7 財団法人 京都日本語教育センター京都日本語学校

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Ⅰ
財団法人
京都日本語教育センター京都日本語学校
日本語教育機関の所在地及び代表者
1.所
在
〒602-0917 京都市上京区一条通新町東入東日野殿町 395-2
地
電話
2.設
置
者
菅
3.役職・代表者名
Ⅱ
075−414−0449
泰男
専務理事・校長
西原純子
研究内容
1.研 究 課 題
「みんなの日本語」の漢字指導を考える
∼初級文型文法、初級語彙の提示順を重視したテキストで、
いかに漢字を習得させるか∼
2.研
究
組
織
(代表者名)竹見 公仁子
(研究員名)尾野嘉美
高吉和代
3.研
究
目
笠原一枝
辻泰子
俣野博司
田巻知枝
的
当校のインテンシブコース初級クラスでは授業時間の約4分の1を文字の時間とし、主
に漢字指導に充てている。メインテキストに「みんなの日本語」を使用し、課ごとの漢字導
入とディクテーションなどの練習、2 課ごとの漢字語彙の読み書きクイズ、学期中に 4 回
の漢字テストを行っている。しかし、クイズやテストで高得点をとる学生でも、中級クラ
スに進級すると初級で学習した漢字語彙も読めないという場合が少なからずある。メイン
テキストをすべての漢字語彙にルビがある教科書に変えたため、ルビに頼り、読み方も定
着しにくいのか。あるいは、漢字圏・非漢字圏の学習者が混在し、学習目的もそれぞれで
あることへの配慮が足りないからか。
本研究ではその原因がどこにあるのかを学習者の意見も聞いて明らかにし、さらに、多
様な学習者への効率よい指導方法、初級修了後も自律学習できる力を養わせる方法を検討
し開発することにある。
Ⅲ
研究成果の概要
1)どの漢字を教えるか
当校では 2001 年度 10 月期よりインテンシブコース初級のメインテキストを「日本
語初歩」(国際交流基金)から「みんなの日本語」(スリーエーネットワーク)に変え
た。漢字指導については、以前よりほぼ毎日1コマ(45 分)をあて、漢字圏・非漢字
圏の学習者の混在するクラスで、課ごとに新字の導入をし、漢字語彙の紹介と定着を
はかっていったので、同様の進め方で指導することにした。そして、「みんなの日本
語
漢字英語版」
(以下「漢字英語版」)のユニット毎に割り当てられた漢字と本文の
語彙との違いをどうするかは担当する教師の裁量に任されていた。
漢字はメインテキストの本文から適当なものを選択し直したほうがよいのではな
いか。現に中級、上級へと進級した学習者の漢字の、特に読みの定着が悪い。非漢字
圏の学習者が中級に進級しても、既習漢字の比較的簡単な組み合わせでも、意味の推
測ができない。新しく出てきた漢字をうまく整理して覚えられないなどの基礎力不足
が見られた。「漢字英語版」の監修者に話を伺い、編集意図などを知るところから、
どの漢字を教えるのが適当かも見直すことにした。
監修者からは、漢字の基礎となる“ベーシック・ストローク”の定着をはかる/漢
字の“部品”が書ければよい/漢字圏と非漢字圏の学習者を分けて指導する/基礎と
なる約 250 字をしっかり入れる。結果、自分で手書き入力のパソコンなどで調べられ
るようになるなどの情報を得、当校ではそのまま「漢字英語版」を使用し、指導法と
教材を工夫することにした。
2)漢字の何を教えるか
今回の研究ではまず学習者(インテンシブコースに在籍する初級及び中級Ⅰ−中級前
半期の学習者−)の漢字学習に関する振り返りのアンケートを行った。そのアンケート
結果から一部を紹介する。(
)内はその意見を出した学習者をあらわす
① 漢字の読み方、漢字の使い方を教師に教えてもらいたい(漢字圏・非漢字圏)
② 漢字を覚えることや意味を調べることは自分でできる(漢字圏・非漢字圏)
③ 漢字の授業は簡単である(漢字圏)
④ いろんな国の人と同じクラスで漢字を勉強するのはいい(漢字圏・非漢字圏)
⑤ 漢字圏の人が多いと細かく教えてもらえない(非漢字圏)
⑥ 漢字クイズ/漢字テスト/漢字の宿題が役に立つ(漢字圏・非漢字圏の初級学習
者)
⑦ 初級時の学習を振り返えると、クイズ/テスト/宿題は役に立っていない(非漢
字圏の中級学習者)
⑧ 対義語、類義語、同音語などの練習も入れて欲しい(漢字圏)
以上のような意見から、45 分の漢字の時間の一部を複式授業にし、漢字の宿題は自分で
漢字語彙の意味を調べさせるなど自分で発展的に学習できるような設問も入れることにし
た。
3)どう教えるか
漢字の時間に複数の教室を使い、複数の教師を配置するのは物理的にも経済的にも
困難であり、学習者も同じ場所にいることを嫌がっているわけではないので、教室内
で席を移動させ複式授業を行った。
〔複式授業時の指導内容〕
対漢字圏:
漢字語彙のルビ振り/文章の中の漢字語彙のルビ振り/テキストにはルビあ
りで出されていた漢字語彙を含む文章の中の漢字語彙のルビ振りと簡単なもの
から高度なものヘと進めるようにしたものを配布した。(時間内に教師と共に答
え合わせを行う)
対非漢字圏:
教師が漢字の部首/構成/読み方/書き方を導入。教師がいない時には学習し
た漢字を何度も書かせ、画数を数えさせシートに記入させた。
〔共通の指導内容〕
フラッシュカードを使って読みを導入し、短文づくりをさせる。ディクテーシ
ョンをさせる。
学習者はそれぞれに与えられた課題の意味を把握しつつこなし、教師の目も学習者一
人ひとりに届かす時間も増え、個別の指導も以前より手厚くできた。また、教師が学習
者の弱点を早い時点で発見することもできた。
宿題は試作ではあるが、楽しく学習できるという声が聞かれ、以前より意欲的に取り
組んでもらえそうである。
漢字語彙の定着をはかるには、課ごとの学習だけではなく、ある範囲を学習した後、
まとめの時間をとり、対義語、類義語などを学習者と整理していくような時間をとるこ
とも検討したが、今回は行っていない。
4) 今後の課題
今回の調査研究は試作、試用の段階で終わり、結論づけることは難しい。しかし、
以下のことを継続して行うことである成果を出したいと思っている。
① アンケートを引き続き行い、学習者の意識と漢字指導及び漢字学習の成果との関連
の調査を行う。
② 新しく検討した方法を学期を通して実践する。
③ 漢字圏の学習者の目的はほとんどが日本での進学であるが、非漢字圏の学習者のニ
ーズ、学習形態、到達目標は個々で大きく異なるので、出来上がった教材を渡し、
決まったやり方で指導するのではなく、常に学習者を見ながら工夫し続け、それら
をデータとして残す。