250 明海歯学(J Meikai Dent Med )44(2) , 250−267, 2015 マウスマクロファージ様細胞 RAW264.7 細胞の一酸化窒素誘導性 アポトーシスに対する Porphyromonas gingivalis 由来 CpG DNA の抑制作用 篠田 寛幸1 髙野安紀子2 高野 梨沙1 熊倉 学1 元地 茂樹1 川俣富貴子1 玲1§ 慶1 和弘1 浩正1 義文1 大地1 竹下 宮澤 中川 遠藤 大高 小野 中林 北 小山 柏崎 杉山 滝田 下島 靖雄1 邦宏1 主之1 秀一1 卓司1 裕美1 孝裕2 末續 西條 田中 田中 河野 鈴木 安井 真弓1 光雅1 園治1 入1 哲1 玲爾2 利一1 1 2 明海大学歯学部社会健康科学講座口腔衛生学分野 明海大学歯学部機能保存回復学講座オーラル・リハビリテーション学分野 要旨:単球及びマクロファージのアポトーシスの制御は,歯周炎を初めとする慢性炎症性疾患と関連し,また,その炎 症局所組織におけるマクロファージの長期間にわたる生存は,炎症反応を悪化させると推察される.最近の研究では,歯 周病原性細菌 Porphyromonas gingivalis(P. gingivalis)DNA が,マクロファージに対して炎症性サイトカイン産生誘導能 を有していることを示している.しかしながら,P. gingivalis DNA のマクロファージの細胞死に対する影響は詳細に解 明されていない.そこで,著者は,本研究において,一酸化窒素(nitric oxide ; NO)により誘導されるマウスマクロフ ァージ様細胞 RAW264.7 細胞のアポトーシスに対する本細菌由来 DNA の作用について検討した. P. gingivalis DNA は NO donor である sodium nitroprusside dehydrate(SNP)と S-nitrosoglutathione(GSNO)により誘導 される細胞死(アポトーシス)を,濃度依存的に抑制した.その抑制作用は,本菌 DNA を deoxyribonucleaseⅠ処理する ことにより消去された.また,P. gingivalis DNA の CpG methylase 処理は,その DNA の活性を消失させた.さらに,細 菌由来 DNA の NO 誘導性アポトーシス抑制作用は,unmethylated CpG motif(CpG DNA)を有する合成 DNA に誘導さ れることが示された.興味あることに,その CpG DNA を有する合成 DNA(CpG ODN)のアポトーシス抑制作用は,エ ンドソーム酸化抑制剤である chloroquine と bafilomycin A,さらに,Toll 様受容体-9(Toll-like receptor-9 ; TLR-9)のア ンタゴニストである inhibitory CpG ODN(iCpG ODN)で消去された.さらに,NO が誘導する癌抑制因子 p53 の蓄積は, CpG ODN により抑制され,また,その抑制作用は,iCpG ODN で消去された.また,NO 誘導性 cytochrome c の放出と caspase の活性化は,CpG ODN により抑制され,また,その抑制作用は,iCpG ODN で消去された. これらの結果から,P. gingivalis DNA の CpG DNA は,NO 誘導性マクロファージのアポトーシスを著明に抑制するこ とが示され,また,このマクロファージの生存は,歯周炎などの慢性炎症性疾患の進展に関与する可能性が示唆された. 索引用語:Porphyromonas gingivalis,歯周炎,アポトーシス,CpG DNA, Toll 様受容体-9,マクロファージ,一酸化窒素 マクロファージ様細胞のアポトーシスに関する CpG DNA の抑制作用 251 Inhibitory Effect of CpG DNA from Porphyromonas gingivalis on Nitric Oxide-induced Apoptosis of Mouse Macrophage Like Cell Line RAW264.7 Cells Hiroyuki SHINODA1, Akira TAKESHITA1§, Yasuo NAKABAYASHI1, Mayumi SUETSUGU1, Akiko TAKANO2, Kei MIYAZAWA1, Kunihiro KITA1, Mitsumasa SAIJO1, Risa TAKANO1, Kazuhiro NAKAGAWA1, Kazuyuki KOYAMA1, Sonoji TANAKA1, Manabu KUMAKURA1, Hiromasa ENDOH1, Shuichi KASHIWAZAKI1, Susumu TANAKA1, Shigeki MOTOJI1, Yoshifumi OHTAKA1, Takuji SUGIYAMA1, Satoshi KONO1, Fukiko KAWAMATA1, Daichi ONO1, Hiromi TAKITA1, Reiji SUZUKI1, Takahiro SHIMOJIMA1 and Toshikazu YASUI1 1 Division of Oral Health and Preventive Dentistry, Department of Community Health Science, Meikai University School of Dentistry 2 Division of Oral Rehabilitation Department of Restorative and Biomaterials Sciences, Meikai University School of Dentistry Abstract : Apoptotic regulation of monocytes / macrophages has been associated with chronic inflammatory disease such as periodontal disease, and the persistent survival of macrophages in the inflammatory site may exacerbate the inflammatory reactions. Recent studies have shown that DNA from periodontopathic bacterium Porphyromonas gingivalis (P. gingivalis) functions as a virulence factor that induces pro-inflammatory cytokine production by macrophages. However, it remains to be determined whether P. gingivalis DNA affects cell survival of macrophages. In this study, we examined effect of the bacterial DNA on nitric oxide (NO)-induced apoptosis of mouse macrophage-like cell line RAW264.7 cells. P. gingivalis DNA inhibited the cell death (apoptosis) induced by NO donors, sodium nitroprusside dehydrate (SNP) and S -nitrosoglutathione (GSNO), in a dose-dependent manner. The inhibitory effect of P. gingivalis DNA was abolished by treatment with deoxyribonucleaseⅠ. Consistent with this result, treatment of P. gingivalis DNA with CpG methylase abolished the inhibitory effect of the bacterial DNA. Moreover, the ability of bacterial DNA to inhibit NO-induced apoptosis was mimicked by synthetic oligodeoxynucleotide (ODN) containing the unmethylated CpG motif (CpG DNA). Interestingly, the inhibitory effect of the ODN containing CpG DNA (CpG ODN) was abolished by endosomal acidification inhibitors (chloroquine and bafilomycin A), and a Toll-like receptor-9 (TLR-9) antagonist, inhibitory CpG ODN (iCpG ODN), suppressed the P. gingivalis DNA-mediated inhibitory effect. Furthermore, NO-induced accumulation of tumor-suppressor protein p53 was decreased by CpG ODN, and this action was blocked by pretreatment with the TLR-9 antagonist, iCpG ODN. NO-induced cytochrome c release and caspase activation in RAW264.7 cells were likewise inhibited by CpG ODN and these inhibitory effects were antagonized by iCpG ODN. These results indicate that CpG DNA from P. gingivalis inhibits NO-induced apoptosis of macrophages and suggest that CpG DNA from pathogenic bacteria may prolong the cell survival of monocytes/ macrophages, which would contribute to the development of chronic inflammatory diseases such as periodontal disease. Key words : Porphyromonas gingivalis, periodontitis, apoptosis, CpG DNA, Toll-like receptor-9, macrophage, nitric oxide ───────────────────────────── §別刷請求先:竹下 玲,〒350-0283 埼玉県坂戸市けやき台 1-1 明海大学歯学部社会健康科学講座口腔衛生学分野 252 篠田寛幸・竹下 玲・中林靖雄ほか 緒 明海歯学 44 2015 TNF-α や IL-1 誘導作用は,CpG motif と呼ばれている 言 DNA の塩基配列中のシトシンとグアニンを中心とした 炎症の成立において,interleukin-1(IL-1)や腫瘍壊死 パリンドローム構造(CpG DNA)が活性中心部位であ 因子-α (tumor necrosis factor-α ; TNF-α )などの炎症性 ること,また, CpG DNA を有し た 合 成 DNA ( CpG サイトカインの重要性が示されている1−4).また,炎症 oligonucleotide ; CpG ODN)は,細菌由来 DNA と同様 局所組織に,その炎症性サイトカインを大量に産生する な作用を有していることが明らかにされている23−30).さ 活性化マクロファージが,多量に集積していることが明 らに,最近の研究は,その CpG DNA の細胞レセプタ らかにされている 5−7) .一方,その炎症は,活性化マク ロファージが,アポトーシスによって,その病変局所か ーは,Toll 様受容体-9(Toll-like receptor-9 ; TLR-9)で あることが示されている31−38). ら除去されることによって終息し,さらに,本細胞のア 歯周炎は,歯肉の炎症と歯槽骨の吸収を特徴とする疾 ポトーシスは,炎症の慢性化を避けることに貢献すると 患である.近年の研究から,その本疾患の特徴的な病態 考えられている7−10).従って,この様な利他的なマクロ に,Porphyromonas gingivalis(P. gingivalis)を中心とし ファージのアポトーシスは,生理的に非常に意義あるこ た歯周病原性細菌の感染が刺激となり誘導される骨吸収 活性を有した炎症性サイトカイン(IL-1, TNF-α ,並び とと考えられる. マクロファージのアポトーシス誘導因子の一つとし に IL-6)が密接に関与することが明らかとなってい て,L-アルギニンから,構成型一酸化窒素(nitric ox- る3, 4, 39−43).実際,それらの病原性細菌由来リポ多糖体 ide ; NO)合成酵素(NOS)と誘導型 NOS により合成 (LPS),線毛,並びに,DNA が病原性因子として,マ 11−15) .しかし,慢性炎症 クロファージや歯肉線維芽細胞に作用し,炎症性サイト 性疾患であるリウマチ性関節炎,変形性関節症,肺線維 カインを強く誘導することが報告されている40−43).ま 症,並びに,歯周炎の病変部において,誘導型 NOS が た,最近の知見44−48)は,LPS が,マクロファージのアポ 強く発現しているにも拘わらず,活性化したマクロファ トーシスを制御することを示している.さらに,P. gin- される NO が重要視されている 5−7, 13−17) ージの浸潤と集積が認められる .このことは,こ givalis 線毛は,ヒト単球性骨髄性白血病細胞 THP-1 の れらの病変部において,NO によるマクロファージのア アポトーシスを阻害することが確認されている49).この ポトーシスが著しく抑制されていることを推察させる. ことは,歯周病原性細菌由来の病原性因子は,マクロフ 実際,リウマチ性関節炎患者の滑膜組織に存在するマク ァージの炎症性サイトカインを誘導し病態形成に積極的 ロファージは,アポトーシスに抵抗性を有していること に関与し,さらに,本細胞のアポトーシスを抑制するこ が示され,さらに,歯周炎患者の病変組織においてもマ とにより,その病態の慢性化に関与する可能性を示唆し クロファージのアポトーシスが抑制されている可能性が ている.しかしながら,本菌 DNA が,マクロファージ 示唆されている8, 9, 18−22).ゆえに,NO によるマクロファ のアポトーシスを抑制することについては,ほとんど検 ージのアポトーシスを抑制する機構を解析することは, 討されていない.そこで,その点について検討した結 慢性炎症性疾患の発症機構を解析する上で意義あること 果,P. gingivalis 由来 DNA は,CpG DNA を活性中心 と考えられる. として,マウスマクロファージ様細胞 RAW264.7 細胞 一方,グラム陽性菌とグラム陰性菌由来 DNA は,マ の NO 誘導性アポトーシスを抑制すること,さらに, クロファージにおいて,TNF-α を中心とした炎症性サ その DNA の情報伝達機構における TLR-9 の機能的役 イトカインを誘導することが明らかとなっている23−26). 割を明らかにした. さらに,この細菌由来 DNA 誘導性 TNF-α は,マウス 材料および方法 を用いた動物実験の系において,敗血症ショックや細菌 (敗血症)性関節炎に密接に関係することが示唆されて いる 23, 25, 26) .また,Pseudomonas aeruginosa などの感染に よる重篤な肺炎においては,本菌 DNA が,interleukin-6 1 .使用細胞 マウスマクロファージ様 RAW264.7 細胞を使用した. 細 胞 を , プ ラ ス チ ッ ク シ ャ ー レ ( Becton Dickinson (IL-6),TNF-α ,並びに,macrophage inflammatory protein-2 Labware, Franklin Lakes, NJ, U.S.A.)に移植し,penicillin (MIP-2)などを強く誘導し,病原性因子として,機能的 G 100 U/ml と streptomycin 100 μ g/ml を含む 10% 牛胎 な役割を担っている可能性が示されている27, 28).興味あ 仔血清(Fetal bovine serum : FBS, HyClone, Logan, UT, る こ と に , 細 菌 由 来 DNA に よ る マ ク ロ フ ァ ー ジ の U. S. A. ) 添 加 RPMI 1640 medium ( Flow Laboratories, マクロファージ様細胞のアポトーシスに関する CpG DNA の抑制作用 253 Dublin, VA, U.S.A.)中で,37℃,5% CO2 存在下で培養 DNA),並びに,herring testes DNA (ニシン DNA)を Sigma し,3 日毎に継代維持した. より購入し,実験に供した. 2 .NO 発生剤 6 .CpG ODN などの合成 DNA NO 発生剤(NO donor)として,sodium nitroprusside 5’-TCCATGACGTTCCTGACGTT-3’の塩基配列を有す dehydrate(SNP;和光純薬,大阪)と S -nitrosoglutathione る ODN(CpG ODN)を,ファスマック(厚木,神奈 (GSNO;和光純薬)を使用した. 川)から購入し使用した.また,CpG DNA 配列を有さ な い non-CpG ODN と し て , 5 ’ -TCCAGGACTTCTC 3 .細菌由来 DNA P. gingivalis ATCC 33277 株,Actinobacillus actinomycetemcomitance (A. actinomycetemcomitance )Y4 株,並 TCAGGTT-3’を作製し,実験に供した.さらに,CpG DNA の活性を抑制し,TLR-9 に対するアンタゴニスト活性を 有 す る inhibitory CpG ODN ( iCpG ODN ; 5’- 33−38) びに,Prevotella intermedia(P. intermedia)ATCC 252611 TCCTGGCGGGAAGT-3’)を使用した 株から,それぞれ,Marmur30, 50)の方法で,500 ml の培 と iCpG ODN は,共に,ファスマックから購入した. .non-CpG ODN 養菌液から,5∼10 mg の精製 DNA を得た.すなわち, 個々の培養した細菌を溶解液[100 mM Tris-HCl(pH 7 .色素染色性による細胞死判定方法 7.5),12.5 mM EDTA, 150 mM NaCl, 1% SDS]で処理 細胞死を判定するために,RAW264.7 細胞の crystal し,得られた DNA 溶液を ribonuclease A( RNase A ; violet 色素染色性を検討した51).すなわち,96 穴マイク Sigma, St. Louis, MO, U.S.A.)200 μ g/ml と proteinase K ロプレート(Becton Dickinson Labware)の各 well に, (Sigma)200 μ g/ml で処理し,phenol-chloroform 液で 10 細胞(2×105cells)を移植し,10% FBS 含有 RPMI 1640 回抽出した.その DNA 溶液をエタノールで 5 回沈殿処 medium 中で,37℃,5% CO2 存在下で培養した.12 時 理し,得られた DNA を H2O に溶解した.DNA 量は, 間後,細胞を phosphate buffered saline(PBS)(−)(日 分光光度計(島津製作所,京都)を用い 260 nm の吸光度 水製薬,東京)で 3 回洗い,5% FBS 含有 RPMI 1640 me- で測定し求めた.得られた DNA 中の LPS 量は,カブ dium の条件下で,細菌由来 DNA,真核細胞由来 DNA, トガニの血球抽出成分(limulus amebocyte lysate)を使 並びに,合成 DNA を添加し培養した.12 時間後,細 用したリムルステスト(EndospecyⓇ,生化学工業,東京) 胞をもう一度洗浄し,血清の影響を抑制するために 0.5 を用いて測定したところ,2.5 ng(LPS)/mg(DNA)以下 % FBS 含有 RPMI 1640 medium の培養条件下にした後, であった.また,Clostoridium perfringens(C. perfringens) SNP を添加した.24 時間培養後,PBS(−)で 3 回洗 DNA と Escherichia coli(E. coli) (strain B)DNA を,Sigma より購入した. 浄 し た . 細 胞 を 染 色 す る た め に , crystal violet 色 素 (Merck, KA, Darmstadt, Germany)溶液(0.2% crystal violet in 10% methanol)を各 well に 50 μ l 添加し,室温に 4 .P. gingivalis DNA のメチル化 P. gingivalis DNA のメチル化は,以前に報告された て 5 分間インキュベートした.細胞を PBS(−)で洗 浄後,細胞溶解液(10% Nonidet P-40, 0.2% SDS)で, 方法で行った29, 30).本菌 DNA 1 μ g に 2 unit の CpG メチ 細胞を溶解した.その後,吸光光度計 Multiscan(Labsys- ラーゼ(New England Biolabs, Inc, Beverly, MA, U.S.A) tem, Helsinki, Finland)を使用して,620 nm における各 を 37℃,18 時間,反応させた.CpG DNA のメチル化 well の吸光度を測定した. は,制限酵素 Msp I 処理で切断でき,Hpa II 処理で影 響がないことにより確認した. 8 .蛍光色素染色法によるアポトーシス細胞検出方法 3 cm シャーレ(Becton Dickinson Labware)に,RAW 5 .真核細胞由来 DNA 264.7 細胞を 1×106cells 移植した.その後,細胞死判定 マウス由来 DNA とラット由来 DNA は,それぞれ, 方法と同様の条件下で培養した細 胞 を 回 収 し , PBS RAW264.7 細胞とラット骨芽細胞 UMR-106 細胞より, (−)で 3 回洗浄した.その細胞を,3.7% formaldehyde 原核細胞由来 DNA 精製方法と同じ Marmur30, 50)の方法で を含む PBS(−)で固定した.その後,細胞を 0.01% 精製した.また,human placenta DNA(ヒト DNA),calf Triton X-100 で処理後,DNA に高親和性を示す蛍光色 thymus DNA( ウ シ DNA), salmon testes DNA ( サ ケ 素である hoechst 33258(1 mg/ml , Sigma)で染色した. 254 篠田寛幸・竹下 玲・中林靖雄ほか 明海歯学 44 2015 その細胞の形態を,蛍光顕微鏡(Olympus BX 60,東 c 抗 体 ( 7H8.2C12 ; BD pharmingen, Heidelberg, Ger- 京)を使用し,励起波長 346 nm と蛍光波長 460 nm の many)を,4℃ 条件下で,12 時間反応させた.その後, 条件下で観察した52, 53). その膜を,0.1% Tween-20 を含む TBS buffer で 2 回洗 浄した.さらに,二次抗体として,それぞれ horseradish 9 .アガロースゲル電気泳動法による DNA 断片像の検 peroxidase 標 識 ロ バ 抗 ウ サ ギ IgG 抗 体 ( Amersham Biosciences Corp, Piscataway, NJ, U.S.A.),又は,horserad- 出 3 cm シャーレ(Becton Dickinson Labware)に培養し ish peroxidase 標識ヒツジ抗マウス IgG 抗体(Amersham た RAW264.7 細胞を,細胞死判定方法と同様の条件下 Biosciences Corp)を使用した.二次抗体反応後,その で培養後,細胞溶解液[10 mM Tris-HCl(pH 7.4),10 PVDF 膜 に , West Pico Chemiluminescent mM EDTA, 0.5% Triton X-100]を用いて,細胞から DNA を抽出した.その抽出した DNA を TE buffer[10 mM Substrate (PIERCE, Meridian Road. Rockford, IL, U.S.A.)を作用さ せ,それぞれのタンパク質の発現を検討した. Tris-HCl(pH 7.4) ,1 mM EDTA]に溶解後,2% アガロ ースゲル(Nusieve, Rockland, ME, U.S.A.)で電気泳動 11.NO 定量方法 を行った.DNA の断片化像は,エチジウムブロミド色 NO2 assay kit(同仁化学研究所,熊本)を用い,Griess 素 (Sigma) で 染 色 を 行 い ,DNA の 断 片 化 を 観 察 し 法55)で,検討した.即ち,SNP 処理した RAW264.7 細 た49). 胞と非処理細胞の培養上清をそれぞれ回収し,NO が酸 化されて生じる NO2−によるジアゾニウム塩化化合物と 10.Western blotting assay Western blotting assay は,すでに報告されている方 法で検討した 41−43) .すなわち,10 cm シャーレ(Becton ナフチルエチレンジアミンのアゾカップリング反応を利 用し,さらに,吸光光度計 Multiskan を使用し,540 nm の吸光度を測定することによって,NO2−量を測定した. Dickinson Labware)で培養した RAW264.7 細胞を,細 胞死判定方法と同様の条件下で培養後,細胞溶解液[10 12.Cytochrome c の検出 mM Tris-HCl(pH 7.4),1% sodium deoxycholate, 150 mM Leist56)らの方法に部分的な変更を加えた方法で検討を NaCl, 1% Nonidet P-40, 0.1% SDS, 5 mM EDTA, 0.25 行った57).細胞死判定方法と同様の条件下で培養を行っ mM PMSF, 10 μ g/ml aprotinin]で溶解し,タンパク質を た RAW264.7 細胞(5×106 個)を回収し,streptolysin O 抽出した.その抽出したタンパク質を,Bradford54)の方 (1 unit/ml ),phenylmethyl-sulfonyl fluoride( PMSF ; 1 法により測定した後,タンパク量を一定にした.各サン mM),並びに 1% bovine serum albumen(BSA)を含む プルは,Tris-glycine 緩衝液[25 mM Tris-HCl(pH 8.8), PBS(−)中で 37℃ 条件下で 30 分反応させた後,14,000 g 192 mM glycine, 0.1% SDS]を用い,15% polyacrylamide で遠心し,上清を回収した.その後,その回収した上清 gel (Bax, Bcl-2,並びに cytochrome c 検出用)と 10% poly- 中の cytochrome c を Western blotting assay により,マ acrylamide gel ( p53 検 出 用 ) の 条 件 下 で , そ れ ぞ れ ウス抗ハト cytochrome c 抗体を用い検討した. SDS-PAGE 電気泳動を行った.泳動終了後,タンパク 質をセミドライ式転写装置にて,polyvinylidene difluoride 13.Caspase-3 と Caspase-9 活性化測定法 (PVDF)膜(MILLIPORE Co, Bedford, MA, U.S.A.)に 培 養 し た RAW264.7 細 胞 を 回 収 し , Enz ChekⓇ 転写した.転写終了後,その PVDF 膜に,5% skim milk caspase-3 assay kit(Molecular Probes, Inc, Eugene, OR, U. を含む 0.1% Tween-20/Tris buffer saline[TBS ; 100 mM S.A)と ApopcytoⓇ caspase-8 assay kit(医学生物学研究 Tris-HCl(pH 7.4),150 mM NaCl]を用い 4℃,12 時間 所,名古屋)を用いて検討した.即ち,細胞溶解液と ブロッキング処理を行った.その後,その膜を,0.1% caspase-3 による poly(ADP-ribose)polymerase(PARP) Tween-20 を含む TBS buffer で 2 回洗浄した. それぞれの膜に,ウサギ抗ヒト p53 抗体(FL-393 ; の切断部位のアミノ酸配列を蛍光ラベルした Asp-GluVal-Asp ( DEVD )-Rodamine 110 ( R110 ), ま た は , Santa Cruz Biotechnology Inc., Santa Cruz, CA, U.S.A.), caspase-8 の pro-caspase-3 の切断部位のアミノ酸配列を ウサギ抗ヒト Bax 抗体(N-20 ; Santa Cruz Biotechnology 蛍 光 ラ ベ ル し た Ac-Ile-Glu-Thr-Asp ( IETD )-7-amino- Inc. ), ウ サ ギ 抗 ヒ ト Bcl-2 抗 体 ( N-19 ; Santa Cruz methylcoumarin-3-acetic acid(AMCA)を,1 時間,反応 Biotechnology Inc.),並びに,マウス抗ハト cytochrome させ,その後,蛍光分光計(大日本製薬,大阪)を用い マクロファージ様細胞のアポトーシスに関する CpG DNA の抑制作用 255 て,R110(蛍光波長 520 nm,励起波長 496 nm),並び 本菌 DNA は,GSNO 処理細胞の細胞死も著明に抑制す に,AMCA(蛍光波長 450 nm,励起波長 350 nm)の定 ることが明らかとなった[Fig. 1(B)].これらの結果 量を行った. から,RAW264.7 細胞において,NO 誘導性細胞死を, 結 果 P. gingivalis DNA は,著明に阻害することが示された. 1 .マウスマクロファージ様細胞 RAW264.7 細胞にお 2 .マウスマクロファージ様細胞 RAW264.7 細胞の NO ける NO 誘導性細胞死に対する P. gingivalis DNA 誘導性アポトーシスに対する P. gingivalis DNA の の作用 抑制作用 マウスマクロファージ様細胞 RAW264.7 細胞の細胞 幾つかの知見57−62)は,NO による RAW264.7 細胞の細 死に対する NO の作用を検討する目的で,本細胞の crys- 胞死が,アポトーシスにより誘導されていることを明ら tal violet 色素染色性を検討した.その結果,NO donor かにしている.そこで,Fig. 1 で示した NO 誘導性 RAW SNP の濃度 500 μ M で,著明な細胞死を誘導すること 264.7 細胞の細胞死に対する P. gingivalis DNA の阻害作 を確認し,また,その作用は,SNP の濃度依存的であ 用が,本細胞のアポトーシスを抑制するものであるか否 った(データは示さない).500 μ M の SNP で 12 時間 かについて検討を加えた.まず,hoechst 33258 を用い 処理した本細胞の培養上清における NO 量を,Griess 法 た核染色を行い形態的な検討を加えた.その結果,SNP にて測定したところ,NO2 量として 22.0±2.52 μ M であ 処理により誘導される細胞核の断片化は,P. gingivalis った(Control ; 0.12±0.02 μ M:データは示さない).さ DNA を 12 時間前処理することにより,著明に抑制され らに,この SNP によって誘導される細胞死に対する P. た[Fig. 2(A),(B),(C)].さらに,アポトーシスに gingivalis DNA の作用を検討した.即ち,RAW264.7 細 陥った細胞は,DNA の断片化が誘導されることが示さ 胞を,1∼100 μ g/ml の濃度の本菌 DNA で 12 時間処理 れている.そこで,その点について,アガロースゲル電 後,SNP を作用させ,crystal violet 色素染色を行った. 気泳動法で検討を行った.その結果,Fig. 2(D)に認 その結果,Fig. 1(A)に示すように,P. gingivalis DNA められるように,SNP 処理による NO 誘導性アポトー は,SNP 誘導性 RAW264.7 細胞の細胞死を著明に抑制 シスは,P. gingivalis DNA 前処理により著明に抑制さ することが明らかとなった.また,NO 誘導性細胞死に れることが明らかとなった.これらの結果から,P. gin- 対する本菌 DNA の抑制作用を確認するため,他の NO givalis DNA による NO 誘導性 RAW264.7 細胞の細胞死 donor である GSNO を用いて検討を加えた.その結果, の阻害は,アポトーシスの抑制により制御されているこ Fig. 1 Effect of P. gingivalis DNA on RAW264.7 cell death induced by NO donor SNP and GSNO. (A, B)RAW 264.7 cells were incubated with or without the indicated concentrations(A)or 100 μ g/ml of P. gingivalis DNA (B)for 12 hr in RPMI 1640 containing 5% FBS. After the incubation, the cells were washed and treated or not with 500 μ M SNP (A)or 500 μ M GSNO(B)for another 24 hrs. Cell viability was assessed by crystal violet staining as described in“Materials and Methods. ”The results are shown as a percentage of the viability in the control. The data are expressed as the mean±SD of triplicate assays. aSignificant difference from paired control by Student’s t-test(ap<0.01) ;*Significant difference between values indicated by the bracket, by Student’s t-test(*p<0.01) .An identical experiment independently performed gave similar results. 256 篠田寛幸・竹下 玲・中林靖雄ほか 明海歯学 44 2015 Fig. 2 P. gingivalis DNA is able to inhibit NO-induced apoptosis of RAW264.7 cells. (A, B, C)RAW264.7 cells were incubated without(A, B)or with(C)100 μ g/ml of P. gingivalis DNA for 12 hr in RPMI 1640 containing 5% FBS. After the incubation, the cells were washed and treated without(A)or with(B, C)SNP(500 μ M)for another 12 hrs. Thereafter, the cells were fixed. Fluorescence photomicrographs taken after nuclear staining with Hoechst 33258 are shown. An identical experiment independently performed gave similar results.(D)RAW264.7 cells were pretreated or not with P. gingivalis DNA(100 μ g/ml )for 12 hr in RPMI 1640 containing 5% FBS. After the pretreatment, the cells were washed and incubated with or without SNP(500 μ M)for another 12 hr in RPMI 1640 containing 5% FBS. DNA fragments in the supernatant of the lysed cells were isolated at selected times after the initiation of the cultures and subjected to agarose gel electrophoresis. φX 174 RF DNA Hae III fragments were used as molecular weight markers(M) . An identical experiment independently performed gave similar results. とが明らかとなった.また,Fig. 3 に示すように,NO 誘導性 RAW264.7 細胞のアポトーシスに対する本菌由 来 DNA の抑制作用は,その DNA を deoxyribonuclease Ⅰ(DNaseⅠ)処理することにより,ほぼ完全に消去さ れることが示された.この結果から,NO 誘導性 RAW 264.7 細胞のアポトーシスに対する P. gingivalis DNA の 抑制作用は,その DNA 本体の作用によるものであるこ とが明らかとなった. 3 .RAW264.7 細胞の NO 誘導性アポトーシスに対す る P. gingivalis DNA の 抑 制 作 用 に お け る CpG DNA の重要性 既に,多くの病原性細菌由来の DNA が,マクロファ ージの TNF-α の発現を誘導することが明らかとなって Fig. 3 P. gingivalis DNA suppression of NO-induced apoptosis of RAW264.7 cells is abolished by DNase treatment. RAW264.7 cells were pretreated or not with P. gingivalis DNA ,that had been treated or not with DNase(10 unit)or (100 μ g/ml ) RNase(10 μ g) ,for 12 hr in RPMI 1640 containing 5% FBS. After the pretreatment, the cells were washed and incubated with or without SNP(500 μ M)for another 12 hr in RPMI 1640 containing 5 % FBS. DNA fragments in the supernatant of the lysed cells were isolated at selected times after the initiation of the cultures and subjected to agarose gel electrophoresis. φX 174 RF DNA Hae III fragments were used as molecular weight markers(M) . An identical experiment independently performed gave similar results. いる24−26).また,興味あることに Nonnenmacher24)らは, P. gingivalis DNA や A. actinomycetemcomitance DNA な どの歯周病原性細菌由来 DNA が,RAW264.7 細胞の TNF-α を強く誘導することを明らかにしている.これ らの知見から,P. gingivalis DNA だけでなく,他の歯 周病原性細菌の DNA が,NO 誘導性 RAW264.7 細胞の アポトーシスに対する抑制作用を有している可能性を推 察した.そこで,P. gingivalis 以外の歯周病原性細菌由 来 DNA が,NO 誘導性 RAW264.7 細胞のアポトーシス マクロファージ様細胞のアポトーシスに関する CpG DNA の抑制作用 を抑制するか否かについて検討を行った. Fig. 4(A)から明らかなように,A. actinomycetemcomitance 257 tif,即ち,CpG DNA は,メチル化されているため,生 物活性を発揮できないことが示されている29, 30).そこ DNA と P. intermedia DNA は,それぞれ,NO による で,P. gingivlis DNA を CpG methylase でメチル化し, 本細胞のアポトーシスを強く抑制した.また,E. coli アポトーシス阻害活性が消失するか否か検討した.その DNA も,そのアポトーシスを強く抑制することを確認 結果,Fig. 5 に示すように,メチル化した P. gingivalis した[Fig. ( 4 A)].さらに,グラム陽性細菌 C. perfringens DNA は,NO 誘導性アポトーシスに対する抑制作用が DNA を用い検討を行ったところ,C. perfringens DNA 失われることが明らかとなった.また,E. coli DNA に も,NO 誘導性 RAW264.7 細胞のアポトーシスを強く抑 おいても,CpG methylase でメチル化することにより, 制することが明らかとなった[Fig. 4(A)].これらの その DNA の活性が消失することを確認している(デー 結果から,細菌由来 DNA による NO 誘導性 RAW264.7 タは示さない).これらの結果は,細菌由来 DNA によ 細胞のアポトーシスに対する抑制作用に,LPS は関与 る NO 誘導性 RAW264.7 細胞のアポトーシスに対する せず,その DNA 本体によるものであることがより強く 抑制作用が,CpG DNA により担われていることを示唆 示された.また,興味あることに,この様なアポトーシ する. ス抑制作用は,マウス由来 DNA において,全く認めら れなかった[Fig. 4(A)].さらに,Fig. 4(B)に示す ように,マウス由来 DNA だけでなく,ヒト,ウシ,ラ ット,サケ,並びに,ニシン由来の DNA は,その NO 4 .CpG ODN は RAW264.7 細胞の NO 誘導性アポト ーシスを抑制する Fig. 4 と Fig. 5 の結果から,P. gingivalis DNA を始め 誘導性 RAW264.7 細胞のアポトーシスに,何ら影響を とする細菌由来 DNA による NO 誘導性 RAW264.7 細 与えなかった.すでに,真核細胞由来 DNA の CpG mo- 胞のアポトーシスに対する抑制作用は,CpG DNA によ Fig. 4 Inhibitory effect of DNAs from gram-positive and gram-negative bacteria on NO-induced apoptosis of RAW264.7 cells. (A)RAW264.7 cells were pretreated or not with 100 μ g/ml of gram-positive and gram-negative bacterial DNAs as indicated or of mouse DNA for 12 hr in RPMI 1640 containing 5% FBS. After the pretreatment, the cells were washed and incubated with or without SNP(500 μ M)for another 12 hr in RPMI 1640 containing 5% FBS. DNA fragments in the supernatant of the lysed cells were isolated at selected times after the initiation of the cultures and subjected to agarose gel electrophoresis. φX 174 RF DNA Hae III fragments were used as molecular weight markers(M) . An identical experiment independently performed gave similar results. (B)RAW264.7 cells were pretreated or not with 100 μ g/ml of eucaryotic DNAs as indicated or of P. gingivalis DNA for 12 hr in RPMI 1640 containing 5% FBS. After the pretreatment, the cells were washed and stimulated with or without SNP(500 μ M)for another 12 hr in RPMI 1640 containing 5% FBS. DNA fragments in the supernatant of the lysed cells were isolated at selected times after the initiation of the cultures and subjected to agarose gel electrophoresis. φX 174 RF DNA Hae III fragments were used as molecular weight markers(M) . An identical experiment independently performed gave similar results. 258 篠田寛幸・竹下 玲・中林靖雄ほか 明海歯学 44 2015 5 .NO 誘導性 RAW264.7 細胞のアポトーシスに対す る CpG ODN の抑制作用における TLR-9 の機能的 役割 細菌由来 DNA と CpG ODN は,TLR-9 をその細胞レ セプターとして,様々な生物活性を誘導することが明ら かとなっている31−38).また,マクロファージを始めとす る種々の細胞において,CpG DNA 誘導性サイトカイン 発現が,この TLR-9 を介するものであることが報告さ れている24, 31, 34, 37).そこで,CpG DNA によるサイトカイ ン誘導だけでなく,この CpG DNA による NO 誘導性 RAW264.7 細胞のアポトーシスに対する抑制作用におけ る,TLR-9 の機能的役割について検討することは興味が ある.すでに,TLR-9 は,エンドソーム内に局在するこ とが明らかにされている31, 32).また,エンドソーム内の Fig. 5 Involvement of CpG DNA in P. gingivalis DNA-inhibited NO-induced apoptosis of RAW264.7 cells. RAW264.7 cells were pretreated with or without P. gingivalis DNA(100 μ g/ml )that had been incubated with or without CpG methylase for 12 hr in RPMI 1640 containing 5% FBS. After the pretreatment, the cells were washed and incubated with or without SNP(500 μ M)for another 12 hr in RPMI 1640 containing 5% FBS. DNA fragments in the supernatant of the lysed cells were isolated at selected times after the initiation of the cultures and subjected to agarose gel electrophoresis. φX 174 RF DNA Hae III fragments were used as molecular weight markers(M) . An identical experiment independently performed gave similar results. 酸性化が,CpG DNA と TLR-9 の結合に,密接にかか わることが示されている32).さらに,エンドソーム内の 酸性化阻害剤である chloroquine や bafilomycin A が , CpG DNA による TLR-9 を介した情報伝達機構を抑制 することが明らかにされている31, 32).そこで,NO 誘導 性 RAW264.7 細胞のアポトーシスに対する CpG ODN による抑制作用に対するそれらの阻害剤の作用を検討し たところ,強い消去作用が認められた[Fig. 7(A)]. また,そのアポトーシ ス に 対 す る E. coli DNA と P. gingivalis DNA の作用も著しく消去されることを確認し り担われている可能性が強く示された.そこで,実際 た(データは示さない).さらに,TLR-9 のアンタゴニス に,CpG DNA を有した CpG ODN を使用し検討した. ト活性を有すると考えられ,実際に,CpG ODN の作用 すなわち,本細胞を CpG ODN 100 μ g/ml で処理後,NO を抑制する配列34−37)を有した ODN(iCpG ODN)を用い, 誘導性アポトーシスを検討した.その結果,CpG ODN 詳細に検討を加えた.その結果,iCpG ODN は,その濃 は,NO 誘導性 RAW264.7 細胞のアポトーシスを著明に 度依存的に,本細胞における NO 誘導性 RAW264.7 細 抑制した[Fig. 6(A)].また,Fig. 6(A)に示すよう 胞のアポトーシスに対する CpG ODN の抑制作用を消 に,CpG DNA を有さない ODN である non-CpG ODN 去した[Fig. 7(B)].これらの結果から,細菌由来 CpG (100 μ g/ml )は,NO 誘導性 RAW264.7 細胞のアポトー シスに何ら影響を与えなかった. Fig. 6(B)からも明らかなように,本細胞において, DNA の NO 誘導性 RAW264.7 細胞のアポトーシスに対 する抑制作用は,TLR-9 を介した情報伝達機構により制 御されていることが強く示された. NO 誘導性アポトーシスに対する CpG ODN の抑制作用 さらに,実際,Western blotting assay で検討した結 は,その ODN の濃度依存的であった.また,メチル化 果,Fig. 8 に示すように,本細胞は,TLR-9 を強く発現 CpG DNA は,本細胞における NO 誘導性アポトーシス していることが明らかとなった.これらの結果から,NO に何ら影響しないことを 確 認 し た ( デ ー タ は 示さな 誘導性 RAW264.7 細胞のアポトーシスに対する CpG い).これらの結果から,P. gingivalis DNA による NO DNA の抑制作用において,TLR-9 が,細胞レセプター 誘導性 RAW264.7 細胞のアポトーシスに対する抑制作 として機能的な役割を担っていることが強く示された. 用は,CpG DNA を中心活性部位とすることが強く示さ れた. マクロファージ様細胞のアポトーシスに関する CpG DNA の抑制作用 Fig. 6 CpG ODN is able to inhibit NO-induced apoptosis of RAW264.7 cells. (A)RAW264.7 cells were pretreated or not with 100 μ g/ml of synthetic oligonucleotides(CpG ODN or non-CpG ODN)as described in“Materials and Methods”in RPMI 1640 containing 5% FBS. After the pretreatment, the cells were washed and incubated with or for another 12 hr in RPMI 1640 containing 5% FBS. DNA fragments in the supernatant of the lysed cells were without SNP (500 μ M) isolated at selected times after the initiation of the cultures and subjected to agarose gel electrophoresis. φX 174 RF DNA Hae III fragments were used as molecular weight markers(M) . An identical experiment independently performed gave similar results. (B)RAW264.7 cells were pretreated with or without various doses of CpG ODN for 12 hr in RPMI 1640 containing 5% FBS. After the pretreatment, the cells were washed and stimulated with or without SNP(500 μ M)for another 12 hr in RPMI 1640 containing 5 % FBS. DNA fragments in the supernatant of the lysed cells were isolated at selected times after the initiation of the cultures and subjected to agarose gel electrophoresis. φX 174 RF DNA Hae III fragments were used as molecular weight markers(M). An identical experiment independently performed gave similar results. Fig. 7 TLR-9 is involved in the inhibitory effect of CpG ODN on NO-induced apoptosis of RAW264.7 cells. (A)RAW264.7 cells were pretreated or not with chloroquine(5 μ g/ml )or bafilomycin A(30 nM)for 3 hr, and the cells were then incubated with or without CpG ODN(100 μ g/ml )for 12 hrs. After the incubation, the cells were washed and incubated with or without SNP(500 μ M)for another 12 hr in RPMI 1640 containing 5% FBS. DNA fragments in the supernatant of the lysed cells were isolated at selected times after the initiation of the cultures and subjected to agarose gel electrophoresis. φX 174 RF DNA Hae III fragments were used as molecular weight markers(M) . An identical experiment independently performed gave similar results. (B)RAW264.7 cells were pretreated or not with various doses of iCpG ODN for 3 hr and they were then incubated with or without CpG ODN(100 μ g/ml )for 12 hrs. After the incubation, the cells were washed and incubated with or without SNP(500 μ M)for another 12 hr in RPMI 1640 containing 5% FBS. DNA fragments in the supernatant of the lysed cells were isolated at selected times after the initiation of the cultures and subjected to agarose gel electrophoresis. φX 174 RF DNA Hae III fragments were used as molecular weight markers(M) . An identical experiment independently performed gave similar results. 259 260 篠田寛幸・竹下 玲・中林靖雄ほか 明海歯学 44 Fig. 8 Expression of TLR-9 in RAW264.7 cells. RAW264.7 cells were incubated for 12 hrs in RPMI 1640 containing 5% FBS. Western blot analysis using anti-TLR-9 antibody as described in“Materials and Methods”was conducted to test for the present of TLR-9 in RAW264.7 cells. An identical Western blot experiment independently performed gave similar results. Fig. 9 NO-stimulated accumulation of p53 was decreased by treatment of RAW264.7 cells with CpG ODN and the decrease was inhibited by pretreatment with iCpG ODN. (A)RAW264.7 cells were incubated with or without CpG ODN(100 μ g/ml )for 12 hrs. After the incubation, the cells were washed and incubated with or without SNP(500 μ M)for 8 hr in RPMI 1640 containing 5% FBS. Thereafter, p53 in cell lysates was analyzed after SDS-PAGE and immunoblotting with anti-p53 antibody as described in“Materials and Methods” . An identical Western blot experiment independently performed gave similar results. (B)RAW264.7 cells were pretreated or not with 200 μ g/ml of iCpG ODN for 3 hr, and they were then incubated with or without CpG ODN(100 μ g/ml )for 12 hrs. After the incubation, the cells were washed and incubated with or without SNP(500 μ M)for 8 hr in RPMI 1640 containing 5% FBS. Thereafter, p53 in cell lysates was analyzed after SDS-PAGE and immunoblotting with anti-p53 antibody as described in“Materials and Methods” . An identical Western blot experiment independently performed gave similar results. Fig. 10 Inhibitory effect of CpG ODN on NO-induced expression of Bax in RAW264.7 cells was antagonized by pretreatment of the cells with iCpG ODN. (A)RAW264.7 cells were incubated with or without CpG ODN(100 μ g/ml )for 12 hrs. After the incubation, the cells were washed and incubated with or without SNP(500 μ M)for 8 hr in RPMI 1640 containing 5% FBS. Thereafter, Bax in cell lysates was analyzed after SDS-PAGE and immunoblotting with anti-Bax antibody as described in“Materials and Methods”. An identical Western blot experiment independently performed gave similar results. (B)RAW264.7 cells were pretreated or not with 200 μ g/ml of iCpG ODN for 3 hr, after which they were incubated with or without CpG ODN(100 μ g/ml )for 12 hrs. Next, the cells were washed and incubated with or without SNP(500 μ M)for 8 hr in RPMI 1640 containing 5% FBS. Thereafter, Bax in cell lysates was analyzed after SDS-PAGE and immunoblotting with anti-Bax antibody as described in“Materials and Methods” . An identical Western blot experiment independently performed gave similar results. 2015 マクロファージ様細胞のアポトーシスに関する CpG DNA の抑制作用 261 6 .RAW264.7 細胞において NO 誘導性アポトーシス のアポトーシスにおいて,NO 誘導性 p53 が,転写因子 促進因子 p53 に対する CpG ODN の抑制作用とそ として,Bax 遺伝子の発現促進に,密接に関係している の抑制作用における TLR-9 の機能的役割 ことを示している.すでに,著者らは,SNP 処理した すでに,RAW264.7 細胞の NO 誘導性アポトーシス 本細胞において,その濃度依存的な Bax タンパク質発 に,p53 が重要な役割を演じていることが報告されてい 現の増加を確認している(未公開データ).そこで,NO 58, 59, 62) .そこで,NO 誘導性の p53 タンパク質の蓄積 誘導性の Bax タンパク質の発現を CpG ODN が抑制す を CpG ODN が抑制するか否か検討を加えた.その結 るか否か検討を加えた.その結果,CpG ODN 処理した る 果,NO 誘導性 p53 タンパク質の増加は,その ODN に 本細胞においては,著明に NO 誘導性の Bax タンパク より濃度依存的に抑制されていることが明らかとなった 質の発現が,その ODN の濃度依存的に抑制されている [Fig. 9(A)].さらに,この NO 誘導性 p53 タンパク質 ことが明らかとなった[Fig. 10(A)]. の ODN による抑制作用が,TLR-9 を介するものか否か さらに,この NO 誘導性の Bax タンパク質の発現に 検討することは興味がある.そこで,TLR-9 のアンタゴ 対する抑制作用が,TLR-9 を介するものか否か検討する ニストである iCpG ODN を用い検討を加えた.すなわ 目的で,iCpG ODN を用い検討を加えた.その結果,NO ち,iCpG ODN 処理した細胞に,CpG ODN を作用さ により誘導される Bax タンパク質の発現に対する CpG せ,その後,SNP 処理細胞における NO が誘導する p53 ODN の抑制作用は,iCpG ODN により著明に減弱され タンパク質の増加を検討した.その結果,NO 誘導性 た[Fig. 10(B)].これらの結果から,RAW264.7 細胞 p53 タンパク質の増加に対する CpG ODN の抑制作用 において,CpG ODN は,NO 誘導性の Bax タンパク質 は,iCpG ODN により著明に減弱された[Fig. 9(B)]. の発現を強く阻害することが示された.また,同時に, これらの結果から,RAW264.7 細胞において,NO 誘 本細胞で,NO 誘導性アポトーシスに対する CpG ODN 導性アポトーシスの CpG DNA の抑制機構は,p53 タン の抑制機構は,p53 タンパク質の蓄積の阻害によって, パク質の蓄積を阻害することによるものであることの可 その下流の情報伝達経路が遮断された結果による可能性 能性が強く示された.また,この CpG DNA の抑制作 が強く示された. 用において,TLR-9 が,細胞レセプターとして機能的な 役割を担っている可能性が示された. 8 .RAW264.7 細胞の NO 誘導性アポトーシスにおい て,p53 の下流カスケードであるミトコンドリア情 7 .RAW264.7 細胞において NO 誘導性 p53 が制御す るアポトーシス情報伝達分子 Bax に対する CpG ODN の作用 幾つかの研究58, 59, 61, 62)は,NO 誘導性 RAW264.7 細胞 報伝達経路の活性化に対する CpG ODN の抑制作 用とその抑制作用における TLR-9 の重要性 RAW264.7 細胞の NO 誘導性アポトーシスにおいて, NO の刺激により細胞内に蓄積した p53 が Bax タンパ Fig. 11 CpG ODN prevents NO-stimulated cytochrome c release in RAW264.7 cells and the preventive action is blocked by pretreatment of the cells with iCpG ODN. (A)RAW264.7 cells were incubated with or without CpG ODN(100 μ g/ml )for 12 hrs. Then, the cells were washed and incubated with or without SNP(500 μ M)for 10 hr in RPMI 1640 containing 5% FBS. Thereafter, the cells were harvested and the cytosolic fraction was obtained as described in“Materials and Methods”. Cytochrome c in this fraction was analyzed with anti-cytochrome c antibody. An identical Western blot experiment independently performed gave similar results.(B)RAW264.7 cells were pretreated or not with 200 μ g/ml of iCpG ODN for 3 hr, and then, the cells were incubated with or without CpG ODN(100 μ g/ml )for 12 hrs. Next, they were washed and incubated with or without SNP(500 μ M)for 10 hr in RPMI 1640 containing 5% FBS. Thereafter, the cells were harvested and the cytosolic fraction was obtained as described in“Materials and Methods”. Cytochrome c in this fraction was analyzed with anti-cytochrome c antibody. An identical Western blot experiment independently performed gave similar results. 262 篠田寛幸・竹下 玲・中林靖雄ほか 明海歯学 44 2015 ク質の発現を誘導し,ミトコンドリアを介するアポトー また,CpG ODN による caspase の活性化阻害作用は, シス情報伝達経路を活性化することが示されている.実 iCpG ODN 前処理により,ほぼ完全に消去された(Fig. 際,本細胞における NO 誘導性ミトコンドリアから細 12).これらの結果から,RAW264.7 細胞における,NO 胞内への cytochrome c の放出,caspase-9 の活性化,さ 誘導性アポトーシスの CpG DNA の抑制は,p53 タンパ らに,caspase-3 の活性化を確認している(未公開デー ク質の蓄積を強く阻害することにより,その下流のアポ タ).そこで,著者らは,本細胞において,CpG DNA トーシス誘導経路が遮断されることにより惹起されたも による NO 誘導性 p53,並びに,Bax タンパク質の発現 のと考えられる.また,この CpG DNA の抑制作用に に対する抑制作用が,その下流のアポトーシス情報伝達 おいて,TLR-9 が,細胞レセプターとして機能的な役割 経路を遮断する可能性を示した. を担っていることが強く示された. そこで,ミトコンドリアからの NO 誘導性 cytochrome 考 c の細胞質内への放出に対する CpG ODN の作用につい 察 て検討した.その結果,RAW264.7 細胞において,CpG 歯周炎の病態局所において,単球やマクロファージの ODN は,その濃度依存的に,cytochrome c の放出を強 アポトーシスが抑制され,それらの細胞の長期間にわた く抑制した[Fig. 11(A)].また,その抑制作用は, る生存が示されている20−22).これらの細胞は,感染防御 Fig. 11(B)に示すように,iCpG ODN 前処理により, において重要な役割を担っている63).しかし,歯周炎の 著明に消去された.さらに,本細胞において,NO 誘導 病態が進行すると,単球やマクロファージは,骨吸収活 性 caspase-9 の活性化,さらに,caspase-3 の活性化を,CpG 性を有した炎症性サイトカインである TNF-α と IL-1 ODN が強く阻害することが明らかとなった(Fig. 12). を大量に産生することから,それらの細胞の生存が,そ の有益な作用だけでなく,本疾患の進展に密接に関係す ると考えられている20−22).今回の研究において,著者 は,歯周病原性細菌である P. gingivalis, A. actinomycetemcomitance ,並びに,P. intermedia 由来のそれぞれ の DNA が,マウスマクロファージ様細胞 RAW264.7 細 胞のアポトーシスを抑制することを明らかにした.すで に,それらの病原性細菌由来の DNA が,炎症性サイト カイン誘導能を有していることが明らかとなってい る24, 30).従って,本研究の結果から,それらの DNA は, 単球やマクロファージを活性化し,そのサイトカイン産 生を通して炎症を惹起し,さらに,survival 因子とし て,活性化状態の本細胞を,歯周炎病変組織局所に持続 的に存在させることにより,本疾患の病態形成に密接に Fig. 12 In RAW264.7 cells, CpG ODN is able to suppress the NO-elicited formation of activated caspase-8 and caspase-3, and the inhibitor of TLR-9 blocked this suppressive action. RAW264.7 cells were pretreated or not with 200 μ g/ml of iCpG ODN for 3 hr, after which they were incubated with or without CpG ODN(100 μ g/ml )for 12 hrs. After the incubation, the cells were washed and incubated with or without SNP(500 μ M)for another 12 hr in RPMI 1640 containing 5% FBS. After the stimulation, caspse-9 and caspase-3 activities were assessed as described in“Materials and Methods”. The results are shown as the percentage of maximum protease activity treated with SNP. The data are expressed as the mean±SD in triplicate assays. aSignificant difference from paired control by Student’s t-test(ap<0.01);*Significant difference between values indicated by the bracket, by Student’s t-test(*p<0.01);**Significant difference between values indicated by the bracket, by Student’s t-test(**p<0.01). Similar results were obtained from 2 independent experiments. 関与する病原性因子であると考えられる. 歯周病原性細菌 P. gingivalis, A. actinomycetemcomitance, 並びに,P. intermedia は,グラム陰性細菌であり,細胞 壁の構成成分として LPS を有している.すでに,LPS がマクロファージのアポトーシスを誘導することが報告 されている44−46).しかし,幾つかの知見は,LPS が,本 細胞のアポトーシスを抑制することを明らかにしてい る47, 48). そこで,今回示した歯周病原性細菌由来 DNA の NO 誘導性 RAW264.7 細胞のアポトーシスが,LPS の影響 によるものでなく,その DNA 本体によるものであるこ とを検討した.その結果,(i)NO 誘導性 RAW264.7 細 胞のアポトーシスに対する P. gingivalis 由来 DNA の マクロファージ様細胞のアポトーシスに関する CpG DNA の抑制作用 263 抑制作用は,DNaseⅠで処理することにより,ほぼ完全 また,p53 antisense-RNA を発現する plasmid を RAW に消去された.(ii)LPS を有さないグラム陽性菌 C. 264.7 細胞に導入することにより,NO によるアポトー perfringens 由来 DNA は,NO 誘導性本細胞のアポトー シスが強く抑制されることが示されている59).実際,著 シスを強く抑制した.この二つの結果は,P. gingivalis 者も,p53 antisense-ODN を導入した本細胞において,NO DNA による NO 誘導性 RAW264.7 細胞のアポトーシス 誘導性アポトーシスが強く抑制されることを確認した が,LPS の影響をほとんど受けず,その DNA が固有す (データは示さない).そこで,本細胞において,NO 誘 る生物活性によることを強く示すものである. 細菌由来 DNA の生物活性の中心部が CpG motif,即 ち,CpG DNA であること,また,その生物活性は CpG 導性 p53 の蓄積に対する CpG ODN の作用を検討した 結果,その蓄積を強く抑制することを示した.また,iCpG DNA を用いた実験から,CpG ODN は,TLR-9 を介し, ODN が誘導することを,Yamamoto と Tokunaga らの研 その p53 の蓄積を阻害することが示唆された.また,CpG 究グループ64)が,Natural killer 細胞(NK 細胞)の IFN-γ ODN は,p53 の蓄積に連動しているアポトーシス誘導 の産生実験系を用いて,最初に報告した.近年,CpG DNA 因子である Bax タンパク質の発現を,TLR-9 を介して は,NK 細胞だけでなく,B 細胞,T 細胞,マクロファ 抑制することが示唆された.また,RAW264.7 細胞にお ージ,骨芽細胞,並びに,線維芽細胞のサイトカイン産 ける NO のアポトーシス情報伝達経路において,p53 の 生を強く誘導することが報告されている23, 24, 30, 38, 65, 66).そ 下流に位置するミトコンドリア情報伝達経路,即ち, こで,P. gingivalis DNA のアポトーシス抑制作用が CpG cytochrome c のミトコンドリアから細胞質への放出, DNA に依存するものか否か検討することは興味がある. caspase-9 の活性化,並びに,caspase-3 の活性化を CpG 本 研 究 に お い て , P. gingivalis 由 来 DNA を CpG ODN が , 著 明 に 抑 制 し , さ ら に , こ の 抑 制 作 用 を methylase 処理したところ,本細胞の NO 誘導性アポト TLR-9 のアンタゴニトである iCpG ODN が,ほぼ完全 ーシスに対する抑制作用を失うことを確認し,さらに, に消去出来ることを明らかにした.従って,NO 誘導性 CpG ODN は,NO 誘導性本細胞のアポトーシスを強く アポトーシスシグナルにおいて,CpG DNA が p53 の蓄 抑制することを見出した.これらの結果から,本細胞に 積を抑制し,下流のカスケードを遮断するという重要な おける NO 誘導性アポトーシ ス を 阻 害 す る 細 菌由来 役割を担っていることが強く示された.そこで,この DNA の活性中心は,CpG DNA であることが明らかと CpG ODN による p53 の蓄積に対する抑制作用を詳細に なった.また,TLR-9 が,CpG ODN の細胞レセプター 検討することは意義あることと思われる.幾つかの知 として,機能的な役割を演じていることが報告されてい 見61, 67−69)は,RAW264.7 細胞において,NO 誘導性 p53 の る 31−38) .本研究において,TLR-9 からの情報伝達を障害す 蓄積,または,アポトーシスが,mitogen-activated protein るエンドソーム酸性化阻害剤 chloroquine と bafilomycin kinase(MAPK)の活性化により制御されていることを A が,NO 誘導性 RAW264.7 細胞のアポトーシスに対す 示している.Callsen67)らは,NO が活性化する c-Jun N- る CpG ODN による抑制作用を強く消去した.さらに, terminal kinase/stress-activated protein kinase(JNK 1/2 ) TLR-9 のアンタゴニストである iCpG ODN は,その濃 が,p53 の蓄積を促進し,同時に,活性化される extracel- 度依存的に,本細胞における NO 誘導性 RAW264.7 細 luler signal-regulated protein kinase 1/2(ERK 1/2)は,そ 胞のアポトーシスに対する CpG ODN の抑制作用を消 の蓄積を抑制することを示している.さらに,CpG DNA 去した. は,TLR-9 を介して,本細胞の JNK 1/2 と ERK 1/2 を これらの結果から,CpG ODN,および,細菌由来 CpG 活性化することが明らかとなっている68, 69). DNA の NO 誘導性 RAW264.7 細胞のアポトーシス抑制 これらの知見から,著者は,CpG DNA による細胞内 作用は,TLR-9 を介して誘導されることが明らかとなっ の JNK 1/2 の枯渇と ERK 1/2 による p53 阻害機構の活 た.以上より,本細胞において,CpG DNA は,TLR-9 性化が,p53 の蓄積を阻害し,RAW264.7 細胞における を細胞レセプターとして,炎症性サイトカインを誘導す NO 誘導性アポトーシスを抑制する可能性を推察してい るだけでなく,NO 誘導性のアポトーシスも強く抑制す る.また,CpG DNA は,TLR-9 を介し,転写因子 nuclear ることが明らかとなった. factor-κB(NF-κB)を活性化することが明らかとなって RAW264.7 細胞において,NO の作用によって誘導さ いる23, 30, 31, 33, 36, 38).すでに,p53 と NF-κB は,coactivator れる p53 の蓄積が,NO によるアポトーシスを制御する である CREB-binding protein を介して,相互にそれぞれ 中心的な役割を担っていることが報告されている58, 59). の転写活性を抑制することが報告されている70−72). 264 篠田寛幸・竹下 玲・中林靖雄ほか 明海歯学 44 2015 興味あることに,最近,Gurova73)らは,NF-κB が,p53 4 .CpG methylase でメチル化した P. gingivlis DNA は, の蓄積を抑制する機構が存在する可能性を示している. RAW264.7 細胞の NO 誘導性アポトーシスに対する抑 実際,マクロファージ様細胞において,恒常的に発現し 制活性を失った. ている NF-κB が,NO 誘導性アポトーシスに抵抗的に 機能することが示唆されている73, 74).従って,これらの 5 .CpG ODN は RAW264.7 細胞の NO 誘導性アポトー シスを抑制した. 知 見 か ら , RAW264.7 細 胞 に お い て , CpG DNA が 6 .エンドソーム内の酸性化阻害剤である chloroquine TLR-9 を介して誘導する MAPK と NF-κB は,NO 誘導 や bafilomycin A は,NO 誘導性 RAW264.7 細胞のア 性 p53 の蓄積を制御することに積極的に関与する可能 ポトーシスに対する CpG ODN の抑制作用を消去し 性を考察している.また,いくつかの細胞で,p53 の蓄 た. 積は,murine double minute 2(mdm 2)によって阻害さ 7 .TLR-9 のアンタゴニスト iCpG ODN は,NO 誘導 れることが示されている75, 76).実際,NO は,mdm 2 遺 性 RAW264.7 細胞のアポトーシスに対する CpG ODN 伝子発現を阻害することによって,p53 の蓄積を促進す の抑制作用を消去した. ることが示されている77).ゆえに,RAW264.7 細胞にお 8 .CpG ODN は,RAW264.7 細胞において NO 誘導性 いて,CpG DNA が TLR-9 をレセプターとし,mdm 2 アポトーシス促進因子 p53 の発現を強く抑制し,ま 遺伝子発現を誘導するか否か,さらに,その情報伝達に た,その抑制作用は,iCpG ODN 処理で,消去され MAPK や NF-κB が関与するか否かを検討することは意 義あることと思われ,将来,その点について検討するこ た. 9 .CpG ODN は,RAW264.7 細胞において NO 誘導性 アポトーシス促進分子 Bax の発現を抑制し,また, とは興味がある. 今回の研究から,P. gingivalis 由来 DNA における中 心活性部位である CpG DNA は,RAW264.7 細胞の NO 誘導性アポトーシスを抑制することが明らかとなった. その抑制作用は,iCpG ODN 処理で,消去された. 10.NO による RAW264.7 細胞のアポトーシスにおい て,CpG ODN は,ミトコンドリア情報伝達経路であ また,この DNA は,TLR-9 を細胞レセプターとして, る cytochrome c の細胞質への放出,caspase-9 活性化, p53 の蓄積を阻害することによって,この NO 誘導性ア そして caspase-3 の活性化を抑制し,また,その抑制 ポトーシスを抑制する可能性が強く示された.この知見 作用は iCpG ODN 処理によって消去された. は,P. gingivalis 由来 DNA の新たな病原性を示したも これらの結果から,P. gingivalis 由来 DNA は,CpG のであると考えられ,歯周炎の病態形成機構や慢性化機 DNA を活性中心として,マウスマクロファージ様細胞 構を理解するうえで有意義であるものと思われる. RAW264.7 細胞の NO 誘導性アポトーシスを抑制するこ 結 論 本研究において,マクロファージの NO 誘導性アポ トーシスに対する P. gingivalis DNA の作用を,マウス とが明らかとなり,その CpG DNA の情報伝達機構に おいて,TLR-9 がレセプターとして機能している可能性 が示された. また,この結果は,歯周病原性細菌由来 DNA が,炎 マクロファージ様細胞 RAW264.7 細胞を用い検討し, 症性サイトカインを産生するマクロファージの生存に密 その結果,以下の知見を得た. 接に関与するという新たな病原性機構を示唆するものと 1 .RAW264.7 細胞における NO 誘導性アポトーシスに 考えられる. 対して,P. gingivalis DNA が,阻害作用を有するこ とが明らかとなった. 2 .この NO 誘導性アポトーシスに対する P. gingivalis DNA の阻害作用は,DNaseⅠ処理で消去された. 3 .RAW264.7 細胞における NO 誘導性アポトーシスに 対する抑制活性を,P. gingivalis DNA だけでなく,A. actinomycetemcomitance DNA, P. intermedia DNA など の歯周病原性細菌や,グラム陰性菌 E. coli DNA,グ ラム陽性菌 C. perfringens DNA も有していることが 示された. 稿を終えるにあたり,御校閲を賜りました大森喜弘教 授,並びに,坂上 宏教授に深謝いたします. 引用文献 1)Le J and Vilcek J : Tumor necrosis factor and interleukin 1 : cytokines with multiple overlapping biological activities. Lab Invest 56, 234−48, 1987 2)Dinarello CA : Inflammatory cytokines : interleukin-1 and tumor necrosis factor as effector molecules in autoimmune diseases. 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