(回答:国土交通省)(平成23年3月)

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お答えします
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国政モニターの声に対する回答
◆住宅完成保証制度の整備の必要性
ただし、顧客が制度を利用するには、住宅会社側
も審査を受けて加入することが条件になります。
元経営陣が詐欺容疑で埼玉県警に逮捕された注
更に、加入できる会社は、中小企業に限定されて
文住宅販売会社は、工事の進捗以上の工事代金を
いますが、今回の破綻会社は、未加入だったそう
前払いさせた末に経営破綻して、500世帯からの前
です。
払い金35億円は、今も顧客に戻らないままの状態
被害者救済の法的仕組みがなく、住宅完成保証
になっています。一生で最高の買い物であるマイ
についても、法律による加入義務付けが必要と考
ホームですが、消費者を保護する法整備は進んで
えます。現状は、担保能力がなくても誰でも住宅
いません。
保証会社になれますが、生命保険会社が金融庁の
破綻会社は、破産間近に及んでも「前払い金を
支払えば割引する」と顧客を勧誘し、被害を拡大
監督を受けているように、住宅保証会社も監督す
る枠組みが必要である。
(愛知県 雇用者A 男 52歳)
させました。新聞報道では、比較的富裕な顧客に
対し、工事代金の3~5%を値引くことを条件に、
前払いを促すよう融資課員に義務付けたそうです。
実際に前払いさせると、社員に報奨金が支払われ
たとのことです。
言い換えれば、元経営者たちは、破綻状態を認
識しながら顧客から契約金を騙し取ったのである。
回答:国土交通省
消費者保護の観点からは、御指摘のような完成
保証の義務づけや過度な前払い金の規制は一つの
考え方ではあります。
完成保証制度は、住宅の建築工事の途中で建設
着工の半年以上も前に支払わせた資金が、職人の
業者が倒産した場合に、発注者の支払い済みの額
人件費に使われるわけはなく、別の資金使途に充
と出来高部分を差し引いた過払い部分や、他の事
てられるのがほとんどで、住宅建築資金に対する
業者により工事を継続するために必要な追加費用
前払い金は、常識的な範囲で徴収すべきで、過度
等について、その一定範囲を保証する任意加入の
な前払いは、法律で規制する必要があると考えま
制度です。しかし、それを全ての工事に義務づけ
す。同じような住宅会社の破綻で顧客が泣き寝入
ることは、消費者・建設業者双方にとって保証料
りしたことは、2年前に経営破綻した浜松の会社
負担を強いることとなります。また、前払金の支
では、破綻直前まで顧客に過大な前払いを要求し、
払い方法を法律によって一律に義務づけることは、
顧客2200人以上が55億円の被害を受けたこともあ
悪質なケースにおける被害の防止効果も含めて、
りました。
慎重な議論が必要と考えています。
住宅会社の倒産に備え、前払い金を一定額保護
御指摘のような消費者の被害を防止するために
する制度もあります。財団法人住宅保証機構が運
は、まずはできるだけ工事の出来高に比べて過度
営する「住宅完成保証制度」がそれに該当します。
な支払いをしないことが重要です。そのため、国
土交通省の要請に基づき、住宅関連団体で構成す
る(社)住宅生産団体連合会において、工事の出来
高に照らして合理的な支払いとする契約の締結を
求める自主的なガイドラインを策定し、建設業者
と消費者双方への周知・普及に努めています。さ
らに、昨年7月に中央建設業審議会において改正
され、建設業団体等に対しその実施が勧告された、
民間建設工事標準請負契約約款(乙)においても、
工事の出来高に比べて過度な支払いをしないよう、
契約書に標準的な支払い割合が例示されており、
国土交通省としても、その利用が図られるよう周
知に努めています。
なお、国土交通省は、監督権限を有する住宅瑕
疵担保責任保険法人が任意の業務として実施して
いる完成保証※について適切に監督を行うことを
通じて、消費者が安心して完成保証制度を利用出
来るように努めています。
※詳しくは、株式会社住宅あんしん保証、財団
法人住宅保証機構及び株式会社日本住宅保証検査
機構にお問い合わせください。