東京五輪へバリアフリー設計指針見直し

SSKA頸損 No.116
2015 年 8 月 4 日発行
東京五輪へバリアフリー設計指針見直し
日経アーキテクチュア
2015/5/18 23:00
国土交通省は「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準(建築設計標準)」を改訂
する。2020 年東京五輪へ向けて劇場や競技場でのバリアフリー化を進める。2015 年 5 月 1 日、追補版
の案を公表。同年 6 月 14 日まで意見を募集している。追補版は 7 月に正式決定する予定だ。
同省住宅局建築指導課の藤原健二課長補佐は、「障害者に優しい五輪施設を計画することが最大の狙
い」と語る。競技場の設計業務発注がピークを迎えるのに合わせ、建築設計標準を見直すことにした。
■車椅子用の観覧席の数や配置などを設定
建築設計標準は、建築主や設計者などに向けて、バリアフリー設計の考え方や基準の適用方法のほか、
優れた設計事例を記載している。建物を劇場・競技場に限定した追補版では、観覧席の設計に重点を置
き、新たな計画のポイントを記載している。
客席・観覧席の設計基準。車椅子利用者のための観覧席は、前後の客席や観覧席の位置、高低差を考慮
し競技スペースや舞台へのサイトラインを確保する(資料:国土交通省)
例えば、車椅子使用者のための観客席数の目安を総客席数の 0.5~1%以上と具体的に定めたほか、サ
イトライン(可視線)の考え方を取り入れ、前列の人の頭または肩を越して舞台や競技場を見られるよ
う、高低差などへの配慮を促す。
車椅子使用者を対象としたバリアフリー設計についてはこのほか、様々な場所から観覧を楽しめるよ
う、車椅子用の観覧席を 2 カ所以上の異なる位置や階に分散して設置することなどを推奨している。
難聴者に向けた音声や画像による情報提供や、高齢者および視覚障害者に向けた案内表示などについ
ても、より詳細に内容を記述した。
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