講義ノート2(PDF:272KB)

ヒューマンモデリング Ⅱ
システム創成学科
SIMコース
人間情報処理システム
注意制御
作業記憶
感
覚
器
官
感覚貯蔵
パターン認識
問題解決
意思決定
行動計画
長期記憶
運動制御
運
動
器
官
心のモジュール性
実験的証拠
„
反応時間の加法性(線形性)
T = Tx + Ty ⇒ RT ≈ RTx + RTy
臨床的証拠
„
脳に傷害を受けた患者の症例
モジュールの境界は明快ではなくあいまい
感 覚
様相(モダリティ)
„
„
異なる感覚器官によって受容され、異なる意
識を生ずるような感覚の違い
視覚、聴覚、嗅覚、味覚、平衡感覚、表面感
覚、 筋伸縮、関節角
感覚閾
„
感覚を引き起す刺激のうちで最も弱い刺激の
絶対強度
Weber-Fechnerの法則
Weberの法則
δ I I ≈ constant
I : 刺激強度 δ I : 弁別閾
Fechnerの法則
dI I = k ⋅ dS
S = k log I + C
S : 感覚強度
感覚尺度は物理的尺度の対数
感覚記憶
アイコニックメモリ (Sperling)
„
„
„
文字記憶課題において、部分報告で想起でき
る文字数は全体報告を上回る。
刺激提示後に遅延や妨害刺激を加えると、部
分報告の優位性は急激になくなる。
視覚像をそのまま短時間だけ保持できる記憶
の存在が示唆される。
エコイックメモリなど他の様相にも存在
記憶の2成分理論
寿 命
容 量
忘 却
想起速度
主なコード
処理モード
制 御
短期記憶(STM)
数 10 秒
数項目
干渉・時間減衰
速 い
音響的・言語的
逐次的
意識的・選択的
長期記憶(LTM)
きわめて長期
実質的上限なし
干渉、手がかり喪失
遅 い
意味的・概念的
並列的
無意識的・自動的
単語リストの自由再生
0.7
提示直後
30 秒間の遅延
再生率
0.6
0.5
0.4
0.3
0.2
0
5
10
リスト位置
15
記憶システムのモデル
外部入力情報
感覚レジスタ(SR)
SRからの消失
視覚的
短期貯蔵庫(STS)
STSからの消失
言語
視覚的
聴覚的
長期貯蔵庫(LTS)
LTSにおける
減衰や干渉
言語
聴覚的 視覚的
作業記憶
STM は単なる情報の貯蔵庫ではなく、能
動的な情報処理機能を有する。
論理的判断課題による記憶容量の減少
作業記憶仮説 (Baddeley & Hitch)
中央実行部
視空間的一時貯蔵庫
構音ループ 受動的入力レジスタ
直接記憶範囲とチャンク
直接記憶範囲 = 7±2 chunk (Miller)
„
成人健常者が一度に短期間だけ保持できる情報量
チャンク
過去の経験や知識に依存して決る情報のまとまりを
表す単位
1101100 1×7 = 7 bit
= 7 chunks
9351654 log210 ×7 = 23 bit
= 7 chunks
hquakgs log226 ×7 = 33 bit
= 7 chunks
= 1 chunk
Seattle
log226 ×7 = 33 bit
春はあけぼの。やうやう白く・・・
= 1 chunk
„
長期記憶の多成分モデル (Tulving)
エピソード記憶
„
„
自己の実体験の記憶
想起の際に過去意識を伴う
意味記憶
„
言葉や概念の意味内容の辞書的定義
手続記憶
„
„
肉体的運動のスキル
言語的説明は困難
その他の長期記憶のモデル
二重(イメージ/言語)符号仮説 (Pavio)
„
単語の自由再生課題において、イメージを喚起
しやすい単語の方が記憶成績がよい。
処理水準仮説 (Crail, Lockhart)
„
記憶とは情報の心的処理過程の痕跡であり、
物理的で浅い処理よりも意味的で深い処理の
方が深い痕跡を残し、記憶成績がよい。
長期記憶の構造性
単語リストの自由再生課題
„
„
関係の深い単語はまとまって想起される。
関連性の高い単語から造ったリストはランダ
ムなリストよりも記憶成績がよい。
物語理解課題、目撃証言
„
入力情報が既存の記憶と整合するようにデフォ
ルメされて処理・解釈されることがある。
長期記憶からの想起
格納場所ではなく検索キーとの意味的関
連性による情報取出し
類似性照合と頻度による賭け (Reason)
想起の2段階仮説(検索と照合)
忘却は検索キーの喪失による検索失敗で
起り、記憶そのものが消失することはない。