600兆円経済の実現に向けて

資料2
600兆円経済の実現に向けて
~好循環の強化・拡大に向けた分配面の強化~
平成28年3月11日
伊藤 元重
榊原 定征
高橋
進
新浪 剛史
成長と分配の好循環に向けて
アベノミクスの成果の活用等を図りつつ、一億総活躍社会の構築に向けた構造的課題へ
の対処等に向け、以下に掲げる政策を含め働き方支援を中心に、サプライサイド(*)の強化と
それによる所得の増加を通じて、成長と分配の好循環を目指すべき。
(*) 希望に応じた就労や結婚・出産・子育てを可能とする環境整備・働き方改革、起業・投資・イノベーションの促進等
○家計の可処分所得の拡大
・ 春季労使交渉での昨年を上回る賃上げと最低賃金1,000円の早期実現、働き方改革による就業拡大
・ 社会保障費の効率化を通じた、現役世代が安心して消費できる環境整備
○多様な働き方を可能とする環境整備
【女性の社会参加支援】
・ 130万円の壁や本年10月からの社会保険加入条件拡大等に伴う就労制約の突破
【高齢者の就労促進・生活の質の向上】
・ 60歳以上の被用者保険加入拡大による就労インセンティブ拡大、65歳以上の在職老齢者年金の見直し
・ 介護職員の待遇の更なる改善を通じた公的サービス供給の充実
【現役世代の多様な働き方支援】
・ 残業の抑制による経費を子育て手当に充当するといった企業の取組、健康経営や効率的な働き方の推進
・ 長時間労働抑制・有給休暇取得促進のための法令改正、ワーク・ライフ・バランス推進(調達の活用推進等)
・ 高い技能を活かすための兼業・副業の促進(兼業・副業に必要な環境整備についてのガイドライン化)
2
○子育て支援の抜本強化に向けた異次元の取組
・ 子ども・子育て支援の質・量の充実、保育士の待遇改善を通じた公的サービス供給の充実
・ 給食費の無料化の検討
・ 小児・周産期医療の充実、こども医療費の負担軽減に係る国民健康保険の国庫負担金等の減額措置につ
いての検討等
○ストック効果の発揮、潜在需要の掘り起こしを通じて成長力を強化する投資促進
・ 実質金利が低下している中、民間投資を促進するとともに公的投資の費用対効果の改善を踏まえた対応
を検討
- 内外の観光消費の活性化につながる観光関連インフラの整備、公共施設(公共トイレ等)のバリアフリー化
- コンパクトシティや「生涯活躍のまち」の実現に向けた公共施設等の集約・再編・活性化
- 事業を広域化して取り組む生活関連インフラ(上下水道等)の維持管理・更新と有効活用
○地方での成長・所得拡大を阻害している要因の除去
・ 建設分野での外国人材の受入れ策の有効活用促進、JETプログラムの参加人数の拡大・同プログラム終了者
の国内での活躍促進等を通じた人材不足対策
・ 子育て世代や移住・集中を希望する者に対する空き家のリフォームと低家賃貸与を通じて、地方への人材
還流を推進
・ PFI/PPPや官民ファンド等を活用した、LCC乗入れ拡大、クルーズ船の寄港拡大の観光インフラ整備
・ 検疫や安全性の国際基準(HACCPなど)への対応、高品質の日本ブランドを活かした戦略的輸出や販路
開拓・促進等を通じた農林水産物の輸出拡大など、攻めの農業の構築
・ 中小企業の生産性向上(ICTの利活用等)
・ 投資家からの資金を活用して地域の社会的課題などに取り組む社会的インパクト投資の推進等
3
1.賃金の引上げに向けて
家計の可処分所得の増加に向けて、企業収益に応じた賃上げを実現するとともに、希望する者の就労を促す取
組み、労働需給がひっ迫している分野への対応、健康長寿分野での新社会システム構築(前回諮問会議で提案
した予防の強化、データヘルスの優良事例の全国展開等)による社会保険料負担の抑制を加速する必要がある。
賃金の動向をみると、 デフレマインドが残る中でフルタイムの一般労働者は賃上げペースが遅い。労働力不足
の状況を踏まえ、人材確保のために賃金を引き上げるべき。
パート賃金は上昇しているものの、フルタイムとの格差は依然大きい。最低賃金を引き上げ、早期に1,000円を
実現するとともに、非正規労働の待遇改善(被用者保険の加入を含め)を進めるべき。
図表1.有効求人倍率と賃金の動向(一般労働者)
3
(2006年対比、%)
(倍、季節調整値)
有効求人倍率
(折線、目盛右)
2
1.3
1
0.8
0
-0.2
-2
-0.7
-3
名目賃金(2006年対比)
-1.2
Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ (期)
(年)
06 07 08 09 10 11 12
13
14
15
図表2.有効求人倍率と賃金の動向(パート労働者)
3
200
(2006年対比、%)
(倍、季節調整値)
2
1.8
1.3
1
190
0.3
有効求人倍率
(折線、目盛右)
-1
-2
-0.2
-0.7
名目賃金(2006年対比)
-3
-4
ⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣ
06 07 08 09 10 11 12
13
14
(備考)厚生労働省「職業安定業務統計」「毎月勤労統計調査」により作成。
15
-1.2
(期)
(年)
16
15
180
170
社会保険等負担分
可処分所得
14
13
160
26
25
25
144
145
147
2013
14
15
12
150
140
0.8
0
(%)
(兆円)
収入に占める社会保険等負担の割合(目盛右)
0.3
-1
-4
図表3.一般労働者(60歳以下)の可処分所得(試算)
1.8
130
11
10
(年)
(備考)厚生労働省「賃金構造基本統計調査」、総務省「労働力調査」「労働力調査(詳細集計)」により作成。一般労
働者はすべて厚生年金、健康保険、介護保険、雇用保険に加入していると仮定。2015年の賃金については、2015年
のボーナスを2014年と同額と仮定して試算。
4
2.女性の就労支援
生産年齢人口が過去3年間において335万人と大幅に減少する中、就業率は男性・女性とも全年齢階層で上昇
し、就業者は106万人増加。さらに、現在でも920万人の就労希望者がおり、その希望を実現するためには、多様
な働き方改革を進め、女性、高齢者の社会参画を促進するとともに、現役世代のワークライフバランスの改善を
進めることが必要。
パート労働者平均年収をみると、100~130万円の壁が存在。パートの時給の上昇に伴い、就業時間調整も発
生している。本年10月からは、社会保険加入条件が、501人以上の企業を対象に、年収106万円以上、週労20時
間以上に引き下げられる。これに伴い、対応策を着実に実施するとともに、必要に応じて充実・強化すべき。また、
被用者保険への加入義務が実行されるよう、適切な指導を行うべき。
図表6 .パート労働者の時給・労働時間・年収
図表4.生産年齢人口と就業者数の推移
(万人)
(万人)
1110
8500
4000
3500
2654
7707
1060
1050
2500
7500
1040
1020
7000
2009 10
2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015
就業者数(女性)
95
92.6
90
93.2
92.8
89.4
90
85
82.4
78.8
30.3
35~44
45~54
55~64
(備考)総務省「労働力調査」より作成。
40
35
70
72.2
69.1
65
66.7
30
60
30
25
2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015
25~34
45
74.8
40
72.1
71.2 35
57.9
55
52.4
50
27.9
75
80
75
65歳以上(右軸)
15
13.2
45
35~44
45~54
55~64
25
20
15
10
2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015
25~34
13
14
21.8 109
2009 10
15(年)
65歳以上(右軸)
運輸業,郵便業
4%
8% 製造業
その他の
サービス業
33%
27%
23%
)
80
就業率(女性)
(%)
、
92.3
45
160
150
140
年
130
間
賃 120
金 110
100
万
円 90
80
70
60
(
就業率(男性)
(%)
(%)
12
11
12
13
14
15 (年)
図表7.パート労働者の年間賃金と 図表8.週20~30時間の短時間労働者
週労働時間(業種別)
(学生等を除く約250万人)
生産年齢人口(総数)(右軸)
図表5.年齢階層別就業率
(%)
11
年収
(
年収)
就業者数(男性)
22.4 113
112
22.2
111
22 110
時給
1030
2000
116
115
22.6 114
1070
2754
(万円)
117
22.8
1080
8000
23.2 118
23
1090
8042
3000
週あたり労働時間
1100
3622
3616
(時間)
(円)
106
万円
卸売業,小売業
【適用拡大対象】
約50万人
約25万人
約110万人
約60万人
飲食・宿泊
サービス業
15
20
25
30
(週労働時間、時間)
35
500人
(従業員数)
(備考)1.厚生労働省「毎月勤労統計調査」、厚生労働省資料により作成。
2.左図の計数は全産業のパート労働者数に占める各業種のパート労働者数の割合。「その他のサービス業」は「生活関連
サービス業」(17%)、「教育、学習支援」(18%)、「医療、福祉」(40%)、「複合サービス事業」(1%)、「サービス業(他に分類され
ないもの)」(23%)を含む。()内は「その他のサービス業」に占める各業種の労働者数の割合。
5
3.子ども・子育て世帯の支援拡充
第2次ベビーブーム世代は40歳代を迎え、出生者数は年間100万人まで減少。50年後にも1億人程度の安定的な人口構造を保
持するためには、希望通りに働き、結婚、出産、子育てを実現できる環境を一刻も早く整えるべき。
OECD平均と比べ低い水準にとどまっている少子化対策(家族関係支出)について、「経済・財政再生計画」の枠組みの下、2020
年までの早期に倍増を実現すべき。まずは、子ども子育て支援の質・量の充実を実現するとともに、保育サービス拡充のボトル
ネックとなっている人材不足を早急に解消するため、保育士の待遇改善に早急に取り組むべき。
また、給食費の無料化の検討や小児・周産期医療の充実、こども医療費の負担軽減に係る国民健康保険の国庫負担金等の減
額措置についての検討を通じて、子育て支援の強化を推進すべき。
図表12.保育士(女性)の月収、従業者数等
図表9.女性年齢別人口と出生数
(万人)
0
20
40
60
80
100
120
100歳以上
95
90
85
80
75
70
65
60
55
50
45
40
35
30
25
20
15
10
5
0歳
35
50
49.3
(万人)
年齢別出生数(2014年)
40
37.2
30
10
0
35.9
1.6 1.3
10
10.0
1.2
5.0
0.0 0.1
19歳以 20 ~ 24 25 ~ 29 30 ~ 34 35 ~ 39 40 ~ 44 45歳以
下
上
(備考)総務省統計局「人口推計」(2015年10月現在)、厚生労働省人口動態推計(確定版)より作成
図表11.待機児童数上位5都府県
(2015年4月1日)
図表10.家族関係社会支出の比較
(%、GDP比)
4.5
4.0
3.5
3.0
2.5
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
4.04
3.05
3.97
都道府県
2.93
0.96
2009
7,814
沖縄県
2,591
千葉県
1,646
11
大阪府
1,365
OECD
(単純平均)
埼玉県
1,097
日本
家族手当
就学前教育・保育
2.23
1.35
2011
09
11
フランス
09
11
イギリス
出産・育児休暇給付
デイケア、家事支援サービス
09
その他の現金給付
その他の現物給付
(備考)OECDデータベースより作成、2016年3月取得
データ。OECDは34か国の単純平均。
待機児童数(人)
東京都
2.33
(年度)
(参考)全国
25
21.2 22.3
24.2
26.2 26.8
29.3
15
22.6
19.4
8.7
30
20
26.8
20
第2次ベビーブーム
世代
年齢別出生数(1995年)
(万円)
23,167
(備考)厚生労働省「保育所等関連状況取りまとめ」により作成。
保育士 介護等 全産業
(所定内)
保育士 介護等 全産業
(月収(賞与込))
従業者数
要確保数
潜在有資
格者数
有効求人
倍率
約41万人
(うち非常勤
約9万人)
6.9万人
(2017年度
まで)
70万人
以上
2.44
(備考)厚生労働省「職業安定業務統計」、「賃金構造基本統計調査」、保育士等確保対策検討会資料より作成。月収
は2015年の一般労働者。月収(賞与込)は所定内給与額と年間賞与その他特別給与額の月平均。介護等は「社会保
険・社会福祉・介護事業」。有効求人倍率は2016年1月の値。
図表13.小中学校の給食費
小学校
中学校
保護者が支払う給食費(月額)
4,266円
4,882円
児童・生徒数
648万人
324万人
3,237億円
1,883億円
総額
合計
5,120億円
(備考)文部科学省「学校給食実施状況等調査」により作成。都道府県の学校給食費平均月額に児童・生徒数を
乗じて算出。小学校の給食費は各都道府県の低学年、中学年、高学年の単純平均。
6
4.高齢者の就労促進、生活の質(QOL)向上
高齢者の就業率は、成長に伴う労働需給のひっ迫、さらには、就労意欲の向上や健康寿命の伸延とも相まって、雇用
確保措置が義務化された65歳以下だけでなく、 74歳以下で全般的に上昇。
高齢者の就労希望を実現するとともに、老後の安心を確保するため、60歳以上の被用者保険への保険加入拡大によ
る就労インセンティブの拡大、 65歳以上の在職老齢者年金制度の見直し等に早急に取り組むべき。
介護職員の賃金水準は全産業平均と比べて数万円程度低い。恒常的な人手不足は、好循環や一億総活躍社会のボ
トルネックとなっている状況。「経済・財政再生計画」の枠組みの下、歳出効率化や成長の底上げによるアベノミクスの
成果を活用し、介護職員の待遇の更なる改善等に取り組むべき。
図表14.60歳以上の就業率
80
(%)
60~64歳
70歳以上
75歳以上
60
図表16.介護職員(男・女)の月収、従業員数等
~勤続年数5~9年の他産業の賃金との比較~
65~69歳
70~74歳
62.2
40
30
24.9
13.7
8.3
20
23.5
25
25.6
28.3 29.1
27.4
20
15
0
2000
01
02
03
04
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
33.9
35
41.5
40
(万円)
(年)
10
介護等 生活関連 全産業
(所定内)
介護等 生活関連 全産業
(月収(賞与込))
(備考)総務省「労働力調査」により作成。2011年の就業率は岩手県、宮城県及び福島県を補完的に推計した数値。
2006年4月に高年齢者雇用確保措置が義務化され、2013年4月に継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みが廃止。
図表15.60歳以上男女の就労希望年齢(2014年)
65歳くらいまで
70歳くらいまで
16.6
16.6
わからない、
働けるうちは
無回答等
いつまでも
仕事をしたいと
80歳くらいまで
思わない
75歳くらいまで
7.1
28.9
10.6
17.5
2.7
65歳を超えて就労を希望する者は約7割
0%
20%
40%
60%
80%
100%
(備考)内閣府「平成26年度 高齢者の日常生活に関する意識調査」により作成。65歳を超えて就労を希望する
者の割合は「わからない、無回答等」を除いた者に占める割合。
従業者数
要確保数
潜在有資格者数
約171万人
(うち非常勤
約68万人)
37.7万人
(2025年
まで)
約54万人
(介護福祉士)
約350万人
(訪問介護員)
有効求人倍率
3.01
(備考)
1.厚生労働省「賃金構造基本統計調査」、「2025年に向けた介護人材にかかる需給推計(確定値)について」、「職業安定
業務統計」、社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会「介護人材の確保について」により作成。
2.月収は2015年の一般労働者。月収(賞与込)は所定内給与額と年間賞与その他特別給与額の月平均。介護等は
「社会保険・社会福祉・介護事業」(勤続年数7.6年)、生活関連は「生活関連サービス業,娯楽業」(勤続年数9.0年)、
全産業は勤続年数5~9年の計数。
3.潜在有資格者について、介護福祉士は「登録者数(2013年)-従事者数(2013年)」、訪問介護員は「訪問介護員養
成研修修了者数(2012年度までの累計)-訪問介護員従事者数のうち研修修了者(2011年)」により算出。
4.有効求人倍率は2016年1月の値。
7
5.外国人材の活用
公共事業の請負工事件数は緩やかに減少する中、受注残高は増加。今後はオリンピック・パラリンピック関連
事業も本格的に開始される予定。このため、2020年度までに延べ7万人程度の外国人の受入れを想定して、
2015年度から緊急受入措置を開始。しかしながら、2016年2月までの受入れ実績は293人にとどまっている。即
戦力となる外国人材の活用を進め、円滑な事業執行を進めるべき。
外国語教育の充実、地域での外国人材活用に向け、JETプログラムの参加人数を拡大するとともに、JETプログラム
終了者の国内での活躍を促進すべき。
70
60
図表17.建設投資と就業者数
(兆円)
建設業就業者数(目盛右)
図表19.技能実習2号移行申請者数(建設関係)
(万人)
660
民間建設投資
620
政府建設投資
50
40
580
30
540
20
500
10
0
460
2002 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15
(年)
(備考)1.国土交通省「平成27年度建設投資見通し」、厚生労働省「労働力調査」により作成。
2.建設投資は年度の実質値。25・26年度は見込み額、27年度は見通し額。就業者数は暦年の値。なお、2011年の就
業者数は東日本大震災の影響によりデータがないため、2010・12年の単純平均として算出。
16
14
12
10
8
6
4
2
0
(千人)
13.2
7.8
( 2010年平均=100)
2
建設労 働
過不足率
( 目盛右)
110
1
0
105
-1
建設業の
所定外労働時間
100
95
2010
11
12
13
14
【 不足率が高い地域】
( 2015年平均)
中部
四国
中国
全国
2.7%
2.5%
1.6%
0.8%
-2
-3
15 ( 年)
(備考)1.厚生労働省「毎月勤労統計調査」、国土交通省「主要建築資材需給・価格動向」により作成。
2.建設労働過不足率は、型枠工(土木・建築)、左官、とび工、鉄筋工(土木・建築)の計。
3.過不足率=((②-③)/(①+②))×100 ①確保している労働者数、②確保したかったが出来なかった労働者
数、③確保したが過剰となった労働者数。
2010
11
4.6
12
5.3
13
14
15 (年度)
図表20.JETプログラムの参加人数
7,000
3
不足 過剰
115
( %)
3.7
(備考)1.公益財団法人国際研修協力機構「技能実習生・研修生統計」により作成。
2. 2015年度の値は、4~11月の前年度伸率で延伸。技能実習生は技能実習1号終了時に技能検定基礎2
級等に合格し、在留資格変更許可を受けると技能実習2号へ移行し、最長3年間の技能実習が可能。建設
分野では3年間の技能実習修了者に対し、追加で2年間の特定活動を認める緊急措置を2020年度まで実施。
図表18.建設技能労働者過不足率と建設業の所定外労働時間
120
3.5
6,000
5,000
(人)
4,786
4,000
3,000
2,000
1,000
0
(年度)
(備考)総務省「平成27年度語学指導等を行う外国青年招致事業(JETプログラム)の概要」により作成。
8
6.付加価値生産性の高い働き方の実現 ①長時間労働からの転換
日本の年間総労働時間は1736時間とG7の中では米国とほぼ同程度であるが、労働生産性は米国の2/3。ドイツの年
間総労働時間は1369時間(日本の8割水準)で、労働生産性は日本の1.5倍。
日本の年間総労働時間は緩やかに減少しているが、正社員の労働時間は横ばいで推移(2020時間程度)しており、
パート比率の上昇によるもの。非正規の正社員化の促進と同時に、正社員の働き過ぎの是正が急務。
長時間労働を抑制するインセンティブとして、削った残業代を子育て手当に向ける企業もある。こうした動きを加速する
ため、長時間労働抑制・有給休暇取得促進のための労基法等改正法案の早期成立、健康経営や効率的な働き方の推
進が重要。
図表21.年間総労働時間と労働1時間あたりGDP(労働生産性)
(ドル)
70
60
60
59
1708
1789
50
1667
47
1479
47
1734
47
1771
1900
1736 時間
46
1369
40
フランス
39ドル
ドイツ
カナダ
イギリス
イタリア
OECD平均
1800
1700
長時間労働抑制の数値目標設定
1600
働き方・休み方改革に向けた業務効率化
1400
退社目標時間等の設定・フォローアップ
1300
残業削減プロジェクト実施
1200
日本
図表22.年間総労働時間の推移
(時間)
2050
2000
1976
1950
2009
2006
2030
2018
1747
1765
1746
1741
1734
2014
1754
パートタイム
28.00
労働者比率
27.00
27.3 %
30.5 %
1090
パートタイム労働者の総実労働時間
27.8%
28.2 %
1105
28.8 %
29.4 %
1093
29.8 %
2015
1096
2012
2009
1082
2011
29.00
2010
30.00
1150
(時間)
1100
1084
1068
26.00
2009
2011
2012
83社、30.4%
79社、28.9%
46社、16.8%
14社、5.1%
2013
2014
2015 (年)
(備考)厚生労働省平成27年度雇用政策研究会報告書参考資料、「毎月勤労統計調査」より作成。
 KDDI株式会社:2015年7月1日から勤務間インターバル制度を導入。勤務の終了時
刻と次の勤務の開始時刻との間に少なくとも8時間の間隔を置くこととした。
 アステラス製薬株式会社:海外との深夜会議参加者を対象に、勤務間11時間インター
バルルールを周知
1050
1000
2010
104社、38.1%
【具体的取組事例】
1700
31.00
119社、43.6%
 「個別労働組合等との合意に基づき、終業時から次の始業時間までに一定時間の休
息をおくこと」(日本経団連)
 日本経団連の調査(2015年)では、回答273社のうち14社が実施
2013
1750
総実労働時間(全体)
1733
127社、46.5%
【勤務間インターバル制】
1900
1800
朝型勤務
80
2026
一般労働者の総実労働時間
1850
60
173社、63.4%
一定時刻以降の時間外労働禁止
勤務間インターバル制度
2021
40
時間外労働の事前申告制
(備考)OECDデータベースより作成。2012~14年の平均。就業者1人あたり年間総労働時間は、就業形態(フルタイム・パートタ
イム)に関わらず就業者全体についてのデータ。労働時間あたりGDPは、2010年基準購買力平価換算の米ドル。
2100
20
1500
30
アメリカ
(%)
0
2000
労働時間あたりGDP(2012~14年平均)
就業者一人あたり年間実労働時間(右軸)
62
図表23.長時間労働抑制に向けた企業の取組の推進
(時間)
(備考)日本経済団体連合会「『健康経営』への取組状況(事例集・アンケート調査結果)」(2015年11月9日)、「ワー
ク・ライフ・バランスへの取組状況(事例集・アンケート調査結果)」(2015年9月30日)より作成。ワーク・ライフ・バラン
ス調査は会員企業への調査結果から長時間労働に関する主なものを抜粋、勤務間インターバル制度の事例は、「事
例集」より要約抜粋。
9
6.生産性の高い働き方の実現 ②兼業・副業の促進
副業を希望する者は、近年増加(2012年合計368万人)。低所得者層と、男性の中高所得層で兼業・副業の意向を有する者が
多くみられることから、所得を向上する観点と、高い技能を活かす観点の双方の理由があることが示唆される。
後者について企業の中には兼業・副業を容認する動きもある(図表26)。キャリアの複線化、能力・スキルを有する企業人材の
活躍の場の拡大や大企業人材の中小企業・地域企業での就業促進などの観点から、積極的に兼業・副業を促進してはどうか。
その際、兼業・副業の場合における総労働時間の把握や雇用保険の適用関係など、兼業・副業に必要な環境整備について検
討し、ガイドライン等を示すべき。
図表24.副業を希望する雇用者
7
図表25.所定労働時間未満の仕事を複数掛け持つ者の扱い
①全雇用者に占める割合
(%)
男性
女性
6
6.0
雇用保
険の適
用
× (週20時間未満を掛け持つ場合、適用なし)
労働時
間規制
〇 (適用される)
5.7
5.5
5
4
・主たる賃金を受ける1つの雇用関係においてのみ、週所定労働20時間
以上等の条件で雇用保険適用。
・「マルチジョブホルダーについては、マイナンバー施行後も労働時間の
把握、失業の判断など課題。(略)雇用保険の適用のあり方と併せて引
き続き議論していくべき」(2015年12月労政審雇用保険部会報告書)
労働時間の通算規定適用(労基法38条1項)
3
1992
1987
2002
1997
2007
2012
(年)
②副業希望者の現在の年間所得
4 2
男性
(N=200万人)
32
31万人
41
78
10
1
女性
(N=165万人)
48
67万人
0%
10%
20%
30%
40%
50%
26
60%
~99万円
100~199万円
200~299万円
700~999万円
1000万円以上
家族従業者
70%
80%
6
17
90%
100%
300~699万円
(備考)総務省就業構造基本調査平成24年度版より作成。現在就業している者のうち、「現在就いている仕事を
続けながら、他の仕事もしたいと思っている者」(追加的就業希望者)についての動向、24年度の追加的就業希
望者は全368万人、②は現在の年収を回答した合計365万人についての分布。
図表26.兼業・副業を促す動き
●中企庁「兼業・副業に係る取組み実態調査」(2014年)
兼業・副業を認める制度がある会社は3.8%。兼業・副業を推進する企
業はゼロ。※地域・業種・規模に偏りなく抽出した4,513社の状況
●個別事例
・ロート製薬は2016年2月、より社会へ貢献し自分を磨くための働き方
を可能とするとして、①「社外チャレンジワーク制度」(土・日・祝・終業後
に収入を伴った仕事に就業すること(兼業)を認めるもの)、②「社内ダ
ブルジョブ制度」(複数部門・部署を担当できる制度)を導入
・スキルを活かし自宅や空き時間で働きたい個人と、業務委託したい企
業をICT経由でマッチングする「クラウドソーシング」が拡大。現在の主
な業務内容はデザイン、プログラミング、コンサルタント業務など。2013
年から5年で市場規模が8倍(1800億円弱)に成長する見込み。
(備考)ロート製薬プレスリリース、総務省「情報通信白書平成27年版」を参考に作成
10
7.成長力を強化する公的投資の促進
海外経済の弱さや市場の変動を受け、今後、民間需要は下振れるリスクもある。実質金利が低下して
いる中、民間投資を促進するとともに公的投資の費用対効果の改善を踏まえた対応を検討すべき。
その際、「経済・財政再生計画」の枠組みの下、ストック効果の発揮、潜在需要の掘り起こしを通じて成長力を強
化する以下の公的投資に重点化すべき。また、民間投資の呼び水として官民ファンド・政策金融を活用すべき。
-内外の観光消費の活性化につながる観光関連インフラの整備、公共施設(公共トイレ等)のバリアフリー化
-コンパクトシティや「生涯活躍のまち」の実現に向けた公共施設等の集約・再編・活性化
-事業を広域化して取り組む生活関連インフラ(上下水道等)の維持管理・更新と有効活用
図表29.コンパクトシティ、「生涯活躍のまち」に取り組む市町村数
図表27.日本国内での旅行消費
(兆円)
30
25
29.3
1.0
26.8
28.2
1.1
25.6
29.7
1.3
26.8
27.8
27.3
1.5
1.4
24.7
24.4
20
35
15
24.9
1.2
22.5
日本国内での旅行消費(合計)
23.0
1.3
20.4
22.0
22.1
1.0
1.3
19.6
19.4
23.2
22.5
1.7
2.2
20.1
18.9
(市町村数)
立地適正化計画 (全220市町村)
生涯活躍のまち (全201市区町村)
3.5
10
15
日本人・国内宿泊旅行
日本人・国内日帰り旅行
日本人・海外旅行(国内分)
インバウンド(訪日外国人旅行等)
日本人国内宿泊・日帰り合計
10
5
0
5
(備考)平成28年2月18日経済財政諮問会議有識者議員提出資料より抜粋。
図表28.クルーズ船による外国人入国者数
5年前倒しで実現
120
(万人)
111.6
100
100(目標)
60
20
0
(備考)国土交通省「立地適正化計画の作成について具体的な取組を行っている都市( 平成27年12月31現在)」、まち・ひと・し
ごと創生本部『「生涯活躍のまち」構想参考資料』により作成。「生涯活躍のまち」は2015年11月1日時点で「⽣涯活躍のまち」
に関連する取組を地方版総合戦略に盛り込む予定(既に盛り込み済)の市区町村数。
図表30.官民ファンドの状況(2015年9月末現在)
80
40
(年)
沖縄県
鹿児島県
宮崎県
大分県
熊本県
長崎県
佐賀県
福岡県
高知県
愛媛県
香川県
徳島県
山口県
広島県
岡山県
島根県
鳥取県
和歌山県
奈良県
兵庫県
大阪府
京都府
滋賀県
三重県
愛知県
静岡県
岐阜県
長野県
山梨県
福井県
石川県
富山県
新潟県
神奈川県
東京都
千葉県
埼玉県
群馬県
栃木県
茨城県
福島県
山形県
秋田県
宮城県
岩手県
青森県
北海道
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015
41.6
17.4
0
2013
14
15
20
(年)
(備考)国土交通省「2015年のクルーズ船の寄港実績等について(速報値)」により作成。
政府・民間からの出資等
実投融 活用
(投融資可能額)(億円)
資額 割合
(億円) (%)
政府
民間
政府保証
合計
6,424
1,693
32,164
40,281 10,291
25.5
(備考)平成28年1月21日経済財政諮問会議有識者議員提出資料より抜粋。
11
8.地方の成長力強化
 空き家は全国に820万戸。中古リフォーム・流通市場の活性化を加速するほか、子育て世代や移住・集中を希望する
者に対し、空き家を低い家賃で貸し、地方への人材還流を推進すべき。
 地方へのLCC乗入れ拡大、クルーズ船の寄港数拡大を可能とする観光インフラの整備を、官民連携で推進すべき。
 TPPを契機にした農林水産物の輸出拡大、農業の6次産業化、高付加価値化に向けた取組を加速すべき。検疫対応
や安全性の国際基準(HACCPなど)対応、高品質の日本ブランドを活かした戦略的輸出、販路開拓・促進など、政
府・自治体・団体・事業者が連携して加速すべき。
 投資家からの資金を活用して地域の社会的課題などに取り組む(※)社会的インパクト投資を推進すべき。また、休眠
預金の社会的課題への活用を推進すべき。
※投資家から債券(社会的インパクト債)で出資を募り、民間企業が認知症予防・介護予防サービスを提供するなど
図表32.果物の生産・輸出量、TPP市場の世界からの輸入量(2013年)
図表31.空き家率と人口の増減
(2003年から2013年の変化)
(%pt)
5
空
き
家
率
の
変
化
-12
日本の収穫量
愛媛
徳島 鹿児島 大分
島根 山口
4
香川
佐賀
高知
長野 熊本
静岡 岡山
長崎 新潟
3
宮崎
群馬
秋田
山梨
栃木 広島
岩手
北海道 岐阜
三重 2
石川
青森
全国 福岡
鳥取 冨山
茨城
埼玉
山形
福井
愛知
1
神奈川
京都
和歌山
大阪
滋賀 沖縄
奈良
千葉
0
兵庫
-10
-8
-6
-4
-2
0
2
4
6
福島
-1
宮城
うち世界全体への
輸出量(トン)
輸出額(百万ドル)
TPP市場の世界から
の輸入額(百万ドル)
うち日本からの
輸入額(百万ドル)
日本のシェア
東京
(%)
8
R² = 0.193
-2
人口の増加率(2003年⇒13年)
(備考)総務省「住宅・土地統計調査」平成25年版、平成15年版、国立社会保障・人口問題研
究所人口統計より作成
・空き家率の変化は、2013年の空家率と2003年空家率の差。
りんご
みかん
いちご
メロン
741,700t
895,900t
165,600t
168,700t
19,431t
73.5
2,831t
5.5
127t
2.5
122t
1.0
1,087
529
740
479
0.5
0.04%
3.4
0.65%
0.2
0.03%
0.7
0.15%
TPPにおける各国の メキシコ20%→11年 米国1.9セント/kg→10
目撤廃
年目撤廃、メキシコ
対日関税に関する マレーシア5%→即時 20%→即時撤廃、マ
最終結果(部分抜 撤廃
レーシア5%→即時撤
チリ6%→即時撤廃 廃、チリ6%→即時撤
粋)
(ベトナムを除き既述の
ない国は現行で無税)
廃、ペルー9%→6年
目撤廃
米国0.2セント/kg又は 米国1.6~29.8%→
1.1セント/kg→即時撤 即時~10年目撤廃、
廃、カナダ無税又は メキシコ20%→10年
5.62セント/kg→即時 目撤廃、マレーシア
撤廃、メキシコ20%→ 5%+0.6614リン
即時撤廃、マレーシ ギット→11年目撤廃、
ア5%→即時撤廃、チ チリ6%→即時撤廃、
リ6%→即時撤廃、ペ ペルー9%→6年目
ルー9%→6年目撤廃 撤廃
(備考)FAO統計より作成、収穫量のみ農水省統計、農水省「日本以外の国の関税撤廃状況及び各国の対日関
税に関する最終結果(HS2012版)」より作成
TPP市場は、FAO統計で部分的にデータの得られなかったベトナムを除く、10か国の合計
12