第4章分析結果に基づく健康課題の把握 第4章 分析結果に基づく健康課題の把握 1 分析結果のまとめ 現状 死因 データ ★全国と比べ死亡割合は低いが、男性、女性共に脳血管疾患が高く、女性の腎不全も高い割合 である。 ★死因別死亡率では悪性新生物、心疾患、脳血管疾患の順に多い。 ★脳血管疾患の死亡率は増加傾向である。 医療費 データ ★医療費は入院、入院外で約半々の割合である。入院では件数が少ないが費用額が高くなって いる。 ★受診率は県平均を下回っており、県内市町村の中で下位レベルになっている。一方、一件当た りの医療費は県平均よりも高く、県内上位になっており、診療につながった時点で重症化している 傾向があるのではないかと推測される。 ★最大医療資源病名でみる医療費では生活習慣病でみると高血圧性疾患、腎不全、糖尿病とい う順で医療費がかかっている。 ★入院外における医療費の中で生活習慣病の割合は 35.51%を占めている。 介護 データ ★第 1 号・第 2 号認定者の介護認定原因疾患では認知症 31.8%に次いで脳血管疾患が 21.7%を 占めている。 ★第 2 号被保険者の介護保険認定原因疾患として脳卒中が 40%を占めている。 ★介護保険認定率 20.7%で国、県、同規模保険者と比べて認定率はやや高い割合である。 ★認定者の 40 歳~74 歳の有病状況では血管疾患、筋骨格系疾患、認知症の順になっている。 ★血管系疾患では 40 歳~64 歳で脳卒中、高血圧の順で高い割合であり、65 歳~74 歳で高血圧、 脳卒中の割合で高くなっている。 ★介護度別割合では要介護 3~5 で 40 歳~64 歳で 50.0%、65 歳~74 歳で 30.4%、75 歳以上で 44.0%と 40 歳~64 歳の第 2 号被保険者で重症者の割合が高い。 ★要介護認定者と認定なし者の医療費では要介護認定者が約 2 倍高い。 健診 データ ★特定健診の受診率は 50%を超えており、県平均よりも高いが、経年的にみると横ばいから低下 傾向である。 ★性別では男性の受診率が低く、年代別では 40 歳~50 歳代の受診率が低い。 ★40 歳~64 歳の特定健診未受診者で治療していない人が約2割いる。 ★血圧やHbA1c 値の有所見者が多い。 ★喫煙率が県平均より高く、30 分以上の運動習慣のある人が県平均よりも少ない。 ★日頃の保健師活動、事業実施を通して感じる事 ・食塩摂取量が多く、高齢者は漬物、煮物から、青壮年層は麺類の汁ものから塩分を摂取してい 質的情報 る傾向がうかがえる。 ・血圧、糖尿病等治療している人の中で、70 歳代以降の人工透析導入患者が多い。 ・職域から国保へ移動した人で健康状態が悪く、高額な医療費がかかる傾向がある。 35 第4章分析結果に基づく健康課題の把握 2 健康課題 死亡、医療費、介護、健診情報に基づき、介入することで疾病予防の期待ができる、 優先度の高い健康課題を定めました。 健康課題1 脳血管疾患は死因第 3 位と脳血管疾患での死亡が多い状況です。さらに脳血管疾患の 死亡率は増加傾向です。また、脳血管疾患の発症による認知症や麻痺等の要介護状態の 人が多く、QOL の低下を招いていることから発症予防が必要です。 健康課題2 医療費では高血圧についで腎不全が高く、透析患者数は横ばい状況です。健診データ から e-GFR60 未満者の割合は減少していますが、慢性腎不全を引き起こす原因となる高 血圧、糖尿病の有所見率は高く、今後、腎不全の発症は増加するおそれがあります。 36 第4章分析結果に基づく健康課題の把握 3 目標 (1)大目標 ・脳血管疾患の発症を予防する ・人工透析者の増加を防ぐ (2)中長期目標(概ね 5 年~10 年) ①特定健診結果においてⅡ度高血圧症以上の割合の減少 ②特定健診結果において HbA1c 値 6.5 以上の者の割合の減少 ③慢性腎臓病の重症化予防対象者の割合増加抑制 (3)短期目標(概ね 1 年~3 年) ①特定健診受診率の増加 ②特定保健指導の実施率増加 ③Ⅱ度高血圧症以上の治療割合の増加 ④HbA1c 値 6.5 以上者の未受診の割合の減少 ⑤適切な生活習慣(減塩・運動・禁煙)に取り組める人の増加 37
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