高齢者向け肺炎球菌ワクチン接種概要 2015年03月20日改訂 湘南

高齢者向け肺炎球菌ワクチン接種概要
2015年03月20日改訂
湘南かまくらクリニック
〒247-0066 鎌倉市山崎1202-1
email: [email protected]
公式ウェブサイト: http://www.sk-cl.jp/skcl/
TEL: 0467-43-1717
FAX: 0467-45-9777
高齢者には肺炎球菌ワクチン接種が必要です
65歳を過ぎると、自分ではまだ年老いていないと思っていても、肺炎をはじめとする
感染症に対する抵抗力は年齢とともに急激に確実に弱まっていきます。肺炎は、日本にお
ける死因第1位の悪性新生物(がん)、第2位の心疾患(心不全など)に次ぐ第3位の疾患です。
しかも、肺炎で死亡する方の95%以上が65歳以上です。さらに、持病があるとなおさら
肺炎による死亡率が高くなります。肺炎は高齢者にとって決して軽視できない疾患です。
肺炎の治療は、病原微生物を特定し、その病原微生物に効果のある抗病原微生物薬を投
与しますが、抗病原微生物薬を投与しても効果がない耐性菌が増加しているため、決して
容易ではありません。肺炎の病原微生物はたくさんありますが、最も頻度が高いのが肺炎
球菌です。 肺炎球菌は、細胞壁の外側が莢膜で覆われているために、人体内の食細胞は
肺炎球菌を直接貪食することができません。しかも、莢膜型は94種類あります。
肺炎を予防するには、健康を意識して生活することが重要です。病原微生物の侵入を防
ぐことと抵抗力を強めることとともに、ワクチン接種を受けることが重要です。
肺炎球菌ワクチンには2種類あります
肺炎球菌ワクチンには、世界的なワクチンメーカ米国ファイザー社製のプレベナー
13(13価結合型肺炎球菌ワクチン)と世界的なワクチンメーカである米国MSD社製の
ニューモバックスNP(23価多糖体肺炎球菌ワクチン)の2種類があります。 13価結合型肺
炎球菌ワクチンは、もともと乳幼児の肺炎球菌感染症の予防に実績があり、莢膜型を13
種類含み、米国、欧州連合(EU)加盟地域をはじめ世界101か国で、主に50歳以上を対象
に承認されています(2014年2月現在)。日本では、2014年6月に承認されました。23価
多糖体肺炎球菌ワクチンは、莢膜型を23種類含み、米国、カナダ、オーストラリア、欧州
連合(EU)加盟地域で、主に50歳以上を対象に承認されています(2013年10月現在)。日本
では、2006年10月に承認され、2014年10月に定期接種となりました。
2種類の肺炎球菌ワクチンを両方接種して肺炎球菌による肺炎を予防しましょう
2種類のワクチンで共通な莢膜型は12種類です。どちらのワクチンでも肺炎球菌感染症
の原因となる肺炎球菌の8割以上がカバーされます。ただし、13価結合型肺炎球菌ワクチ
ン接種後は免疫を記憶する細胞が刺激されるので、免疫が長期にわたって持続します。23
価多糖体肺炎球菌ワクチン接種後は免疫を記憶する細胞が刺激されないので、免疫が5年
程度しか持続せず、5年毎に追加接種が必要となります。莢膜型の種類が少ないが免疫が
長持ちする13価結合型と、免疫が長持ちしないが莢膜型の種類が多い23価多糖体の2種
類の肺炎球菌ワクチンを両方、13価結合型、23価多糖体の順で接種しておくことをお勧
めしています。