら位かかりますか。」と尋ねると、「上の者が近所を回っていますの で呼んで来ます。」と言って部屋を出て行った。Cは 10 分位経った後、Dを連れて戻ってきた。D も会社名や名前は言わなかった。Dは壁や便器や床等を入念に 15~20 分位点検し、終わるとトイレ から出て、乙が契約するとも言っていないのに購入申込契約書を取り出し、何やら書き込んでいた。 Dは契約書を書き終えると、乙に契約書を提示した。乙は専門家が点検して床が落ちると言う以 上、トイレのリフォームしかないと思い契約することを決めた。 契約書には総合計金額のみが記載されていた。また、便器やタンク等の型式や単価について契約 書に記載されていないし、一切説明はなかった。 その後、乙が他社に点検を依頼した結果、 「トイレは水漏れもしていないし、床も腐れやきしみも ないし、まったく異常はないし、床は全然、傷んでいないよ。」と言われた。 【事例3】 平成 26 年4月、丙は玄関のインターフォンのチャイムが鳴ったので、玄関ドアを開けると見覚え がない男が立っていた。男は「シールズのEと申します。3年前に湯沸し器の点検をした会社の社 員で、社員も一緒に別の会社に吸収されたので社名は違いますが、今回家の点検に来ました。」と言 って名刺を差し出した。 丙は以前リフォームした業者が点検に来たものと思い部屋の中に入れた。Eは台所、風呂場、洗 面所を点検していたが、数分で終わり「台所等は異常ありません。」と言った。最後のトイレは入念 に点検し、トイレから中々出て来なかった。 丙は何か不具合を見つけて長引いていると思い、トイレ内を覗き込むと、Eは便器に向って右側 の便器と床と接する隙間に帯状に幅 X~X ㎜位、長さ XX ㎝位の黒緑色のコケ様なものが付着した箇 所を指し、 「見て下さい。濃く緑色のコケ様のものが付いた箇所は、水漏れしているからです。もう ダメですね、このままにしておくと漏水になる。下の階の人に迷惑がかかります。即、やらなけれ ばダメです。」と言った。丙はプロが点検して水漏れしていると言われて階下等に迷惑をかけるのだ けは絶対に避けなければいけない、修理するしかないかと思った。 Eは「この現場を分かっている人が来ているから一緒に見てもらいましょう。」と言って携帯電話 で連絡を取ると、直ぐにFが来た。Fは「以前、給水器工事を契約したとき訪問しました。」と言っ て名刺を差し出したが、丙は覚えていなかった。EがFに便器と床との隙間が黒緑色になっている 箇所を指して説明すると、Fは「この黒緑色になっているのは、水漏れしているからです。あーダ メですね、このままにしておくと漏水になる。下の家に迷惑がかかりますね。やらなければいけな いですね。」と言った。丙は2人のプロがトイレの便器を見て「水漏れだ、すぐ直さなければいけな い。」と同じ事を言ったことで益々不安になり、階下に水漏れすると大変だ、直すしかないかと思い 頭の中がいっぱいになった。 Fは「壁や便器とタンクのトイレ全体のリフォームをすると必要となる費用は XX 万円位かかる。」 と言ったので、丙は「こんなにきれいなのに、なぜトイレ全体のリフォームが必要なの、便器だけ の修理でいいです。」と言って拒否した。すると、Fは「このままだったら大変なことになる。」と 言った。丙はFに「少し考えさせて下さい。」と言うと、Fは「今、やらなければいけない。階下に 水漏れすると大変なことになる。」などと言った。丙はFが提案したトイレ全体については拒否した が、便器やタンク等についてのリフォームは渋々契約することを決意し、契約書に記名・押印した。 契約書には便器、タンク等とあり、合計金額は記載されているが、型式や個々の単価、数量の記 載がなく、Fから商品について説明もないし、パンフレットの提示もなかった。 数日後、丙は、リフォーム関係に詳しい知人に相談し、トイレを点検してもらったところ、コケ 様なものはクレンザーと歯ブラシで擦るときれいに拭き取られ跡形もない状態となった。知人は「こ れは水漏れで付着したものではない。便器と床との間にゴミ等が付着して出来た汚れだ。」と言った。 【事例4】 平成 27 年4月、丁は突然にインターフォンが鳴ったので玄関ドアを開けると、作業服を着た男G が立っていた。 Gは「この地域の仕事が終わったので訪ねてきました。水周りの工事業者で点検を行っています。」 と言ったが、会社名や名前は名乗らなかった。Gは部屋に入ると、トイレの点検を始め、 「もし、ト イレで水漏れがおきると下の階の住民に迷惑がかかります。そのためにも、トイレの壁を壊して中 の配管を確認しないと水漏れしているか否かわからない。」と言った。そして、「この様な点検に詳 しい上司が近所を回っているので、呼んできて点検をしてもらいます。」と言って出て行った。 数分後、Gは作業服を着た男Hを連れて入って来た。Hも「この建物は築年数も経っており、水 漏れしている可能性があるので壁を壊して確認しなければならない。」などと言って、丁が契約する とも言っていないのに、契約書を取り出して記入を始めたが、部品・材料の名称及び総額のみで、 具体的な部材の型番・単価・数量は記載されていなかった。また、契約書には、取締役の記載はあ ったが、代表取締役ではなかった。 丁は「契約は待って下さい。費用が高額なので、他の業者からも見積を取りたいと思います。」と 言うと、Hは「見積は取らないで下さい。」と言って契約書を書くのをやめようとはしなかった。丁 はHが契約書を書くのをやめようとしないため、本当に水漏れしているので契約を勧めていると思 い、水漏れすると階下の人に迷惑がかかるので、やむなく契約をした。
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