第6学年 国語科学習指導案

第6学年 国語科学習指導案
授業日 11 月 12 日(水) 5校時
指導者 亀倉 こずえ
1 単元名
作品の世界を深く味わおう
教材「やまなし」
(全13時間)
2 単元の目標
◎複数の本を読むことによって作者の考え方や生き方と重ね合わせ,作品の世界を読もうとする。
○作者独特の造語やオノマトペ,比喩表現,色の描写,対比などの表現の効果を味わいながら読むことがで
きる。
3 単元と児童
(1) 児童の実態(19 名)
① NRT テスト(H26.4 実施)から
全国学力・学習状況調査(H26.4 実施)から
偏差値
53.1
全国比(全国=100)
松長小(全国比%)
話すこと・聞くこと
112
A 問題
71.9(-1.0)
書くこと
103
B 問題
55.3(-0.2)
読むこと
107
学級全体の傾向として,どちらの調査においても「話すこと・聞くこと」の領域は全国平均を大きく上
回っている。国語・算数とも,全国学力・学習調査 B 問題の記述問題では大きく上回っている。反面,
「読
むこと」の場面把握,心情の読み取りは下回る。しかし,本校は特別支援学級のない少人数学級である。
個人差に着目すると,特に「書くこと」
「読むこと」では個人差が大きく,配慮を要する児童もいる。
② 「話すこと・聞くこと」ついて
根拠をもとに発言することや,友達の発言につなげて話し合う話型(
「◯◯さんの意見と似ていて~」
「◯
◯さんの意見に反対で~」
)については,全員が修得している。
また,帰りの会に行っているミニペア討論などを継続してきたことにより,誰とでも話し合うこと,友
達の意見への質問や反論を即座に考えたりすることができるようになってきた。したがって,教師の介入
なしに児童だけで話し合いを進めることもできるようになっている。昨年度の始めに見られたような,発
表が得意な子のみが話し合いに参加するというような雰囲気もなくなり,全員が発言し,全員で話し合お
うという雰囲気も育ってきた。
しかし,話し合いが苦手な子ほど,話の流れに沿って発言することに難しさを感じているようである。
また,1時間の授業の中でとれる話し合いの時間も限られているので,一人ひとりに充分な発言の機会を
保障することも難しい。発言しやすい雰囲気を作る必要がある。また,話し合いを通して自分の考えがど
のように変わり,深まったのかを整理できるようにしていく必要がある。
さらに本単元では,話し合いの論点を自分たちで見つけ,解決し,読みを深めていってほしいと考えて
いる。こうした力は,国語だけに限らず,どのような話し合いの場でも役立つ力である。児童も,教師の
介入なしに論点を見つけ,話し合いや読み取りを深められるようになりたいという意欲をもっている。し
かし,論点を見つけるためには,話し合い全体の流れを捉え,互いの主張が分かっている必要があるので
難しい。現段階においては,グループで相談することで可能となっている。
③ 「書くこと」について
毎日日記を1P書いたり,討論の後には振り返りを1P書いたりする活動を継続してきたことにより,
書くことに対する耐性がついてきた。全国学力調査の「原稿用紙2~3枚書くことに難しさを感じるか」
という質問項目においても,難しさは感じないという肯定的評価が100%であった。また,昨年度子ど
もたちと一緒に考えた「振り返りの型」を活用することで,友達の考えと比較しながら自分の考えを書く
ことができるようになった。
しかし,言葉を省いてしまい,考えの根拠や理由が明確でない文章になってしまう児童もいる。説得力
があり,誰が読んでも分かる文章が書けるように支援していく。
(2) 単元について
この作品は,宮沢賢治の心象風景を描いた作品である。最愛の妹トシを亡くし,その死と生をモチーフに
表現したといわれている。比喩表現やオノマトペ,色彩語などの表現が多用され,独特の作品世界が形成さ
れている。それゆえ,象徴性や暗示性の高い作品でもある。
「象徴」を読み取る学習は,昨年度の『わらぐつの中の神様』や1学期の『カレーライス』の文学教材で
扱っている。その学習では,
「スキー靴⇔わらぐつ」
「甘口⇔中辛」を対比させて考えることによって捉える
ようにしたが,まだ一人で読み取るには難しい段階にある。繰り返し扱うことで,児童に獲得させていく。
4 指導の構想
(1) 単元構成の工夫の面から
高学年の1単元の配当時間は少ない。そこで,場面ごとの輪切りの読み取りではなく,この作品で身に着
けさせたいことを明確し,作品全体を捉えて考えることができる発問をする。また,本学級は「読むこと」
について個人差が大きい。そこで,授業開始5分間は多様な音読を行い,どの児童にも読む時間を確保する。
さらに,根拠をもって文章を読み,その根拠をどう解釈するのか,そしてその考えが妥当かどうか検討する
ことによって,的確な読み取りができるようにしていく。
『やまなし』は,象徴性・暗示性の高い作品であり,読み取りが難しい。だが,難教材だからこそ,みん
なで学習することによって宮沢賢治が込めた想いに気づいたり,読み解いたりする面白さを味わわせたい。
そこで,以下の3つの手立てをもって主題に迫ることができるようにする。
① 『イーハトーブの夢』など,他作品の重ね読みをすること
『やまなし』は,宮沢賢治の心象風景を表したものであり,その生き方や考え方を理解することが,
深い読み取りへとつながる。したがって,教科書では『やまなし』の後に『イーハトーブの夢』を扱う
ことになっているが,
『やまなし』の導入段階で扱うことで作者への理解を深めておく。また,他作品
の読み比べは,朝読書を活用して行い,全員に読む機会を保障する。
② 5月と12月を「対比」させ,何を象徴しているかを検討すること
主題は物語が自分に最も強く語りかけてくることであり,一人一人異なってよいと考えている。しか
し,
『やまなし』は,妹トシの死を受けて書かれた作品であるため,主題に関わる重要な対比は生と死
に収束する。そして,生の中にも死が,死の中にも生が内包されている。法華経を信仰していた宮沢賢
治の,輪廻転生という考えに触れるところまで考えを深めさせたい。
③ 色彩語を検討すること
宮沢賢治の作品には,色彩語が多用されて
おり,色がもつイメージには重要な意味があ
る。ただし,叙述から離れ,イメージだけで
語ることがないようにしなければならない。
そこで,5月と12月それぞれに何色が何回
出てくるかを調べる。そして,その色は何に
使われているか,前後の出来事は何かを問う
ことで,その象徴性が捉えやすくなるのでは
ないかと考える。扱う色は,赤・黄金・白・
黒・青を考えている。
12月
月光の
にじ(1)
(3)青(5)
(1)黄金(3)
(1)白(4)
(2)黒(3)
5月
銀(1)
赤(1)
鉄色(1)
(2) 授業展開の工夫の面から
① 話し合い活動について
話し合いでは,2択の指名なし討論で考えを検討する。2択の発問とすることで,話し合いが焦点化でき,
1つの事柄を深く掘り下げることができる。また,指名なしとすることで,進んで学習に向かう姿勢や自発
的な発言を促すこともできる。さらに,友達の意見につなげて発言したり,友達の意見を受けて質問・反論
したりする力も養うことができる。その際,少数派の意見がつぶれないよう先に発表させたり,意見を変え
た子には優先的に発言させたりするなど,みんなで決めた話し合いのルールを確認しながら進める。
また,発表が苦手な児童は,自分の考えに不安があることや,話の流れに沿って発言することに難しさを
感じているようである。そこで,ペアやグループでの相談タイムを設けたり,発言が苦手な子や初めて発言
する子に発言の優先権があるなどの話し合いのルールを決めたりすることで,まずは自分の考えを友達に伝
えるということに慣れさせていく。
また,自分たちで論点を見つけるためにも,グループで相談する時間を設ける。そして,同じ理由を挙げ
ながら主張が異なっている所,根拠をもとに考えた理由に妥当性があるかに着目することで,児童にも論点
が見つけられるようにする。
② 話型の提示
「松長まな Book」にある,高学年の分かりやすく話すためのスキルを教室に掲示する。また,どのような
時に使うかを具体的に指導しながら定着を図る。
「~ですよね。
」
(説得・確認)
「もし~だったら~だと思います。
」
(仮定)
「◯○さんの意見を聞いて,~という意見に変えます。なぜなら,~だからです。
」
(意見の変更・理由)
「◯○さんは,どう思いますか。
」
(投げかけ)
「話題を変えていいですか。
」
(話題の視点の変更)
③ 書く活動について
自分の考えを相手に理解してもらうためには,なぜ自分がそのような考えに至ったのか,
「根拠」
「理由」を
証拠として説明する必要がある。したがって,話し合いに入る前には,これらをノートに書いておくようにす
る。また,発問に対する考えや根拠を書いた時点で,黒板にネームプレートを貼って確認する時間をとる。自
分と同じ考えの友達がいることで安心感をもち,次の活動に移行しやすくなる。また,スモールステップで取
り組むことで,活動が早い児童との時間の開きを少なくできる。
「理由」には,他の意見に対する反論も含めて
よいこととする。自分の考えを多様な面からとらえることが,自分の論を強化していくことにつながると考え
るからである。
話し合い後の振り返りでは,自分の考えの深まりや,読み取りの深まりを実感できるように,友達の考えと
比較しながら書くように促す。児童は,自分の考えを書くことに慣れてきている。しかし,振り返りの型を使
った方が書きやすい子もいるので,型は掲示しておく。
【振り返りの書き方】
私は
だと思う。
なぜなら,――という所から~と考えたからだ。
【納得】それに,○○さんの~という考えにも納得できる。なぜなら,~からだ。
【反論】だから,○◯さんの~という考えには納得できない。なぜなら,~からだ。
さらに,初めの考えと比べ,討論の中でどのように考えが変わったか,揺れ動いたかも書けるようにな
【納得+反論】たしかに,◯◯さんの~という所には納得できる。しかし,~(反論)
このように,~から
だと思う。
5 指導計画(本時 9/13時間)
次
1
時
1
2
3
4
2
5
6
7
主な学習活動
備考
○全体を通して読む。用語調べ。
・音読は,毎時間授業の初めに
○設定(登場人物,時,場)
,物語の構造を学習する。
行う。
○初発の感想(印象に残った所・面白かった所,不思議に思った ・初発の感想は一覧表にし,児
ところ・疑問,その他)を書く。
童に配布する。
○『イーハトーブの夢』や他作品の重ね読みをし,宮沢賢治の生 ・他作品は以下の5つ。
き方・考え方を知る。
永訣の朝,雨ニモマケズ
注文の多い料理店
雪わたり,
(よだかの星)
○5月,12月の谷川の様子を簡単に図に表す。
・課題になりそうな初発の感想
○クラムボンが何か考える。
は,授業導入で取り上げてか
○5月と12月で対比されているものを考える。その中で重要な
ら学習に入る。
対比は何かを検討する。
8
9本時
10
11
12
13
○『かわせみ⇔やまなし』の共通点,相違点を考える。
○5月と12月の生死について考える。
○宮沢賢治の理想とする世界と,題名を「やまなし」としたこと
をつなげて,宮沢賢治の考え方に迫る。
○色が象徴していることについて考える。
○5月と12月の対比,色の象徴性から主題を考える。
○単元のまとめ(ワークテスト)
6 本時の計画
(1) ねらい
5月と12月の生死を対比させて話し合う活動を通して,5月と12月どちらにも生と死が含まれているこ
とや,2つの死には違いがあることを理解することができるようにする。
(2) 本時の構想
この作品は,5月と12月が対比された形で表されている。そこで,前時では,5月と12月で対比されて
いるものをできるだけ多く挙げ,その中で重要な対比は何かを検討する。5月と12月のそれぞれ大きな出来
事として,
「かわせみが飛び込んできたこと」と「やまなしが落ちてきたこと」が挙げられることから,
「かわ
せみ」と「やまなし」に収束していくのではないかと考えられる。それぞれの共通点・相違点を挙げていく中
で,
「生」
「死」に関わる表現がどちらにもあることを指摘し,本時の課題とすることを予告しておく。
色の対比・象徴については,後で扱うことを予告する。
「4.指導の構想」のベン図にも示した通り,5月と
12月どちらにも属している色があることや,色が象徴していることを考えることは別の手順を踏まないと難
しいため,前時で扱うと混乱を期してしまう可能性があるからである。
本時では,課題を「5月と12月の関係は,生と死,死と生のどちらか。
」とする。話し合いが苦手な児童は,
(間違ったら…)
(みんなと違ったら…)という不安をもっている。そこで,考えをどちらかに確定した時点で
ネームプレートを貼って確認する。仲間がいるという安心感があれば,次の活動へスムースに移行できると考
えるからだ。
「根拠」
「理由」を全員が1つ以上書き終わったところで話し合いに臨ませる。
5月と12月の生死を考える本時の課題は,板書計画にも示した通り,2択ではあるがそれぞれに生死があ
るため4か所同時に考えていることになる。したがって,児童の思考を整理できるように,児童の意見は対比
するように意図的に板書していく。そうすることで,違う視点で考えれば(
「かわせみから見れば生」
「魚から
見れば死」など)
,5月にも12月にも生死があることに気付くことができるようにする。
そして,さらに「5月と12月の死の違い」について話し合う。5月の動物の死と12月の植物の死は,板
書計画にも示した通り,死の意味合いが異なる。本時では違いがあることを抑えられれば良しとし,まとめま
で辿りつけなくても構わない。次時で,人のために自己犠牲,献身をいとわなかった宮沢賢治の考えとリンク
させて扱うためである。そして,12月のような世界を理想としたことや,
「やまなし」が何を象徴しているか
を捉えさせていきたい。
(3) 本時の展開
時間
3
7
児童の主な活動
◇支援 ・留意点 ◎評価
1 教材文を音読する。
2 課題把握。根拠・理由を書く。
課題:5月と12月の関係は,生と死,死と生のどちらか。
T 考えを書いた人からネームプレートを貼ります。
5月が生で,12月が死である。
死
生
◇ネームプレートで自分と
友達の立場を明確にさせ
る。
T 根拠・理由を書きましょう。
25
(15)
◇理由を1つ書けたら,違
う立場への反論も理由に
3 検討する。
含めてよいこととし,自
T 少ない立場の方から2人ずつ意見を言ってください。その後,反論どうぞ。
分の考えを補強する。
【5月生⇔12月死】
◇互いの顔が見えるように
C 5月は春。植物や動物が活発に動く時だから生。
机をコの字型にする。
C 5月はかわせみが魚を食べて生きたから生。
◇少数派2名→多数派2名
C 5月はクラムボンが死んだけどまた生き返ったから生。
の順に発言させる。
C 12月は冬。生き物が冬眠する時。植物も枯れる。だから死。
◇発言が苦手な子,初めて
C やまなしが熟して落ちたとうことは,やまなしが死んだということ。
意見を言う子に発言権を
C かにがやまなしを食べたことは,やまなしにとっては死。
譲るように促す。
◇児童の発言は,対比させ
【5月死⇔12月生】
て黒板に整理する。
C 5月は魚がかわせみに食べられたから死。
C 5月はクラムボンが死ぬ。
C 5月のかわせみは恐怖を表すから死。
C 12月はかにがやまなしを食べて命を支えたから生。
C やまなしは食べられるために落ちたのではなく,子孫を残すためだか
ら生。
C 冬は植物が枯れたり,動物が冬眠したりするけれど,次の命を蓄えて
いるときだから生。
(補助発問)
T 5月の論点は何ですか。
C かわせみが魚を食べたことは,生なのか,死なのか。
→かわせみにとっては生だけど,魚にとっては死。
T 12月の論点は何ですか。
C かにがやまなしを食べたことは,生なのか,死なのか。
→かににとっては生だけど,やまなしにとっては死。
(10)
・児童の発言から「~にと
っては生で,~にとって
は死」のような視点に関
わる発言があれば,それ
を取り上げて全体に問
う。なければ5月と12
月の論点を問う。
T 5月にも12月にも生と死のイメージがあるようですが,5月と12月の死
について比べてみましょう。5月と12月は,それぞれ何が死んだのですか。
C 5月は魚。12月はやまなし。
T 魚の死と,やまなしの死の違いは何ですか。
・本時では結論は求めない。
C 生き物(動物)の死と,植物の死。
次時の課題への布石とす
C 魚・クラムボンは突然死んだけど,やまなしは自然に熟して死んだ。
る捉え。
C 動物の死は,殺す(食べる)
・殺される(食べられる)の関係。12
月の植物の死は,誰も殺さない(食べない)
。
C 動物は死んだらおしまい。植物は死んでも,種から芽が出て,花が咲
いて,実がなって生き返る。自分の命を次につなげることができる。
10
4 話し合いを通して,友達の意見と比較しながら自分の考えをまとめる。
T 話し合いの中で,自分の考えがどのように変わったり,深まったりしたかま ◎5月と12月の生死につ
とめましょう。
いて自分の考えを書く。
A:友達の考えと比較しなが
ぼくは,
だと思う。
ら,自分の考えを分かり
なぜなら,~からだ。
やすくまとめる。
【納得】それに,○○さんの~という考えにも納得できる。なぜなら,~
B:自分の考えを書く。
【反論】だから,○◯さんの~という考えには納得できない。なぜなら,~
C:自分の考えが書けない。
【納得+反論】確かに,◯◯さんの~という所には納得できる。しかし,~
このように,~から
だと思う。
C 私は,5月と12月の死の違いは,突然の死と自然な死だと思う。なぜ
なら,魚はいきなりかわせみに食べられたけど,やまなしは熟して落ち
たからだ。
C 私は,初め5月が死で,12月が生だと思っていた。なぜなら,5月死
ぬという言葉がいっぱい出ているけど,12月にはなかったからだ。
(4) 板書計画
べ
ら
れ
た
。
ら
れ
る
と
喜
ん
で
い
る
。
・
か
に
に
や
ま
な
し
は
食
・
・
→ちやる冬
やたま時。
ま。な。生
な
し
き
は
物
し
の
熟
が
し
冬
死
て
眠
落
す
・
か
に
が
や
ま
な
し
を
食
べ
・
や
ま
な
し
は
子
孫
を
増
や
や
す
た
め
に
落
ち
た
。
な
い
。
次
の
準
備
。
・
冬
眠
は
死
ん
だ
わ
け
で
は
ま
わ
な
い
十
死二
月
・・・
・
か春クてか
わ。ラ生わ
せ
ムきせ
み
ボたみ
は
ン。は
、
が
魚
か
笑
を
に
っ
食
に
た
べ
か
・
か
わ
せ
み
は
死
の
象
徴
十
生二
月
A
生五
月
ネ
ー
ム
プ
レ
ー
ト
B
・
・
クれ魚
ラたが
ム。か
ボ
わ
ン
せ
が
み
死
に
ぬ
食
べ
ら
死五
月
ネ
ー
ム
プ
レ
ー
ト
11/12
ら 五
か 月
。 と
十
二
月
の
関
係
は
、
生
と
死
、
死
と
生
の
ど
ち
や
ま
な
し
宮
沢
賢
治
※参考
・
弱
肉
強
食
・
食
物
連
鎖
・・
利献自
他身己
行、犠
布牲
施
・
死
ぬ
と
終
わ
り
命
が
生
ま
れ
る
・
死
ん
だ
時
に
次
の
く
る
こ
と
も
あ
る
・
突
然
死
が
や
っ
て
し
て
落
ち
る
)
・
自
然
に
死
ぬ
(
熟
奪
っ
て
生
き
る
奪
わ
な
い
・
他
の
物
の
命
を
れ
る
の
関
係
・
食
べ
る
、
食
べ
ら
・
・
他る植
のだ物
物けは
の
食
命
べ
は
ら
れ
違
う
食
べ
ら
れ
て
死
ぬ
・
魚
、
ク
ラ
ム
ボ
ン
・
死や
ぬま
な
し
落
ち
て
同
じ
動
物
魚
・
ク五
ラ月
ム
ボ
ン
植
物
や十
ま二
な月
し
死
の
ち
が
い
◎
五
月
の
動
物
の
死
と
、
十
二
月
の
植
物
の
7 考察
(1) 成果
○ 共通点から対比を考える
5月と12月を対比した読みは,物語の構造を理
解したり,宮沢賢治の思いを踏まえた読み取りをし
たりする上で有効な手段であった。
対比されているものを見つけることは難しい。そ
れは,
「大きい⇔小さい」のような反対語ではないと
いうことや,物語全体から探さなければならないか
らだ。
そこで,5月と12月の共通点を挙げてから,2
つの違いを考えるようにした。すると,2つの違いがより明確になり,全員が3つ以上の対比をノートに書く
ことができた。多い児童は,1人で10個以上書いていた。ここを丁寧に扱ったことで,子どもたちが一番重
要な対比として挙げた「かわせみ⇔やまなし」についての話し合いでは,主題に迫るような話し合いができた。
また,本時での「5月と12月の生死」という難しい課題にも,全員が考えをもって話し合いに臨めたのだと
考える。
○ 自分の考えをまとめる
本時の中心課題は「5月と12月の関係は,生と死
なのか。死と生なのか。
」であった。初めは,以下の
ように意見が分かれた。
5月生⇔12月死(5名)
5月死⇔12月生(14名)
しかし,話し合っていく中で「5月は,かわせみの
立場だと生,魚の立場だと死を表す。だから,5月は生とも死とも,どちらとも言える。
」という意見に収束
した。2択での話し合いの中から新たな考えを生み出すという経験ができた,貴重な話し合いの時間となった。
子どもたちには,友達の考えを聞いて考えが揺さぶられる中で,根拠と理由を明確にして自分の考えをもて
ることが大切であることを伝えてきた。まとめには,
「12月も生とも死とも,どちらとも言えるのではない
か」
「やまなしにも生はあるのか」など,迷いが書かれているものも多かった。しかし,私はこれでも良いと
思う。なぜなら,その迷いの理由と根拠,初めに考えた自分の意見との比較,誰の考えに揺さぶられたのかな
ど,思考の流れが伝わるように筋道立てて書かれていたからだ。1時間で完結すべきではあったが,次時の話
し合いも大いに盛り上がった。
『やまなし』は難教材であり,作者の生き方や
考え方とつなげて読むということは,子どもたち
にとっても難しかったようである。しかし,だか
らこそ話し合ってみんなで謎解きしていく楽しさ
や,読みの深まりを感じられたようで,2学期の
思い出に挙げている児童もいた。また,話し合い
を受けて自分の結論を書くだけというまとめから,
考えの変遷や迷いについても筋道立てて書けるようになったことは大きな収穫であった。
(2) 課題
本時では,5月にも12月に
も生と死があるというところか
ら,5月と12月の死の違いに
ついて話し合いが向かっていく
だろうと予想した。5月の生死
については丁寧に扱ったが,1
2月は疎かになってしまった。
「やまなしにとっての生とは,死とは何か。
」を問う方がよかったのではないかと思う。話し合いの流れをしっ
かり捉えること,盛り込みすぎないことが次年度の自分の課題である。