Osaka University Hospital ハートセンター 1.スタッフ センター長(兼)教授 (5) 成人先天性心疾患 坂田 (6) 心臓弁膜症 泰史 その他、教授 1 名、助教 3 名、医員 7 名、病棟事務 補佐員 1 名 3.診療体制 (兼任を含む。また、助教は特任を含む。) (1) 外来診療 循環器内科・心臓血管外科ともに月曜日から金曜日 2.診療内容 まで全日外来診療を行い、初診・再診を問わず広く症 近年、循環器疾患の重症化に伴い、より高度な治療 例を受け入れ診療に当たっている。また夜間・休日に が求められる一方で、もう一つの大きな流れとして おいても常に循環器内科 2 名、心臓血管外科 2 名の当 体に優しい低侵襲な診断・治療が要求されている。 直医が院内に常駐し、必要に応じて高度救命救急セン 当センターは、診療科にとらわれない幅広く高水準 ターと連携をとり診療を行っている。特に、院内及び で安全な治療を提供することを目的に平成 19 年に発 他院からの救急受診要請に対してはハートコール担 足した。現在の冠動脈疾患に対する経皮的冠動脈イ 当医によるホットラインを設置し、24 時間体制で対 ンターベンション(Percutaneous Coronary Inter- 応している。 vention: PCI)や CT、MRI などの先進画像診断、大 動脈疾患に対するステントグラフト治療、さらに経 (2) 病棟体制 カテーテル的大動脈弁置換術など、侵襲の軽減を図 東 9 階、西 9 階病棟において、循環器内科、心臓血 る血管内治療を研究、実践する先進心血管治療学講 管外科の教員、医員が各患者担当となり、両科間の連 座、低侵襲循環器医療学講座と常に連携をとりつつ 携をとりつつ、入院治療に当たっている。運営面では 診療の充実を図っている。 心不全回診及びカンファレンス、弁膜症/TAVR カンフ また、本院は心臓移植認定施設であり、全国から重 ァレンス、心臓移植検討会等を両科合同で行い連携を 症心不全の患者を受け入れており、補助人工心臓装 深めている。東 9 階病棟には CCU、西 9 階病棟には HCU 着患者を多数当センターで管理している。移植への を備えており、集中治療部や高度救命救急センターと 橋渡しのみならず、再生医療などの高度医療を併用 の連携を図りながら、重症患者や難治性疾患患者の治 し、多方面より心機能改善に向けて取り組んでいる。 療に当たっている。 専任の臨床工学技士が補助人工心臓の管理に当たっ 病棟カンファレンススケジュール ている。 平成 21 年には心臓リハビリテーション(Ⅰ)の施 月曜日: 設認定を受け、本格的に心臓リハビリテーション室 心臓血管外科教授回診 の運営を開始した。心電図、血圧をモニターしなが 外科内科合同心不全回診 ら運動リハビリテーションが可能なエルゴメーター 循環器内科心臓カテーテル検査カンファレンス 5 台とトレッドミル 1 台を設置、また心臓リハビリ専 外科内科合同弁膜症/TAVR カンファレンス 属理学療法士及び看護師を配置し、質の高いリハビ リテーションを進めている。 外科内科合同心不全カンファレンス 火曜日: 当センターの診療対象は循環器領域全般にわたる が、その中でも近年日本人においても増加の一途を たどっている虚血性心疾患、重症心不全、大動脈疾 循環器内科多職種カルテ回診 心臓移植検討会(月 1 回) 木曜日: 患、高齢者弁膜症に重点を置き治療に当たっている。 循環器内科教授回診 診療対象を大別すると以下のとおりである。 心臓外科ライター回診 心臓外科手術症例検討会 (1) 虚血性心疾患 (2) 心不全 毎朝: 循環器内科カンファレンス (3) 大動脈・大血管疾患 (4) 不整脈 - 156 - ハートセンター 4.診療実績 5.その他 平成 26 年度の心臓カテーテル検査数は 1,328 件で (1) 先進医療など あり、PCI 件数は平成 26 年 294 件と前年の 344 件よ 1)心臓移植 66 例(平成 26 年度 16 例) り若干減少したが、カテーテルアブレーション(EPS 2) 心肺同時移植 2 例 含む)及びペースメーカーなどのデバイス植え込み 3)補助人工心臓装着例 294 例(平成 26 年度 39 例) はそれぞれ 87 件及び 113 件であり、総件数としては 4)筋芽細胞シート移植 33 例(平成 26 年度 8 例) 維持された。また新たに心臓ペースメーカーリード 抜去術の施設認定を受け、同術実施を開始した。 (2) 臨床研究など 心臓大血管開心術症例数は年々増加を続け、平成 1)重症拡張型心筋症への bridge-to-transplantation 26 年度も 584 件と国立大学で最多の症例数を誇った /recovery を目指した新規治療法の開発と実践 (図 1)。平成 21 年より本院が国内で初めて導入した 2)拡張機能低下型心不全に対するニフェジピン CR 大動脈弁狭窄症に対する低侵襲治療である経カテー の有効性の検討(DEMAND 試験) テル的大動脈弁置換術は、治験及び先進医療下に施 3)非代償性心不全で入院し、体液貯留に対してト 行し、平成 26 年度の症例数は 107 となり、累積で 256 ルバプタン治療を受けた患者に関する多施設共 例にまで達した。国内最多の数である。大動脈弁狭 同前向きコホート研究(MT FUJI study) 窄症患者の増加に伴い世界的にも注目される治療で あり、当治療の中核的施設として当センターのさら なる発展が期待されている。 (3) 学会の施設認定 ・日本内科学会教育病院 また、全国より重症心不全患者を積極的に受け入れ ・日本外科学会認定施設 ている。平成 22 年の改正臓器移植法施行後、本邦で ・日本循環器学会研修施設 の心臓移植手術数は飛躍的に増加し、平成 26 年度は ・日本胸部外科学会認定施設 16 例に実施し、その結果、これまで本院において 66 ・日本心臓血管外科学会認定施設 例に対して心臓移植を実施するに至った。補助人工 ・脳死心及び心肺移植認定施設 心臓の植込み手術も増加する傾向にあり、平成 26 年 ・植込型補助人工心臓実施施設 度も 39 例と国内で一、二を争う症例数となっている。 ・超音波専門医研修施設 平成 23 年度に植込型の定常流補助人工心臓が保険収 載されているが、我々はそれに先駆けて定常流補助 人工心臓の植え込みを臨床研究として行ってきた。 (4) 学会指導医・専門医数 ・日本内科学会 認定医 77 名、専門医 8 名、 ・日本外科学会 専門医 29 名、指導医 3 名、 一方、筋芽細胞シート移植をこれまで 33 例に施行し、 これにより補助人工心臓からの離脱が可能となった 指導医 9 名 症例も経験した。筋芽細胞シート移植に関しては企 認定医 5 名 業治験も開始となっている。その他の各種検査、外 ・日本循環器学会 専門医 58 名 来及び病棟における診療実績の詳細は循環器内科、 ・日本胸部外科学会 指導医 1 名、認定医 1 名 心臓血管外科各科の報告に譲る。 ・日本心臓血管外科学会 専門医 13 名 600 441 432 466 500 400 300 200 182 192 180 244 482 522 516 584 316 ・日本超音波学会 指導医 3 名 ・日本インターベンション学会 認定医 14 名、指導医 3 名 ・ステントグラフト実施機構 ・植込型補助人工心臓 100 平 成 1 平 5年 成 1 平 6年 成 1 平 7年 成 1 平 8年 成 1 平 9年 成 2 平 0年 成 2 平 1年 成 2 平 2年 成 2 平 3年 成 2 平 4年 成 2 平 5年 成 26 年 0 (図 1)心臓血管外科開心術症例数の推移 - 157 - 指導医 6 名、実施医 1 名 実施医 3 名
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