エコロジー 事業活動による環境負荷の低減 CONTENTS ◀ 028 ▶ 生物多様性への対応 【EN12】 花王は、事業が生物多様性によるさまざまな恵みによって支えられていることを認識し、 事業活動と社会活動の両面で生物多様性の保全を推進します。 方針/体制 2011年に公表した 「生物多様性保全の基本方針」 に基づき、生 物多様性に配慮した事業活動や社会活動に取り組んでいます。 生物多様性への影響を減らすモノづくりをより一層推進する ため、主要製品の環境影響評価を進めています。原材料につ いては「原材料調達ガイドライン」を策定し、特に主要原材料で あるパーム油・紙についての調達方針や目標を明確にしました。 生物多様性保全の基本方針 1.事業と生物多様性との関わりを把握します。 2.事業が生物多様性へ与える影響を低減します。 3.生物多様性のもたらす恵みを大切に活用するため、 . 独自の技術開発を進めます。 4.国際的な取り決めを遵守します。 また、地域の生物多様性に配慮した活動を主要事業場で展開し 5.地域の生態系に配慮した事業活動に努めます。 ていきます。これらの活動を確実に遂行するため、基本方針の 6.生物多様性に関して、全ての社員の意識向上や部門間の. 情報共有を進めます。 各項目に対応した社内目標を掲げています。 7.生物多様性の保全に関して、社外の関係者と連携を. 図ります。 「原材料調達ガイドライン」 に基づく持続可能な原材料調達に向けての取り組み 花王は、生物多様性の劣化のみならず、地球温暖化などの 環境問題、資源制約や人権などの課題を踏まえ、 「原材料調達 グローバル 年に海外9工場が合格しました。2 0 2 0年までに、花王グループ の追跡可能なサプライチェーンの構築に努めます。 ガイドライン」に基づいた持続可能な原材料の調達に取り組ん 花王グループの認証油購入実績 でいます。 (千t) 25 「持続可能なパーム油」 の調達ガイドライン 花王が扱う基本原料の一つであるパーム油の調達において、 生物多様性の保全への配慮と、 森林破壊ゼロへの支持を表明し、 “2 0 2 0年までに、花王グループの消費者向け製品に使用する パーム油は、持続可能性に配慮した、農園まで原産地追跡可能 なもののみを購入する” ことを新たな目標として掲げました。 目標達成のため、花王は2015年末までに花王グループの消 費者向け製品に使用するパーム油・パーム核油を、持続可能性 に配慮したミル (搾油工場) まで原産地追跡可能なもののみ購入 することをめざす取り組みを進めています。また、2 0 2 0年ま でに、農園およびサプライヤー、第三者機関との協働により、 原産地の森林破壊ゼロの十分な確認を進めていきます。さら に花王は、保護価値の高い(H C V※1)森林、炭素貯蔵量の多い 森林および泥炭湿地林の開発に加担しないことを表明 (HCS※2) しています。 花王は、熱帯雨林の伐採による生態系破壊、原産地や工場で の人権侵害等の課題解決のために 「持続可能なパーム油の円卓 会議:RSPO (Roundtable on Sustainable Palm Oil) 」 に2007 年に加盟しました。2010年9月より認証方式の一つであるBook and Claim方式※3での認証パーム油の購入を開始し、現在は主 としてMass Balance方式※4による認証パーム油・パーム核油 の購入を進めています。RSPO SCCS認証※5 の審査は、2012年 3月に鹿島工場が合格し、続いて2013年に和歌山工場、2014 20 18.3 20.4 23.1 15 10 5 0 7.9 1.1 2010 2011 2012 2013 2014 (年) ■ Book and Claim ■ Mass Balance ※ パーム油、 パーム核油、 およびその誘導体の合計 ※ RSPOへの報告実績 (7月∼6月で集計) ※1HCV:High Conservation Value ※2HCS:High Carbon Stock ※3Book and Claim方式 . R S P O認証のパーム油のクレジットを取引するシステムです。R S P Oに より認証された農園が生産、登録したパーム油の量に応じて発行された 「認証クレジット」を購入することで、クレジットに応じた量の認証パーム 油を購入したとみなすことができます。本方式では、使用されるパー ム油と同量の認証パーム油が生産されていることを厳密に保証し、農 園での認証油の生産を促進することができます。 ※4Mass Balance方式 . R S P O認証パーム油と非認証パーム油が混じることが許された認証シ ステム。 ※5SCCS (Supply Chain Certification System) 認証 . 生物多様性保全のための厳しい条件をクリアしてRSPOから認められた 農園で生産されたパーム油を使用して製品をつくる際の、 「製造・加工・ 流通過程」 に関する認証制度。 花王サステナビリティレポート 2015 25 20 15 10 5 0 エコロジー 事業活動による環境負荷の低減 CONTENTS ◀ 029 ▶ 生物多様性への対応 【EN12】 「持続可能な紙・パルプ」 の調達ガイドライン 入し、サプライヤーおよび第三者機関との協働により、原料木 花王は、紙・パルプの調達においても生物多様性の保全へ の配慮と、森林破壊ゼロへの支持を表明しています。2 0 2 0年 までに、花王製品に使用する紙・パルプ、包装材料および事務 材の産出地の森林破壊ゼロを十分に確認します。 また、品質面でも、以下のようなさまざまな環境配慮がなさ れていることを確認します。 用紙は、再生紙、または持続可能性に配慮したもののみを購入 することを目標に掲げ、行動指針を策定しました。 私たちは紙・パルプの無駄遣いをせず、古紙パルプを主原 ◦塩素ガスを使わずに漂白されている ◦白色度が過度に高くない 料としていること(再生紙であること)を優先します。また、古 ◦塗工されているものについては、塗工量ができるだけ少ない 紙パルプ以外のパルプ(バージンパルプ)を使用する場合は、 ◦リサイクルしにくい加工がされていない 2020年までに、原料木材産出地の追跡可能なパルプのみを購 ➡P79 「カルチャー>サプライヤーとの連携」 他企業と連携した取り組みを推進 国内花王グループ ※ Business 花王は、 「企業と生物多様性イニシアティブ(Japan Initiative for Biodiversity:JBIB) 」に、2008年の発足当初か ら参加しています。現在、J B I Bの複数のワーキンググループ ※ 一般社団法人企業と生物多様性イニシアティブ . 生物多様性の保全をめざして積極的に取り組む企業が集まり、2 0 0 8年 に発足した団体。 に参加し、さまざまな業種の企業と一緒になって、企業が生物 多様性保全活動に取り組むうえで有効なツールやガイドライン 作成等の研究活動に取り組んでいます。 「花王・みんなの森づくり活動」 を実施 次世代に緑豊かな環境を引き継ぐために、2 0 0 0年より 「花 王・みんなの森づくり活動」を継続しています。この活動は、 国内花王グループ で安定した活動が行なえるよう、3年間の継続助成としており、 これまでに391の団体を支援しています。 公益財団法人都市緑化機構と花王が協働で運営しており、暮ら 2014年は、8~10月に募集を行ない、128団体(森づくり活 しの身近にある緑を守り育てる活動をするN P Oや市民団体を 動分野8 0団体、環境教育活動分野4 8団体)からの応募があり、 支援しています。 「森づくり活動分野」と「環境教育活動分野」の 2015年3月に新たに20団体の支援を決定しました。 2つの柱を設けて助成を行なっており、いずれも長期的な視点 「日永梅林・登城山」 を復活させる会 NPO法人ひらた里山の会 花王サステナビリティレポート 2015 エコロジー 事業活動による環境負荷の低減 CONTENTS ◀ 030 ▶ 生物多様性への対応 【EN12】 タイ北部“FURUSATO”環境保全プロジェクト 2012年より、花王は、急速な森林減少や土壌の劣化が社会問 グローバル 守る人づくりも進めています。8月には、地域の人々や学校の 題となっているタイで森林の回復と持続可能な保全をめざす 「タ 生徒、花王社員も参加して植林を行ない、交流を深めました。 イ北部 “FURUSATO” 環境保全プロジェクト」 を行なっています。 活動地は累計で2 1 h aに広がり、日々、地域の人々による下草 3年目となる2014年は、新たに7haの土地に8,000本の植 刈りや追肥などの管理作業が継続して行なわれ、これまでに植 林を行なうとともに、子どもたちへの環境教育も実施し、森を 林した約25,000本の木々がすくすくと生長しています。 8月の植林で記念撮影 子どもたちへの環境教育も実施 東日本グリーン復興モニタリングプロジェクトに社員が参加 認定特定非営利活動法人アースウォッチ・ジャパンが実施し ている「東日本グリーン復興モニタリングプロジェクト」に社員 が参加する機会を設けています。このプロジェクトは、東日本 大震災で津波の被害を受けた干潟や田んぼで、生物モニタリ ング調査を行なう研究者の作業のサポートをボランティアが行 なうものです。 2014年は、13名の社員が現地におもむき、調査のサポート をしました。この調査で得られたデータは、生物多様性に配慮 した復興の計画や、種の保全のために活用されます。 生物モニタリング調査の様子 花王サステナビリティレポート 2015 国内花王グループ エコロジー 事業活動による環境負荷の低減 CONTENTS ◀ 031 ▶ 生物多様性への対応 【EN12】 和歌山工場 生物多様性への取り組み 国内花王グループ 「第2回 みどりの社会貢献賞」 を受賞 和歌山工場が「第2回 みどりの社会貢献賞」 (主催:公益財団 法人都市緑化機構)を受賞しました。和歌山工場内を縦断する クロマツを中心とした防潮林の自然・歴史・文化的な価値を理 解し、次世代へ引き継ぐための案内板の設置や、鳥類などの 生息に配慮した管理に従業員が努めている点と、地球環境と自 社のエコ技術の情報発信を目的としたエコラボミュージアムを 併設し、貴重な緑地資源の保全とあわせ環境保全の普及啓発 を積極的に行なっている点などが評価されました。受賞を励み に、今後もエコラボミュージアムとの連携を図りながら、 「生物 多様性モデル工場」を合言葉に、防潮林をはじめ場内緑地の保 全を着実に進めていきます。 企業の森活動 工場緑地と表彰盾 花王は、和歌山県が取り組んでいる 「企業の森」 活動に参画し、 2007年から海草郡紀美野町の0.7haの森林において保全活動 を実施しています。2014年も、153名の社員とその家族が参 加して下草刈りを行ないました。 企業の森活動の様子 花王サステナビリティレポート 2015
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