ICU 退室時の筋力の改善は、早期離床と 90 日生存率と関連があるという論文です。 TEAM Study Investigators, et al. Early mobilization and recovery in mechanically ventilated patients in the ICU: a bi-national, multi-centre, prospective cohort study. Crit Care. 2015 Feb 26;19:81. doi: 10.1186/s13054-015-0765-4. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25715872 2012 年から 2013 年にかけてオーストラリアとニュージーランドで行われた観察研究です。 入室から最初の 2 週間(もしくは抜管・死亡するまで)、活動レベルの指標として ICU mobility scale が測定されています。患者は理学療法士によって評価された上で可能な場合 は Early mobilization が実施され、Early mobilization の期間、種類など記録されました。 Early mobilization が実施できなかった場合には、mobilization の障害について記録されて います。ICU を日中に退室した場合は、理学療法士が MRC-SS を評価し(<48/60 で ICUAW と定義した)、退院時および 90 日後の生存・死亡と、6 か月後電話調査にて ICU mobility scale や QOL、職業復帰しているかを調査しています。 結果は理学療法士が患者に関わる機会がのべ 1288 回あり、1079 回(84%)は Early mobilization を実施できていませんでした。対象患者のうち 70 人(36.5%)が人工呼吸器 管理中の Early mobilization を実施していますが、最大の活動レベルは、ほとんどが Level 0~1 でベッド上まででした(Figure 3.) 。人工呼吸器装着中に Early mobilization を行った 群は 行っていない群に比べ筋力スコア(MRC-SS)が有意に高く(50.0±11.2 vs 42.0± 10.8) 、ICU 退室時に ICU-AW と評価された人は、90 日生存率が低い(Figure 4)という結果 になっています。 Early mobilization の定義は Any active exercise where the patients could assist with the activity using their own muscle strength and control that occurred while the patient was invasive ventilation とされています。ベッド上の運動から立位・歩行まで全てを Early mobilization と定義していおり結果の活動レベルはほとんどがベッド上であったことから 解釈が難しいと感じました。観察研究ですので因果関係まで述べることはできませんので、 ICU 退室時の筋力は Early mobilization と 90 日生存率と関連があると結論づけています。 人工呼吸器管理中もベッド上で患者本人が自身の筋を使って運動できるような管理を行う ことで筋力のスコアが上がり、結果生存率とも関連する可能性があるかもしれないとらえ ることもできますね。
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