さらに②… 心電図のAI認識に挑戦

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第3章
第第
2 特集
人工知能で感情解析
わかりにくい不整脈の発見などはコンピュータが得意かも
さらに②…
心電図の AI 認識に挑戦
辰岡 鉄郎
データの取り込み
バンドパス・フィルタ
生体計測基板
+
-
E
A-D
変換
Bluetooth LE
不整脈
人工知能で
異常波形を検出
本章でやりたいこと
図1 人工知能を用いて心電図(連続アナログ波)に重畳する不整脈
や体動ノイズを検出する
第 3 章では,筋電信号だけではなく,心電図に人工
知能を応用した異常検知の手法を用いて,体動ノイズ
や不整脈の検出を試みます(図 1).
ソフトウェア構成を図 2 に示します.基本構成は第
1 章の図 2(a)と同じですが,解析アプリケーションの
中身がこの図 2 になります.
● 心電図認識の人工知能アルゴリズムに「k 近傍
法」を選んだ理由
紹介する人工知能アルゴリズム「k 近傍法」を応用す
ると,心電図のような周期性のあるデータに対して,
変化の起きた箇所を検出できます(図 3).正常な心電
図データから逸脱した波形,つまりノイズや不整脈時
の波形が拾えることになります.
k 近傍法のあらまし
ここではクラス分類の手法であるk 近傍法(k-nearest
neighbor method:k-NN)を用いて,時系列データの
異変を検出します.k 近傍法は,前章のクラスタ分析
手法である k 平均法(k-means)と似ている名前です
が,別物です.
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部分時系列データの生成
リスト1
学習データの読み込み
心電図
体動ノイズ
ノッチ・フィルタ
k近傍法を用いて異常データを検出
図 2 変 化 点 検 出を行うプログラム AnomalyDetection.py
のフロー
● シンプル! 最も近い数個のデータを抽出して
最も多く含まれるクラスに分類するだけ
k 近傍法は,近くのデータを k 個取り出して,最も
多く含まれるクラスに分類するというシンプルな教師
あり学習のアルゴリズムです.第 1 章で紹介したサ
ポート・ベクタ・マシンでは,分類器のモデル・パラ
メータを学習データから算出しますが,k 近傍法では
学習データを保持するだけで,学習と呼べるような処
理を行いません.ただデータを丸暗記するだけなの
で,怠惰学習(Lazy Learner)の一種とも言われます.
k 近傍法の具体的なアルゴリズムは以下の通りです.
1.あるテスト・データ x について,x から距離が近い
順に学習データを k 個選ぶ
2.選択された k 個のデータのクラス・ラベルから,
多数決により x のクラスを割り当てる.最多のラ
ベルが同数になった場合は,距離の近いものを優
先するなどの方法を用いる
3.全てのテスト・データについて上記を繰り返す
距離にはユークリッド距離などが使われます.k 近
傍法によるクラス分類のようすを図 4 に示します.
● スライド窓を使ってデータ群を取り出す
時系列データを,M 点ずつ,サンプルごとにずらし
ながら切り出したデータを,普通の多変量データと区
別して部分時系列(Time-series Subsequence)データ
2017 年 1 月号