Nagoya University Overseas Take-off

ウェブマガジン『留学交流』
』2016 年 3 月号
月 Vol.600
Nagoyya Uni
iversity Oveerseas
s Take
e-off Initia
ative
(NNU-OTI
I)
-海外事
事務所を
を活用した「講義
義一体型
型」海外
外短期研修
修の取り
り組み-
Nagoyya Uni
iversity Oveerseas
s Take
e-off Initia
ative
(NNU-OTI):
Implemeentatioon of Universit y Overseas Offices forr Coordinatingg
Onsit
te Educaational Initia
atives
名古屋
屋大学
国際
際教育交流セ
センター 総長
長補佐(国際
際)・教授
岩城
奈巳
巳
特任講師
星野
晶成
成
IWAKI Nami
HOSHINO Akinari
(I
Internationnal Education & Excha
ange Centerr, Nagoya University)
U
キ
キーワード:
海外留学、海
海外事務所、単位化、講
講義一体型研
研修
1. はじめ に
名古屋大
大学国際教育
育交流本部国
国際教育交流
流センター海
海外留学部門では名古屋
屋大学の学生
生(以下、名
大生という
う)が海外留学に関して相談できる「海外留学室
室」を平成 10 年度から
ら設置してお
おり、海外留
学促進のた
ための様々な
なセミナー、語学対策講
講座や留学個
個別相談をは
はじめ、全学
学間交換留学
学(1 学期間
〜1 学年間 )及び海外短期研修(2〜4 週間) の企画と運
運営を担っている。日本
本の大学の国際化政策が
が
大学生の派
派遣留学を重
重要視し始め
めた平成 24 年
年度頃から徐
徐々にその機
機能と体制を
を強化し、
現在は
現
6 人体
体
制(専任教
教員 5 名、事
事務補佐員 1 名)で運営 している。平成 26 年度
度の海外留学
学室利用者は
はのべ 2,0000
人を越え、個
個別相談を活
活用した名大
大生は 1,1000 人にのぼる
る。
「日本人学
学生が留学に
に行かない、
内向的だ」
と様々なメ ディアで伝
伝えられてい
いるが、幸い
い本学では、渡航形態は
は様々ではあ
あるが海外留学を希望す
独
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る学生は年
年々増加して
ている。
特にここ
こ数年海外留
留学部門が力
力を入れてき
きたのが、1,2 年生次に
に海外短期研
研修を経験さ
させ、3 年次
次
以降の交換
換留学等の中
中・長期留学
学に結びつけ
ける「お試し
し留学」であ
ある。海外短
短期研修先として名大生
生
に推奨して
てきたのは主
主に協定校が
が開講する夏
夏期・春期研
研修プログラムであり、 その理由は
は授業料免除
除
や協定校割
割引等が適用
用され、比較
較的安価に参
参加出来る魅
魅力的なプログラムも存
存在するからであった。
その結果、 参加学生の
の口コミも手
手伝って 10 年
年前には数名
名だった短期
期研修参加者
者も平成 26 年度は 1555
名、今年度
度(平成 27 年度)はさら
年
らに参加者が
が増え、海外
外留学室が関連するプロ グラムにて派遣する学
学
生は 200 名
名を超える見
見込みである
る。毎年度の
の交換留学内
内定者には「
「お試し留学
学」を経験した学生が合
合
格者に多く 含まれてお
おり、その海
海外短期研修
修の経験が交
交換留学へのモチベーシ
ション向上や
や維持等に効
果的に作用
用しているこ
ことも判明し
している(岩
岩城, 2012)。また、平成
。
成 26 年度に
にスーパーグ
グローバル大
大
学創成支援
援事業(タイプ A)(以下
下、TGU とい う)に本学が
が採択され、名大生の派
派遣留学促進
進にはさらな
な
る拍車がか
かかっている
る。
本稿では
は、上述した
た背景をもとに筆者らが
が所属する国
国際教育交流
流センター海
海外留学部門が本学の海
海
外事務所と
と連携して立
立ち上げた「
「講義一体型
型」NU-OTI 海外短期研修
海
修プログラム
ムを紹介する
るとともに、
そこで見え
えてきた課題
題と今後の展
展望について
て議論する。
2. TGU と NNagoya Univversity Ove
erseas Takee-off Initiative (NU-OTI)
2.1. NU-OTTI 設立の経緯と概要
本学が採
採択された TGU では、名
名大生の海外
外留学に関し
して、「10 年後
後には全ての
の学生が何らかの形で
海外留学を
を卒業までに
に経験する」ことを目標
標の 1 つに掲
掲げ、全学的
的な取り組み
みとして派遣
遣学生の増加
を目指して
ている。具体
体的には、平
平成 28 年度に
には 500 人、
、平成 31 年度には
年
1,0000 人の学生
生派遣を単位
位
付与できる
る留学プログ
グラムに参加
加できること
とを目指す。その中で、筆者らの所
所属する国際
際教育交流セ
ンター海外
外留学部門は
は全学間の海
海外研修プロ
ログラムを企
企画運営する組織として
て、この数値
値目標達成の
原動力とし
しての役割を
を大きく担っ
っている。目 標実現のた
ため、海外留学部門が主
主体となり、Nagoya
1
Universityy Overseas Take-Off Initiative
I
(以下、NU-OTI[ニュー
ーオッティ] という)を始動した。
NU-OTI は
は、交換留学
学プログラム
ム、及び単位
位化を伴う海
海外短期研修
修プログラム
ムの総称で、TGU 採択を
目指して発
発足した。NUU-OTI として
ての海外短期
期研修の主な
な特徴は以下
下の通りであ
ある。
① 名古屋大
大学の海外拠
拠点である海
海外事務所を
を中心とした
た海外短期研
研修プログラ
ラムを立ち上
上げ、現地
スタッ フがサポートする、また
たは海外留学
学部門の教員
員が引率する
る(ただし、
、これに限定
定しない。
これま での協定校でのプログラムも引き続
続き拡大して
ていく)
② 学習内容
容の明確化と授業化(卒
卒業単位付与
与:1-2 単位
位、柔軟な履
履修登録方法
法、事前授業
業-海外研修-事後授 業の 3 部構成
成、フィール
ルドワーク ・調査活動の
の導入)
独
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③ 名大生が
が選択しやす
すいよう参加
加プログラム
ムの難易度レベルと研修
修内容の明確
確化
④ 保護者理
理解の促進と金銭的負担
担を緩和する
るための制度
度の設立(学
学内奨励金制
制度や留学積
積立金制度)
2.2. 海外事
事務所におけ
ける NU-OTI 海外短期研
研修の立ち上
上げ
上述した
たように、海
海外留学部門
門では学生に
に対し協定校
校が開講する既存の短期
期研修への参
参加をこれま
で奨励して
てきた。しか
かしながら、それらは協
協定校の夏期
期休暇中(6-7
7 月)に開催 されるものも多く、日
本の大学の
の学期中にあ
あたるため、名大生には
は参加が難し
しいという問題もあった
た。また、現
現在の協定校
校
が提供する
るプログラム
ム数と実績で
では、TGU 構想
想で掲げた全
全学生を留学
学させる目標
標を実現できないこと
は明らかだ
だった。そこ
こで、協定校
校でのプログ
グラムを拡大
大しつつ、本
本学が海外に
に展開してい
いる事務所を
活用し、名
名大生のニー
ーズにあった
た
独自の海外
外短期研修プ
プログラムを
を
事務所設置
置国の協定校
校の協力を得
得
て立ち上げ
げることとな
なった。海外
外
事務所には
は修士号以上
上を取得した
た
教員が常駐
駐しており、外部の留学
学
エージェン
ントや旅行会
会社に海外短
短
期研修の一
一部を委託す
するより、安
安
全危機管理
理面とコミュ
ュニケーショ
ンの円滑性
性を考えると
と利点は多か
かった。
表1
名古屋大
大学海外事務
務所における海外短期研修プログラ ム
No.
事
事務所名
海外短
短期
研修名
名
授業種類
(教養教育院)
担当部
部署
開始
始
年度
度
授業化
開始年度
度
参加
人数
1
中
中国交流
セ
センター
同済大
大学
夏期短期中国
国語研修
言語文化Ⅲ
文化事情
(中国語)
中国語科
科&
海外留学
学部門
H22 年
H28 年
14
2
ウズベ
ベキスタン
事
事務所
日本-ウズベキスタン
のための
友好交流の
シルクロー
ード研修
全
全学教養科目
(特別講義)
海外留学
学部門
H27 年
H27 年
12
3
ヨー
ーロッパ
セ
センター
フライブル
ルク大学
短期ドイツ
ツ語研修
言語文化Ⅲ
文化事情
(ドイツ語)
独語科
科&
海外留学
学部門
H23 年
H25 年
25
4
バ
バンコク
事
事務所
タイにおける日系企業
ル展開学習
のグローバル
全
全学教養科目
(特別講義)
学部門
海外留学
H27 年
H28 年
13
5
テクノ
ノロジーパ
ートナ
ナーシップ
(NU-Tech)
米国の大学
学生活と
ビジネ
ネス
全
全学教養科目
(特別講義)
学部門
海外留学
H27 年
H27 年
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国際教育
育交流本部が
が管轄・連携
携している海
海外事務所は
は、図 1 にあ
あるように現
現在 8 拠点存
存在する(内
7 事務所は 管轄下)。そ
その他、別部
部局(アジアサ
サテライトキャンパス、法学研究科
科・法政国際
際教育協力
研究センタ
ター)が管轄す
する事務所も
も存在するが
が、海外留学
学部門は主に
に国際教育交
交流本部が連
連携している
る
海外事務所
所で海外短期
期研修を立ち
ち上げること
とにした。これまで授業
業化無しで実
実施しているもの含める
と、海外留 学部門は平成 28 年 2 月現在、
月
表 1 にある海外
外事務所 5 カ所にて海外
外短期研修プ
プログラムを
を
実施してい
いる(参加人
人数は H27 年度実績予定
年
定人数)。
海外事務 所で海外短期
期研修を立ち
ち上げること
とを企画したのは、上述し
した安全危機
機管理面とコミュニケー
に加えて、海
海外事務所の
の機能拡大を見込んでのこ
ことであった
た。これまで
での海外事務
ション面に おける利点に
国人留学生の
のリクルート
トと本学の広報活動、②現
現地の教育・
・研究事情に
に関する情報
所の主な機 能は、①外国
等との共同研
研究サポート
トなどであった。その中で
でも、①の外
外国人留学生
生受入れの窓
収集、③設 置国の大学等
ったが、海外
外短期研修プ
プログラムの拡大に伴い、
、海外事務所
所の新たな機
機能として名
口としての 機能が強かっ
することが国
国際教育交流
流本部で提案された。役割
割分担として
ては、協働で
でプログラム
大生の海外 研修を企画す
前提に、海外
外留学室はプ
プログラムの学
学内周知、授
授業化・実施 、奨学金申請
請、そして、
内容を決定 することを前
む)を行い、海外事務所
所は、現地での受入大学と
との調整、研
研修中のロジ
ジスティック
渡航手続支 援(引率含む
の引率を担当
当することと
となった。
調整、そし て、研修中の
平成 25 年
年度末から、
、海外留学部
部門は米国、タイ、ウズ
ズベキスタン
ンの事務所と 連携して海
海外研修の立
立
ち上げを開
開始した。研
研修立ちあげ
げにあたって
ては、海外留
留学部門教員による現地
地訪問・視察
察、テレビ・
スカイプ会
会議、膨大な
なメールのや
やりとり、海
海外事務所教
教員の来日に合わせた会
会議など、あ
ありとあらゆ
る方法で打
打ち合わせの
の機会を設け
け、研修内容
容と安全危機
機管理対策を協議し研修
修実施に臨ん
んだ。初年度
は、研修中
中のロジステ
テッィク面に
にかなり時間
間が割かれた
たが、慎重にそして綿密
密に話合いを進めて行っ
たことが功
功を奏し、各
各研修とも円
円滑に進んだ
だといえる。現在は、研
研修の内容を
を参加学生の意見も踏ま
えながら精
精査し、より良い研修作
作りに取り組
組んでいる。特に、参加学生の学習
習効果をどのように上げ
げ
るかが課題
題となってい
いる。
2.3.
授業
業化(単位付
付与)
協定校に
における海外
外短期研修で
では、研修終
終了後に参加
加学生の成績
績証明書や単
単位認定書が
が海外留学部
部
門宛に送付
付されてくる
るが、本学で
では部局ごと
とに単位認定
定の仕組みが
が異なるため
め、参加学生
生が取得して
きた単位を
を認定する仕
仕組みが全学
学的に確立し
していない。これを改善するために 、NU-OTI 海外短期研修
海
修
では、全て
てのプログラ
ラムを教養教
教育院(共通
通教養科目を
を開講する部
部局)が開講
講する科目として授業化
化
する仕組み
みを作り、従
従来の短期研
研修との差別
別化を図った
た。参加した研修をしっ かり単位認
認定すること
も研修参加
加へのモチベ
ベーションの
の 1 つと位置
置づけ、所属
属部局によって異なる単
単位認定の方
方法を改善す
る目的もあ
あった。
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表2
「講義一 体型」海外短期研修の概要
内容
時期
研修前
研修中
研修後
【7 回程度の講義】
願書記
記入・渡航準
準備(語学学
学習・スタデ
ディスキルズ
ズ)、問題意識
識の立て方、調査方法
学習、留学先国・大学事情、 安全危機管
管理等
【2-4 週間】
研修種
種類・テーマ
マにあった学
学習(「お試し型」、
「ステ
テップアップ
プ型」、
「プロ
ロフェッシ
ョナル
ル型」)
【3 回程度の講義】
調査発
発表、今後の
の学生生活の
の過ごし方、交換留学へ
への道筋、就
就職活動につ
ついて
NU-OTI と
としての海外
外短期研修は
は 2〜4 週間
間であるが、授業化に伴
伴い研修前後
後の授業実施
施を充実、徹
徹
底させた。研修前の事
事前授業(7 回程度)と帰
回
帰国後の事後
後授業(3 回程度)を一
回
一体化させ、それぞれに
に
必要な学習
習要素(表 2)を取り入
2
入れることと
とした。これ
れを「講義一体型」海外
外短期研修プ
プログラムと
して、全学
学部生の卒業
業単位として
て認定される
る教養教育院
院の「全学教
教養科目」と いうカテゴ
ゴリーで開講
講
した。事前
前・事後授業
業と現地研修
修中の課題と
と成績を合わ
わせて、授業
業を担当する 海外留学部
部門の教員が
が
成績評価を
をしている。
2.4.
NU--OTI 海外短期
期研修プログ
グラムの種類
類
名大生の
の中には、す
すでに中学・高校
時代にホー
ームステイや
や短期語学研
研修等
を経験して
て大学に入学
学する学生も
も少な
くない。そ
そこで名大生
生の語学力や
や異文
化経験の多
多様性を踏ま
まえて、NU-OTI で
は学生自身
身のニーズに
に合った海外
外短期
研修プログ
グラムを選択
択できるよう工夫
し、各プロ
ログラムを 3 段階に分類
類して
いる(図 2)。
1 つ目が
が海外短期研
研修の定番とも言
える語学学
学習、及び異
異文化体験を
を中心とする
る研修であり「お試し型
型」と呼んで
でいる。2 つ目は、ある
程度の語学
学力や海外経
経験がある学
学生に向けた
た研修で、現
現地で専門講
講義の受講、 またフィー
ールドワーク
などの調査
査を行う「ステップアップ型」として
ている。そし
して 3 つ目を
を「プロフェ
ェッショナル
ル型」とし、
インターン
ンシップ等の
の実践活動や
やグローバル
ルキャリアを
を視野に入れ
れたプログラ ムを用意している。ま
た、これま
までと同様に
に、協定校が
が主催する短
短期研修プログラムもこの 3 つのレ
レベルに当てはめ紹介し
ている。
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2.5.
授業
業履修・形態
態とその工夫
夫
教養教育
育院と海外短
短期研修の授
授業化を協議
議する際、い
いくつかの問題が生じて
ていた。一つ目は、授業
業
登録時期と
と海外研修開
開始時期が約
約 5 カ月開く ことである
る。本学の履
履修登録規則
則や期間に従
従うと当該学
学
期開始の数
数週間前に授
授業登録が始
始まり、海外
外短期研修は
は学期最終試
試験の終了日 以降から始
始まる。つま
り、学生は
は履修登録す
する海外短期
期研修開始の
の約 5 カ月前
前までには、参加意志を
を表明してい
いなければな
らない。
しかしな
ながら、実際は
は、学期開始
始前後では次
次の長期休暇
暇の計画を具
具体的に立て
てている学生
生は少なく、
学期が進む
むにつれて、計画が具体
体的になって
ていく学生が
が多数である。これが1 年生の入学
学直後であれ
れ
ば、なおさ
さらである。今まで研修
修参加の決断
断を躊躇して
ている間に申込締切が過
過ぎてしまい
い、参加する
ことができ
きなかったと
という学生、また、研修
修の存在を申
申込締切後に知ったため
め、申込むことができな
い学生の例
例も多く見て
てきた。そこで、NU-OTI では、研修
修説明会を学
学期開始前後
後から何度も
も実施し、プ
プ
ログラム周
周知に時間を
をかけ、学生
生が十分考え
える時間を作
作ることとした。更に、 授業登録は
は研修後、つ
まり、夏期
期休暇中実施
施する研修の
の授業登録を
を後期(秋学
学期)に持ってくること で研修の募
募集期間を従
従
来のものよ
より遙かに延
延長することを可能とし
した。
二つ目は
は、多くの名
名大生が参加
加可能な授業
業の開講時間
間の確保であ
ある。本学は
は総合大学であるため、
時間割は各
各学部により異なる。NU-OTI として の海外短期研修は主に 1,2 年生を 対象とするものの、3,44
年生の参加
加需要も少な
なからずある
る。他授業と
とのバッティングで研修
修に参加する ことができなかったと
いう状況を
をなるべく少
少なくするた
ため、何曜日 の何限目と固定するのではなく、 集中講義として授業を
位置づけ、 参加学生が
が確定してか
から学生の事
事前・事後授
授業の日程を決めること とした。参
参加人数が多
多
い場合は、 週末に授業
業を開講する
ることもある
る。
2.6.
経済
済的支援制度
度(名古屋大
大学海外留学
学奨励制度・留学積立金
金制度)
本学の海
海外事務所を
を活用し海外
外留学部門教
教員による授
授業や引率を実施するこ とで、名大
大生が負担す
る費用は従
従来の海外短
短期研修と比
比較すると安
安価になって
ている。しか
かしながら、 どの海外短
短期研修でも
やはり数十
十万円単位の
の費用はかか
かる。海外留
留学部門では
は、名大生の金銭的負担
担を少しでも軽減できる
よう、日本
本学生支援機
機構の海外留
留学支援制度
度(協定派遣
遣)には毎年
年申請してい
いるが、当然
然ながら、必
必
ずしも毎年
年採択される
ることが確約
約されていな
ないため不安
安定である。そこで、本
本学では、恒
恒常的な制度
度
として学内
内と研修先に
における成績
績優秀者に渡
渡航費の一部
部(渡航先国によって金
金額は異なる)を支援す
る「名古屋
屋大学海外留
留学奨励制度
度」を平成 255 年度から設
設立している
る。さらに、
、「留学積立
立金制度」を
平成 27 年度
度から開始し
した。これは
は、希望者の
のみが対象だ
だが、積立制
制度参加時期
期から卒業時
時まで毎月 1
万円が学生
生の指定口座
座から引き落
落とされ、本学
学の留学積立
立金専用口座
座で管理する
るものである
る。そして、
学生は海外
外研修参加の
の際に積立金
金を留学資金
金に充てることができる。特徴は、 1 年生の 8 月に開催さ
独
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れる研修に
に参加する学
学生の場合、積立額は 5 カ月間(4-8
8 月)=5 万円のみであ るが、最大 48 万円(122
カ月 x4 年間
間)の支援を
を留学積立金
金から前借り
りして捻出す
することがで
できる点であ
ある。前借り
りした分は、
卒業するま
までの在学期
期間中に毎月 1 万円を返
返還していくという仕組
組みで、初年度
度すでに 52 名の学生申
し込みがあ
あった。
研修の説明と学生の参加
また、保 護者に対しても積極的に海外短期研
加奨励を行 っている。平成
平 27 年度
度
は入学直後
後の 5 月、7 月のオープ
月
ンキャンパス
ス、さらに 10 月のホー
ームカミング
グデーにて保
保護者対象の
の
留学説明会
会を実施し、本学の海外
外留学制度や
や金銭支援制
制度を含めた国際交流活
活動を説明した。各回と
も 100 名近
近い保護者が
が参加し、い
いずれの説明
明会でも多くの質問があ
あった。保護
護者からこれ
れだけのニー
ー
ズがあり、 興味を持っ
っていることが理解でき
きた。海外留
留学部門教員が実施する 学生との留学個別相談
談
では、
「親の
の同意を得る
ることができ
きない」、
「親
親が海外に行
行かせてくれ
れない」とい
いった相談内
内容も多々あ
あ
る。近年で
では、保護者
者から海外留
留学制度の詳
詳細について
て直接問い合
合わせがくる 機会も多くなっている
ため、今後
後留学希望者
者数を増やす
すためには保
保護者も巻き
き込んで展開
開する必要性
性も感じてい
いる。
3.今後の課
課題と展望
3.1. 需要と
と供給の問題
題
海外事務
務所を活用す
することで、
安全面や金銭
安
銭面で参加学
学生に利点が
があることは
は事実だが、
必ずしも、
事務所設置
置国が学生の
の留学したい
い希望国であ
あるとは限らない。一般
般的に学生は
は英語圏に留学を希望し
がちである
るが、本学は
は比較的アジ
ジアに多くの
の拠点を構え
えている(中国、タイ、 ウズベキスタン、モン
ン
かの形で注
ゴル等)。今
今後これらの
の国と日本と
とのつながり
りが強化、あるいは何ら
あ
注目されると留学の需要
要
が高まる可
可能性はある
るが、現在の
の名大生の留
留学需要とは
はおそらく合
合致していな
ない。むしろ、海外留学
学
部門関係者
者が、それら
らの国に滞在
在することの
の意義を説明
明し、より学
学生に興味の
のある研修内容を取り入
入
れることで
で、参加人数
数が確保でき
きている部分
分が大きい。今後、新たに海外事務
務所と協働で海外短期研
研
修プログラ
ラムを立ち上
上げる際は、名大生の需
需要と研修内
内容の合致が
が重要な要素
素となる。
3.2. 発信型
型 NU-OTI 海外研修の開
海
開発
現在の NU-OTI として
ての海外短期
期研修の大半
半は、一部調
調査活動・フィールドワ ーク等が研
研修内容に含
含
まれている
るものの、主
主に言語、文
文化、現地事
事情、専門分
分野を学ぶことに焦点を
を置いている。つまり、
渡航先で学
学習するとい
いった研修内
内容が中心で
で、参加学生
生が現地で日本での学習
習成果を発表
表してくると
いう要素は
は取り入れて
ていない。今
今後は、従来
来の受動的研
研修内容のみ
みならず、日 本語・文化
化紹介や専門
分野の発信
信といった活
活動を中心に
にする研修を
を「発信型 NU
U-OTI」とし
して構想中で
である。具体
体的に、日本
本
語を学んで
でいる学生、日本語学科
科を設置して
ている協定校
校と協力して研修を実施
施しようとしている。こ
の仕組みの
の中では、名
名大生が事前
前授業でそれ
れぞれの視点
点から本学の特徴や日本
本を紹介する準備を事前
前
独
独立行政法人日本
本学生支援機構
構 Copyright
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ウェブマガジン『留学交流』
』2016 年 3 月号
月 Vol.600
授業でおこ
こない、教授
授法の基礎を
を学習した後
後、授業内、そして現地
地学生との交
交流の中で紹
紹介していく
ことを考え
えている。さ
さらに、現地
地で日本代表
表アンバサダ
ダーとなって、日本に留
留学する学生
生を増やす為
為
のリクルー
ート活動の一
一部も将来的
的には担って
てほしいと考
考えている。
「発信型 NU--OTI」にも言
言語、文化、
現地事情、 専門授業を
を学ぶ内容は
は取り入れつ
つつ、海外留
留学部門の特
特徴ある研修
修として実施
施していく予
予
定である。
4. 終わりに
に
NU-OTI と
としての海外
外短期研修は
はまだ始動し
したばかりで課題は山積しており、改
改善点も必要
要ではある。
筆者らは過
過去に私立大
大学で勤務し
していた経験
験もあるため
め、本稿の内容は私立大
大学の国際交流プログラ
ムと比較し
したら、真新
新しいものは
は少ないこと
とは理解して
ている。しか
かしながら、 まだ保守的
的で各部局で
の権限が強
強く残る国立
立大学におい
いて、数多く の部署や関
関係者と折衝
衝しながら全
全学的な海外
外短期研修の
推進を行い
い、授業化(
(単位付与)を実現して
ていることは
は一つの進歩
歩だと認識し
している。同時に、今後
後
も海外留学
学プログラム
ムを含めた国
国際交流プロ
ログラムを拡
拡大していくには、他部
部局関係者の理解と支援
援
無しでは実
実現しないこ
ことも理解し
している。引
引き続き、TG
GU にて掲げ
げた目標を全
全学で共有す
すると共に、
名大生の海
海外留学の意
意義をしっか
かりと説明し
しながら本学
学の国際化に尽力してい
いく所存であ
ある。
参考文献
岩城奈巳. (2012). 「留
留学推進の取
取り組みが交
交換留学に与
与える影響に
についての実
実態調査」.『名古屋大
大
学留学生セ
センター紀要
要』v.10. p.23-29.
1
詳細は以下
下の名古屋大学
学 HP を参照されたい
http://tgu.nagoya-u.aac.jp/oti/
http://ieec.iee.nagoyya-u.ac.jp/ja
a/abroad/proggram/tanki-t
tokubetsu.htm
ml
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