大名町交差点周辺の鳥害について

大名町交差点周辺の鳥害について
監修:大名町交差点周辺における鳥害対策検討会(事務局 福井県道路建設課・福井土木事務所)
県都福井の玄関口であり、多くの人が行き交う福井市大名町交差点周辺には、大きく育ったケヤキなどの
街路樹があります。この街路樹には夕方になるとたくさんの鳥が集まっており、鳴き声による騒音や糞によ
る汚れや臭いが問題となっています。このような鳥害について、平成26年12月に鳥の専門家や地元の方
を交えた「鳥害対策検討会」を設置し、調査や対策を進めてきました。
今回、試行的に始めた対策や個体数調査を通して分かってきたことをとりまとめましたので、お知らせし
ます。
大名町交差点上空を飛翔するムクドリの大群
糞で汚れた歩道
■ムクドリとスズメについて
大名町交差点周辺の街路樹に集まっている鳥は、主にムクドリとスズメです。
ムクドリ
・留鳥(一年中いる)、全長約 24cm
・開けた環境を好み、昆虫や木の実などを食べる
・基本的に群れで生活する。特に秋のねぐらは大群
になる。
・繁殖期は3月下旬∼7月
・寿命は7、8年程度と言われている
スズメ
・留鳥(一年中いる)、全長約 15cm
・人家の近くを好み、草の種子などを食べ、繁殖期
には昆虫を多くとる
・繁殖期は3∼8月
・寿命は数年程度と言われている
【分かったこと①】ムクドリ、スズメとも春から夏に繁殖し、条件が良ければ
複数回産卵するため、毎年たくさんの子どもが生まれます。
【分かったこと②】ムクドリやスズメは街路樹や畑の野菜につく虫をたくさん
食べて退治してくれます。もしムクドリやスズメがいなくなったら、害虫だら
けになってしまいます。また木の実や草の種を食べて遠くに運び、新しい場所
に種を落としてくれます。
■大名町交差点周辺の集団ねぐら※)の状況
の
○ムクドリ
ムクドリは、大名町交差点周辺では主にケヤキで
にケヤキで集団ねぐらを
形成しています。
ムクドリはヒナが巣立つと親と一緒に群
群れとなって行動し、5
月頃から夕方になると大名町交差点周辺
大名町交差点周辺の街路樹にたくさんの
群れが集まってきて集団ねぐらを形成し、
、夜を過ごすようになり
ます。
大名町交差点周辺のムクドリの個体数は
は、平成 26 年の調査で
は、平均で一日あたり 700∼800 羽でした
でした。
ケヤキに飛来
飛来するムクドリ
○スズメ
スズメは、大名町交差点周辺では主にユリノキで
にユリノキで集団ねぐらを
形成します。またムクドリがいないときはケヤキも
またムクドリがいないときはケヤキも利用します。
大名町交差点周辺の街路樹では6∼10
10 月に個体数が多く、平
成 26 年の調査では、一日あたり 400∼
∼1,500 羽でした。
※)集団ねぐら
野鳥の生態として、天敵から身を守り、仲間と情報交換するた
めに集団で行動します。集団で寝る場所を
を「集団ねぐら」といい
ます。
ユリノキの葉
葉に隠れるスズメ
【分かったこと③】
こと③】大名町交差点周辺の街路樹にムクドリとスズメ
が集まる理由としては、人や車が多く通るため、天敵の猛禽類など
人や車が多く通るため、天敵の猛禽類など
に狙われにくく安心して眠ることができることや、ヒートアイラン
ド現象で暖かく過ごしやすいことが考えられます。
ムクドリの集団ねぐら
の主な範囲
スズメの集団ねぐら
の主な範囲
大名町交差点周辺
大名町交差点周辺のムクドリ・スズメの集団ねぐらの位置
※この地図は、国土地理院の基盤地図情報を使用したものである。
■鳥害対策の取組みとその効果
街路樹で集団ねぐらを形成するムクドリとスズメによる騒音害や糞害を減らすために、次のような対策を
実施しました。
その結果、平成 27 年はムクドリの個体数が最大でも 400 羽程度に減少しました。また、スズメも秋以
降は平成 26 年と比較して個体数が減少しました。
鳥害対策の取組みとその効果
対策手法
効果
実施時期
備考
タカによる追い払い
◎
効果あり
平成 27 年 5∼12 月
5∼6月は週3回、7∼9月は週
2回程度実施
ユリノキの剪定
○
タ カ に よ る 追 い 払い
と組み合わせると、ス
ズメに対し効果あり
平成 27 年8∼10 月
ユリノキの樹勢が衰えないよう配
慮が必要
ケヤキの剪定
△
一 時 的 に ム ク ド リの
個体数が減少
※平成 21 年から数回
ケヤキの樹形が変わらないよう景
観上の配慮が必要
磁気を用いた忌避器
具の設置
×
効果はほとんどなし
※平成 21 年
効果があった場合でもねぐらの位
置が変わった場合には移設の必要
あり
テグスの設置
×
効果なし
平成 27 年 1∼7 月
街路樹の葉が大きくなるとテグス
が目立たなくなる
電飾の点灯
?
効果不明
平成 27 年 5、10 月
効果があった場合でもねぐらの位
置が変わった場合には移設の必要
あり
※検討会設置前の対策内容も記載しています。
1600
4110
( 羽)
1410
タカによる追い払い
1400
1230
ユリノキの剪定
1200
1050
1000
860
800
600
750
840
705
700 700
550
535
475
460
スズメ
370
400
ムクドリ
240
200
40
0
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 32
130
70
230
4
0
190
0
0 0 0 5 0
0
※大名町交差点を中心に半径700mの範囲において、集団ねぐらを形成しているムクドリ等を対象に個体数を計測
※例年、冬季(1月∼3月)は街路樹が落葉するため減少
ムクドリ・スズメの個体数の推移(平成 26 年7月∼27 年 12 月)
【分かったこと④】タカによる追い払いを繰り返すことでムクドリに対
して効果が出ました。また8月以降、スズメが隠れていた街路樹(ユリ
ノキ)の枝葉を剪定すると、スズメにもタカによる追い払いの効果が出
ました。
■今後の取組み
平成 27 年度は対策の実施により、鳥害による被害をある程度減らすことができました。次年度以降は、
対策の効果が効いている可能性がありますが、またムクドリやスズメが大名町交差点周辺に戻ってくる可能
性があることから、以下の取組みを進める予定としています。
鳥害対策の今後の実施方針
対象
実施方針
ムクドリ
・タカによる追い払いを実施する(飛来状況を考慮)
スズメ
・タカによる追い払いを実施する(飛来状況を考慮)
・街路樹(ユリノキ)が繁茂し追い払いの支障となる場合は必要に応じて剪定する
その他: 糞による汚損状況に応じて、路面の清掃を実施
タカによる追い払い
路面の清掃
■検討会の開催状況
・第1回:平成 26 年 12 月 19 日(金)鳥害の現状、全国の対策事例について など
・第2回:平成 27 年 3 月 20 日(金)鳥害対策工について など
・第3回:平成 27 年 7 月 28 日(火)対策の途中状況報告 など
・第4回:平成 28 年 1 月 21 日(木)対策の実施効果、今後の対策について など
<検討会メンバー>※メンバーは平成 27 年度時点
組頭五十夫氏(日本野鳥の会福井県副代表)、松村俊幸氏(県自然保護センター所長)、
瀧波成嘉氏(福井大名町通り商店街代表)、海道映諄氏(福井中央商店街振興組合理事長)、
橋野昌裕氏(㈱福井銀行経営管理チーム サブリーダー)、洞口弘之氏((一社)福井県繊協ビル同業会総務課長)
野坂雄二氏(県安全環境部企画幹)、竹澤克敏氏(福井市有害鳥獣対策室長)、佐野仁則氏(福井市公園課長)
■おわりに
都市化が進んだ街中の街路樹にムクドリやスズメ
などの野鳥が集まる現象は、全国各地で見られます。
対策により鳥害を減らすことはできましたが、今後
も時期によっては再び個体数が大きく増加する可能
性もあります。一方で、野鳥は生態系の一部を担っ
ており、人にとっても害虫を食べるなど役に立つ一
面も持っています。
今後も野鳥との共生を図りながら、地域の方をは
じめ福井を訪れた方が快適に過ごせる美しい道路空
間の確保に向けて取り組みますので、ご協力をお願
いします。
美しい通りを目指して…
フェニックス通りケヤキ並木(福井市景観賞 2015 受賞)
問い合わせ先:福井県福井土木事務所
0776-24-5111
[email protected]
(〒910-8580 福井県福井市城東4丁目 28-1)
平成28年2月発行