添付ファイル - EY税理士法人

特別納税調整実施弁法
(パブリックコメント募集案)
2015 年 09 月 17 日
国家税務総局政策法規司
国家税務総局は、特別納税調整業務をさらに規範化するために、『特別納税調整実施弁法』(国税発[2009]2 号)を改正
し、『特別納税調整実施弁法(パブリックコメント募集案)』をドラフトした。今後、部門規程の形式により公布される予定で
ある。ここに一般社会にパブリックコメントを募集する。以下の方法により、意見を提出することができる。
1.
中国政府法制情報ネット(インターネットアドレス:http://www.chinalaw.gov.cn)
トップページの左側の“部門規程の草案意見募集システム”にコメントを提出する。
2.
国家税務総局のホームページ(インターネットアドレス:http://www.chinatax.gov.cn)
ホームページの“『特別納税調整実施弁法』意見募集”をクリックして、コメントを提出する。
E メールアドレス:[email protected]
通信住所:北京市海淀区羊坊店西路 5 号国家税務总局政策法规司(郵便番号:100038)
コメント提出期限は、2015 年 10 月 16 日である。
特別納税調整実施弁法
(パブリックコメント募集案)
第 1 章 総則
第 1 条 特別納税調整管理を規範化するために、『中華人民共和国企業所得税法』(以下、「企業所得税法」)、『中華人
民共和国企業所得税法実施条例』(以下、「企業所得税法実施条例」)、『中華人民共和国租税徴収管理法』(以下、「租
税徴収管理法」)、『中華人民共和国租税徴収管理法実施細則』(以下、「租税徴収管理法実施細則」)、及び中国政府と
関連国家政府との間で締結した租税条約、協議或いは協定(以下、「租税条約」)の関連規定に基づき、本弁法弁法を制
定する。
第 2 条 本弁法は、移転価格、事前確認制度、コストシェアリング協議、被支配外国企業、過少資本管理、一般租税回避
防止等の特別納税調整の管理に適用する。
脱税、追徴課税の回避、税金の詐欺、納税拒否、領収書の架空発行等の租税違法行為により立案調査を要する場合、
本弁法は適用しない。
第 3 条 移転価格の管理とは、企業とその関連者との間の取引(以下、「関連取引」)が独立企業原則に合致するか否か
を評価し、調査、調整を行う業務の総称である。
第 4 条 事前確認制度の管理とは、企業が提出する将来年度の関連取引の移転価格及び計算方法に関する申請を審
査、評価し、かつ、企業と事前確認制度を協議、同意する等の業務の総称である。
第 5 条 コストシェアリング協議とは、企業がその関連者との間で締結したコストシェアリング協議が独立企業原則に合致
するか否かを評価し、調査、調整を行う業務の総称である。
1
第 6 条 被支配外国企業管理とは、被支配外国企業が利益配当を行わないか、或いは利益配当を減額することの必要
な経営合理性を評価、調査し、中国居住者企業に帰属する所得に対して調整等を行う業務の総称である。
第 7 条 過少資本管理とは、企業がその関連者から受け入れた債権性投資と権益性投資の割合が規定比率及び独立
企業原則に合致するか否かを評価し、調査、調整等を行う業務の総称である。
第 8 条 一般租税回避防止管理とは、企業がその他の合理的なビジネス上の目的のない計画を実施し、課税収入或い
は所得額を減少させることに対して評価し、調査、調整等を行う業務の総称である。
第 2 章 関連申告
第 9 条 企業所得税法実施条例第 109 条及び租税徴収管理法実施細則第 51 条にいう関連関係とは、主に、一方と他
方の企業、組織或いは個人との間に以下のいずれかの関係があることを指す。
(一) 一方が直接又は間接的に他方の持分の 25%以上を保有する場合、或いは同一の第三者に 25%以上の持分を
直接又は間接的に保有される場合。
一方が中間方を通して間接的に他方の持分を保有する場合、もし一方が中間方の 25%以上の持分を保有するときは、
一方が他方に対して保有する持分比率は中間方が他方に保有する持分として計算する。
同一の企業が姻族、直係血族、三世代の傍係血族等関係がある二人以上に保有されるとき、持分を合併して計算する。
(二) 双方が持株関係がある、或いは同一の第三者に保有されるが、持株比率が本条(一)の規定に満たしないとき、一
方の他方(独立の金融機関を除く)からの借入金が払込資本金の 50%以上を占める場合、又は一方の借入金総額の
10%以上について他方(独立の金融機関を除く)の保証を受けている場合。
借入金総額が払込資本金に占める割合=年度加重平均借入金額/年度加重平均払込資本金
そのうち、
年度加重平均借入金額=i 回の借入又は貸出した資金の帳簿金額×i 回の借入又は貸出した資金の年度内の実際の
借入又は貸出日数/365
年度加重平均払込資本金=i 回の払込資本金の帳簿金額×i 回の払込資本金の年度内の実際の受入又は保有日数
/365
(三) 双方に持株関係がある、或いは同一の第三者に保有されるが、持株比率が本条(一)の規定に達しないとき、一方
の生産経営活動が他方の工業所有権、商標権、パテント、技術ノウハウ等の特許権の提供を受けないと正常に運営でき
ない場合。
(四) 双方に持株関係がある、或いは同一の第三者に保有されるが、持株比率が本条(一)の規定に達しないとき、一方
の購買、販売、役務受取、役務提供が他方により実質的に支配されている場合。
実質的な支配は、一方が他方の経営決定、取引条件或いは価格設定方法等に関して決定権を有することを指す。
(五) 一方の高級管理職(董事長、董事、董事会秘書、総経理、総会計士、財務責任者、各事務を管理する副総経理及
び類似する職能を有する人員等)の過半数又は 董事会をコントロールできる董事 1 名以上が、他方から派遣されるか、
他方の高級管理職又は董事会をコントロールできる董事を兼務する場合。双方の高級管理職の過半数又は董事会をコ
ントロールできる董事 1 名以上が同一の第三者から派遣されている場合。
(六) 姻族、直係血族、三世代以内の傍係血族等の関係がある 2 名の個人それぞれが一方と他方として、本条(一)か
ら(五)までの関係の 1 つが存在する場合。
(七) 双方が利益の面において関連性があるその他の場合。
第 10 条 国家の持株、或いは国有資産管理部門から派遣された高級管理職、董事等の存在のみにより第 9 条(一)か
ら(五)までの関係がある場合、関連関係に該当しない。
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第 11 条
関連取引は主に以下の類型を含む。
(一)有形資産の使用権或いは所有権の譲渡。商品、製品、建物構築物、車輌運搬具、機器設備、工具、及びその他の
有形資産を含む有形資産の譲渡。
(二)金融資産の譲渡。売掛金、受取手形、ローン、その他未収入金、株式投資、債権投資とデリバティブ金融ツールによ
り形成された資産、及びその他金融資産を含む金融資産の譲渡。
(三)無形資産の使用権或いは所有権の譲渡。パテント、技術ノウハウ、商標権、著作権、特許権、土地使用権、及びの
れんと持続経営価値等を含む無形資産の譲渡。
(四)資金融通。各種の長短期の資金の貸し借りと保証、及び各種の利息を伴う前払いと延払い、グループキャッシュプ
ーリング等の業務を含む。
(五)役務提供。市場調査、マーケティング戦略策定、代理、設計、コンサルティング、行政事務、技術サービス、受託研
究開発、修理、法律、財務管理、会計監査、招聘、トレーニング、集中購買、及びその他の役務の提供を含む。
(六)持分譲渡
(七)その他の取引類型
第 12 条 実際の帳簿に基づき納税する居住者企業及び中国国内に機構、場所を有し実際の状況に基づき企業所得税
を納税申告する非居住者企業は、税務機関に年度企業所得税確定申告書を提出する際に、『中華人民共和国企業年度
関連業務往来報告表』を添付しなければならない。
下記の状況のいずれかに該当する企業は、年度企業所得税確定申告時に、『中華人民共和国企業年度関連業務往来
報告表』の中の『国別報告書』を記入して提出しなければならない。
(一)当該企業が多国籍グループの最終持株企業であり、かつ、グループの前年度の連結売上高が 50 億元を上回る場
合。
(二)当該企業の最終持株企業は中国国内に所在しないが、当該企業が多国籍グループにより国別報告書の提出者とし
て指定される場合。
第 13 条 企業が規定する期限までに提出することが確かに困難であり、期限を延長する必要がある場合、租税徴収管
理法及び租税徴収管理法実施細則の関連規定に従い、処理する。
第 3 章 同時文書
第 14 条 同時文書は、マスターファイル、ローカルファイル及び特殊事項文書を含む。
企業は、納税年度毎に、同時文書を準備、保存し、関連する規定に基づき提出しなければならない。
第 15 条 マスターファイルは、主に、多国籍企業グループのグローバルな業務の全体的な状況を記載する。主に以下の
内容を含む。
(一)組織構成
図表の形式により、企業グループのグローバルな資本構成及び各メンバーの地理的分布を説明する。メンバーとは、グ
ループ内の商業実体担い、会社制企業、パートナーシップ企業及び恒久的施設等を含む。
(二)業務に関する記述
1.グループの業務に関する記述。利益の価値創造要因を含む。
2.グループの製品及び役務の営業収入トップ 5 及び営業収入総額の 5%を超えるものにつき、サプライチェーンと主要
地域の市場状況の説明。
3.グループ内における研究開発以外の重要な関連者間の役務手配の説明。役務提供者の役務能力の説明、関連者間
の役務価格にかかる移転価格方針を含む。
3
4.グループ内の各企業の価値創造に対する主な貢献。果たす重要な機能、負担する重大なリスク及び使用する重要な
資産及びを含む。
5.グループの財務年度において、発生した業務再編、業務構造の調整、グループ内企業の機能、リスク或いは資産の
移転。
6.グループの財務年度において、発生した企業法律形式の変更、債務再編、持分買収、資産買収、合併、分割等の再
編業務。
(三)無形資産
1.グループにおける無形資産の開発、所有権の帰属及び応用の全体的な戦略の記述。
2.グループにおける無形資産の研究開発機構及び管理者に関する状況。研究開発機関及び研究開発管理活動の所在
地、主な職能、人員状況等を含む。
3.グループ内における移転価格の計画に著しい影響を与える重要な無形資産或いは無形資産の組み合わせ、及びそ
の法的所有者。
4.グループにおける無形資産に関する契約のリスト。コストシェアリング協議、研究開発サービス協議及び許諾協議等を
含む。
5.グループにおける研究開発及びその他無形資産に関する移転価格ポリシー。
6.グループの財務年度における無形資産に関する権益の関連者間での譲渡の状況。譲渡に関連する企業、国家及び
対価を含む。
(四)融資の手配
1.グループ内における融資の手配及び第三者である貸し手との主な融資の手配。
2.グループにおいて集中的に融資機能を果たす企業。企業の登録地及び実際の管理機構所在地を含む。
3.グループにおける関連企業間の融資の手配の全体的な移転価格方針。
(五)財務及び税務の状況
1.グループの直近の財務年度の連結財務諸表。
2.グループにおいてすでに合意済みの国内事前確認及び国家間の収益分配に関するその他の租税裁定。
3.グループにおいて国別報告書を準備、提供するメンバーの名称及び所在地。
第 16 条 ローカルファイルは、主に、現地企業の関連取引の詳細な情報を記載する。主に以下の内容を含む。
(一)企業概況
1.組織構成。各職能部門の設置、職責の範囲と従業員数。
2.管理構造。現地管理層の報告対象及び上述の報告対象の主な業務場所の所在地。
3.業界概要。所属する業界及びその発展の概要、産業政策、業界における規制等、業界に影響を与える主な経済と法
的な問題。主な競合者。
4.ビジネスモデル。経営戦略、価値創造要因を含む。
5.業務の記述。各部門、段階における業務プロセス等を含む。
6.セグメントデータ。異なる類型の業務及び製品の収入、原価、費用及び利益の分布を含む。
7.関わりのある再編又は無形資産の譲渡、及び企業への影響。
(二)関連関係
1.関連者の情報。直接或いは間接的に企業の持分を所有する関連者、及び企業と取引を行う関連者。内容は、関連者
の名称、法定代表者、高級管理職の構成、登録住所及び実際の経営住所と、関連者となる個人の氏名、国籍、居住地
等の状況を含む。
2.関連者の税率。上述の各関連者に適用される具体的な所得税の性質を持つ税目、税率及び享受可能な優遇措置。
3.関連者の変更。本財務年度における企業の関連関係の変更状況を含む。
(三)関連取引
1.関連取引の概要
(1)関連取引の記述と詳細。関連取引に関する契約書(協議書)の副本及び履行状況についての説明。関連取引の背景、
類型、関与者、時期、金額、決済通貨、取引条件、貿易方式等、及び非関連取引における業務との相違を含む。
(2)関連取引の業務プロセス。関連取引の情報の流れ、物流及び資金フロー、及び非関連取引における業務プロセスと
の相違を含む。
(3)機能リスクの記述。各類型の関連取引につき、企業とその関連者が負担する機能とリスク、使用の資産等を分析と、
上述の機能リスクの前年度からのあらゆる変化を含む。
4
(4) 関連取引の価格設定に影響を与える要素。関連取引に関わる無形資産とその影響、及び関連取引の価格設定に影
響を与える主な経済と法律の要因等を含む。
(5)関連取引のデータ。各類型の関連取引において受領した又は支払った関連取引の金額、国外関連者ごとに関連取引
の収支項目と金額の明細を作成する。関連取引と非関連取引の収入、コスト、費用と利益の区分に際して、直接に区分
することができない場合、合理的な比率で配賦し、且つ、配賦比率の根拠を説明する。
2.バリューチェーンの分析
(1)グループ内の業務フロー、物流及び資金フロー。商品、役務及びその他の取引の設計、開発、製造、マーケティングと
販売、納品、決済、消費、アフターサービス及び最終的なリサイクル等の各段階とその関与者を含む。
(2)上述の各段階の関与者の直近財務年度の財務諸表(単体及び連結財務諸表)。
(3)グローバルなバリューチェーンにおけるグループの利益の配分原則及び配分結果。
3.対外投資
(1) 対外投資の基本状況。対外投資プロジェクトの投資地域、金額、主要業務及び戦略計画を含む。
(2)対外投資プロジェクトの概要。対外投資プロジェクトの資本構成、組織構造、高級管理職の雇用方式、プロジェクトの
決定権の帰属を含む。
(3)対外投資プロジェクトのデータ。対外投資プロジェクトの運営データを含む。
4.関連者間の持分譲渡
(1) 持分譲渡の概要。デューディリジェンス報告書、譲渡の背景、関与者、時期、価格設定方法、支払方式、持分譲渡に
影響を与えるその他の要素を含む。
(2)持分譲渡の対象に関する情報。持分譲渡となる対象の位置、持分の取得時間、方式、コスト、持分譲渡の収益等の
情報を含む。
(3) 持分譲渡の対象の資産評価報告。
5.グループ内役務
(1)グループ内役務の概要。役務提供の内容、役務の提供者と受け手、役務の価格設定方式、支払形式及び金額等を
含む。
(2)役務のコスト費用の算出と集計の方式。
(3) 役務の受け手が複数いるか、役務プロジェクトが複数あり、単独でコストと費用を算出できない場合、異なる役務の受
け手或いは役務のプロジェクトとの間での明確なコスト費用の配賦基準。例えば、営業収入、営業資産、人員数、人員給
与、設備の使用量、データ数、業務時間及びその他の合理的な指標等。
6.企業が属する税務管轄地域と無関係であるが、関わりのある関連取引に関する国内事前確認、二国間事前確認と多
国間事前確認、及びその他の税務主管当局の租税裁定。
(四)比較可能性分析
1.比較可能性分析で考慮すべき要因。取引における資産或いは役務の特性、取引の各当事者の機能、リスクと資産、
契約条項、経済環境、経営戦略等を含む。
2.比較対象企業の担う機能、負担するリスク及び使用する資産等の情報。
3.比較対象取引の説明。例えば、有形資産の物理的特性、品質及びその効用。融資業務の正常な利率水準、金額、通
貨、期間、保証、融資者の資本信用、返済方式、利息計算方法等。役務の性質及び程度。無形資産の類型と取引形式、
取引を通じて獲得する無形資産の使用権、無形資産の使用により獲得する収益。
4.比較情報の出展、選定条件及び理由。
5.比較データの差異調整及び理由。
(五)移転価格方法の選定及び使用
1.各タイプの関連取引及び全体的な移転価格方法の選定及び理由。どの種類の移転価格方法を選定しても、企業のグ
ループ全体の利益或いは残余利益の水準に対する貢献を説明しなければならない。
2.比較情報が選定した移転価格方法をいかにサポートするか。
3.合理的な移転価格方法と比較分析の結果を用いて、関連取引の価格又は利益が独立企業原則に則っていると確定
したこと、及びその過程における仮設と判断。
4.その他選定した移転価格方法をサポートする資料。
5
第 17 条 同時文書特殊事項文書は、主に、グループ内役務特殊事項文書、コストシェアリング協議特殊事項文書及び
過少資本特殊事項文書を含む。具体的な内容は、本弁法の第七章、第九章及び第十一章の関連規定に合致すること。
第 18 条 以下のいずれかの状況に該当する企業は、同時文書であるマスターファイルとローカルファイルを準備しなけ
ればならない。
(一) 年度の関連者との売買取引金額(来料加工業務については輸出入通関価格により計算)が 2 億人民元を超える場
合。
(二)年度の関連者との売買以外のその他の取引金額(関連者との資金融通取引については利息の受取りと支払いによ
り計算)が 4,000 万人民元を超える場合。
(三)限定的な機能とリスクを負担し、かつ損失を計上した場合。
第 19 条 以下のいずれかの状況に該当する企業は、同時文書である特殊事項文書を準備しなければならない。
(一)グループ内役務取引が存在する場合。
(二)コストシェアリング協議を執行する場合。
(三)過少資本の関連規定に抵触する場合。
企業は、本弁法の第七章、第九章及び第十一章の関連規定に基づき、同時文書である特殊事項文書を準備する。
第 20 条 以下のいずれかの状況に該当する企業は、同時文書の準備が免除される。
(一)関連取引が実施されている事前確認制度の範囲内にある場合。
(二)中国国内関連者とのみ取引を行う場合。
第 21 条 企業は関連取引が発生した年度の翌年 5 月 31 日までに当該年度の同時文書を準備し、かつ、税務機関に要
求された日から 20 日以内に提出しなければならない。
第 22 条 企業が不可抗力のために期日どおりに同時文書を提出できない場合、当該不可抗力が解消されてから 20 日
以内に同時文書を提出しなければならない。
第 23 条 同時文書には中国語を使用しなければならない。原本資料が中国語ではない場合、中国語の翻訳文を付さな
ければならない。
第 24 条 企業が虚偽、不完全な同時文書を提出した場合、同時文書を提供していないとみなす。
第 25 条 企業は提出する同時文書に社印を押印し、かつ、法定代表者又は法定代表者が授権する代表者の署名或い
は押印をしなければならない。同時文書で情報を引用する場合、その出展を記載しなければならない。
第 26 条 企業が合併、分割等の理由で税務登録を変更或いは抹消する場合、合併、分割後の企業が同時文書を保管
しなければならない。
第 27 条 企業は税収徴管法実施細則の関連規定に基づいて同時文書を保管しなければならない。
第 4 章 移転価格方法
第28条 関連取引のある企業及び関連取引を審査、評価する税務機関は、独立企業原則に従い、移転価格方法を確定
しなければならない。移転価格方法には、独立価格比準法、再販売価格基準法、原価基準法、取引単位営業利益法、利
益分割法及びその他の方法を含む。
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合理的な移転価格方法の使用にあたり、関連取引の各当事者の果たす機能、使用する資産、負担するリスク及び価値
創造要因を考慮して、関連取引の価格及び各当事者の利益を確定しなければならない。
第29条 合理的な移転価格方法の選定にあたっては、比較可能性分析を行わなければならない。比較可能性分析は以
下の面を含めることができる。
(一)取引する資産或いは役務の特性。有形資産の物理的特性、品質、数量等;無形資産の類型、取引形式、保護の程
度、期限、予測収益等;役務の性質と内容;金融資産の特性、内容、リスク管理等;持分の性質と内容を含む。
(二)各取引当事者の履行した機能、使用した資産及び負担したリスク。機能には、研究開発、設計、仕入、加工、組立、
製造、保守、卸売り、マーケティングと販売、広告、在庫管理、物流、保管、融資、管理、財務、会計、法務及び人的資源
管理等を含む。機能の比較にあたっては、企業が機能を履行するために使用する資産の類型及び特性に留意しなけれ
ばならない。資産には、有形資産、無形資産、金融資産、持分等を含む。リスクには、主に、投資リスク、研究開発リスク、
仕入リスク、生産リスク、市場リスク、管理及び財務リスク等を含む。
(三)契約条項。取引の対象、取引数量、価格、代金の支払・回収方式と条件、引渡条件、アフターサービスの範囲と条
件、付加役務提供の約定、契約書の内容を変更・修正する権利、契約書の有効期間、契約を終了或いは更新する権利、
契約履行能力及び行為等を含む。
(四)経済環境。業界の概要、地理的区域、市場規模、市場レベル、市場シェア、市場競争の程度、消費者の購買力、商
品或いは役務の代替可能性、生産要素の価格、運輸コスト、政府規制、地域性特殊要因等を含む。
(五)経営戦略。革新と開発、多角化経営、シナジー効果、リスク回避、市場占有戦略等を含む。
第30条 独立価格比準法は、非関連者間で行われる、関連取引と同様また類似する活動により収受する価格を関連取
引の公正取引価格とする方法である。
比較可能性分析においては、特に、関連取引と非関連取引における取引資産又は役務の特性、契約条項、経済環境及
び経営戦略上の差異を考察しなければならない。取引類型ごとに、具体的に以下のような内容を含む。
(一)有形資産の使用権又は所有権の譲渡
1.譲渡の過程。取引の時期と場所、引渡条件、引渡手続、支払条件、取引数量、アフターサービスの時期と場所等を含
む。
2.譲渡の段階。工場出荷段階、卸売段階、小売段階、輸出段階等を含む。
3.譲渡の環境。民族風俗、消費者の嗜好、政局の安定度及び財政、租税、為替政策等を含む。
4.有形資産の性能、規格、型番号、構造、類型、減価償却方法。
5.使用権を提供する時期、期限、場所。
6.資産所有者の資産に対する投資支出、保守費用等。
(二)金融資産の譲渡。金融資産の実際の期限、流動性、安全性、収益性を含む。
(三)無形資産の使用権又は所有権の譲渡
1.無形資産の類別、用途、適用業界、予測収益。
2.無形資産の開発投資、譲渡条件、独占の程度、国家の関連法律により保護される程度と期限、地理的位置、使用期
限、研究開発の段階、保守、改良及び更新の権利、譲受コストと費用、機能リスクの状況、代替可能性等。
(四)資金融通。融資の金額、通貨、期限、保証、融資者の資本信用、返済方式、利息計算方法等。
(五)役務提供。役務の性質、技術上の要求、専門水準、責任負担、支払条件と方式、直接及び間接的なコスト等。
(六)持分譲渡。企業の性質、業務構造、資産構成、所属する業界、業界の周期、ビジネスモデル、企業規模、資産配置
及び使用状況、企業の経営段階、成長性、経営リスク、財務リスク、取引時間、地域的区域、資本関係、過去と将来の経
営状況、のれん、租税目的、流動性、経済動向、マクロ政策、企業の収入及びコスト構成、その他の要素を含む。
関連取引と非関連取引の間で、上述の面において重大な差異がある場合、当該差異が価格に与える影響を合理的に調
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整しなければならない。合理的な調整ができない場合、本章の規定に基づき、その他の合理的な移転価格方法を選択し
なければならない。
独立価格比準法はすべての類型の関連取引に適用できる。
第31条 再販売価格基準法は、関連者が商品を購入し非関連者に再販売する価格から、比較対象となる非関連取引の
粗利益を控除した後の金額を、関連者が購入する商品の公正取引価格とする方法である。その計算式は以下の通りで
ある。
公正取引価格=非関連者に再販売する価格x(1-比較対象非関連取引の粗利益率)
比較対象非関連取引の粗利益率=比較対象非関連取引の粗利益/比較対象非関連取引
の収入純額x100%
比較可能性分析においては、特に、関連取引と非関連取引における履行した機能、使用した資産及び負担するリスク及
び契約条項における差異及び粗利益率に影響を与えるその他の要因を考察しなければならない。具体的には、広告、マ
ーケティングと販売、卸売り、製品の保証とサービスの機能、在庫リスク、機械設備の価値及び使用年限、無形資産の使
用及び価値、価値のあるマーケティング上の無形資産、卸売或いは小売段階、ビジネス経験、会計処理及び管理効率等
を含む。
関連取引と非関連取引に、上述の面において重大な差異がある場合、当該差異が粗利益に与える影響を合理的に調整
しなければならない。合理的な調整ができない場合、本章の規定に基づき、その他の合理的な移転価格方法を選択しな
ければならない。
再販売価格基準は常、再販売者が商品に対して外型、性能、構造の変更又は商標の変更等の実質的な付加価値加工
をせず、簡単な加工或いは単純な売買業務のみを行う場合に適用される。
第32条 原価基準法は、関連取引で生じる合理的な原価に、比較対象となる非関連取引の粗利益を加えた金額を関連
取引の公正取引価格とする方法である。その計算式は以下の通りである。
公正取引価格=関連取引で生じる合理的な原価x(1+比較対象となる非関連取引のコストマークアップ率)
比較対象となる非関連取引のコストマークアップ率=比較対象となる非関連取引の粗利益/比較対象となる非関連取引
のコストx100%
比較可能性分析においては、特に、関連取引と非関連取引における履行した機能とリスク及び契約条項上の差異及びコ
ストマークアップ率に影響を与えるその他の要因を考察しなければならない。具体的には製造、加工、据付及びテスト機
能、市場リスク及び為替リスク、機械設備の価値と使用年限、無形資産の使用と価値、ビジネス経験、会計処理、生産及
び管理効率等を含む。
関連取引と非関連取引の間で、上述の面において重大な差異がある場合、当該差異がコストマークアップ率に与える影
響を合理的に調整しなければならない。合理的な調整ができない場合、本章の規定に基づき、その他の合理的な移転価
格方法を選択しなければならない。
原価基準法は、通常、有形資産の所有権或いは使用権の譲渡、役務の提供又は受ける取引、資金融通等の関連取引
に適用される。
第33条 取引単位営業利益法は、比較対象となる非関連取引の利益率指標を用いて関連取引の利益を確定する方法
である。非関連取引の利益水準指標には、資産収益率、営業利益率、支払金利前税引前利益率、トータルコストマーク
アップ率、ベリー比率等が含まれる。各利益水準指標の計算公式は以下の通りである。
資産収益率=浄利益/資産総額x100%
営業利益率=営業利益/営業収入x100%
支払金利前税引前利益率=支払金利前税引前利益/営業収入 x100%
トータルコストマークアップ率=支払金利前税引前利益/トータルコストx100%
ベリー比率=粗利益/(販売費用+管理費用)x100%
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比較可能性分析においては、特に、関連取引と非関連取引の機能とリスク及び経済環境における差異及び営業利益に
影響を与えるその他の要因を考察しなければならない。具体的には、担う機能、負担するリスク、使用する資産、業界と
市場の状況、経営規模、経済サイクルと製品のライフサイクル、コスト、費用、所得と資産の各取引間の配賦、会計処理
及び経営管理効率等を含む。
利益水準指標の選択は、関連取引の比較性分析と一致しなければならず、各当事者の担う機能、負担するリスク及び使
用する資産を反映したものでなければならない。必要な時には、財務指標の計算ベースに対して、合理的な調整を行っ
ても構わない。
関連取引と非関連取引との間に、上述の面において重大な差異がある場合、当該差異が利益に与える影響を合理的に
調整しなければなれない。合理的な調整ができない場合、本章の規定に基づき、その他の合理的な移転価格方法を選
択しなければならない。
取引単位営業利益法は、通常、重要な無形資産のない企業の有形資産の譲渡、無形資産の譲渡、役務提供等の関連
取引に適用される。
第34条 利益分割法は、企業とその関連者の、実際又は予測した関連取引の合算利益に対する貢献に基づき、各自に
配分されるべき利益の額を算出する方法である。利益分割法には、主に、一般利益分割法と残余利益分割法がある。
一般利益分割法は、関連取引の各当事者が担う機能、使用する資産及び負担するリスクに基づき、独立企業原則に沿
った利益分割方式を採用して、各関連者が取得すべき利益を確定する方法である。
残余利益分割法は、関連取引の各当事者の合算利益から、各当事者に配分する通常利益を控除した残額を残余利益と
して、各当事者の残余利益に対する貢献度に基づき配分する方法である。
比較可能性分析においては、特に、取引の各当事者の担う機能、負担するリスク及び使用する資産、原価、費用、所得
と資産の各取引間の配賦、地域性特殊要因、会計処理、取引の各当事者の残余利益に対する貢献度を確定する際に使
用する情報及び仮設の信頼性等を考察しなければならない。
利益分割法は、通常、当事者が特有の価値貢献をしており、業務の統合性が高く、単独で評価することが難しい場合に
適用される。
第35条 その他の方法には、価値貢献分配法、資産評価法等の方法を含む。
(一)価値貢献分配法は、価値創造要因の多国籍企業グループの利益に対する貢献の分析を通じて、その合算利益を
各国の関連者の間で配分する方法である。配分にあたっては、価値貢献度に関連する資産、コスト、費用、収入、人員数
等の一つ或いは複数の要素の組み合わせを考慮する。
価値貢献分配法は、通常、比較可能な取引の情報を入手し難いが、合算利益及び価値創造要因に対する貢献を合理的
に確定することができる取引に適用する。
(二)資産評価方法には、コスト法、市場法及び収益法等の方法を含む。
コスト法は、代替若しくは置き換えの原則を基礎に、現在の市場価格で、類似する資産を構築するために生じる支出を確
定し、検証対象の価値を確定する評価方法である。コスト法は、代替可能な資産価値の評価に適用される。
市場法は、市場における同様もしくは類似する資産の最近の取引価格を利用して、直接的な比較又は類似性の分析に
より、検証対象の価値を評価する評価方法である。市場法は、市場において、評価対象資産と同じ又は類似する比較可
能な取引を発見できる場合に適用される。
収益法は、検証対象が将来の予測収益の現在価値にすることで、その価値を評価する評価方法である。収益法は、企
業全体の資産と予測可能な将来の収益の個別資産の評価に適用される。収益法を使用して無形資産を評価する際には、
無形資産の有限な経済年限を合理的に確定する。
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第5章
特別納税調査及び調整
第 36 条 税務機関は、日常の租税徴収管理業務を踏まえ、関連取引のリスクを分析し、特別納税調査の対象を選定し、
調査対象企業を確定する。関連取引のリスク分析は、主に、企業が過去年度に提出した年度の所得税申告資料、関連
業務取引報告表及びその他の納税資料に基づき、企業の生産経営状況、関連取引等の状況に対し、総合的な評価分
析を行わなければならない。
第 37 条 税務機関は、調査対象企業の確定にあたり、以下のリスクの特徴がある企業を重点的に選定する。
(一) 関連者との取引金額が大きい、或いは取引類型が多い企業。
(二) 長期的欠損がある企業、僅少な利益しかない企業、利益の変動が激しい企業。
(三) 利益水準が同業より低い企業。
(四) 利益水準が負担する機能及びリスクと明らかに対応しない企業、或いは享受する収益が分担するコストと対応しな
い企業。
(五) 低税負担国にある関連者と取引がある企業。
(六) 規定に従って関連申告を行わない、或いは同時文書を準備していない企業。
(七) 関連者から受け入れた債権性投資と権益性投資の比率が規定された基準を上回る企業。
(八) 低税負担国に被支配外国企業を設立する企業
(九) 合理的なビジネス目的のない計画を実施する企業
(十) その他、独立企業原則に反する状況。
第 38 条 税務機関は、選定された調査対象企業に対して、2 名以上の調査官により共同で調査を実施する。調査官は、
調査対象企業に対して税務検査証を提示し、『税務検査通知書』を交付しなければならない。
調査対象企業が国外に所在する場合、税務機関は、『税務検査通知書』を直接に調査対象企業に交付することも、或い
は国内関連者に『税務検査通知書』を転送するよう要求することもできる。
第 39 条 税務機関は、特別納税調査時、調査対象企業及びその関連者ならびに調査に関わるその他の企業に関連資
料の提出を要求する権利を有する。
(一) 調査対象企業及びその関連者に関連資料の提出を要求する場合、調査対象企業に『税務事項通知書』を交付し
なければならない。調査対象企業が国外に所在する場合、税務機関は『税務事項通知書』を直接に調査対象企業に交
付することも、或いは国内関連者に『税務事項通知書』を転送することを要求することもできる。
(二) 調査する税務機関の管轄範囲内のその他企業に関連資料の提出を要求する場合、当該企業に『税務事項通知書』
を交付しなければならない。現場調査による証拠入手の必要がある場合、当該企業に『税務検査通知書』を交付しなけ
ればならない。
(三) 調査する税務機関の所轄範囲外のその他企業に関連資料の提出を要求する場合、税務機関内部の通信による
協同調査を通じて、当該企業の主管税務機関より『税務事項通知書』を交付しなければならない。現場調査による証拠
入手の必要がある場合、当該企業に『税務検査通知書』を交付しなければならない。
第 40 条 調査対象企業及びその関連者ならびに調査に関わるその他の企業は、税務機関の要求に従い、真実で完全
な関連資料を提出しなければならず、拒否或いは隠蔽してはならない。
(一) 自己の保管する書類原本(オリジナル、正本、副本が書類の原本に属する)を提出する。原本の提出が確かに困
難な場合、原本と照合して相違のない複写、写真、抜粋等のコピーを提出することができる。また、コピーには、「原本
と照合し相違なく、原本は弊社が保管する」と記載し、提出者が署名しなければならない。
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(二) 関連機構が保管する書類の原本のコピー、印刷或いは抄録を提出する場合、出展を注記し、当該関連機構による
照合して相違ないことの署名と、さらに、提出者の署名も必要となる。
(三) 外国語の書類或いは外国語による視聴資料を提出する場合、中国語の翻訳文を添付しなければならない。提出
者が中国語翻訳文の真実性、完全性に対する責任を持つ。
(四) 国外の関連資料を提出する場合、出展を説明しなければならない。税務機関は、国外の資料の真実性と完全性に
疑義がある場合、国外公証機構、会計士事務所、或いは国家税務総局ウェブサイトで公告された税理士事務所の確認
証明の提出を要求できる。
第 41 条 電子データの内容を用って事案の事実を証明する際、税務機関は、以下の方式により証拠を取得することがで
きる。
(一) 提出者に、電子データをプリントアウトさせ、ハードコピーにデータ出展とプリント場所を記載させ、「電子データと照
合し、相違ない」と注記させて、署名させる。
(二) 有形媒体の形式で電子データを固定し、調査官と電子データの提出者の指定した人員が共同で、読み込みのみ可
能なメモリーに電子データを保存し封印する。保存包装物には、電子データ名称、作成方法、作成時期、作成人員、ファ
イルフォーマット及びサイズ等を注記し、さらに、「原本媒体に記録された電子データと照合し、相違ない」と記載して、電
子データの提供者が署名する。
第 42 条 税務機関は、特別納税調査の実施にあたり、法に定められた権利と手続きに従い、現場調査、帳簿資料の取
り寄せ、インタビュー、預金口座又は貯蓄預金の調査、通信による協同調査、国際租税情報交換、出向調査等の方式を
採用することができる。
電子情報システムにより管理と決算を行う調査対象企業に対し、税務機関は、租税徴収管理法及び租税徴収管理法実
施細則の規定に基づき、関連する税にかかわる資料の提供を要求することができる。
第 43 条 税務機関は、特別納税調査の実施にあたり、法に定められた権利と手続きに従い、調査し、証拠を入手し、事
案の事実を証明できる証拠材料を収集しなければならない。事案に関わる状況と資料は、記録、録音、ビデオ撮影、写真
撮影、と複製をすることができる。
調査し、証拠を入手する際には、記録内容につき、2 名以上の調査官が署名し、調査対象企業の確認と押印を経なけれ
ばならない。録音、ビデオ撮影、写真撮影の前には、当事者に知らせなければならない。
第 44 条 税務機関は、過去年度の帳簿、会計証憑、財務会計報告とその他の関連資料を取り寄せて調べる必要がある
場合、県レベル以上の税務局(分局)の局長の許可を得なければならない。調査対象企業に『帳簿資料取り寄せ通知書』
を交付し、『帳簿資料取り寄せリスト』に記入して交付し、照合後に確認の署名をする。取り寄せた資料は 3 ヶ月内に返却
しなければならない。
第 45 条 インタビューは 2 名以上の調査官により実施しなければならない。『インタビュー(調査)記録』の記録者を設け、
『インタビュー(調査)記録』をインタビューを受けた人物に渡し、照合し相違ない確認を受けた後、インタビューを受けた人
物により確認の署名をする。インタビューを受けた人物が署名を拒否する場合、2 名以上の調査官が署名、届け出をし、
さらに当事者の拒否の理由を注記すればよい。
第 46 条 当事者、証人の証言が必要な場合、事実に基づき状況を説明しない場合の法律責任について、事前に、当事
者、証言者に知らせなければならない。当事者、証人の証言は、書面或いは口頭により、陳述或いは証言の提供を行う
ことができる。当事者、証言人が口頭で陳述或いは証言を提供する場合、調査官は記録を取ることができる。陳述もしく
は証言は、陳述者或いは証人がページごとに署名しなければならない。
証言には、当事者、証人の氏名、年齢、性別、職業、住所等の基本状況、証言の提供日を明記して、居住身分証明のコ
ピー等の当事者、証人の身分を証明する文件を添付しなければならない。
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当事者、証人が、口頭で、陳述もしくは証言の変更を提出する場合、調査官は、変更部分について、あらためて記録を作
成し、要因を注記し、当事者、証人は、ページごとに押印しなければならない。当事者、証人が書面で陳述或いは証言を
変更する場合にも、原本の差し戻しはしない。
第 47 条 調査対象企業の最終持株企業が国外に所在し、当該最終持株企業がその所在地国の規定に従い国別報告
書の作成義務があり、かつ、調査対象企業が国別報告書の範囲内に含まれる場合、下記のいずれかの条件に満たす場
合、税務機関は調査対象企業に国別報告書を要求することができる。
(一)多国籍企業の国外最終持株企業がその所在地国の税務機関に国別報告書を提出しておらず、かつ、その他の企
業を、国別報告書を提出するための最終持株企業の代理として指定していない。
(二)多国籍企業が既に国別報告書を提出済みであるが、国別報告書の受取国と中国が国別報告書の自動情報交換条
項を含む協定等を締結していない。
(三)多国籍企業が既に国別報告書を提出済みであり、かつ、国別報告書の受取国と中国との間で本条(二)に記載する
協定等を締結されているが、国別報告書が実際には中国へ交換されるに至っていない。
第 48 条 税務機関は調査対象企業の年度関連者間取引報告表と関連する資料を踏まえ、その関連者との関連関係及
び関連取引の金額を確認し、『関連関係認定表』と『関連取引認定表』を記入し、調査対象企業が確認をして、署名する。
調査対象企業が確認を拒否する場合、2 名以上の調査官が署名し届け出、さらに調査対象企業の拒否理由を注記する。
第 49 条 調査対象企業が特別納税調整に関する資料を提供しないか、或いは虚偽、不完全な資料を提供する場合、税
務機関は、既に入手した一部のデータに基づき、全体のデータを合理的に推定し、法律に従ってみなし調整する権利が
ある。
第 50 条 国内関連者との取引は、暫定的に、本弁法を適用しない。
第 51 条 税務機関は、企業とその関連者が締結した関連取引の契約書に対して調査審査する際、契約上の関連取引
が比較可能な経済条件において第三者との間では発生しえないことが分かった場合、当該関連取引を否定或いは再構
築することができる。
企業の履行した機能或いは負担したリスクが独立企業が進んで負担するであろう程度を超過する部分については、その
関連者から合理的な補償を受けなければならない。
第 52 条 税務機関は、本弁法第 4 章に規定する移転価格方法を用いて、調査対象企業の関連取引が独立企業原則に
合致するか否かを分析、評価する際、公開データを使用することも、非公開データを使用することもできる。
第 53 条 税務機関は、調査対象企業の関連者間取引を分析、評価するために、公開データもしくは非公開データから比
較対象を選定する際、比較対象の質を優先しなければならない。比較可能性が非常に高い状況においては、比較対象
は 1 つで構わない。税務機関は、単純平均、加重平均、四分位範囲法等の合理的な統計方法を採用して、年度ごと或い
は複数年度を合わせて、選定された比較対象企業の平均値或いは中位値を計算し、比較対象利益水準或いは比較対
象価格とすることができる。
税務機関は、実際の状況に応じて、比較対象となる利益水準或いは価格をに基づき、調査対象企業の各年度の関連取
引に対して、年度ごと或いは複数年度を統一して調整することができる。
第 54 条 税務機関が四分位法を用いて調査対象企業に対して特別納税調整を実施する際、調査対象企業の利益水準
が比較対象の中位値を下回る場合、中位値を下回らないよう調整しなければならない。
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第 55 条 税務機関は、関連取引を分析、評価する際、本弁法第 56 条の規定を除き、運転資本の使用が異なることによ
り生じる利益の差異に対しては調整を行わない。
第 56 条 税務機関は、関連者に対し来料加工サービスを提供している調査対象企業を分析、評価する際、無償で輸入
された原材料及び設備の価値を還元させなければならない。企業が来料加工製品のサプライチェーン全体に関わる真実
かつ完全な資料を提出し、各関連者の総体的な利益水準が反映されている場合、税務機関は、調査対象企業と比較対
象の運転資本の使用の違いにより生じる利益の差異に対して、10%を超えない範囲で比較可能性の調整を行うことがで
きる。
第 57 条 税務機関は、調査対象企業の関連者間取引を審査する際に、コストセービング、マーケットプレミアム等の地域
性特殊要因を分析し、かつ、調査対象企業がもたらした価格外の利益を合理的な方法を用いて確定しなければならない。
第 58 条 国外関連者に対して、来料加工或いは進料加工等の簡単な生産、簡単な代理販売、委託研究開発を提供す
る企業は、戦略決定の誤り、稼動率の不足、製品の販売不振、研究の失敗等に起因するリスク及び損失を負担すべきで
はなく、合理的な利益水準を確保しなければならない。
第 59 条 調査対象企業とその関連者の間での受取代金と支払代金の取引を相殺した場合、税務機関は、比較可能性
分析と特別納税調整の際、相殺した取引を還元しなければならない。
第 60 条 機能を履行せず、リスクを負担しない、実質的な経営活動のない国外関連者に対して企業が支払う費用につい
て、税務機関は、特別納税調整を実施する権利を有し、企業の課税所得額の計算時に損金算入しない。
第 61 条 低税負担国において簡単な機能を履行し、限定的なリスクを負担する関連者との間で企業が関連取引を行う
場合、税務機関は、当該関連者を検証対象とすることができる。
第 62 条 国境を跨ぐ取引がある企業にかかる税務登記抹消の前には、税務機関は、特別納税調整リスク分析を実施し、
低価格もしくは無償で国外へ無形資産を譲渡している状況の有無に特に注意する。本弁法の関連規定に合致しない場
合、特別納税調査及び調整を実施する。
第 63 条 調査を経て、企業の関連取引が独立企業原則に合致しないことが発見されていない場合、或いは、被支配外
国企業が合理的ではないビジネス上の必要のために利益分配を行わないか、利益分配を減少させていることが発見さ
れていない場合、もしくは、その他の合理的なビジネス上の目的のない計画を実施し、課税収入もしくは所得額を減少、
免除、繰延べさせたことが発見されていない場合、税務機関は、特別納税調整を実施せずに事案を終結させる。事案終
結を確定させる場合、税務機関は特別納税調査結論を出し、企業に対して『特別納税調査結論通知書』を送付しなけれ
ばならない。
第 64 条 調査を経て、企業の関連取引が独立企業原則に合致していないことが発見されたか、被支配外国企業が合理
的ではないビジネス上の必要のために利益分配を行わないか、利益分配を減少させたことが発見されたか、その他の合
理的なビジネス上の目的のない計画を実施し、課税収入もしくは所得額を減少、免除、繰り延べさせたことが発見された
場合、税務機関は以下の手続きに従って特別納税調整を行う。
(一) 試算、検討と比較可能性分析に基づき、特別納税調査初歩調整案を作成する。
(二)初歩調整案に基づき、企業と協議する。双方は主たる協議者を指定する。調査官は『協議内容記録』を作成し、双方
の主たる協議者が署名して確認する。企業が署名を拒否する場合、調査官 2 名以上が署名し届け出る。企業が協議を
拒否する場合、税務機関は、企業に『特別納税調査初歩調整通知書』を送付する。
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(三)協議の過程において、企業は、初歩調整案に対して異議がある場合、税務機関が規定する期限までに、さらに関連
する資料を提出しなければならない。税務機関は、資料を受領後、十分に審査し、適時に審査結論を出す。
(四)審査により事案終結が確定した場合、企業に対して『特別納税調査初歩調整通知書』を送付する。企業は、初歩調
整意見に対して異議がある場合、通知書を受け取った日から 7 日以内に書面を提出しなければならない。税務機関は、
企業の意見を受け取った後、再度、協議、審査を行う。企業が期限を過ぎても異議を提出しない場合、初歩調整意見に
同意したものとみなす。
(五)企業は、『特別納税調査初歩調整通知書』の受領後、異議を提出しない場合、異議を提出後に協議を拒否する場合、
或いは異議を提出するが税務機関の審査後に採用されない場合、税務機関は企業に『特別納税調査調整通知書』を交
付する。
第 65 条 企業は、『特別納税調査調整通知書』を受領後、税務機関の規定した期限内に税金を納付し、対応する財務帳
簿の調整を行わなければならない。対応する財務帳簿の調整を行わない場合、加算調整された課税所得額については、
納税者の投資者に対する利益分配の決定とみなし、関連規定により課税する。
主管税務機関は、対応する財務帳簿の調整により加算された課税所得額の振込み状況を適時に追跡確認しなければな
らず、期限内の振込みを命じることができる。期限を過ぎても振込まない場合、上述の対応する財務帳簿の調整を行なっ
ていないとみなす。
人民元以外の通貨で加算調整された課税所得額を振り込む場合、加算調整された課税所得額を基準とし、振り込み日
当日の人民元為替レートの中間値に基づき、振り込む必要のある外貨建て金額を計算する。
第 66 条 企業は、『特別納税調査調整通知書』を受領後、納税調整に対して異議がない場合、或いは、異議があり、行
政不服審査、行政訴訟等の法的な救済手続きを申請する場合、調整が最終確定された後、『特別納税調査調整通知書』
を発行する税務機関以外の他の主管税務機関に対して、適時に特別納税調整項目に関わるその他の納付すべき税費
用を自ら申告納付しなければならない。
企業が適時に、自ら申告納付をしない場合、当該他の主管税務機関が規定に従い、規定された期限内に申告納付する
ことを命じる。申告納付の期限超過する場合、関連する規定に従い、処理する。
第 67 条 税務機関は、企業に対して実施する特別納税調整が、企業が国外関連者へ支払う利息、賃貸料、特許権使用
費に関わる場合、既に源泉した税金を減額することはできない。
第 68 条 企業の関連取引が独立企業原則に合致していないか、被支配外国企業が合理的ではないビジネス上の必要
のために利益分配しない又は分配を減少させるか、或いはその他の合理的なビジネス目的のない計画を実施して、課税
収入又は所得額を減少、免除、繰り延べさせる場合、税務機関は、当該業務が発生した納税年度から 10 年以内、特別
納税調整を実施する権利がある。上述した 10 年以内とは、当該業務が発生した納税年度終了後の翌年 6 月 1 日から
『税務検査通知書』が送達された日までの 10 年以内である。
第 6 章 無形資産
第 69 条 本弁法でで総称する無形資産とは、納税者が経営活動において所有又はコントロールする実物形態のない非
金融資産であり、かつ、第三者が比較可能な条件下で、当該資産の所有権又は使用権を取得するために進んで支払い
をするものであり、通常、以下を含む。
(一)
技術に関する無形資産:例えば、特許、技術ノウハウ、商業秘密等。
(二)
市場に関する無形資産:例えば、商標、ブランド、顧客リスト、販売ルート、市場調査の成果、特許経営権、政府
許可等。
(三)
その他の類型
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第70条 無形資産の所有権者には法的所有者と経済的所有者が含まれる。
無形資産の法的所有者は、合法的な登録、契約約定等を通じて、確定された無形資産の所有者である。
無形資産の経済的所有者は、無形資産の価値創出に実質的な貢献のある経済活動の参加者である。即ち、無形資産
の開発、価値上昇、維持、保護及び応用とプロモーション等の活動において、実際に機能を履行し、資源を投入し、リスク
を負担する組織或いは個人である。
第 71 条 無形資産による収益には、無形資産の使用、無形資産の使用権又は所有権の譲渡によって獲得した収益を
含む。
第72条 無形資産による収益の配分は、経済活動と価値貢献に合致すべきである。各関連者が無形資産の開発、価値
上昇、維持、保護、応用とプロモーション等の活動の中において果たした機能、使用した資産、負担したリスク及び投入し
た必要となる資金、人材と他の資源により、無形資産の価値の実現方式を考慮し、各者の無形資産の価値に対する貢献
の程度を判定し、各者の間で分配する。
(一)
無形資産の価値創出に貢献する重要な機能には、研究開発プロジェクトの管理とコントロール、マーケティング
案の設計、創造的な活動の指導と企画、研究開発活動の実施、市場情報の収集と分析、販売ルートの構築、
顧客関係の管理、ブランドの宣伝プロモーション、ブランドの維持及び現地化応用開発、製品の試作、量産の実
現、品質のコントロール等の活動が含まれる。
(二)
無形資産の形成と使用の過程におけるリスクには、研究開発とマーケティングの失敗リスク、製品が時代遅れ
となるリスク、権利侵害リスクと無形資産に関する製品或いはサービスの責任リスクが含まれる。
(三)
無形資産の形成と使用の過程において、資金のみを提供し、関連する機能を実際に履行せず、対応するリスク
を負担しない参加者は、資本コストに対する合理的なリターンのみを取得する。無形資産の法的所有権のみを
有し、無形資産の価値創出に貢献しない場合、無形資産による収益の分配に関与すべきではない。
(四)
経済的所有者が獲得すべき対価の算定にあたっては、技術に関する無形資産については、技術要素の価値
創造への貢献を十分に考慮すべきである。市場に関する無形資産については、市場要素及び現地化活動の価
値創造への貢献を十分に考慮すべきである。
第73条 無形資産による収益を確定する際には、企業が所属するグループのグローバルな運営フロー、無形資産とグロ
ーバルな業務のその他の機能、資産とリスクの相互作用、マーケティングプレミアム、コストセービング等の地域性特殊
要因と企業の所属するグループ内部のシナジー効果等による価値創造の要素を全面的に分析し、合理的な分配を行う
べきである。
第74条 無形資産が各関連者にもたらす収益の計量にあたっては、独立価格比準法、利益分割法と他の合理的な方法
を採用できる。これには価値貢献分配法と資産評価方法等を含む。
第75条 関連者間で、無形資産の使用権を譲り受けるために支払った特許権使用料は、以下の状況に基づき、その支
払金額を適時に調整すべきである。
(一)
無形資産の価値に根本的な変化が生じた場合。
(二)
ビジネス慣例による取引契約には特許権使用料の調整メカニズムが存在する場合。
(三)
無形資産の使用の過程において、取引の各当事者が履行する機能、使用する資産と負担するリスクに変化が
生じた場合。
(四)
無形資産を受け手が無形資産に対して、継続的開発、価値上昇、維持、保護、応用とプロモーションを行う場合。
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第 76 条 関連者間で無形資産の使用権を譲り受けるために支払った特許権使用料は、当該無形資産が使用者にもた
らした経済利益に相応すべきである。企業に経済利益をもたらさない無形資産について、企業が支払った特許権使用料
につき、税務機関は、特別納税調整を実施する権利があり、企業の課税所得額の計算上、損金算入してはならない。
低税負担国に設立し、かつ、経済実質のない持株会社が、その保有する中国国内企業の株式を対価として無形資産を
購入する場合、当該無形資産の経済的所有権は中国国内の企業に帰属する。当該取引で生じた関連費用は中国国内
の企業が計上できる。中国国内企業が当該無形資産について持株会社に特許権使用料を支払う場合、税務機関は、特
別納税調整を実施す権利があり、企業の課税所得額の計算上、損金算入してはならない。
第 77 条 無形資産の所有権の譲渡収益は、無形資産の所有権の譲渡価格から無形資産に関するコスト及び譲渡の過
程で生じる支出を控除した差額である。
無形資産所有権の譲渡価格を確定する際、収益法、市場法、コスト法等の資産評価方法を採用することができる。
無形資産に関するコストは、企業所得税法及び企業所得税法実施条例の関連規定により処理する。
第 78 条 技術に関する無形資産の開発と譲渡は、コストシェアリング協議の方式を通じて完成できる。
関連者がコストシェアリング協議の方式により、無形資産を共同開発し、譲り受ける場合、同時に本弁法の第九章の関連
規定により処理する。
第 7 章 グループ内役務
第 79 条 企業は、その関連者との間で役務取引が生じ、対価を支払うか、受領する場合、以下の条件を同時に満たさな
ければならない。
(一)当該役務は受益性のある役務に属する。
(二)対価の支払い或いは受取りが独立企業原則に合致する。
第 80 条 受益性のある役務とは、役務の受け手に直接或いは間接的に経済利益をもたらし、かつ、独立企業が同様或
いは類似する状況下で、進んで購入する或いは実施する役務活動である。
以下の状況は対価性のある役務に属さない。
(一)役務の受け手がすでに第三者から購入したか、或いはすでに自ら実施しているにもかかわらず、役務提供者が依然
として提供する役務活動。
(二)役務提供者が、その直接或いは間接的な投資者としての投資利益を保障するために、役務の受け手に実施するコ
ントロール、管理と監督等の役務活動。董事会、株主会、監事会と株券の発行等の一連の株主の役務活動。投資者、グ
ループ本部と地域本部の経営報告或いは財務報告の作成と分析に関する一連の役務活動。投資者、グループ本部と地
域本部の経営及び資本運営に関する融資活動、及びグループの戦略策定、監督、コントロール、コンプライアンスのため
に実施するその他の財務、税務、人事、法務等の役務活動。
(三)一方があるグループに所属することにより価格外の収益を獲得したが、他方からこれに対する具体的な役務活動の
実施を受けていない。一方に資源整理による効果と規模による効果をもたらす法律形式の変更、債務再編、持分買収、
資産買収、合併、分割等のグループ再編活動。他方が運営する商業不動産プロジェクトにより、一方にもたらされる不動
産或いは土地使用権の価格上昇等の利益に関する役務活動。グループの信用格付けの上昇により一方に融資コストの
減少等の利益をもたらす役務活動。その他の類似する状況。
(四)役務提供者がすでに役務の受け手とのその他の関連取引により補償を得ている役務活動。特許権使用費によりす
でに補償を得ている専有技術又は特許技術の許諾に関する技術役務。貸付利息から補償を受けている貸付に関する金
融サービス。その他の類似状況を含む。
(五)役務の受け手が負担する機能とリスクに関係しないか、或いは役務の受け手の経営需要に合わない役務活動。
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(六)その他の直接或いは間接的に経済利益をもたらさない役務活動、或いは独立企業が自ら進んで購入しないか、或
いは実施しない役務活動。
第 81 条 受益性のある役務の価格設定にあたっては、役務の具体的な内容と特性、役務の提供者の機能及びコスト、
役務の受け手の受益状況、市場環境、取引当事者双方の財務状況、及び役務の独立第三者の提供する類似する役務
の価格設定状況等の要素を考慮し、本弁法第四章の規定により合理的な価格設定方法選択し、かつ、以下の原則に従
わなければならない。
(一)役務の提供者が関連者へ役務を提供し、それぞれの役務の受け手と労務プロジェクトを採算単位として、役務コスト
を集計できる場合、合理的なコストに合理的な利益を加算して、取引価格を確定する。
(二)役務の提供者が関連者へ役務を提供し、それぞれの役務の受け手と労務プロジェクトを採算単位として、役務コスト
を集計できない場合、総コストに合理的な利益を加算して、合理的な基準と比率で各役務の受け手に配賦し、取引価格
を確定する。対価性のある役務に属さない関連コストは配賦の基礎に含めてはならない。配賦基準は、役務の性質に基
づき合理的に確定する。営業収入、営業資産、人員数、人員給与、設備使用量、データ量、作業時間及びその他の合理
的な指標を採用できる。配賦結果は労務の受け手の受益の程度に匹敵しなければならない。
第 82 条 企業の関連者への支払いが受益性のある役務の対価に該当しない場合、税務機関は、特別納税調整を実施
する権利があり、企業の課税所得額の計算時に損金算入することはできない。
企業の関連者への支払い又は受取りが受益性のある役務に該当するが、独立企業原則に則っていない場合、税務機関
は、合理的な移転価格方法を選定して調整する権利を持つ。
第 83 条 企業は以下の特殊事項ファイルを準備、保存し、かつ、税務機関の要求に基づき提出しなければならない。
(一)関連する契約若しくは協議、及び役務の真実性を証明する資料。
(二)役務の具体的な内容、特性と展開の方式、対価の支払形式と金額、役務の受け手の受益状況。
(三)役務のコスト費用の集計及び照合方式。コスト費用の集計方法、プロジェクトと金額、配賦基準、指標と比率の計算
過程を含む。
(四)役務の価格設定方法と当該価格設定方法を選択した理由、その他の当該価格設定方法に関する状況。
(五)企業もしくはこれが所属するグループに非関連者との間で同様もしくは類似するサービス取引が存在するか否か。
存在する場合、その非関連者との間でのサービス取引の価格設定方式と方法について、詳細に説明すること。
(六)企業が所属するグループの役務の価格設定方法及び各関連者が負担する具体的な金額。
第 84 条 企業はコストシェリング協議を採用し、役務を提供また受ける場合、同時に、本弁法第 9 章の規定を適用する。
第八章 事前確認制度
第85条 企業は、将来年度の関連取引における価格設定方針及び計算方法について、税務機関と事前確認を締結する
ことができる。事前確認制度は特殊納税調整事項を担当する主管税務機関が受理する。
第86条 事前確認の交渉、締結及び実施には、通常、予備会談、正式申請、審査及び評価、協議、締結、実施監督の6
つの段階がある。事前確認制度は、国内、二国間及び多国間の3つの類型を含む。
第87条 事前確認は、企業が正式申請を提出した年度の翌年から起算して3年から5年の連続した年度における関連取
引に適用される。
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事前確認の締結は、企業が事前確認の申請を正式に書面で提出した年度及びそれ以前の年度の関連取引に対する特
別納税調査の調整及び監視管理に影響を与えない。
申請年度及びそれ以前の年度の関連取引が事前確認制度の適用年度と同じ或いは類似する場合、企業の申請により、
当該関連取引の発生した納税年度終了後の翌年の6月1日から、税務機関が企業に正式会談通知を送達した日までの
期間が10年を超えない場合、税務機関は、事前確認制度により確定された価格設定方針と計算方法を当該関連取引の
評価と調整に適用することができる。
第88条 企業は、事前確認を正式に申請する前に、税務機関に書面により意向を提出しなければならない。税務機関は
企業の書面による要求に基づき、企業と事前確認の関連内容及び実行可能性について予備会談を行うことができ、『事
前確認会談議事録』に記入する。予備会談は匿名の方式で進めることもできる。
(一)企業が国内事前確認を申請する場合、税務機関に対して書面により意向を提出し、同時に、税務機関に事前確認
の申請草案を提出し、税務機関と予備会談を行う。事前確認申請草案には以下の内容を含めなければならない。
1. 関連するグループの組織構成、企業の内部組織、関連関係、関連取引の状況。
2. 企業の直近5年間の財務諸表、製品、機能及び資産に関する資料。
3. 事前確認に関わる関連取引の種類及び納税年度。
4. 関連者間の機能及びリスクの分担状況(分担の根拠となる機構、人員、費用、資産等を含む)
5. 事前確認に適用する価格決定方針及び計算方法、ならびに当該方針と方法を裏付ける機能リスク分析、比較可能性
分析及び前提条件等。
6. 市場状況の説明。業界の発展趨勢及び競争環境を含む。
7. 事前確認期間の年度の経営規模、経営業績予測及び経営計画等。
8. 協議に関わる関連取引、経営計画、及び利益水準等の情報。
9. 二重課税等の問題が生じるか否か。
10. 国内及び国外の関連法律、租税条約等に関わる問題。
(二)二国間或いは多国間事前確認の場合、企業は、同時に、国家税務総局と主管税務機関に書面で意向を提出し、ま
た、同時に、事前確認の申請草案を提出しなければならない。国家税務総局が企業との予備会談を手配する。事前確認
の申請草案及び予備会議の内容は、本条第(一)項の内容以外に、さらに以下の内容も含む。
1.租税条約締結相手の主管税務当局に対する事前確認申請の提出状況。
2.協議に関わる関連者の直近5年間の生産経営状況及び関連取引の状況。
3.租税条約締結相手の主管税務当局に提出した事前確認において採用予定の価格設定方針と計算方法。
(三)予備会談期間、税務機関は、企業に補足情報の提出を要求し、企業の経営計画、発展趨勢、経営範囲等に関する
文書資料を分析、評価し、特に、フィージビリティスタディ報告書、投資予算と決算、董事会決議等を重点的に審査し、経
営業績に関する情報及び資料(例えば財務諸表、監査報告書等)を総合的に分析することができる。
(四)予備会談の期間、税務機関は、企業の機能とリスクについてインタビューすることができる。
(五)税務機関は予備会談で企業の関連取引の事実認定及び移転価格方法の選定について最終意見が合意した日から
15 日以内に、事前確認協議の関連事項について正式な交渉を行うことができるか否かを、書面の形式で企業に通知し
なければならず、企業に『税務事項通知書』を送付する。予備会談で意見が一致せず、企業の事前確認申請を拒否する
場合、その理由を説明し、事前確認手続きの中止とみなす。
第89条 企業は、税務機関の正式交渉に関する通知を受け取った日から3 ヶ月以内に、事前確認申請草案の書式及び
予備会談で合意した意見に基づき、事前確認の正式な申請報告書を税務機関に書面で提出し、かつ、『事前確認制度正
式申請書』を提出する。企業の申請が二国間或いは多国間事前確認に関わる場合、『事前確認制度正式申請書』と『租
税協定相互協議プロセス開始申請表』を同時に国家税務総局と主管税務機関に提出しなければならない。
以下のような特別な原因により、企業が期限までに申請報告書を提出することができない場合、税務機関に書面により
期限延長申請を提出することができ、『事前確認制度正式申請の延長申請書』を提出する。
(一)一部の資料を特別に準備する必要がある場合。
(二)資料に技術的な処理(例えば翻訳等)をする必要がある場合。
(三)その他の非主観的な原因。
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税務機関は、企業から書面による期限延長申請を受け取ってから15 日以内に、その延長事項に書面で回答し、企業に
『税務事項通知書』を送付する。期限を過ぎても回答しない場合、税務機関は企業の期限延長申請に同意したものとみ
なす。
企業が提出期限内に書面による申請報告を提出せず、かつ、延長申請も提出しない場合、企業が事前確認を中止したと
みなす。
第90条 税務機関は、企業の事前確認に関する正式な書面申請及び必要な文書、資料を受領後、審査と評価を行わな
ければならない。審査と評価の具体的な状況に基づき、企業に関連資料の補充を要求する。税務機関は、以下の面から
審査及び評価をすることができる。
(一)機能及びリスクの状況。企業と関連者の供給、生産、輸送、販売等の各段階及び無形資産の研究、開発等に関す
る各自の分担、担う機能及び在庫、与信、為替、市場等に関して負うリスクを分析、評価する。
(二)比較対象情報。企業の提出した国内外の比較対象価格情報を分析、評価し、比較対象と申請企業の実質的な差異
を説明し、調整を行う。比較対象取引或いは経営活動の合理性を確認できない場合は、適用する価格設定方針及び計
算方法が審査対象である関連取引及び経営の現状を公正に反映していることを証明し、かつ財務及び経営等の資料の
真実性を立証するために、企業がさらに提出すべき資料を明確にしなければならない。
(三)前提条件。業界の利益獲得能力及び企業の生産経営に対する影響要因、度合を分析、評価して、事前確認に適用
する前提条件を合理的に決定する。
(四)価格設定方針及び計算方法。企業が事前確認において適用する価格設定方針及び計算方法が過去、現在及び将
来年度の関連取引に運用されているか否か、どのように現実に運用されているか、また関連する財務、経営資料からみ
て、法律、法規の規定に合致しているかを分析、評価する。
(五)予測される独立企業間価格或いは利益の範囲。確定した比較対象価格、利益率、比較対象の取引等をさらに審査、
評価し、税務機関と企業が受入可能な価格或いは利益の範囲を算定する。
第91条 税務機関は、国内事前確認の審査評価の状況を踏まえて、事前確認について企業と協議する。協議により合意
した場合、事前確認の草案と審査評価報告書を合わせて、逐次、国家税務総局まで報告して審査を受けなければならな
い。
二国間或いは多国間事前確認については、国家税務総局が租税条約の締結相手国の税務主管当局と二国間或いは多
国間協議を展開し、合意した場合、事前確認の草案を作成する。
事前確認の草案には、以下の内容を含まなければならない。
(一) 関連者の名称、住所等の基本情報
(二) 事前確認に関わる関連取引及び適用年度
(三) 事前確認で選定した比較対象価格或いは取引、価格設定方針と計算方法、予測
される経営結果等
(四) 移転価格方法の運用及び計算の基礎に関する専門用語の定義
(五) 前提条件
(六) 年度報告、記録の保管、前提条件の変動通知等の企業の義務
(七) 事前確認の法的効力、文書資料等の情報の機密保持
(八) 相互責任条項
(九) 事前確認の修正
(十) 争議の解決方法及びルート
(十一) 発効日
(十二) 付則
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第92条 税務機関と企業は、国内事前確認の草案の内容に合意し、双方の法定代表者或いは法定代表者が授権した代
表者が、正式に国内事前確認を締結する。
国家税務総局と租税条約の締結相手国の税務主管当局が二国間或いは多国間事前確認の草案の内容に合意後、双
方或いは多国の税務主管当局の代表が、正式に二国間或いは多国間事前確認協議を締結する。主管税務機関は二国
間或いは多国間事前確認に基づき、企業と『二国間(多国間)事前確認執行協議書』を締結する。
事前確認が申請年度及び過去年度の関連取引に関する遡及調整に係わる場合、税務機関は、年度ごとに追徴税額或
いは還付税額を計算し、企業に『特別納税調査調整通知書』を送付する。
第93条 事前確認の締結前、主管税務機関と企業は交渉を一時停止、中止することができる。二国間或いは多国間事
前確認については、締約国双方の税務主管当局の協議により、事前確認プロセスを一時停止、中止することができる。
税務機関が事前確認プロセスを一時停止、中止する場合、企業に『税務事項通知書』を送付し、かつ、原因を説明する。
企業が事前確認プロセスを一時停止、中止する場合、税務機関に説明を提出しなければならない。
第94条 税務機関は、事前確認の実施状況を監督しなければならない。
(一) 事前確認の実施期間、企業は、協議に関する文書と資料(帳簿と関連記録等を含む)を完全に保管しなければなら
ず、紛失、処分又は移転してはならない。納税年度終了後5ヵ月以内に、事前確認の実施状況に関する年度報告を税務
機関に提出しなければならない。
年度報告には、報告期間における経営状況を説明し、かつ、事前確認の要求するすべての事項、及び当該事前確認を
改定或いは実質的な中止の要求の有無を含めて、事前確認の条項を遵守していることを証明しなければならない。未解
決の問題或いは発生し得る問題があれば、改定或いは中止するか否かについて税務機関と協議するために、企業はそ
れらを年度報告において説明しなければならない。
(二) 事前確認の実施期間において、税務機関は、定期的に企業の履行状況を検査しなければならない。検査内容は、
主に、企業が事前確認の条項及び要求を遵守しているか否か、締結のために提出した資料と年度報告が企業の実際の
経営状況を反映しているか否か、移転価格方法が依拠する資料及び計算方法は正確であるか否か、事前確認に記述さ
れた前提条件の前提はなお有効であるか否か、企業による移転価格方法の運用は前提条件の前提と一致しているか否
か等が含まれる。
企業に隠蔽或いは事前確認の不履行の状況があれば、税務機関は、事前確認を最初から無効とみなすことができ、か
つ、書面の形で企業に通知する。企業に事前確認に違反する状況があれば、状況に応じて処理し、場合によっては事前
確認を中止する。
税務機関は、事前確認を当初より無効或いは中止とみなし、企業に特別納税調査を実施する権利を有する。
(三)事前確認の実施期間中、納税者の実際の経営結果が、事前確認で確定した価格或いは利益レンジに収まらない場
合、税務機関は実際の経営結果を事前確認で確定した価格或いは利益レンジの中位値まで調整する権利を有する。事
前確認の実施期間が満了し、納税者の実施期間における実際の経営結果の加重平均値が、事前確認で確定した価格
或いは利益レンジの中位値を下回る場合、税務機関は実際の経営結果を事前確認で確定した価格或いは利益レンジの
中位値まで調整する権利を有する。
(四) 事前確認の実施期間中、事前確認に影響を与える何らかの実質的な変化が生じた場合(例えば前提条件に変化
が生じた場合)、企業は変化が生じた後30 日以内に、税務機関に書面で報告し、当該変化が事前確認の実施に与える
影響を詳細に説明するとともに、関連する資料を添付しなければならない。非主観的な理由により、期日内に報告するこ
とができない場合、報告期限を延長することができるが、延長期間は30日を超えてはならない。
税務機関は企業の書面報告を受け取った日から60 日以内に審査及び処理をしなければならない。これには、変化の状
況の審査、事前確認の条項と関連する条件の改定についての企業との協議、或いは、実質的な変化が事前確認に与え
る影響の度合に基づく、合理的な事前確認の改定又は中止等の措置を含む。元の事前確認の実施を中止する場合、税
務機関は、本章で規定する手続及び要求に従って、企業と新たな事前確認について再度、協議することができる。
(五) 事前確認が、関連する地区の国家税務局及び地方税務局と企業が共同で締結された場合、事前確認の実施期間
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において、企業は、国家税務局及び地方税務局のそれぞれに、事前確認の実施状況に関する年度報告及び変化の状
況報告を提出しなければならない。国家税務局及び地方税務局は、企業の事前確認の実施の状況について、協同で検
査及び審査を実行する。
第95条 税務機関は、以下の要素に基づき、企業の正式申請を優先的に受理することができる。
(一) 企業が提出した申請資料が整っており、バリューチェーン或いはサプライチェーン全体に対する分析が完全で明晰
であり、採用予定の価格設定方針と算定方法が適切であり、マーケットプレミアムとコストセービング等の地域性特殊要
因が考慮されている。
(二) 企業が積極的に税務機関の審査分析に協力する。
(三) 二国間事前確認の申請について、事案に関わる相手国(地区)の主管税務機関が強い締結意欲を持ち、事案に対
する重視の程度が高い。
第96条 税務機関は、以下の場合に、企業の事前確認の意向を拒否し、『税務事項通知書』を通じて企業に知らせること
ができる。
(一)企業が事前確認の意向を提出する前に、税務機関がすでに当該企業に対して特別納税調整の立案調査を展開し
ていた。
(二)企業が事前協議の継続締結を申請する場合に、元の事前確認に四分範囲範囲が採用されていたが、実施期間中
の加重平均の利益水準が中位値以下であった。
(三)同時文書を準備すべきだが、準備していない。
(四)関連取引に関わる申告を行うべきだが、行っていない。
第97条 税務機関は、以下の場合、企業の事前確認の正式申請を拒否する権利がある。
(一)企業の提出した事前確認案が独立企業原則に合致していない。
(二)予備会談において双方の意見が一致しない。
(三)企業が関連する資料の提出を拒否したか、或いは提出した資料が税務機関の要求に合致せず、かつ、補足又は修
正を行わない。
(四)企業が、税務機関の機能リスクに関する現場インタビューに協力しない。
(五)その他の事前確認をが適用されない状況。
第98条 事前確認は期限満了後、自動的に失効する。企業に継続申請の必要がある場合、事前確認の期限満了前の
90日内に、主管税務機関に継続申請の意向を提出する。
第99条 国内事前協議が同時に二つ以上の省、自治区、直轄市及び計画単列市の税務機関に係る場合、或いは同時
に国家税務局と地方税務局に係る場合、グループは、その中国国内のいずれかの企業を代表として指定することができ、
当該企業の主管税務機関が受理を担当する機関となり、国家税務総局が統一的に協調を手配する。
国家税務総局は、統一的に企業と事前確認を締結することも、また、関連する税務機関にそれぞれの企業と事前確認を
締結させることもできる。
第100条 税務機関が企業と合意した事前確認については、企業が事前確認のすべての条項及び要求を遵守している限
り、各地の国家税務局、地方税務局はこれを執行しなければならない。
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第101条 税務機関と企業が、事前確認の予備会談、正式交渉、審査、分析等の全過程において取得した、或いは入手
したすべての情報、資料について、双方とも守秘義務を負う。税務機関と企業の毎回の会談には、会談内容を書面で記
録し、会談において相互に提供した資料の部数と内容を記載し、双方の主たる協議者が署名或いは捺印しなければなら
ない。
第102条 税務機関と企業が事前確認の合意に至らなかった場合、税務機関は、会談、協議の過程で取得した企業の提
案、推論、概念及び判断等の事実ではない情報を、当該事前確認に関わる取引行為に対する以後の税務調査に用いて
はならない。
第103条 事前確認の実施期間において、税務機関と企業に見解の相違が生じた場合、双方は協議しなければならない。
協議によって解決できない場合、1 つ上級の税務機関に報告し、協調を図る。二国間及び多国間事前確認の場合、逐次、
国家税務総局まで報告をし、協調を図る。1つ上級の税務機関或いは国家税務総局が協調を図った結果或いは決定を、
下級の税務機関は実行しなければならない。ただし、企業がなお受け入れない場合、事前確認の実施を中止しなければ
ならない。
第 9 章 コストシェアリング協議
第 104 条 企業とその関連者がコストシェアリング協議を締結し、無形資産を共同で開発するか、無形資産を譲り受ける
か、或いは役務を共同で提供するか、役務の提供を受ける場合、本章の規定に従わなければならない。
第 105 条 コストシェアリング協議の参加者は、開発或いは譲渡を受ける無形資産又は役務活動に対して受益権を有し、
これに対応する活動コストを負担する。参加者は協議の成果を共同で保有する。
コストシェアリング協議により開発されたか譲り受けた無形資産について、参加者は、特許権使用費を支払う必要がない。
企業は、その間連者とコストを分担する際、コストとその予測収益の相応性を確保しなければならない。コストの確定にあ
たっては、地域性特殊要因の影響を分析、評価しなければならない。
第 106 条 コストシェアリング協議に関わる無形資産或いは役務の予測収益は、合理的なビジネスの仮説と事業慣行を
基礎に合理的に計算しなければならない。
予測収益を計算するパラメータは無形資産或いは役務の特徴を反映すべきである。一旦選定した場合、特殊な状況がな
い限り変更してはならない。
第 107 条 役務に関するコストシェアリング協議は、一般的に、集中購買及びグループマーケティング戦略に適用される。
第 108 条 コストシェアリング協議には主に以下の内容を含む。
(一) 参加者の名称、所在国、関連関係、協議における権利、義務。
(二) コストシェアリング協議に関わる無形資産或いは役務の内容、範囲、協議に関わる研究開発或いは役務活動の具
体的な負担者及びその機能、リスク。
(三) 協議期間。
(四) 参加者の予測収益の計算方法及び仮設条件、予測収益を計算するパラメータの選定理由と計算方法。
(五) 参加者の初期投入、継続コストの支払金額、形式、価値確認の方法及び独立企業原則に合致する説明。
(六) 参加者の会計原則の運用及び調整の説明。
(七) 実際収益と予測収益の差異の調整方法。
(八) 参加者の協議への加入或いは脱退の手続及び処理に関する規定。
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(九) 参加者間の補償の支払い条件及び処理に関する規定。
(十) 協議の変更或いは中止の条件及び処理に関する規定。
(十一) 協議の参加者以外が協議の成果を使用する場合の規定。
第 109 条 コストシェアリング協議を締結した企業は、コストシェアリングを締結(変更)日から 30 日以内に、主管税務機
関にコストシェアリング協議のコピー等の関連資料を提出しなければならない。
第 110 条 税務機関はコストシェアリングの後続管理を強化する。重点的に以下の内容に注目する。
(一) 参加者が負担する具体的な機能及びリスク。
(二) 参加者により投入されたコストの確認、算定。
(三) 参加者が予測収益を計算する仮設条件、パラメータと方法。
(四) 新規の参加者が協議に参加するための対価基準。
(五)既存の参加者が協議を脱退する補償基準。
(六)参加者の変更後の各参加者の受益権とコスト分担基準の変化。
(七)実際収益と予測収益に重大な差異が存在する場合の調整方法。
独立企業原則に合致しない場合、税務機関は特別納税調整を実施する権利を有する。
第 111 条 コストシェアリング協議の実施期間において発生した補償調整の金額は、補償調整年度の課税所得額に計
上すべきである。無形資産にかかわる場合、企業所得税法及び企業所得税法実施条例の資産に関する規定により税務
処理を行う。
第 112 条 企業は、本弁法第 8 章の規定により、事前確認の方式を採用してコストシェアリング協議を締結することがで
きる。
第 113 条 コストシェアリング協議の実施期間において、企業は以下の特殊事項文書を準備、保存し、税務機関の要求
に従って提供しなければならない。
(一) コストシェアリング協議書の副本。
(二) コストシェアリング協議の各参加者の間で締結された、当該協議を実施するためのその他の協議書。
(三) 協議の参加者以外による協議の成果の使用状況、支払金額及び形式、また各参加者間において支払金額の配分
方式。
(四) 当年度のコストシェアリング協議の参加者の加入或いは脱退の状況。加入或いは脱退した参加者の名称、所在国、
関連関係、加入支払或いは脱退補償の金額、形式を含む。
(五) コストシェアリング協議の変更或いは中止の状況。変更或いは中止の原因、形成された協議の成果に対する処理
或いは配分を含む。
(六) 当年度のコストシェアリング協議に従って発生したコスト総額及び構成状況。
(七) 当年度の各参加者のコスト分配の状況。コストの支払い金額、形成、対象、支払った或いは受け取った補償調整の
金額、形成、対象を含む。
(八) 当年度の協議の予測収益と実際収益との比較及びこれに対する調整。
(九)予測収益の計算。パラメータの選定、計算方法及び変更理由を含む。
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コストシェアリング協議の実施期間においては、事前確認を締結したか否かを問わず、企業は、翌年の 5 月 31 日までに
当該年度のコストシェアリング協議にかかる特殊事項文書を準備しなければならない。
第 10 章 被支配外国企業
第 114 条 被支配外国企業とは、所得税法第 45 条の規定に基づき、居住者企業、或いは居住者企業と中国居住者が
支配する、実際の税負担が企業所得税法第 4 条第 1 項に規定する税率水準の 50%を下回る国家(地域)に設立された
外国企業を指す。
第 115 条 ここでいう支配とは、以下の状況を含む。
(一)中国居住者企業、或いは居住者企業と中国居住者が納税年度終了日に直接或いは間接的に単独で外国企業の議
決権を有する株式の 10%以上を保有し、かつ、共同で当該外国企業の 50%以上の株式を保有する。
(二)居住者企業或いは居住者企業と中国居住者の持分比率が本条第(一)項に規定される基準に達しないが、納税年
度終了日に、株式、資金、経営、購買等において当該外国企業を実質的に支配できる。
第 116 条 居住者企業或いは中国居住者が直接或いは間接的に単独で、外国企業の議決権のある株式を 10%以上を
保有することとは、以下の事項を指す。
(一)居住者或いは中国居住者が直接に外国企業の株式を保有する。
(二)中国居住者が姻族、直系血族、三代以内の傍系血族関係のある個人居住者を通じて間接的に外国企業の株式を
保有する。
(三)居住者企業が国内関連者を通じて間接的に外国企業の株式を保有する。
企業が複数レベルで間接的に保有する持分は各レベルの持分比率を乗じて計算する。中間レベルの持分比率が 50%
超える場合、100%として計算する。
第 117 条 実際の税負担が企業所得税法第 4 条第 1 項に規定する税率水準の 50%を下回とは、被支配外国企業が
居住国に実際に納付する企業所得税の性質のある税金と、中国税法の規定により計算する課税所得額との比率が中国
法定税率の 50%より低いことを指す。
第 118 条 企業所得税法の第 45 条によると、被支配外国企業が非合理な経営需要のために利益を分配しない、或い
は分配を減少させる場合、上述の利益のうち、居住者企業に属する部分は当該居住者企業の当該期間の収入に計上さ
れるべきである。
第 119 条 被支配外国企業の利益において居住者企業に帰属する部分は、帰属可能の所得と称する。
被支配外国企業の取得した所得が帰属可能の所得に属するか否かについて、以下の方法により判断できる。
(一)被支配外国企業の従業員が企業所得に実質的な貢献があるか否かを分析する。
(二)グループのバリューチェーン及び重要な機能を負担する企業を分析する。グループ企業が完全に独立かつ非関連
の条件下において、被支配外国企業が相応の資産、リスクを有する或いは負担し、資産とリスクに相応する所得を獲得
するか否かを判断する。
(三)被支配外国企業が所得に相応しい技術能力、従業員の人数及び必要となる機構場所を有するか否かを分析する。
(四)その他の合理的な方法。
通常、以下の状況は被支配外国企業が帰属可能の所得を獲得するとみなす。
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(一)証券取引に従事しない被支配外国企業が取得した配当金所得。
(二)融資業務に従事しない被支配外国企業が取得した利息所得。
(三)保険業務に従事しない被支配外国企業が取得した保険所得。
(四)被支配外国企業が関連企業から取得した特許権使用費。
(五)被支配外国企業が関連企業から製品或いは労務を仕入れた後、価値を増加せず、或いは増加した価値が少ない
場合、製品或いは労務を販売して取得した所得。
(六)被支配外国企業が無形資産或いはリスク移転から取得した収入が正常の対価を超える所得。
第 120 条 居住者企業が支配する被支配外国企業が以下の条件の一つに該当することを資料提供により証明できる場
合、被支配外国企業の利益を居住者企業の当該期間所得に計上することを免除できる。
(一)当該期間の未配分利益が 500 万人民元以下。
(二)帰属可能の所得が被支配外国企業の当該期間所得に占める割合が 50%以下。
(三)合理的な経営需要のため、利益を分配しない或いは少なく分配する。例えば、実質的な生産経営活動或いは投資
活動の計画と実際活動等に利益を投資すること。
第 121 条 居住者企業の当該期間の収入に計上される帰属可能の所得は、以下の公式に計算すべきである。
居住者企業当該期間収入に計上される帰属可能の所得=被支配外国企業の帰属可能の所得×居住者企業の持分比
率
居住者企業の持分比率は各レベルの持分比率を相乗して計算する。
第 122 条 居住者企業は規定により実際通りに国外の投資、所得情報を報告し、関連財務諸表、国外税収申告表を添
付すべきである。
被支配外国企業の居住者企業の株主が企業所得税の年度申告する際に、如実に被支配外国企業の当該居住者企業
の当該期間収入に計上する所得を報告し、相応の税金を納付すべきである。
第 123 条 税務機関が居住者企業と中国居住者及びその被支配外国企業に対して特別納税調整の調整を実施する際、
上述の居住者企業と中国居住者が支配する被支配外国企業の関連情報を提供することを要求する権利を有する。
第 124 条 被支配外国企業と居住者企業の株主の間において納税年度の差異が存在する場合、帰属可能の所得を被
支配外国企業の納税年度終了日に属する居住者企業の納税年度に計上すべきである。
第 125 条 居住者企業の当期所得に計上され、すでに国外に納付した企業所得税の性質のある租税は、租税協議或い
は企業所得税及び実施条例の関連規定により免除すべきである。
第 126 条 被支配外国企業の実際に分配する利益がすでに企業所得税第 45 条規定により徴税された場合、居住者企
業の当期所得に計上しない。
第 11 章 過少資本税制
第 127 条 企業所得税法第 46 条の規定に基づき、課税所得額の計算にあたり、控除できない利息支出は以下の公式
で計算しなければならない。
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控除できない利息支出=年度に実際に計上したすべての関連者への支払利息×(1-標準比率/企業の関連者からの
債権性融資と権益性融資の割合)
そのうち、標準比率とは企業所得税法実施条例第 119 条の規定により、国務院財政部、税務主管部門に規定された比
率を指す。
企業の関連者からの債権性融資と権益性融資の比率とは、企業がすべての関連者から受ける債権性投資(以下、関連
債権投資)の企業の全ての権益性融資に占める比率を指す。
第 128 条 企業が関連者から受取り、かつ、利息支出を計上した以下の債権性投資も関連債権投資の範囲に属する。
(一)企業がグループのキャッシュプーリングから受け取った関連債権性投資。
(二)利息を計上したか或いは支払い期日の延長のために利息を計上する関連流動負債及び関連長期負債。
(三)その他の関連債権性投資。
第 129 条 企業の関連者からの債権性融資と権益性融資の割合の計算方法は以下の通りである。
企業の関連者からの債権性融資と権益性融資の割合=年度加重平均の関連者からの債権性融資/年度加重平均の
債益性融資
そのうち、
年度加重平均の関連者からの債権性融資=i 回の関連者からの債権性融資の帳簿金額×i 回の関連者からの債権性融
資の当該年度の実際使用日数/365
年度加重平均の権益性融資=i 回の権益性融資の帳簿金額×i 回の権益性融資の当該年度の実際使用日数/365
第 130 条 権益性融資は、企業の貸借対照表における会計上の所有者持分の金額である。所有者持分が払込資本金
と資本準備金の合計より小さい場合、権益性融資は払込資本金と資本準備金の合計であり、払込資本金と資本準備金
の合計が払込資本金より小さい場合、権益性融資は払込資本金である。
第 131 条 利息支出は、直接或いは間接的な関連債権投資の取得により、実際に計上した利息、関連者に支払う関連
債権性融資の担保費或いは抵当費、特別納税調整に新たに定めた利息、ファイナンスリースの融資コスト、関連債権性
投資にかかわるデリバティブ或いは協議の名目利息、取得した関連債権性融資の発生する為替差益損及びその他の利
息の性質を有する費用を含む。
第 132 条 課税所得額を計算するときに控除できない利息支出は以後の納税年度へ繰越してはならない。各関連者へ
の利息が利息支出総額に占める割合をベースとして、各関連者へ配賦すべきである。そのうち、実際税収負担率が当該
企業より低くない国内の関連者に支払った利息は控除できる。一方、直接或いは間接に国外関連者に支払った利息は
配当金とみなし、配当金と利息にそれぞれに適用される所得税率の差により企業所得税を追加納付しなければならない。
納付済の所得税額を配当金として計算した場合の所得税税額を超える部分は、還付しない。
第 133 条 企業の関連者からの債権性融資と権益性融資の割合が標準比率を超え、課税所得額を計算する時に控除
する必要がある場合、関連債権性融資の金額、利率、期限、融資条件及び債資比率が独立企業原則に合致することを
証明するために、税務機関の要求に従って、以下の特殊事項文書を準備、保存、提供しなければならない。
(一) 企業の借り手の返済能力、借入能力分析。
(二) グループの借入能力及び融資構成状況の分析。
(三) 企業の登録資本金等権益性融資の変動状況。
(四) 関連債権性融資の性質、目的及び取得する時の市場状況。
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(五) 関連債権性融資の貨幣種類、金額、利率、期限及び融資条件。
(六) 独立企業が上述の融資条件、融資金額及び利率を受けることができ、かつ、進んで受けるか否か。
(七) 企業が債権性融資を取得するために提供する抵当物の状況及び条件。
(八) 担保者状況及び保証条件。
(九) 同類同期の借入利率の状況及び融資条件。
(十) 転換社債の転換条件。
(十一) その他独立企業原則に合致することを証明する資料
第 134 条 企業が規定に基づき同時文書を準備、保存、提出しない場合、又は同時文書により、関連者からの債権性融
資と権益性融資の割合が独立企業原則に合致することを証明できない場合、標準比率を超える利息支出は課税所得額
の計算において控除してはならない。
第 135 条 本章にいう「年度実際に算入する支払利息」とは、企業所得税法及び実施条例の関連規定により関連コスト、
費用に計上した利息を指す。
企業が実際に計上する支払利息に移転価格上の問題が存在する場合、税務機関は、まず、本弁法第 5 章の規定に基
づき移転価格調査及び調整を行う。
第 12 章 一般租税回避防止
第 136 条 税務機関は、合理的なビジネス上の目的がなく、租税利益を獲得する計画を実施する企業に対して、一般租
税回避防止調査を行うことができる。
第 137 条 一般租税回避防止調査が適用される計画は以下の通りである。
(一) 優遇税制の濫用。
(二) 租税条約の濫用。
(三) 企業組織形式の濫用。
(四) タックスへイブンの利用。
(五) その他合理的なビジネス上の目的がなく、租税利益の獲得を唯一の目的もしくは主要目的とする計画。
第 138 条 租税利益とは、企業所得所得税の税額の減少、免除もしくは繰延べ納付を指す。税務機関は、租税利益が
存在するか否かを判断する際、計画の経済実質と計画結果及び企業に対する影響を考慮し、当該計画と同等のビジネ
ス上の目的を達成することができるが租税回避効果のない代替的計画を合理的に選定し比較する。
企業及びその関連者が委託、代理、信託及び他の手段を通して関連取引を隠蔽する場合、税務機関は経済実質に従い
関連取引を認定することができる。
第 139 条 企業に本章が規定する租税回避計画が存在するか否かを審査する際、税務機関は、形式より実質を重視す
る原則に基づき、以下の要因を考慮しなければならない。
(一) 計画の形式と実質
(二) 計画の締結時期と実施時期
(三) 計画の実現方式
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(四) 計画の各段階或いは各構成部分の関係
(五) 計画に関わる各当事者の財務状況の変化
(六) 計画の税効果
(七) 計画に関わる各参加者の関係
(八) その他
第 140 条 移転価格、コストシェアリング、被支配外国企業、過少資本等の他の特別納税調整に該当する企業の計画に
ついては、まず、上述した他の特別納税調整の関連規定を適用する。
企業の計画が受益所有者、利益制限等の租税条約の執行範囲内にある場合、まずは租税条約の関連規定が適用され
る。
上述した規定に従い、租税利益を解消することができない計画に対して、税務機関は一般租税回避防止調査及び調整
を実施することができる。
第 13 章 利益水準の監督
第 141 条 税務機関は、リスク管理を目的として、企業の利益水準に対する監督を強化し、関連取引の利益水準に係る
監督管理指標システムを構築、改善し、活動状況の管理を実施し、企業の税法遵守度を促進する。
第 142 条 税務機関は、現地の実情に基づき、関連取引の利益水準に係る監督管理指標システムにより、関連取引の
リスク等級体制を構築し、また、リスク等級に応じた対応戦略を実施する。遵守する意欲の高い中低リスク企業に対して
は特別納税調整コンプライアンス指導を実施し、関連取引リスクを提示する。遵守する意欲の低いハイリスク企業に対し
ては特別納税調査を行う。
第 143 条 企業は税法遵守の意欲を自ら向上すべきである。 税務機関は、関連申告の審査、同期資料の管理、関連取
引の遵守度の内部統制テスト等の方法を通して、企業の関連取引の遵守度を評価し、結果を関連取引のリスク等級体
制に入力する。
第 144 条 税務機関は、企業の関連申告の法定義務遵守を指導、促進し、関連申告資料の審査及び分析を強化しなけ
ればならない。
第 145 条 税務機関は、同期資料の政策宣伝と管理を推進し、必要な場合、価格設定システムの記述、機能リスク分析、
グループバリューチェーンの利益水準及び分配基準、移転価格方法の選定、価格設定のデータソース及び他の関連情
報の開示状況を重点的に審査しなければならない。
第 146 条 税務機関は、業務の必要に応じてリスク情報収集を行うべきであり、また、同期資料を提出する義務がある
企業に対して関連取引の遵守度の内部統制テスト(関連取引の内部統制の構築及び実施状況を含む)を実施しなけれ
ばならない。
第 147 条 税務機関は、各部門との間における情報共有と協力体制を構築し、関連取引を行う企業の生産経営、グルー
プストラクチャー、利益水準及びグローバルバリューチェーンにおける機能リスクに係る位置づけ等の情報を定期的に収
集し、内部情報、他の政府部門からの情報及び外部情報等の資料を利用し、特別納税調整のデータベースを構築する。
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第 148 条 税務機関は、特別納税調整のコンプライアンス指導等の方法を利用し、規定に基づき企業の課税収入或い
は所得額を自己修正させ、自己申告を奨励する。
自己修正を行った企業に対し、税務機関は、特別納税調査と調整を実施する権利を保有する。
第 149 条 税務機関は、すでに特別納税調整の実施を受けた企業に対して、生産経営、関連取引の変化及び利益水準
状況を追跡して管理し、企業が自ら独立企業原則に準拠するよう促さなければならない。
第 150 条 税務機関は、関連取引のリスク管理指標、リスク警報値、リスクモジュール設置の科学性、実用性及び合理
性を引き続き重視し、関連取引の利益水準に係る監督指標システムを改善しなければならない。
第 14 章 対応的調整及び相互協議
第151条 本章において、相互協議とは、国家税務総局が租税協定の相互協議手続の規定に基づき、締約国の税務主
管当局との間で特別納税調整で発生した国際的な二重課税を解消するための協議を指す。
国家税務総局は、二国間或いは多国間事前確認の申請を受ける場合、租税協定の規定に基づき協議を行い、本法第8
章の規定を執行する。
第 152 条 国家税務総局は、企業の申請、締約国の税務主管当局の要求、或いは必要と認めたその他の状況に応じて、
租税協定の関連規定で定めた相互協議を行う。
第153条 企業は、相互協議プロセスを申請する場合、『租税協定相互協議プロセス開始申請表』を同時に国家税務総
局と主管税務機関に提出し、特別納税調整に関する資料を添付する。
第 154 条 国家税務総局は、締結相手国の税務主管当局の相互協議書類を受けた後、租税条約の内容に合致するか
否かを判断し、相互協議を開始する。
第 155 条 下記のいずれかの状況がある場合、国家税務総局は、申請者或いは締約国の相互協議プロセスの申請を拒
否するか、又は補足資料を要求できる。
(一)請求される相互協議の事項が租税協定の適用範囲に属さない。
(二)相互協議申請の提出が租税協定で規定された期限を過ぎている。
(三)請求が明らかに事実か法的根拠を欠いている。
(四)提供する事実と資料が不完全であり、税務機関が調査により事実を確認できない。
上述した状況の一つ又は複数の状況に該当する場合でも、国家税務総局は、国際的な二重課税の解消、中国の課税権
益の維持、或いは経済協力の促進の目的で、依然として、企業又は締約国の税務主管当局からの相互協議プロセスの
請求を受けることができる。
第 156 条 税務機関は、速やかに協議の結果を企業に伝え、税金の追徴、還付等の業務を行う。
課税収入又は所得額の計算には、相互協議の結果を企業に送達した日の前月の最終日の人民元の為替レートの中間
値により、調整される課税収入や所得額を人民元に換算した上で、追徴或いは還付を税額を計算する。
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第 157 条 相互協議の過程において、下記の何れかの状況がある場合、国家税務総局は相互協議プロセスを中止する
ことができる。
(一)申請者が故意に重要な事実を隠蔽し、又は提出する資料を捏造する。
(二)申請者が税務機関からの事案に関する必要資料の提供要求を拒否する。
(三)申請者と税務機関の何れも必要な証拠を取得できないため、関連する事実また申請者の立場の証明ができず、相
互協議プロセスの継続ができない。
(四)締約国の税務主管当局が一方的に相互協議を拒否、又はプロセスを中止する。
(五)申請者が相互協議のプロセスを中止する。
(六)相互協議プロセスを行うことができないその他の状況。
第 15 章 法律責任
第 158 条 企業が本弁法の規定に基づき、税務機関に『企業年度関連業務往来報告表』を提出しない場合、或いは本弁
法の規定に基づき、同時文書等の関連資料を保存しない場合、租税徴収管理法第 60 条、第 62 条の規定に基づき、処
理する。
第 159 条 企業と関連者が同時文書等の関連取引に関する資料を提出することを拒否し、或いは虚偽、不完全な資料を
提出し、その関連取引の状況を真実に反映できない場合、税務機関は租税徴収管理法第 70 条及び租税徴収管理法実
施細則第 96 条、企業所得税法第 44 条及び企業所得税法実施条例第 115 条の規定に基づき、処理する。
第 160 条 税務機関は、企業所得税法及び企業所得税法実施条例の規定に基づき、特別納税調整を行う場合、2008
年 1 月 1 日以降に発生した関連取引に対して追徴する企業所得税について、日ごとに利息を加算しなければならない。
(一) 企業が『特別納税調整通知書』を受領する前に、仮納付或いは規定期限内に追加納税する場合、利息の計算期間
は税額の帰属する納税年度の翌年 6 月 1 日から追加納税日(仮納付日)までとする。 企業が『特別納税調整通知書』の
追加納税期限内に納税しない場合、利息の計算期間は税額の帰属する納税年度の翌年 6 月 1 日から追加納税期限の
満期までとなる。また、上述の追加納税期限の満期以降は、関連規定に従い、延滞金を徴収する。
(二) 利率は、税額の帰属する納税年度の 12 月 31 日に適用される、追徴期間と同期間の中国人民銀行の人民元貸付
基準利率(以下、「基準利率」)に 5%を加えて計算する。年間を 365 日とし、日割りで日利率を計算する。
(三) 企業が本弁法の規定に基づき、同時文書及びその他の関連資料を提出した場合、或いは本弁法により同時文書
の準備を免除されたが税務機関のその他の関連資料の要求に従ってその他の関連資料を提出した場合、基準利率によ
って利息を計算することができる。
企業が本弁法の規定に基づき同時文書の準備が免除されると理解したが、税務機関の調査により、実際の関連者間取
引の金額は同時文書の準備標準に達し、かつ、規定どおりに税務機関に提出しない場合、税務機関は、追徴税額に対
する利息計算に、本条の(二)を適用する。
(四) 本条の規定に従い加算される利息は、課税所得額の計算時に控除してはならない。
第 161 条 企業は、特別納税調整による追徴税額と利息を、税務機関の調整通知書に規定された期限までに納付しな
ければならない。規定された期限までに納付しない場合、税務機関は、税収徴収管理法第 32 条及びその他の規定に基
づき、処理する。
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第 16 章 付則
第162条 各級の国家税務局及び地方税務局は、企業に対して特別納税調整を行う過程において、連携を強化しなけれ
ばならない。必要に応じて協同調査チームを組み、調査を行うことができる。
第163条 税務機関及びその業務人員は国家の機密保持に関する規定に従い、企業が提供した情報資料を保管、使用
しなければならない。
第164条 本弁法で規定する期限の最終日が法定休日である場合、休日が終わる翌日を期限の最終日とする。期限まで
に連続3日間以上の法定休日がある場合、休日の日数に従い期限を順延する。
第165条 本弁法にいう国若しくは国家は税収管轄権を有する国家若しくは地区である。
第166条 本弁法にいう「以上」、「以下」、「日以内」、「の日」、「の前」、「超過しない」、「下回る」等の表現は、対象数値を
含む。
第167条 税務機関が特別納税調査、調整を実施している間に、調査対象企業が税務登記を抹消しようとする場合、税
務機関は、調査終結前には、税務登記抹消手続きを受けつけなくても構わない。
第168条 本弁法は
年
月
日より実施する。元の『特別納税調整実施方法(試行)』は同時に廃止される。
本弁法の発布前に実施されている本弁法と一致しない規定については、本弁法に従うものとする。本弁法の発布前にす
でに発生していた、税務処理を行っていない事項については、本弁法に基づき執行する。
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