Ⅵ.盗難・暴力防止など 1.盗難防止対策マニュアル

Ⅵ.盗難・暴力防止など
1.盗難防止対策マニュアル
(1)目的
病院での現金・貴重品の盗難や、医薬品・医療器具等の盗難は、病院に対する不安と不
信を募らせ、とくに医薬品の盗難は社会的な反響も大きい。そこで、盗難防止を図り、病
院医療環境の安全・安心を確保することを目的に盗難防止対策マニュアルを制定した。
(2)保安体制の確立
病院における盗難事案防止のための保安体制の構築
① 保安体制の確立
1)防犯体制の強化
a)病院職員は、患者の安全・安心を守る責務があり、盗難防止のための情報提供と
組織的な対応により院内の安全確保に努める。
b)医療安全監視員・警備員・事務員は、相互に連携して院内での盗難防止のための
警戒警備活動及び施設管理に努める。
2)防犯設備の整備、管理
a)事務員、警備員は、鍵の整備管理、施設の点検等による施設の保守・管理を行って、
盗難防止に努める。
3)職員の防犯意識と防犯環境の向上
a)職員相互の「声かけ」を積極的に行い、不審者等の発見、侵入防止に努め、院内
の防犯意識を高める。
b)病院職員は、名札の着装を徹底することで院内関係者であることを明確にし、院
内での不審者等を排除する。
4)医療安全監視員による院内巡回
a)院内の受付、待合所、病棟等を巡回、警戒を行いながら、医療スタッフと情報交
換を図り、不審者発見と危険・不備個所の把握により盗難等の発生を予防する。
② 警備員による警戒警備
1)病院出入りする者等の警戒・警備
a)入院患者の付き添い、見舞客、病院関係業者等不特定多数の人の出入りがある病
院出入口での、不審者の発見と盗難防止に努める。
b)病院施設の巡回警備を行い、戸締りや設備・備品等の点検確認を実施し、侵入盗
の防止警戒に努める。
2)夜間警備員は、常に当直医療スタッフとの連絡、連携を図りながら各施設内の施錠
及び異常の有無の確認を行い、異常を認知した場合は施設責任者(最高位と思われ
る当直医)に連絡し、安全対策等の所要の措置を相談する。
③ 鍵の取扱、保管
1)病院施設の鍵の使用は「鍵授受記録表」に記載し、使用状況を明確にしなければな
らない。
2)鍵は、施錠できる保管庫に収納し、管理責任者が毎日1回以上点検・確認する。
3)鍵を亡失した場合には、直ちに総務課に報告する。許可なく鍵の複製をしてはなら
ない。
(3)予想される盗難事案の対策措置
① 入院・外来患者の現金・貴重品等の盗難防止
1)入院患者の病室での現金等の保管は、セーフティーボックスを使用し確実に施錠の
上、患者本人に鍵の携行をしてもらう。
貴重品をやむを得ず病室に持ち込む場合は、貴重品袋に本人又は複数の立会人のも
とに封印して預かり、鍵の掛かる保管庫に入れる。看護師等の医療スタッフは、常
に入院患者に対して貴重品の管理の徹底と盗難防止についての「声かけ」と「目配
り」を行い、盗難の発生を未然に防止するよう心がける。
2)救急外来受診患者の貴重品は、原則、預かり等の取扱はしないが、付添人等が無く
保管する必要性が生じた場合は、貴重品袋に本人又は複数が立会い確認し収納、保
管する。家族等への引継・引渡は、迅速・確実に行い、紛失等の防止に配慮する。
3)看護師等の医療スタッフは、常に入院患者に対して貴重品の管理の徹底と盗難防止
についての「声掛け」と「目配り」をして、盗難の発生を防止する。
また、外来待合所や病棟談話室での不審者・不審物の発見に努め、持ち主不明の不
審物を発見した場合には、医療安全監視員等に速やかに通報する。
② 向精神薬等の薬物や注射器等の医療器具等の盗難防止
1)麻薬、向精神薬、毒劇物等の薬物は、所定の金庫又はロッカー等に施錠して保管管
理する
2)取扱者は出庫時には、帳票等に記載する。取り扱い責任者は、常に残数を確認した
上、出し入れ数量を明確にしておく。
3)調剤された向精神薬は部外者には判りにくい指定された場所に置く。
4)盗難・紛失を認知した場合、保管責任者は速やかに病院長に報告して薬物の発見・
盗難手配等の必要な措置を講ずる。
③ 患者の個人情報等の盗難防止
個人情報(個人が特定できる情報=氏名、性別、年齢、住所など)が入力されたデ
ータの盗難・紛失は病院の信頼を失い、大きな社会的問題となり、病院事業に計り
知れない損害を与えることになる。従って、取扱保管には格段の注意が必要である。
1)診療終了後の診察室、事務室等は確実に施錠する。鍵は、使用・管理状況を帳票に
記載し、保管庫に入れる。鍵の使用保管状況を明確にさせ、無断持ち出し、盗難・
紛失を防止する
2)私用パソコンに、患者の個人情報を保有してはならない。
3)病院長の許可なく、個人情報を院外に持ち出してはならない。これに反する場合、」
就業規則に則り罰則規定が適応されることがある。
④ 医療スタッフ・職員の現金、貴重品等の盗難防止
1)多額の現金を事務室・詰め所等には持ち込まない。
2)財布、鞄等は個人責任で確実に施錠設備のある個人用ロッカーに入れる。
(4)盗難発生時の対応措置
① 患者が被害者である場合の対応
1)患者の盗難被害は、他の患者にも大きな不安を及ぼすので、被害者の立場を理解し、
迅速に被害届受理、捜索手配、警察への通報等の必要な措置をする。
2)警察への届け出は、当事者や家族の意思を確認したうえで、医療安全監視員に連絡
し、通報等の措置をする。
② 盗難が発生したときは
1)取扱関係者はアクシデント報告を作成し、医療安全管理委員会に提出し、委員会で
は発生原因等を把握し、これの情報を病院関係者全体で共有した上で有効な防犯対
策を講じて再発防止を図る。