松江市における緑地面積率等の緩和について -工場立地法地域準則条例制定に向けて- (概要版) 工場立地法は、企業が工場の新増設を行う際に、一定の緑地整備を求める等の措置を講 じてきて、これにより工場の緑地面積率が法の施行前に比べ 2 倍以上改善してきた。また、 環境関連法制(騒音規制法、大気汚染防止法など)の充実や、公害防止技術も進歩し工場 等から排出される汚染物質も大幅に改善されてきた。 しかしながら、一方では、こうした状況を勘案しない工場立地法が、老朽化工場の建て 替えに対する支障となっているなどの指摘が各方面からなされた。その結果、国によって、 自治体が条例で定めることができる緑地面積率等の範囲の拡大などの規制緩和が行われて きた。 本市は、定住促進・雇用創出策のひとつとして企業の新規立地、既存事業所の増設など、 企業誘致に取り組んでいるが、その一方で、松江市ものづくり振興会議や経済団体などか ら、現在の緑地面積率等の制限により、新規企業立地への支障や既存企業の拡張・増設へ の支障および市外への移転・流出が懸念されるとして、緑地面積率等の緩和の要望が高ま ってきている。 本市においては、地域の実情に応じて生活環境に配慮しつつ、地域経済の活性化や雇用 の場の創出を目的とし、工場立地法地域準則条例制定にむけて、「松江市における緑地面 積率等の緩和について」を検討するものである。 1 工場立地法の概要 昭和40年代後半、企業の公害責任が問われ、工場立地に対する反対運動が各地で行われ た。そのため、工場立地に際しては公害・災害等の防止に万全を期するとともに、進んで 工場緑化等を行い、積極的に地域環境づくりに貢献することを基本とし、工場立地法が制 定された。 (1)対象施設 敷地面積9,000 ㎡以上又は建築面積の合計3,000 ㎡以上のいずれかの規模に該当 する製造業等に係る工場又は事業場 (2)主な規制内容 緑地面積率等は以下のとおり定められている。ただし、法の施行日(昭和49年6月 28日)にすでに設置されている工場等については、緩和措置が設けられている。 環境施設面積率 25%以上 緑地面積率 20%以上 重複緑地算入率 25%以下 ≪用語説明≫ 1 緑地 樹木が生育する区画された土地等(樹林地、低木地、芝生地など) 1 2 環境施設 緑地及びこれに類する施設で、周辺地域の生活環境の保持に寄与するよ う管理がなされているもの(緑地、噴水、屋内外運動施設、広場など) 3 重複緑地 他用途施設と重複した緑地(屋上緑化、駐車場緑化、壁面緑化など) 4 重複緑地算入率 緑地面積に算入できる重複緑地の割合 2 規制を緩和する背景 工場立地法は昭和48年の法改正において、企業が工場の新増設を行う際に一定の緑地等 を確保するよう定められた。これにより工場の緑地面積率が法の施行前に比べ2倍以上改善 してきた。 また、これまでに国において植栽規定の見直し・手続の簡素化などが行われ、平成24年 の法改正では、すべての市が緑地面積率等の条例を定めることができるようになった。こ れにより、多くの自治体が企業立地の促進のため、緑地面積率等の緩和を実施してきた。 松江市においても、既存工場等の建て替えや新増設などを行う際に、敷地面積の一定割 合の緑地等の確保が必要となり、設備投資等の阻害要因となると経済団体などから緑地面 積率等の緩和の要望が高まってきている。 以上のことから、松江市は市内企業が投資可能な新たな土地を求め、市外に流出するリ スクも懸念されることから、企業が設備投資をしやすい環境を整備し、市内企業の流出防 止、そして、企業立地における自治体間競争力の強化を図っていく対策が必要である。 3 条例による規制緩和の内容 本市においては、工場等の市外への流出防止、市内での再投資(設備投資)の促進、企 業誘致における自治体間競争への強化を目的に、住居地域および商業地域を除く区域にお いて、以下の表に示すとおり、工場立地法に係る緑地面積率等を定めるものとする。 区域※ 第一種区域 環境施設面積率 緑地面積率 改定なし( - ) 改定なし( - ) 第二種区域 15%以上(▲10%) 10%以上(▲10%) 第三種区域 10%以上(▲15%) 5%以上(▲15%) 第四種区域 10%以上(▲15%) 5%以上(▲15%) ( 重複緑地算入率 50%以下 ※上記区域区分は、都市計画法第八条第一項第一号に定める用途地域 第一種区域 ・・・ 住居地域、商業地域 第二種区域 ・・・ 準工業地域 第三種区域 ・・・ 工業地域、工業専用地域 第四種区域 ・・・ 上記以外の地域 2 )は緩和した率
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