こちら - 花田学園

発行日:平成27年7月18日
花 田 学 園 卒 業 生 訪 問 Report
HANADA‐AT Newsletter #4
欧州サイクリングチームトレーナー、中野喜文さん・宮島正典さんを訪ねて
Tinkoff-Saxo
宮島 正典 氏
エンネスポーツマッサージ治療院
Tinkoff-Saxo 中野 喜文 氏
国内の自転車のロードレースは、さいたま市で開催されている”ツール・ド・フランスさいたまクリ
テリウム”の他、日本各地で開催されています。本場欧州のロードレースでは、記録に残っている最古
の自転車競技は1868年5月にサンクルーで行われた1200mのレースとされています。また、二都市間(パリ
~ルーアン123km)を結ぶレースとして、1869年11月に開催されたレースが最古で、現在のロードレー
スの原型とされています。現存する最古の自転車ロードレースとしては、1892年開始のリエージュ~バ
ストーニュ~リエージュで行われているものです。
世界で3番目に大きいスポーツイベントとして知られているのは、夏季五輪、サッカーW杯に続くそれ
がツール・ド・フランスです。1903年に開始され、2015大会は102回目で7月の3週間、約1500万人のファ
ンが沿道に詰め掛け、世界約190カ国のTV視聴者が注目する大会です。今年はオランダのユトレヒトで開
幕し、多くの選手達が熱い戦いを行います。
そんな歴史のある欧州の自転車ロードレースに出場するチームのマッサー・トレーナーとして活躍し
ている中野喜文さん、宮島正典さん。現在、お二人は縁あってティンコフ・サクソチーム(ロシア・サイ
クリングチーム)専属マッサーとして所属されています。今年、オフを利用し日本に帰国された際にお二
人より海外での活動を中心にお話しを伺いました。
中野氏とも親交があるベルギーナショナル自転車チームトレーナー
Paul Van Loon氏(Physio therapist,Manual therapist)写真左
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中野 喜文 先生 (なかの
よしふみ)
エンネスポーツマッサージ治療院院長(東京都渋谷区)
Tinkoff-Saxo ティンコフ・サクソチーム(ロシア・サイクリングチーム)専
属マッサー、鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師
平成10年日本鍼灸理療専門学校昼本科卒業。在校中は小守スポーツマッ
サージ療院にて研修。平成10年より渡欧。イタリアのサイクルロードチー
ム、リーゾ・スコッティを皮切りにカンティーナ・トッロ、ファッサ・ボ
ルトロ、リクイガス・キャノンデールを歴任。
平成23年に帰国後もカザフスタンのサイクルロードチームアスタナをサ
ポート。現在も宮島氏と共にロシアのサイクルロードチームTinkoff-Saxo に
所属し活動を継続。平成26年よりエンネススポーツマッサージ治療院開業。
エンネススポーツマッサージ治療院(渋谷区代々木)待合室にて
左より中野さん、NAQI小川さん、溝口
宮島
正典
先生 (みやじま
まさのり)
Tinkoff-Saxo ティンコフ・サクソチーム(ロシア・サイクリン
グチーム)専属マッサー、鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師
平成9年日本鍼灸理療専門学校昼本科卒業。テニス関連の会社マ
サスポーツシステム内の治療院にてトレーナーとして活動。
2008年から自転車ロードレースチームの専属マッサーとして海
外にて活動を開始。数年ごとにチームを移籍し、現在はヨー
ロッパでの4チーム目のチームTinkoff-Saxo にて活動中。同
チームで4シーズン目。
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トレーナー中野 喜文氏 インタビュー
Q1.今の職業を目指したきっかけを教えてください。
元々自転車競技を行っており、選手当時に通っていたスポーツマッサージ
(メジャートレーナーズ河野智和氏)の影響を受け、競技を辞めた後、施術家
として生きていきたいと思い始めました。その後、河野氏のスポーツ界を目指
すなら花田学園が良いとのアドバイスを受け、花田学園一本に絞り受験勉強を
開始しました。
Q2.現在の仕事内容を教えてください。
現在は、エンネスポーツマッサージ治療院を千駄ヶ谷に開業し、そこを拠点に活動しております。治療やコ
ンディショニングを主とし、マッサージ手技を中心とした施術を行っています。また年間90日ほどは、所属先
のロシアのチーム、ティンコフ・サクソに帯同し、欧州ロードレースの現場でトレーナー活動をしております
Q3.仕事の面白さややりがいを感じるのはどんな時ですか。
選手、患者の主訴に対して効果のあるアプローチ、施術ができた時が一番充実感を感じます。この仕事を初
めて約20年ですが、それでも知識、技量不足を感じる日々ですが、選手や患者にとって信頼されるトレー
ナーを目指す上で、まだまだ勉強の日々です。
Q4. 仕事の大変さを感じるのはどんな時ですか?
選手、患者の身体を診るものとして、自分自身の健康管理を気をつけることが大変です。自分の健康状態が
良くない場合は、 患者や選手に対して 良い施術ができないばかりか、施術自体が不能になります。この道を
選んだ以上、自分の健康に最新の注意を払う必要があると思います。
Q5. 花田学園を選んだ理由を教えてください。また昼間部 or 夜間部を選んだ理由も教えてください。
私が信頼していたトレーナーの助言が、スポーツ系に花田が強いというものでした。溝口先生との出会いを
始め、良い同級生と巡り会えたことも、卒業後の私のトレーナー活動において継続して非常に有益であると
思っています。また昼間部を選んだ理由ですが、両方受験し、昼間部に合格したからです。こちらに関しては
花田に合格するのであれば、どちらでも良かったというのが本音です。
Q6. 学校で一番思い出に残っていることを教えてください。
担任の溝口先生、同級生の泉秀行氏など、スポーツ界においてキャリアを積んだ方と知り合うことが出来た
ことは、私のモチベーションとなりました。彼らに影響を受けた同級生は他でも非常に多かったと思います。
Q7. 学校で学んで一番役に立っていることは何ですか。
授業の全てです。身体の基礎を学ぶ上で、学校で学んだことは、専門性の高い知識をつける上での、最低限
の前提だと思います。仕事をしながらの通学でしたので、疲れで授業に集中できないこともありましたが、今
となっては悔やまれる部分。
Q8. これから目指していきたいことや現在の目標を教えてください。
施術家として20年が経ちました。自分の技術の向上と同時に、若い施術家に私の経験をシェアすることも
目標にしています。
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Q9. 鍼灸・柔整の道を目指す方へのアドバイスとメッセージをお願いします。
自分自身の健康に気をつけること。他人の身体を診るのは、自分の健康があってこそです。
Q10. 思い出に残る活動内容などお聞かせください。
小守スポーツマッサージや、イタリアのトップチームの同僚など、有能なトレーナーから厳しく指導を受
けたこと。自分の誤りを的確に指摘してくれることは、その場では辛い出来事だが、振り返ってみると自分
の成長において必要不可欠な出来事だったと思います。
Q11. 競技歴、成績など
86年からサイクルロードレースを始める。89年、東京都選手件クラスB優勝 乗鞍ヒルクライムチャ
ピオンクラス6位、ツール・ド・ジャパン蔵王ステージクラスA優勝 90年、東日本実業団ロード14位
91年関東地域ロード6位 92年国際ロード・関東代表 ツールド台湾出場
Q12. 患者さんや競技者に、期待されていることや求めれらていることなどありましたらお聞かせください。
欧州で活動してみたいというトレーナーは増えています。とはいえ教育機関はアメリカとは違い乏しく、
欧州で活動する目標を持っても、その道が非常に狭き門であるといえます。そのような目標を持つトレー
ナーの道を増やすことは、私に期待されていることだと認識しています。
治療院情報
エンネスポーツマッサージ治療院
151-0051
東京都渋谷区千駄ヶ谷4−22−4 2F
03−6407−4139
トレーナー宮島 正典氏 インタビュー
Q1.今の職業を目指したきっかけを教えてください。
昔からスポーツが大好きで、スポーツに関わる仕事をしたいと考えていました。
Q2.現在の仕事内容を教えてください。
自転車ロードレースのプロチームで活動していますが、いわゆるトレーナーとして仕事よりもいわゆる
チームマネージャーの仕事と内容は重なります。 マッサージは当然行いますが、レース前の朝はレースで
使う補給のボトル準備からレース後の選手のウエアの洗濯、移動する車両の管理、時には2000キロの運転ま
で… 自転車レースはスタジアムスポーツと違うので、チームの拠点もなく、仕事の現場は常にホテルの部
屋でマッサージが行われます。ヨーロッパ中を転々としますので、他のスポーツとはかなり違うと思います。
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Q3.仕事の面白さややりがいを感じるのはどんな時ですか。
仕事内容に重なりますが、世界中で行われレースへ帯同します。普段では行けない国にも滞在もしました。
チームに多国籍のスタッフがいます。イタリア人、スペイン人、フランス人、イギリス人、ポーランド人…
コミュニケーションは大変ですが、そこに面白みあります。
Q4. 仕事の大変さを感じるのはどんな時ですか?
すべて回答が重なってしまいますが、コミュニケーションが上手く行かなかった場合は、単純なミスが起
こったりもしします。当然、言葉の問題が大変です。
Q5. 花田学園を選んだ理由を教えてください。また昼間部 or 夜間部を選んだ理由も教えてください。
花田学園には、数多くのトレーナーの先輩方を輩出されていますし、入学前に購読していたトレーニング
ジャーナルでの溝口先生の連載も読んでいましたので、行けるのであれば花田学園と決めていました。 昼
間部は学校が終わった後に仕事があったので決めました。
Q6. 学校で一番思い出に残っていることを教えてください。
国家試験対策の勉強です。
とても苦労しました…
Q7. 学校で学んで一番役に立っていることは何ですか。
毎日の授業ですね。そして当時は、アスレチックトレーナー専攻科はありませんでしたが、クラスメイト
とのトレーナー活動に対する情報交換はとても役立ちました。
Q8. これから目指していきたいことや現在の目標を教えてください。
私も40歳を過ぎ、将来を夢見る状況ではありませんが、勉強は今後も続けていかなければいけないのは当
然で終わりはないものです。
Q9. 鍼灸・柔整の道を目指す方へのアドバイスとメッセージをお願いします。
学生の期間は、先生方、先輩方の様々な経験を聞いて、吸収するといいと思います。
はとても重要と思います。
学校で重ねる時間
Q10. 思い出に残る活動内容などお聞かせください。
勝ったレースは、選手、チームスタッフの喜びは最高潮になります。
Q11. 競技歴、成績など
私自身の競技歴は、特にありません。
おりません。
高校時代は野球をしていましたが、トレーナー活動では関わって
Q12. 患者さんや競技者に、期待されていることや求めれらていることなどありましたらお聞かせください。
最終的には人としての信頼感を求められますね。
【編集後記】欧州自転車チームで活躍するお二人から、お話をお伺いしました。お二人に続くチャ
レンジャーが出てくることを期待しています。取材のご協力に感謝いたしております。(溝口)
発行:花田学園アスレティックトレーナー総括部
取材:花田学園アスレティックトレーナー専攻科・東京有明医療大学AT・HFIコース
〒150-0031 東京都渋谷区桜丘町20-1 http://www.hanada.ac.jp/
電話 03-3461-4787 Fax 03-3461-4733
注:掲載の写真および文章の転載を禁じます。
取材日:平成27年3月 取材協力:エンネススポーツマッサージ治療院 中野喜文さん、宮島正典さん
《花田学園 東京有明医療大学、日本鍼灸理療専門学校、日本柔道整復専門学校 》
花田学園AT総括部(花田学園AT専攻科、東京有明医療大学AT/HFIコース) 溝口秀雪
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