くちきデイリーニュース 〒973-8411 2015 年 8 月 27 日(木) 福島県いわき市小島町2-9-15 株式会社朽木会計事務所 TEL 0246-27-3631 FAX 0246-26-4234 Email [email protected] という主張が出てくることになります。 所得控除と税額計算の新方式 社会保険料の控除は課税時点の繰り延べ 社会保険料控除が、課税時点の繰り延べ の趣旨であるならば、収入控除が趣旨に適 逆進性の改善方法としての税額控除 逆進性を改める方法として従来言われて きたものは、控除する場所を所得控除から 税額控除に移せばよい、というものでした。 っているように思われます。 その場合は、給与所得控除額は支払社会 保険料を除いた給与収入を元にして計算す べき、ということになります。 税額控除方式を採用するとなると、 支払社会保険料×一定率 という算式になるのだろうと思われます。 これで、負担が、支払社会保険料額に比例 的になります。 支払保険料は年金の必要経費 税法でいう所得とは利益のことで、収入 から必要経費を差し引いた残額のことです。 年金収入についても支払保険料を必要経費 として差し引いて所得を算出するほうが理 論的です。 ただしその場合は、現在は本人負担して いないとされている支払保険料の半分も給 与収入として認識し、支払保険料の全額を 所得控除のままでの分離課税という改善策 専門誌に載っていた近畿税理士会の提案 なのですが、所得控除の制度のまま、最低 税率部分から先に差し引く制度に改めるべ きとしています。そうすれば、税額の減少 額は所得金額の多寡にかかわらず原則とし て同一となる、としています。 所得控除額の合計に総合課税の累進税率 本人負担とすることにすべきです。 年金負担は世代間助け合い 社会保険料控除は課税繰り延べの趣旨な どではなく、老人世代に対する、現役世代 の政策的な扶養負担義務だと考えることと なると、社会保険料の実質負担額が 支払社会保険料×(1-税率) となるという事実から、高所得は高税率な ので、所得逆進的負担という結果になるわ けで、そこで所得逆進の制度はおかしい、 を掛けて税額を算出し、所得控除前の総所 得に累進税率を掛けて税額を算出したもの から差し引く、という考え方です。 逆進性改善のための、なかなか、鮮やか な手法です。 制度設計では理 論を無視して新 しいものを構築 できない 補足と解説 過去の関連◆daily コラム◆ ◆2009.03.26「社会保険料の控除のあり方」 ◆2009.11.06「年金保険料の控除のあり方」 税研 ZEIKEN-2015.7(No.182) 所得控除への『ゼロ税率方式』の適用 近畿税理士会 わが会の税制改正意見 1 提言の趣旨 現行の所得控除制度は、高額所得者ほど税額削 減効果が高く有利であるという問題がある。この 問題を解決するため、基礎的人的控除部分につい ては、控除すべき所得金額を最低税率部分から先 に差し引く、いわゆる『ゼロ税率方式』を適用す べきである。 2 所得控除制度の役割と問題点 所得税は「担税力に即した課税」を行うことが 原則であるが、様々な事情により納税者の担税力 が減殺されることを斟酌して、これを調整するた めの仕組みとして、所得金額か、一定額を差し引 く所得控除制度が設け、れている。所得控除には、 主として基礎的人的控除によって、個人の課税最 低限を画するという働きがあり、その方法として 所得控除が最も合理的であると考え、れてきた。 すなわち、所得のうち、本人及び家族の最低限度 の生活の維持に必要な部分には所得税を発生さ せるべきではなく、このことは憲法第 25 条の生 存権保障の租税法における現れであるとされて きたのである。 しかし、わが国の所得税は累進税率を採用して いるため、その当然の帰結であるとはいえ、所得 控除が結果として高所得者に有利になるという 問題がある。さらに、各種控除の拡大によって、 実質的な累進性が確保されていないという問題 もある。 3 所得控除への『ゼロ税率方式』の適用 (1) 『ゼロ税率方式』の概要 そこで、所得税における所得控除を、所得金額 か、控除額を単純に差し引く現行の制度か、、所 得控除のうち基礎的人的控除部分(基礎控除、配 偶者控除及び扶養控除の合計額)について、控除 すべき所得金額を最低税率部分か、先に差し引く 制度(ゼロ税率方式、図表 1 参照)に改めること を提言する。この方法を用いることにより、課税 最低限として保障される金額は現行の制度と同 様に明確な状態で、なおかつ所得税の減少額が高 所得者ほど多くなるという問題を解決すること も可能となる。 (2)具体例 略 4 税額控除方式との違い ゼロ税率方式は、基礎的人的控除を税額控除方 式に変更した場合と、その結果はほぼ同様となる。 しかし、当会が税額控除方式ではなく、あえて本 方式の導入を提言する理由は、以下のとおりであ る。 第一に、基礎的人的控除が有する「最低生活費 控除」機能は憲法の要請によるものであるが、こ れを税額控除方式とした場合には、控除額と最低 生活費との関連、すなわち憲法上課税されるべき でない金額が不明確なものとなってしまうか、で ある。これに対し、ゼロ税率方式の場合は、最低 生活費として保障される金額が明確である。 第二に、現行の他の税額控除方式は、税額控除 を受ける納税者の確定申告を前提とする。それを 前提とするな、ば、基礎的人的控除を税額控除方 式に変更した場合にも、その控除を受けるために、 すべての納税者が確定申告をしなければならな いこととなるが、納税者の利便性及び税務行政の 執行可能性の両面か、妥当とは言えない。 第三に、基礎的人的控除に係る税額控除の規定 が、他の税額控除と同様に租税特別措置法に置か れた場合、財政上の理由により控除額自体が容易 に変更されてしまう恐れがある。憲法の要請に基 づく基礎的人的控除は、財政の都合によってその 額が安易に変更されてよいものではない。 以下 略
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