(1) さ て、 第 二 十 八 回 通 常 総 会 は来る五月十七日㈰午前十時よ 誠にありがとうございます。 (第三号議案) 平成二十七年度 収支予算決定の件 (第二号議案) 平成二十七年度 事業計画決定の件 査報告 六年度会計報告承認の件、監 第 回通常総会では役員改選があります 多くの組合員のご出席をお願いします 組合員の皆さまには、日ごろ より組合活動に対して多大なる り、東京美術倶楽部において開 (第四号議案) 役員報酬の件 (第五号議案) 経費の賦課及び 徴収に関する件 ご協力と深いご理解をいただき まのご出席をお待ちします。 (第六号議案) 平成二十七年度 借入金残高の最高限度に関す 団体との連携を深めています。 いただきました。日刀保より小 の機会を二月二十七日に持って もかかわらず、当組合との会談 業界の問題解決に向けて日刀保と協議 待たれる新刀剣博物館のオープン 成後おそらく一年を要するので されませんでしたが、建物の完 た。開館については詳しく言及 するとの報告もいただきまし 進められており、間もなく終了 す。現在は埋蔵文化財の調査が 成二十八年三月に着工し、二十 ④議長選出 ③理事長挨拶 ②出席状況報告 に関する件 する債務保証残高の最高限度 催します。前年にも増して皆さ なお、総会終了後、特別交換 会を開催します。 設立から六十七年、絶えず変 革が求められ、戦後の日本再生 野会長・柴原勤専務理事・福本 はないかと推測します。 ⑤議事宣言 ⑥資料確認 ⑦議案審議 (第七号議案) 一組合員に対す る貸付、また一組合員の為に (第八号議案) 役員改選に関す る件 (第九号議案) その他 ⑧総会議事終了宣言 六六四四 六六三一 七 することなく、日刀保の基本財 回の報告では当初の設計を変更 を要するとのことでしたが、今 する財務収支はかなりの寄付金 た。前回の会合では、移転に関 初めに小野会長より、移転に 関する進行状況が報告されまし しました。 事・伊波常務理事と筆者が出席 安田財閥が維持してきた名園 江戸時代、本庄氏によって大 名庭園に築造され、明治に入り 構造になっているようです。 園外へ自然に排水できるような に隅田川の水が流入してきても、 よりポンプを使用) 、もし園内 っ て お り( 現 在 は 地 下 貯 水 槽 川の水を引く潮入回遊庭園とな したところ、江戸時代より隅田 場合の水害対策について伺いま 日刀保の主要業務である刀剣 審査の受付物件数がここ数年大 そうです。 くの来館者で賑わうことになり とも提携することで、新たな多 し、近隣の美術館・博物館など 化交流の場としても大きく貢献 場としての機能に加え、国際文 新刀剣博物館は地域情報コー ナーやカフェなど、地域交流の される金額と伺いました。 れるために、地代はその分考慮 が、大きな課題です。組合とし つ、いかに時間を短縮できるか りました。 っていただきたいとの回答があ り、改善するまで今しばらく待 返上して対応している現状にあ 日刀保からは、三名の新しい 職員を採用し、学芸員は休みを 組合から日刀保に対し、あら ためて審査終了後の返却までの 載されています。 刀剣類の審査には、受付から 鑑定書発行まで多くの業務があ り、その作業を正確にこなしつ 十六 二 五四六四 二二一○ 一 美術刀剣、小道具、武具類の 売買、加工及び御相談承ります TEL ○六 大阪市中央区日本橋二 F AX ○ 六 刀剣古美術 三峯美術店 柳 匠 堂 二三 三○六七 金工 刀身彫刻 修理 諸工作一式 TEL ○四九四 F AX 西武秩父駅連絡通路 町久ビル内 埼玉県秩父市野坂町一 町田 久雄 産等で移転が行えるよう、予算 を、今後は刀剣博物館を訪れる 幅に増加傾向にあり、業務量が て、その時間というキーワード 二三一九 工房 岡山市北区磨屋町七 二一 TEL ○八六 二二三 二三二九 F AX 岡山市北区平和町二 八 TEL ○八六 二二三 柳村 宗寿 案を大きく見直したということ 世 界 の 人 々 が 楽 し め る こ と は、 増えるとともに、物件返却まで に何か協力できないかと提案を ⑨閉会の辞 でした。 大変喜ばしい限りです。 に従来より時日を要していま いたしました。 (第一号議案) 平成二十六年度 事 業 報 告 承 認 の 件、 平 成 二 十 る件 った日本美術刀剣保存協会 (小野 とともに歩んできた日刀保です 富雄常務理事が出席され、組合 当日の議事次第は次の通り。 ①開会の辞 裕会長。 以下、 日刀保) は、「和」 の が、現在、刀剣博物館の移転と からは深海理事長・飯田前理事 今後、寄付金を広く受けては いきますが、前回の内容ほどの 墨田区より借地するため、日 刀保が地代を支払いながらの運 す。機関誌『刀剣美術』本年二 期間短縮を要請しました。 した。この案件は組合としても 営となりますが、一方、三階建 月号でも、返却の遅れにご理解 刀剣業界の問題解決のために 無縁ではなく、大変心配してい ての一階部分は、墨田区民の憩 移転費用の収支差がなくなりま ただけに、まずは安堵しました。 続いて、刀剣類の名義変更に 伴う問題について協議しました。 九年春に完成する予定だそうで 精神の下に公益目的事業の推進 いう最大の事業に臨んでいます。 新刀剣博物館は隅田川沿いに はんらん 位置するため、河川が氾濫した 平成二十四年四月に公益財団 法人として新たなスタートを切 と刀剣文化のさらなる普及のた 長・冥賀副理事長・清水専務理 NEWS, TOPICS, INFORMATION, OPINION & EDITORIAL 28 そのように慌ただしい最中に 戸田建設が選定されており、平 赤荻 稔 飯田 慶雄 伊波 賢一 大西 芳生 大平 将広 嶋田 伸夫 清水 儀孝 生野 正 新堀 賀将 瀬下 明 瀬下 昌彦 土子 民夫 綱取 譲一 土肥 富康 服部 暁治 深海 信彦 松本 義行 冥賀 吉也 持田 具宏 をいただきたいと、お詫びが記 年間10回位発行予定 第23号編集担当 いの広場として有意義に活用さ や し ま 23 No. 新刀剣博物館の施工には既に ←次ページに続く 購読料10回 2,000円(郵便切手可) 〒940-0088 新潟県長岡市柏町1-2-16 TEL 0258-33-8510 FAX 0258-33-8511 〒202−0022 西東京市柳沢6−8−10 TEL 042-463-5310 FAX 042-463-7955 http://wakeidou.com/ 刀装小道具通信販売目録「やしま」 土肥豊久・土肥富康 美術刀剣・刀装小道具商 刀剣・書画・骨董 発 行 人 深 海 信 彦 発 行 所 全国刀剣商業協同組合編集委員会 〒169−0072 東京都新宿区大久保 2 −18−10 新宿スカイプラザ1302 TEL:03 (3205) 0601 FAX:03 (3205) 0089 http://www.zentosho.com/ 2015.5.15 め、積極的に関係機関、業界各 新刀剣博物館(左上)と旧安田庭園の模型(設計/槇総合計画事務所) 第23号 刀 剣 界 平成27年5月15日発行 (隔月刊) (2) らく他の道府県でも同じ傾向が 上と飛躍的に増えました。おそ 更申請が、ここ数年は六千振以 訴えてきました。 機会を捉え名義変更の重要性を 方たちへここ数年、さまざまな するために、組合員・愛刀家の 団体でもあり、警察行政に協力 でした。当組合は警察庁認可の 要視される傾向にはありません 刀剣所有者の方々にはあまり重 づ け ら れ て い る も の の、 従 来、 しかし、過去の登録証記載ミ ス問題を、当組合だけで折衝し かねません。 って登録制度は負の遺産となり このような問題を何の対処も せず放置しておけば、業界にと れることもあります。 し、その後新規登録として扱わ もかかわらず多くの時間を費や まで巻き込み、事件性がないに 摘される現状です。公安委員会 と、交付した教育委員会から指 法違反の犯罪者になりかねない 変更ができないばかりか、銃刀 台帳と相違するとの理由で名義 新たに所有した旨を届け出る と、 寸 法 違 い や 銘 の 脱 字 な ど、 じています。 開館が待ち遠しい限りです。 にふさわしい、新刀剣博物館の 刀剣業界発展のための、また 未来へ伝統文化を継承していく ました。 込みを伺う有意義な機会となり 物館にその声を生かしていこう 今回の日刀保との会合は、多 くの業界の声を聞き、新刀剣博 いとの回答をいただきました。 り、今後大いに協力していきた するには必要不可欠なことであ の方々が安心して刀剣類を所持 は、そのような問題は、愛刀家 願 い し ま し た。 小 野 会 長 か ら 保にも協力をいただきたいとお 問題解決の窓口を設けてもらえ (嶋田伸夫) とする、現執行部の方々の意気 るように働きかけるため、日刀 見られることでしょう。 ようとしても解決はきわめて困 刀剣入手後、銃砲刀剣類所持 等取締法により名義変更が義務 しかし、登録証を交付してい る 教 育 委 員 会 の 誤 記 の た め に、 難です。そこで今後、行政側に その結果、東京都の場合、か つて四千振程度であった名義変 まま善意の申請者に不都合が生 れる装飾がとても精密で神秘的だ なと思いました。鮫皮や金や漆で 作られた鞘には職人のこだわりが あり、とてもきらびやかだなと思 刀は、作られた場所や時代によ って地鉄の色が変わります。僕が 一つ目は、刀は奥が深いという ことです。 僕が刀を見て思ったことは二つ あります。 研がれていないのか、厚みがある また、戦うためでなく、武士の 象徴として作られた刀は、あまり ました。 た。僕は時間を忘れて見入ってい 様や、繊細な化粧研ぎが見えまし に浮かんできました。三日月の模 ると、いろいろな模様が波のよう 籍していた当時、三年ぐらい前が日 外山潤クンは現在、高校一年生で す。私の父が日ごろお世話になって 【付言】刀とともに て良かったと思います。 僕は、刀はどこまでも奥が深い んだなと思いました。刀に出会え いました。 刀を見せてもらったのですが、そ のがわかりました。さらに、所持 読者だより 刀 は 美 しい 外山 潤︵高一︶ の中でも違いはたくさん見つける 変わるので、有名な刀工が作った た。さまざまな角度から光を当て ことができました。 刀でも銘の部分が消えてしまうこ 「遺産」という言葉があふれていま す。今日、人は先に進むことばかり きました。 (笑)、真剣なまなざしと集中力に驚 お顔は興福寺の阿修羅さまさながら 本 刀 を 手 に し た 最 初 だ と 思 い ま す。 いる主治医のご子息で、剣道部に在 例えば、片山一文字という刀は 南北朝時代以前に備前で作られた とがあると教えてもらって、そん 初めて刀を見たとき、いろいろな ので、地鉄が青いということに気 考え、あらためて振り返る時間を持 とうとしません。日常の雑事をいっ たん脇に置いて、「時間を止める」 ―そ こには心の豊かさがあふれています。 る、そんな機会に少しでも触れるべ 先人の尊き思い、先人の心を心とす 二つ目は、とても美しいという ことです。 く、これからも潤クンと日本刀を鑑 刀身だけでなく、鞘や鐔に施さ 僕は、刀はとても奥が深いんだ なと思いました。 なこともあるのかと驚きました。 者が変わるごとに目釘穴の位置も がつきました。 また、平造りや長巻造りなどの 作り方によっても刃文の模様が違 ってきます。 刀 を 見 せ て く れ た 方 が、「 光 を 当てて見てご覧」とおっしゃっ て、ライトを刀に当ててくれまし 今日は平成でありますので、日本 刀に対する見方・感じ方は人それぞ ここに精神的遺産ありと思います。 ぶ こ と、 諸 国 諸 民 族 の 比 に あ ら ず、 こ の 周 辺 で 見 る こ と が で き ま す。 鉄の展示館にて開催されます。 ㈯~八月二日㈰、昨年同様坂城町 全日本刀匠会により、五月三十日 田ケーブルテレビジョン、協力/ 野朝日放送・NBS長野放送・上 送・TSBテレビ信州・ABN長 城 町 教 育 委 員 会・ S B C 信 越 放 経済産業省・文化庁・長野県・坂 財団法人日本刀文化振興協会・坂 第六回「新作日本刀 研・磨 外・装 刀職技術展覧会」は、主催/公益 して名刀に挑んだことには大変価 けることになりました。勇気を出 研ぎこなしの良し悪しが明暗を分 その結果、名刀(主に古名刀)の 何 度 も 投 票 が 繰 り 返 さ れ ま し た。 研 師 の 実 力 で す。 そ れ も あ っ て、 した。名品をお借りできることも 研磨部門では出品数が増えた上 に、まれに見る数の名品がありま まの期待の大きさを感じました。 出品総数は昨年よりも増え、皆さ 昨年からは地方開催で出品され る 方 の 負 担 も 多 く な り ま し た が、 に行われました。 ち六名は外部審査員)により厳正 会いの下、二十一人の審査員(う 済産業省と文化庁の担当官の立ち 審査会は四月二十二日から三日 間、研磨・作刀・外装の順に、経 観光とも併せて鉄の展示館を訪 れてはいかがでしょうか。 塔」とも呼ばれています。 清麿は当時、今のように有名で はなく、水心子や固山の一門より 建立されました。 により、立派な源清麿の記念碑が 昨 秋、 鉄 の 展 示 館 の 入 り 口 に、 刀剣界の方々の熱い思いとご尽力 してご精進願いたいと思います。 終わった方々も、次回躍進を目指 くものです。また不本意な成績に 実力とは認められません。良い仕 今年良い成績を獲得した方々は 来年以後も続かなければ、本当の 出品することには技術の伝承と 維持という大きな目標があります。 いました。 門基本に忠実な作品に仕上がって 銀・拵・柄巻き・鞘塗りでは各部 成果が現れ、技術水準の高い仕上 年並み。白鞘・刀装具では連続し 」 れです。しかし、精神的遺産を考え 一つは鎌倉時代後期に創建された 値があり、真摯に向き合えば大き 格下に見られていましたが、特に 第六回「新作日本刀 研・磨 外・装 刀職技術展覧会 経産省 文・化庁などが後援し、鉄の展示館で るときは、その刀が作られた時代の 信州最古の禅寺・安楽寺の八角三 な飛躍が期待できます。 商、また地元の方々の熱意によっ 大事だと思います。 すると、なぜ三種の神器の一つで あるのかとか、なぜ神社の御神体で あるのかとか、明日の命も知れぬ戦 国武将はどのように日本刀に向き合 ったのか、たとえ今死んだとしても 後悔せぬよう、愛するものを守るた めに修練を積んだのではないかと れます。 今後は、日本刀の中に備わってい る魅力を引き出し、一愛刀家として 向き合いたいと思っています。 そ の 鍛 錬 の 精 妙、 焼 き 刃 の 絢 爛、 朝日に匂う山桜のごとく、はたまた 笹に積もれる淡雪のごとく、動と静 (豊田ゆみ子) 長野県には五件の国宝指定建造 物がありますが、このうち二つを は刀装具が昨年より多く、他は例 外 装 の 部 門、 刀 装 具・ 白 銀・ 拵・柄巻き・鞘塗り・白鞘の中で 任がある」と話していました。そ も勉強が必要だが、聞く方にも責 戦後になり熱烈な愛好家や刀剣 事を会得するための努力は一生続 次回も研究の成果を期待します。 がりになっていました。また、白 て出品している方の作品に研究の か、興味は尽きません。まさに時間 重塔。ここは「信州の鎌倉」と呼 作刀部門は昨年同様の出品数で したが、初出品以来、高い評価を て脚光を浴びるようになり、幕末 といえども日本刀のみ、また刀を尊 と空間が広がっていきます。 ばれる別所温泉です。もう一つは 受け続けている若手が初めてトッ を代表する名工となりました。 と を 兼 ぬ ~( 笑 )、 本 日 も い ざ 出 陣 ~です。 ■ 読 者 の 投 稿 を 歓 迎 し ま す。『 刀 剣 界 』 に ふ さ わ し い テ ー マ で あ れ ば、 内容は問いません。編集委員会にて 城町鉄の展示館・坂城町、後援/ 剣には活人剣と殺人剣があり、勝 つための戦い方、負けないための戦 すぐ近くの青木村にある大法寺三 プに立ち、新しい風が吹き始めて 精神に帰って、思いを馳せることが い方があることも日本刀から教えら 重 塔。 そ の 美 し さ で「 見 返 り の いると感じました。 今年三月、八十九歳で他界した 上方落語の巨匠桂米朝は「話す方 け賜うところにして、世界に国多し 「折れず曲がらずよく切れる」― 矛盾を解決した日本刀の姿は神の授 賞していけたらうれしく思います。 第10回 「アートフェア東京」 開催さる 検討し、掲載します。 ←次ページに続く 去る3月20日㈮~22日㈰の3日 間、東京国際フォーラム展示ホー ル(東京有楽町)で「アートフェ ア東京」が開催されました。 10年を迎えた同展には、国内外 より140にも及ぶギャラリーや企 業などが参加。時代やジャンルを 超えた質の高い美術作品に触れる ことができ、海外のアート見本市 に似ていると言えるでしょう。古 美術、工芸から近代日本画・洋画、 現代アートまでさまざまな作品が 集まり、現物はもちろん現代作家 と対面し、購入ができる一方、協 賛企業の紹介スペースもありま す。毎年趣向を凝らしたブースデ ザイン、品ぞろえに継続ファンも 根付き、本年は過去最高の約5万 5,000人の来場があったそうです。 発足当初はモダンアートが多か ったのですが、近年幅広い分野へ 拡大傾向にあるようです。会場で 伊藤温氏 (伊藤美術) の出店を発 見。刀剣武具では唯一のブースで した。 「展示時間も長く、準備や撤 収と大変なことも多いけれど、普 段見たくても見られないと思って いる刀剣に興味ある方々が、身近 に感じてもらえたようで嬉しく思 っています」とお話を頂きました。 今後の刀剣業界との関わりが注 目されます。 (伊波賢一) 鉄の展示館と源清麿記念碑 第23号 刀 剣 界 平成27年5月15日発行 (隔月刊) (3) 横山 金賞第3席 玉置 城二 金賞第4席 藤川 二朗 金賞第5席 秋田 勇喜 銀賞第1席 相良 雄一 銀賞第2席 水田 吉政 銀賞第3席 森井 鐵太郎 銀賞第4席 本阿彌 毅 銅賞第1席 小川 和比古 銅賞第2席 関山 和進 銅賞第3席 菅野 聖也 銅賞第4席 渡部 恒継 智庸 銅賞第5席 ▪作刀の部 経済産業大臣賞 根津 啓 協会会長賞 明珍 裕介 長野県知事賞 月山 一郎 金賞第1席 河内 一平 金賞第2席 上山 陽三 銀賞第1席 久保 善博 銀賞第2席 佐々木 直彦 銅賞第1席 松川 隆 MARCUS CHAMBERS 川島 義之 平成二十七年度「新作名刀展 」 られました。 私は、昨年に引き続き新作名刀 展表彰式に出席させていただきま した。主催者と刀職者とが連携を 術 刀 剣 保 存 協 会 に 伺 い、「 新 作 名 作 刀 部 門 の 吉 原 義 人 審 査 員 は、 地鉄は疵や欠点がなく大変良いも この後、審査員より講評が行わ れました。 ました。 贈っていきたいと思います。 つつ、これからも高らかに声援を 剣関係者の切なる願いでありま 深め、刀剣文化の継承に尽力され 刀展」表彰式を取材してきました。 の が 多 か っ た。 形 も 重 要 で あ る。 新作名刀展の開催日程は、刀剣 博物館四月二十八日㈫〜六月七日 の部と彫金の部で薫山賞と寒山賞 は じ め 理 事・ 審 査 員、 関 係 者 の 長さに比して太さは適当である ㈰、致道博物館 (山形県) 八月一日 ていることに、取材を重ねる度に 高松宮記念賞効果か、出品数三割増 夏到来と言いたくなるような気 方々が集い、表彰式は午後一時よ か、反りは少なくないか、注意し ㈯〜二十日㈭、 川越市立博物館(埼 感動させられます。 り厳粛に執り行われました。本年 てほしい。裸焼きと言って、焼入 玉県)は九月中旬を予定している。 が授与され、続いて優秀賞、努力 度より高松宮記念賞の交付が再開 れ時に土置きせず、刀から出る泡 賞、新人賞、入選の表彰が行われ したことも手伝って、総出品数は によって刃文を表した作品があっ 啓蒙という公益活動の下に行う新 まず、小野会長より開会の挨拶 を兼ね、伝統技術の保護と普及・ べられました。 ような作品を作ってほしい、と述 ように、見て誰が作ったかわかる 後は古作の景光・兼光・一文字の 髙橋祐哉 (高松宮記念賞) 久保善博 (日本美術刀剣保存協会会長賞) す。刀職者の皆さんに敬意を払い 世界に誇れる私たちの日本刀を 発展させていくことは、私たち刀 昨年の三十パーセント増との報告 作刀展であることの意義について 刀身彫の部では柳村重信審査員 が欠席のため、飯田俊久学芸部長 会場の刀剣博物館四階講堂に は、受賞者のほか、小野裕会長を もあり、近年になく賑やかな授賞 説明がありました。 が代読されました。彫刻は大きさ 現しているものとは言い難く、今 続いて、入賞者の表彰が執り行 われました。作刀の部では、太刀 www.premi.co.jp ▪外装の部 〈刀装具〉 坂城町町長賞 金賞第2席 福與 裕毅 銀賞第1席 長内 勝義 光秀 森井 敦央 森 隆浩 小山 式だったように思います。 たが、これは作者自身の感性を表 【受賞者】複数の場合は五十音順 ▪作刀の部 〈 太刀・刀・脇差・薙刀・槍の部〉 持ち良いお天気に恵まれた四月二 銀賞第2席 KEVIN ADAMS 十八日、私は公益財団法人日本美 銅賞第1席 ヘモ・ソーサ・ノゲイラ 銅賞第2席 〈白銀〉 銀賞第1席 松本 豊 〈拵〉坂城町教育委員会教育長賞 銀賞第2席 〈鞘塗り〉 銀賞第1席 〈白鞘〉 協会会長賞 森 隆浩 金賞第2席 森井 敦央 銀賞第1席 古川 和幸 (公益財団法人日本刀文化振興協 会 評議員 阿部一紀) を出品した久保善博さんが高松宮 を含めて配置とバランスが重要で http://www.taibundo.com のひそみに倣えば、愛好家や刀剣 商の方々のご意見は刀職者に良い 刺激となりますので、ぜひご覧い ただき、忌憚のないご意見をお願 いします。 主催者のみならず、刀職者自ら が加わって運営されてきたこの展 覧会からは、回を重ねるごとに明 らかに優秀な作品が生まれ、技術 の向上が認められ、継続すること の意義はますます高まっています。 これまで支えていただいた多く の方々へ感謝するとともに、今後 ますますの向上を目指して努力し なければならないと感じています。 【受賞者 】 ▪研磨の部 協会会長賞 小野 敬博 信濃毎日新聞社賞 倉島 一 金賞第1席 阿部 聡一郎 金賞第2席 正海 郁雄 記念賞を、刀を出品した髙橋祐哉 ある。刀身彫の材料となる刀身が (薫山賞 ・新人賞) 金田達吉 (寒山賞 一席) 髙見一良 (寒山賞 二席) 上畠 誠 (優秀賞) 北川哲士 木村光宏 小宮早陽光 さんと剣を出品した加藤政也さん 〈短刀・剣の部〉 が、彫金の部で山下秀文さんがそ れぞれ日本美術刀剣保存協会会長 などの指摘がありました。 (日本美術刀剣保存協会会長賞) 高価なためであろうか、出品数が (努力賞) 小宮治氣 新保基治 曽根 寛 宮下 輝 山下浩郎 少なかったことは残念である。刀 匠 の 自 身 彫 の 出 品 も 期 待 さ れ る、 (努力賞・新人賞) 山副公輔 賞を受賞しました。さらに、作刀 彫金の部では萩原守審査員 が、古作を見て写すなど伝統 ▪刀身彫の部 加藤政也 手法を学ぶことで、品格と良 (優秀賞) 新保基治 水木良一 (努力賞) 安藤祐介 東京都北区滝野川7-16-6 TEL 03-5394-1118 FAX 03-5394-1116 http://www.iidakoendo.com 識を兼ね備えた自流を確立し ▪彫金の部 (優秀賞) 柏木幸治 (努力賞) 入江万里 片山 恒 (日本美術刀剣保存協会会長賞) 山下秀文 (薫山賞) 川島義之 (努力賞) 伊東桂子 上野宏樹 片山 恒 鈴木 康 髙橋正樹 武田守夫 福與裕毅 山口石根 (生野 正) TEL 03-3563-2551 FAX 03-3563-2553 フリーダイヤル 0120-402037 伊波賢一 〒161-0033 東京都新宿区下落合3-17-33 TEL 03-3951-3312 FAX 03-3951-3615 て、人々の心を打つ名品を作 いつけ追い越せの気力で、一 層の精進を願う、と講評され ていました。 最後に、受賞者を代表して 高松宮記念賞の久保刀匠か ら、審査に関わられた方々へ のお礼と併せ、刀剣文化が世 界遺産に登録されるなど将来 の発展を願うとの答辞が述べ 飯田慶久 〒105-0001 東京都港区虎ノ門 3-8-1 TEL 03-3434-4321 FAX 03-3434-4324 代表者 髙 島 吉 童 Ken-ichi Inami 090-8845-2222 連絡先 ㈱ 日 本 刀 剣 ㈱銀座泰文堂 代表 川 島 貴 敏 〒278-0043 千葉県野田市清水199-1 TEL 04-7122-1122 FAX 04-7122-1950 古名刀から現代刀、御刀のことならお任せください! 〒104-0061 東京都中央区銀座4-3-11 松崎煎餅ビル4階 JAPAN SWORD CO., LTD. 泰文堂 美術日本刀・鐔・小道具・甲冑 松本 富夫 義行 代表取締役 ●「刀職実技研修会」一般公開 日本刀製作に関わるさまざまな 伝統技術(刀身製作・研磨・拵 下地・金具製作・柄巻き)の専 門的技術向上を図るための研修 ●昔ながらの「切り出しナイフ」 会を一般に公開します。 を作ろう! 開催日:7月24日㈮~26日㈰午前 自分の手で成形・焼入れ・研磨を 10時~午後4時(最終日 し、切り出しナイフを作ります。 は午後3時まで) 開催日:6月28日㈰午後1時~5 会 場:鉄の展示館隣接コミュニ 時 ティーセンター 会 場:宮入鍛刀道場 ※見学無料(ただし、鉄の展示館 定 員:10名 への入館が必要) 対 象:高校生以上 参加費:3,000円 ●小刀を作ろう! 3日間かけて本物の小刀を作り 申し込み:鉄の展示館(☎0268ます。 82-1128)。定員になり次 開催日:7月24日㈮~26日㈰午前 第締め切り 10時~午後4時(最終日 は午後3時まで) ●女子限定!! 日本刀に触れてみ よう「ビギナー編」 会 場:宮入鍛刀道場 本物の日本刀に触れてみません 定 員:10名 か? 初心者大歓迎 !! 対 象:高校生以上 開催日:7月4日㈯午前10時30分 参加費:20,000円 ~正午 申し込み:鉄の展示館(☎0268会 場:鉄の展示館隣接コミュニ 82-1128)。定員になり次 ティーセンター 第締め切り ●手作りナイフを作ろう! 5寸釘を使って、昔なつかしい 手づくりナイフを作ります。 開催日:6月20日㈯・7月12日㈰ 午前10時~正午 会 場:鉄の展示館隣接コミュニ ティーセンター 定 員:先着30名 参加費:500円 銀座 飯田高遠堂 ●居合道演武と公開古式鍛錬 小宮山克巳氏(夢想神伝流居合 道教士7段)と長野県剣道連盟 上田支部の皆さんによる居合道 の演武をご覧いただき、その 後、宮入鍛刀道場において古式 鍛錬を公開します。 開催日:7月18日㈯午前9時30分 ~正午 居合道会場:鉄の展示館隣接コミ ュニティーセンター 鍛錬会場:宮入鍛刀道場 ※見学無料(ただし、鉄の展示館 への入館が必要) 3 月 1 日 銀座刀剣倶楽部会場にて『刀 剣界』 第22号編集委員会を開催 (校正) 。 出席者、深海理事長・冥賀副理事長・ 清水専務理事・服部常務理事・赤荻理 事・嶋田理事・生野理事・綱取理事・ 持田理事・飯田慶雄氏・大平将広氏・ 松本義行氏・土子民夫氏 17日 東京美術倶楽部にて組合交換会を 開催。参加49名、出来高9,532,000円 17日 東京美術倶楽部にて『刀剣界』第 23号編集委員会を開催 (企画) 。 出席者、 深海理事長・清水専務理事・伊波常務 理事・服部常務理事・赤荻理事・嶋田 理事・生野理事・瀬下理事・綱取理事・ 持田理事・大西芳生氏・大平氏・土肥 富康氏・松本氏・土子氏 4 月 3 日 刀剣鑑定のため、清水専務理 事・服部常務理事が横浜地方裁判所に 出張 7 日 東京美術倶楽部にて開催された全 国美術商連合会に伊波常務理事が出席 10日 刀剣鑑定のため、深海理事長が兵 庫県警察本部に出張 14日 東京美術倶楽部にて開催された全 国美術商連合会に深海理事長が出席 16日 東京美術倶楽部にて平成26年度会 計監査を笠原・佐藤両監事が行う。清 水専務理事・服部常務理事・事務局濵 㟢道代氏が出席 17日 東京美術倶楽部にて組合交換会を 開催。参加44名、出来高7,160,500円 17日 東京美術倶楽部にて理事会を開 催。理事15名、監事2名が出席 17日 東京美術倶楽部にて『刀剣界』第 23号編集委員会を開催 (校正) 。 出席者、 深海理事長・清水専務理事・伊波常務 理事・服部常務理事・赤荻理事・嶋田 理事・生野理事・瀬下理事・綱取理事・ 持田理事・大平氏・瀬下昌彦氏・土肥 氏・松本氏・土子氏 21日 刀剣鑑定のため、服部常務理事・ 瀬下昌彦氏が兵庫県警察本部に出張 ㈱美術刀剣松本 刀剣・小道具・甲冑武具 ってほしい。無鑑査作品に追 「新作名刀展」 授賞式風景 定 員:先着20名 対 象:高校生以上 参加費:500円 ●日本刀に触れてみよう! 古刀から現代刀の名刀を手に持 ち、ゆっくり鑑賞しましょう。 開催日:6月14日㈰午前10時30分 ~正午 7月8日㈬午後7時30分 ~9時 会 場:鉄の展示館隣接コミュニ ティーセンター 定 員:先着30名 対 象:小学生以上(小学生は保 護者同伴) 参加費:500円 (平成27年3~4月) 日本の伝統文化を彩る 目白 関 連 行 事 組合こよみ 第23号 刀 剣 界 平成27年5月15日発行 (隔月刊) (4) しげたか 用 し て い た と さ れ る 太 刀「 成 高 」 那須与一伝承館を訪ねて 祇園精舎の鐘の声 あった! 成高が。太刀拵もある。 しかしである。失礼ながら、光 線の具合が悪い。食い入るように 見ても、刀身の細かいところは見 えない。 伝えており、当初の刀と拵がそろ って伝来し、平安時代の様式をそ のまま伝える点で貴重である。 私が子供のころ、与一の幼少時 からの弓伝説を聞かされた記憶が ある。また、与一は美男子の代名 刀工とされている。 ら鎌倉初期にかけての古備前派の 財に指定されており、平安末期か わってくる。この成高は重要文化 き立て、与一にまつわるさまざま 言 っ て い い ほ ど わ か っ て い な い。 ところが、残念なことに「扇の 的」以降のことについては全くと ソードもたくさん残っている。 詞的存在で、それにまつわるエピ 伝わった貴重な資料が七百点以上 太刀拵の何とも言えない素朴な 美しさも印象深い。柄は黒漆塗り な伝説・伝承を生み出すことにな そ れ で も、 刃 長 七 九 八 ・ ㎝、 反 り 三 二・ ㎝ の 豪 壮 さ と 優 美 さ は 伝 収蔵されている。 の鮫皮で包み、 革紐の柄巻きで黒漆 ったのかもしれない。 (赤荻 稔) があるという。ほかに、那須家に なかなか訪れる機会がなかった が、先般、南東北へ小旅行をした 塗り、 鞘は薄皮包み黒漆塗りで綾で 諸行無常の響きあり 太刀成高に期待を膨らませ入館 し た が、 最 初 に 見 せ ら れ た の は、 包む。鐔・縁・鐺は失われている。 源平の屋島合戦での那須与一が演 「 平 家 物 語 」 の 一 節 で あ る が、 そ の 中 で も ハ イ ラ イ ト シ ー ン が、 ことわり 琵琶のBGMに乗せて、最新式の 沙羅双樹の花の色 じる「扇の的」であろう。 からくり人形による屋島合戦の再 盛者必衰の 理 をあらわす 新聞の地方版で、那須の麓の大 田原市に「那須与一伝承館」なる 現である。 成高は現存するものがきわめて 少なく、本品は全くの生ぶの姿を EXILEで映画「たたら侍 を」制作 あの人気ダンス&ボーカルユニ ットEXILE(エグザイル)の リーダーHIRO(ヒロ)さんが エグゼクティブプロデューサー で、劇団EXILEの青柳翔さん が 主 演 を 務 め る 映 画「 た た ら 侍 」 の撮影が進んでいます。キャスト と し て ほ か に、 A K I R A さ ん、 NAOKIさんも出演します。 「たたら侍」は、武士道と日本刀 を矜持とすることが真の侍の証と され、また誇りであることをテー 監督は映画の舞台でもある島根県 リ) 」を受賞した錦織良成氏。錦織 て、日本刀をテーマとしたたたら トチームでは、その前哨作品とし マとした映画です。監督は「RA ■那須与一伝承館=〒324 0 -0 12 栃木県大田原市南金丸一五八 四 六 - ☎〇二八七 二-〇 〇-二二〇 細部が見えにくかったが、今は大 出雲市出身。封切は来年五月予定。 歳で電車の運転士 ると、まさに日本刀の宝庫である。 型 の ス ポ ッ ト ラ イ ト が 付 け ら れ、 る。しかし、はっきりした目的を たちが一日に何千人も訪れてい て、また鑑賞するとよい。 ソ フ ァ が 置 い て あ る。 一 休 み し 名刀を真剣に鑑賞すると、非常 に疲れる。幸い、ここには壁側に 柳翔)は、旅を続けるうち日本刀 見て村を出た村下の長男伍介(青 かのぼります。侍になることを夢 像から始まり、中世戦国時代にさ 物語は奥出雲にある「日刀保た たら」の現場ドキュメンタリー映 EXILEが日本を誇りに思え るような時代劇作りに挑戦すると 信する予定です。 長)監修の下で制作し、内外に発 本 美 術 刀 剣 保 存 協 会( 小 野 裕 会 年仏映画祭「金の太陽賞(グランプ になった男の物語」で平成二十二 ILWAYS 持正宗、名物亀甲貞宗、小竜景光、 改善されている。地鉄や刃文、帽 子切安綱等々、愛刀家にとっては 日本刀は国内に約二百三十万振 現存するが、国宝に指定されてい 持って来られる方は少なく、観客 助真 鎌倉時代 群鳥文兵庫鎖太刀 鎌倉時代 七、八分、循環バスで公園口より 銘 長光 鎌倉時代 二、 三 分、 鶯 谷 駅 か ら は 徒 歩 で 備前国長船住景光 元亨二年五月日 (小龍景光) 鎌倉時代 太刀 備前国友成作 平安時代 長光(大般若長光) 鎌倉時代 「たたら侍」になります。 ります。そして玉鋼を伝承する男 に「侍の魂」が宿っていることを悟 「新たな本筋の愛刀家を育てな け れ ば な ら な い 」( 小 野 会 長 ) と かけになるに違いありません。 今 回、 「たたら侍」プロジェク (松本義行) 生かしていきたいものです。 語る協会の厚い支援もあるこのチ 確認の上、楽しんできていただき (冥賀吉也) ャンスを、われわれ刀剣商組合も 古銭 切· 手 刀· 剣 売 買 評 価鑑定 代表 ㈱城南堂古美術店 九 ☎ 〇 三 五- 七 七 七 八- 六 〇 〇 http://www.tnm.jp/ ■東京国立博物館=〒110 8 -7 1 2 東 京 都 台 東 区 上 野 公 園 一 三 - がれていると訴えかけます。 たい。 その「たたら侍」は、現代のた たら吹きの現場にも脈々と受け継 操業の記録映像を公益財団法人日 るものは百二十点しかない。その の流れとともに見て回る方が大半 一度は拝見したい名刀ぞろいだ。 中央に本館、右手に東洋館、左奥 うち、ここ東京国立博物館には国 いうこの「たたら侍」は、若い世 銘 銘 銘 銘 むら げ に平成館などが立ち並んでいる。 宝の所蔵品が十七点、社寺寄託品 代が日本刀に興味を持つ良いきっ 太刀 太刀 太刀 太刀 東京国立博物館は上野の森の一 角にある。JR上野駅から徒歩で 正門から二百メートルほどのと ころに城のような、要塞のような の す ご さ に 気 づ き、 た た ら 吹 き 東京国立博物館所蔵国宝刀剣類 子なども観察できる。 一度と言わず何度でも足を運 び、見学してほしい。 日刀保を訪れた映画スタッフら 大般若長光、名物大包平、名物童 それがまた多くの人の想像力をか ものができたことを知った。展示 これを見終えて展示室に入ると、 際、最初に立ち寄った。 物に、与一が扇の的を射た際に佩 東京国立博物館 「那須与一の郷」の中核施設である伝承館 の技を究めて玉鋼を生み出す心 安綱(名物童子切安綱) 平安時代 二階の武器・武具類の展示室も 見学してほしい。ここには甲冑類 銘 や拵などが展示されている。 太刀 で あ る。 ぜ ひ と も 名 刀 に 近 づ き、 備前国包平作(名物大包平) 平安時代 正面からじっくりと鑑賞してほし 銘 が六点あるから、刀剣の全国宝の 太刀 四分の一があることになる。重要 吉房 鎌倉時代 吉房 鎌倉時代 趣でドンとそびえる建物が本館で 銘 銘 ある。今から七十七年前の昭和十 太刀 太刀 五、六分のところにある。 行光 鎌倉時代 い。 か つ て は 展 示 室 が 少 々 暗 く、 銘 文化財の指定品四十振前後を加え 短刀 三年に東京帝室博物館復興本 来国光 嘉暦二年二月日 鎌倉時代 吉光(名物厚藤四郎) 鎌倉時代 約三万六千坪の広大な敷地の中、 東京国立博物館には、日本人は もとより、世界中から美術愛好家 49 1 上野のトーハクは名刀の宝庫 5 展示替えは三カ月に一度行われ ている。詳しくはホームページで 銘 銘 館として開館した。この中に 太刀 短刀 日本の美術工芸のあらゆる分 三条(名物三日月宗近) 平安時代 定利 鎌倉時代 野を網羅し、しかも最高のレ 銘 銘 ベルを誇る品々が展示・保管 太刀 太刀 されている。 日本刀の展示室は、一階正 面を右に向かい、突き当たり 梨地螺鈿金装餝劔 平安時代 田中 勝憲 〒153 005 1 東京都目黒区上目黒四 三一 一○ TEL ○三 三七一○ 六七七六 ○九○ 三二○八 九六一二 F AX ○ 三 三 七 一 ○ 六 七 七 七 「たたら侍」パンフレットより を左に曲がった奥の五十坪ほ どのスペースである。大きな おのおののケースの中に、十 二振の名刀がゆったりと展示 されている。鐔や目貫、三所 物などは二ケースに収まって いる。展示品はどれを取って 貞宗(名物亀甲貞宗) 鎌倉時代 無銘 刀 正宗(名物観世正宗) 鎌倉時代 無銘 刀 も超一級品ばかりだ。 名物三日月宗近、名物観世 正宗、金象嵌銘の城和泉守所 金象嵌銘 城和泉守所持 正宗磨上 本阿(花押) 鎌倉時代 刀 明治5年以来の歴史を持つ東京国立博物館の本館 第23号 刀 剣 界 平成27年5月15日発行 (隔月刊) (5) うというチャッカリ作戦(前置き のツールの出場選手にはそんなひ アシストできるわけも ないが、甘えすぎは禁物 いう。 転車で向かった。ソロで走るのは 人で濵㟢女史に会いに江の島に自 二月二十八日、俺は銀座で研師 の小川和比古氏らと会った後、一 局に来てたった一年と半年とは思 らで安心し切っている。組合事務 についたもので、俺など、かたわ 合交換会の事務仕事ぶりは実に板 いうのはどうだろう。なんか軽快 コラムのタイトルに「痛む人」と め、自らの足を痛め、走る。この 遠距離通勤や遠くから競売会場 に来る組合員の思いを感じ取るた 襲われた。明日は筋肉痛か? ので、帰りは北鎌倉の十 旧友の菊一純平氏の菊 一伊助商店に立ち寄った レブな奥様であった。 去っていく濵㟢道代さん ネススタジオに向かって は、何とヨガ。フィット 事中の国宝陽明門を再現した立体 徳川家ゆかりの品々を並べた展 示室のほか、収蔵庫、現在修復工 杉も使われている。 け、屋根の一部には日光杉並木の メ ー ト ル。 総 工 費 二 十 億 円 を か 二階建て、延床面積二二七〇平方 約五十年ぶりに新しくなった宝 物館は、高さ十三メートルの鉄骨 宝物館を新設した。 年式年大祭記念事業の目玉として の年に当たり、日光東照宮が四百 平成二十七年は、日光東照宮で 五十年ごとに斎行される式年大祭 五月三十一日)を見学した。 「 徳 川 家 康 と 日 光 東 照 宮 」 展(~ 三月十三日にオープンしたば か り の 日 光 東 照 宮 宝 物 館 を 訪 れ、 れは、友好の証として、秀忠公よ 展示されることになっている。こ イヤル・アーマリーズ博物館に所 五月からは「二代将軍・秀忠公 甲冑」特別展示会として、英国ロ る神輿などが展示されている。 寛永の大造替に製作されたとされ 同館には、ほかに家康公が関ヶ 原の戦で着用したとされる南蛮胴 と、感慨もひとしおである。 この助真が四十七年ぶりに家康 公の眠る日光へ里帰りしたと思う くなる見事な拵であった。 ますね~」と決めゼリフを言いた 感じられ、まさに「いい仕事して 日光東照宮に新宝物館がオープン もう一つの売りはヘリコプターか 今年の一月十一日、俺はサイク リング仲間九人と江の島サイクリ えないそのテキパキさの裏付けは、 さ の 微 塵 も な い な。 「健脚商売」 メラマンが捉える苦しみに歪む選 フランスの国営放送が届ける映 像は、オートバイの後部座席のカ じだろうか。 ツール ド ・ フ・ランスという世界 最大の自転車ロードレースをご存 ードレースに取りつかれていくと サーは、渡り鳥になった気分でロ アマチュアレースでもこの風の 一団に初めて入ったビギナーレー け合いのスポーツなのだ。 ル前一キロメートル地点までは助 ルへと向かっていく。つまりゴー を断念したのだ。 に三十七度の熱を出し、俺は全部 しかし、自転車の神様はそんな 俺を許さなかった。当日の明け方 るはずだった。 ために世界があるような一日とな 剣界』の取材をするという、俺の 『刀 の 濵 㟢 道 代 さ ん を 呼 び 出 し、 手 の 表 情 が 大 迫 力 で 知 ら れ る が、 ふさひろ い。せっかく全国から有名 会場に立っていて、お客さまへ の説明と案内だけではもったいな 子も置いてありました。 ていただけるように、休憩用の椅 を展示していました。ゆっくり見 提供してもらい、たくさんの作品 した。あのころは広いスペースを 伝いをさせていただくことにしま 私 も 小 品 を 出 品 し て い た の で、 足手まといにならないようにお手 海外からのお客さまに対応しても と き は 若 手 に 助 け て も ら っ た り、 クターや名前などもあり、そんな お客さまの注文の中には、私ら には手に負えないアニメのキャラ れてきて、誠に頼もしい限りです。 営の中心となり、開催ごとに手慣 た。今では意欲的な若手刀匠が運 支部が主体で行うことになりまし 刀剣市の銘切り実演は刀匠会関東 博物館で開催するようになり、大 その後、短刀小品展はお守り刀 展に発展し、岡山の備前長船刀剣 の会計処理も大変でした。 目の回るような忙しさで、終了後 の こ ろ は 受 付 を 担 当 し ま し た が、 たこともたびたびありました。そ 大盛況でした。一会期で百本切っ ます。 会いできることを楽しみにしてい しょうか。また多くの皆さまとお な言葉や絵柄を刻むことになるで あと半年で、第二十八回の大刀 剣市がやってきます。今年はどん て会話ができるいい機会です。 機会が限られているので、大刀剣 す。職人をしていると人に接する 作品を買っていただくのはなか なか思うように行かないもので りすると、うれしいものです。 即売が可能になったのでした。 具足をはじめ、約三百八十年前の 徳川家ゆかりの貴重な品々が一 堂に会するだけでなく、最新のデ れている。 ション作品「徳川家康」も公開さ が備えられ、高精細CGアニメー 映像作品を上映するシアターなど 日光へ出かけてみてはいかがでし 長い冬が終わり、最も快適なこ の季節、徳川家康公ゆかりの地・ も、ぜひ見てみたい。 好の歴史が詰まったこの企画展 世に贈られたものである。日英友 りイングランド国王ジェームス一 蔵されている秀忠公所用の甲冑が (綱取譲一) ジタル技術を活用し、老若男女を (瀬下昌彦) ょうか。 ☎〇二八八 五-四 二 -五五八 431 栃木県日光市山内二三〇一 問わず楽しめる展示になっている ■日光東照宮宝物館=〒321 1 - 属していて、一見すると地 家康公の注文に応じて製 作された黒漆塗打刀拵も付 れ、見入ってしまった。 私は覇気に富む助真を目 の 前 に、 し ば し 時 間 を 忘 元帳」に記されている。 た こ と が「 駿 府 御 分 物 刀 剣 で、加藤清正から献上され あ る。 家 康 公 遺 愛 の 一 振 光助真」と号され、有名で いないが、特に助真は「日 である。それぞれ名刀に違 宗、重要文化財の太刀吉房 助真、同じく国宝の太刀国 りに里帰りした国宝の太刀 そ の 中 で も 注 目 す べ き な の が、 東京国立博物館から四十七年ぶ 点が印象的であった。 二パーセントの上り坂に 味ではあるが家康公のこだわりが らの映像だ。自転車選手たちが集 ングを計画していた。そしてその 苦しさ三割増しほどだろうか。 銀行勤めが長かったからだろうか。 …こりゃいいや。これでいこう。 だな。そんな彼女の土曜 団で走る模様を空から捉えるそれ 日の夕方は、靖国神社での実演を 十三時に自宅を出て湘南モノレ ール江ノ島駅に着いたのは十五時 そんな彼女でも、総会などの年 一回ペースのものはその仕事手順 私が「大刀剣市」の現代刀匠銘 切り実演コーナーに参加すること 刀 匠 が 来 て い る の だ か ら、 日の昼下がりの過ごし方 は、チームを作って飛来する渡り 終えた現代刀匠の下島房宙氏・石 五十分。来た、濵㟢さんだ。毎日 どい奴はいない) 。しかも昼食を 鳥たちのように見える。実は鳥た 田四郎国壽氏らと飲み会という楽 ここから大久保の組合事務所まで 取る江の島の食堂に当組合事務局 ち同様、先頭以外は集団全体の風 し み の 二 毛 作。 ば て た フ リ を し、 編 の流れに乗り、一人で漕ぐより楽 自分以外の九人をジャンジャン前 はまざき で 速 く 移 動 が 可 能 で、 多 く の 場 を忘れていて戸惑うと言う。俺が に な っ た の は、 「短刀小品展」へ 喜ばれて、少しは全日本刀 らったりと、助かっています。 は、どこまでも湘南のセ 合、チーム、成績などを二の次に を通う彼女だが、毎月十七日の組 の出品がきっかけです。 匠会の財政の足しになれば 今では最盛期の売り上げには到 底及びませんが、それでも手ごろ いかな。 (綱取譲一) ■連絡先=〒272 0 - 802 千葉 県市川市柏井町一 一-七二八 五-一 ☎〇四七 三-八八 四 -三九六 匠の火造りと、子息の義一刀匠の焼 入れを見学させてもらうかたわら で、かいがいしく細かい説明やお茶 出しを笑顔でしてくれた青年が、こ の山下さんだった。あれは何年前の ことだろう。 先日偶然お会いした吉原義一刀匠 に「 山 下 さ ん は 人 柄 が 良 い で す ね 」 と 話 す と「 え っ、 そ う で す か 」 と、 そうばかりではないのですよ、とい う 言 葉 を 飲 み 込 ん だ よ う な 反 応 だ。 そりゃそうだ。みな刀匠たちは自分 の信じる道をがむしゃらに進み、頑 固でない者はいないくらいだ。義一 刀匠も山下さんの気骨を目の当たり にした一人なのだろう。 笑顔の向こうの隠れた闘志、使わ れすぎている言葉だが十分うなずけ る。気骨あふれる作品を待とう。 一つ思い出した。その鍛錬道場の 見学会に、額のニキビも初々しい長 身の中三か高一くらいの少年がいた ことを。その少年こそ今は家庭を持 ち、わが業界で大輪の花を咲かせつ つある飯田慶雄氏であることを。さ て何年前のことか誰か教えてくれな に出し、自分は追い風で楽をしよ 江ノ島 湘南モノレール湘南江ノ島駅で濵﨑さんと し、苦しい先頭を順次交代しゴー 短刀小品展はある時期まではデ パートで開催されていたのです と、文鎮などへの銘切り実 まうことがあります。次回はこん ﹁大刀剣市﹂ の銘切りコーナーは 絶好の出会いの場 が、それができなくなり、大刀剣 演が始まりました。 なものが売れるかもしれないと思 山下 浩郎 ︵刀匠︶ 市の会場の一部を提供していただ 作品を買わなければ頼め ないような刀匠に、少しの ■一筆啓上 大刀剣市の現代刀コーナーで愛嬌 のある笑顔で誰にでもわかりやすく 説明するあの人が、今回の若者広場 に登場となった。そう、若者と言う には少々トウが立った印象となる山 下 浩 郎 さ ん( 刀 匠 銘「 浩 」 ) だ。 今 までこのコーナーに登場してもらっ た若手刀匠の兄貴分と言って差し支 えないだろう。 氏との出会いはかなり古いものと なる。葛飾区高砂の吉原義人刀匠の 日本刀鍛錬道場で日刀保東京都支部 の見学会があった時のこと、義人刀 市は多くの方の意見や好みが聞け くことで、引き続きコンクールと 金額で好きな言葉や絵など って仕込んだ作品がズバリ売れた な価格の小物などが売れ切ってし を切ってもらえるとあって、 オープンした日光東照宮宝物館 19 第23号 刀 剣 界 平成27年5月15日発行 (隔月刊) (6) 八十年前に書かれた刀の本格エピソード集 『怪談と名刀』本堂平四郎著 東雅夫編 定価(本体五九三円+税) 双葉社 句や刀剣の研究家、犯罪実話作 業家に転身、さらに晩年には俳 著 者 に つ い て 記 し て お く と、 岩手県出身で、警察官、後に実 ぶりに復刻されたものだからだ。 として刊行されており、八十年 十一月、羽根沢文庫から単行本 り、 し か も こ の 本 は 昭 和 十 年 感じられる時代を生きた方であ 逝去という、刀剣がまだ身近に 明治三年生まれ、昭和二十九年 それもそのはず、この方は何と 全 く 心 当 た り が な い の で あ る。 ある。本堂平四郎という著者に るのだが、誠に「珍」なる本で この本は『怪談と名刀』とい うことで、二十八編を収めてい 存会の幹事にも名を連ねているの は、同誌発行の母体である刀剣保 史』誌上で始まっている。平四郎 連載が、大正十五年に『刀剣と歴 研究や文筆を中心とした生活をす これ以後、平四郎は実業界の第 一線から身を引いて、趣味の刀剣 なくされている。 運もあり、同十五年に撤退を余儀 ったのだが、関東大震災などの不 ざまな事業に手を染めることにな 大 正 八 年、 依 願 退 職 し て 一 転、 実業界に身を投じてからは、さま いる。 支援したとする逸話も伝えられて 親交を結び、辛亥革命を陰ながら とうてん 家として活動するなど、多彩か である。 同じ時期に、孫文や宮崎滔天らと つ波瀾万丈な経歴の持ち主であ 込神楽坂・下谷上野・深川西平 は警視庁警視となり、赤坂・牛 に、昇進を重ね、同四十一年に 明治二十三年、地元の黒沢尻 警察署に採用されたのを皮切り けにはいかない。 されたりしている事情も見逃すわ の本が新たに発行されたり、増刷 ではあるが、実は昨今、刀剣関係 ソロジストによって復刊されたの る。 『怪談と名刀』の元になった る。 『 怪 談 と 名 刀 』 は、 怪 談 を メ ー ンテーマとする東雅夫というアン 野・新宿・麴町の各警察署長を 書ける人がいないことが、八十年 歴任している。 とりわけ赤坂警察署長時代に は乃木希典陸軍大将夫妻が明治 ぶりの復刻の契機となったのであ (持田具宏) 天皇崩御に当たり殉死を遂げた ろう。 伝も少な ど、 武 勇 す る な 次を逮捕 仕立屋銀 大 親 分・ たスリの 名を馳せ 東一円に 当 時、 関 際、検視の陣頭指揮を執ったり、 ビジュアル本が多い中で、こう いう本格エピソードで刀のことを ブック・レビュー BOOK REVIEW く な い。 私 が 出 会 った 珍 品 く、昭和五十五年七月の『名刀図 鑑』において藤代松雄氏は、銘鑑 に は「 二 代 弥 門 直 勝 の 初 銘 は 直 続・ポーランド訪問記 そ の 論 を 実 証 す る も の と し て、 え ら れ た よ う に 思 わ れ る と 唱 え、 二代、三代は同一の刀工が誤り伝 本刀文化振興協会が実施してきた は参加を強く勧めた。これまで日 一昨年の訪問は、残念ながら私 は同行できなかったが、阿部氏に しいものであった。 て、広い見識を持ついかにも氏ら 綿密な報告と多少の旅情も交わっ 研師阿部一紀氏による本紙第十 五 号 の「 ポ ー ラ ン ド 訪 問 記 」 は、 の修業の様子、使われる道具など そして本年、二度目の訪問とな った際には、刀鍛冶の生活や弟子 することが入会の条件であった。 関する内容でプレゼンテーション の会員になりたいと申し出たとこ 革加工された会員証が大変魅力 的であり、ポーランド日本刀部会 優 ・ 品 公益法人日本刀文化振興協会 専務理事 宮入小左衛門行平 五九)の刀の押形を掲げている。 文化庁助成事業における講座や日 の写真を示しながら詳細に説明 参加している二十人余の会員の熱 本作は藤代氏の説を補強するも のとなり、それぞれの刀工の没年 本刀調査などで中心的役割を担っ し、 よ う や く そ の 約 束 を 果 た し 大平 将広 好、三代直勝の初銘も荘司弥門直 月日、他の現存する年紀入りの直 ていただいた氏の経験は、訪問の た。メディアなどでは紹介されて 諒( ナ オ ヨ シ )」 と あ る が、 こ の 諒銘の作品から推察するに、次郎 目的に適い、必ずや成果を上げる いない興味深い内容として受け止 先人直勝嘗応磯野君寿需殿一口刀刀成 未勒名而為隔世人因代勒先人名云 長さ二尺一寸五分強 反り四分半 長船刀剣博物館および全日本刀匠 策を協議してきたが、展覧会等は ろ了承された。ただし、日本刀に 偶然ではあるが昨年、本年三月 と、二度ポーランドを訪れる機会 会が進めるとして、刀職者集団で ス」と記された安政六年紀(一八 旨の電話があった。 を得た。昨年は全く私的な渡航で ある当協会としては修理事業を優 まずはモノを見てみよう。 さ な 字 で 書 か れ た 銘 文 に 戸 惑 う。 い登録証を確認する。隙間なく小 し、なおあき)が、切付銘として まであったものを、直諒(なおよ 本作は次郎太郎直勝が生前に注 文によって制作した刀が無銘のま ト云 の類と見られ、思うところまでい ること、また、いわゆる代作代銘 今年に入ってから、訳あって刀 身のみ市場にて売却。切付銘であ 容はそれぞれ「銃刀法」と「押形 レゼンテーションが行われた。内 その際、二人の新入会員への会 員証の授与と、その二人によるプ の書面を提出した。 ける内容を記した刀文協理事長名 日本の外務省、文科省等へ働きか より 白鞘はなく、佐・尉官略式刀緒 付き野戦革覆いのサーベル型軍刀 次郎太郎直勝の銘を誌したという かず原価割れとなった。 じゃ付かないような刀では、と高 九八式か何かに入った、登録も今 はあったが、先の訪問団の中心的 先させることが現実的であるとの もちろん二つ返事で引き受け る。錆身だと言う。内心、どうせ 心さにも感心させられた。 ったため、日刀保の審査に出すこ 太郎直勝の二代目の弥門直勝は初 と思ったからである。調査の内容 (切付銘) とに。その後、保存刀剣の審査に 銘を直好、または直諒とし、三代 は、現状と必要な修理内容が的確 刀 無事合格し、しばらくして協会の 目は存在しないと考えるのが妥当 めていただいたと思っている。 「次郎太郎直勝作依無銘男直諒銘 一昨年の十月、来店買取希望の 電話が入る。 井 本 悠 紀 学 芸 員 か ら、 こ の 刀 を ( 詳 し く は『 刀 剣 美 術 』 で あ る。 〉 に記されており、今後の交流に欠 日本刀を通じての交流に情熱を 傾ける白髭氏とは以前からその方 荘司次郎太郎藤原直勝男弥門直諒謹誌 「 軍 刀 な ん で す が、 見 て も ら え ないでしょうか」 『刀剣美術』に掲載したいという 平成二十六年六月号を参照のこと) かせない資料となっていた。 明されていくのを目の当たりにで 存在であった中国電力・白髭修一 方針を申し合わせた。 拵に刀身が収まっている。 ものである。『日本刀銘鑑』では、 刀剣史において、新々刀といえ どいまだ不明瞭であった部分が解 以下、内容の一部を転載する。 〈荘司次郎太郎藤原直勝ノ男弥 門直諒ガ謹ンデ誌ス。 きたことは非常に貴重な経験であ 氏よりポーランド日本刀部会会長 ところどころ錆びていたが、小 板目詰んだ無地風に互の目・尖り 直勝の系列は初代が次郎太郎直勝、 の手法とその効用」と題し、驚く 初めてポーランドを旅した三十 年ほど前のこと、友人になった大 もとめ をくくっていた。 先人直勝、嘗テ磯野君寿ノ需ニ きた 応ジテ一口ノ刀ヲ殿ウ。刀成リテ。 り、感動的だった。 ヤツェク氏に伝わり、滞在中に開 刃が連れた、軍刀拵によく収まっ ほ ど 入 念 な 調 査 に 基 づ く も の で、 かつ ご来店いただき、拝見する。袋 から刀を出し、昭和二十七年の古 未ダ名ヲ勒マズシテ隔世ノ人トナ 後日、無事商談成立となり、買 い取った後、鑑定・研磨・白鞘な そして、ヤツェク会長を通して ポーランド政府関係機関へ、また ている類の刀かという印象。茎を 二代目が弥門直勝(初銘は直好) 、 軍刀拵の中にもこのような珍品 が埋まっていること、また珍品な きざ ル。因テ代ワリテ先人ノ名ヲ勒ム どの手をかけた。 催された同会の会合に招待された。 抜くと細鏨で長文の切付銘がある。 三代目が弥門直諒としている。 ポーランドと私の間にある縁と 恩をかたちにしたいと思っている。 なことも知った。 でポーランド国民が日本を大好き り返ることができた。彼のおかげ 年ぶりに再会した友人とともに振 堪能した夢のような日々を、三十 に通い、大好きな音楽をたっぷり を受けた。そして毎日コンサート くなど、彼と両親から多くの親切 下、いつもおいしい食事をいただ 決して豊富ではない社会主義体制 学生の家に泊めてもらい、物資が 一部に次郎太郎直勝とあり、予想 られた刀だった。 らではの商売の難しさを感じさせ に反した著名刀工の名に驚く。 しかし、この三代目の弥門直諒 の作と考えられる確かな作品はな お客さまと相談の結果、無鑑だ ポーランド軍事博物館にて講演する筆者 第23号 刀 剣 界 平成27年5月15日発行 (隔月刊) (7) 交換 会 紹 介 として出席し、建築全般や管理規 約作成などに関わり、現在は同管 理組合で監査を務めています。 刀 剣 商 リ レ ー 訪 問⓴ 濱崎 善弘 さん お客さまの舵取り役で四十年 刀職紹介 第 回 正式な流通過程の確立の必要性を れ て 間 も な く、 業 界 の 地 位 向 上、 戦後の美術品取引の中、特に刀 剣所持に関わる登録制度が導入さ している長寿市場です。 の親族もその管理に関わっていた ています。服部暁治さんのお父上 ての二階に間借りし、後に購入し 五坪、一階に人が住む木造二階建 と会場は、新橋四丁目にある約十 とがありました。まず組合事務所 かの市場に貸し会場として利用さ 橋駅から至近のスペースはいくつ に有効利用する、と決議され、新 以前の同組合総会で、先人たち の遺志を継ぎ、同地を業界のため いている理由でしょう。 加え、同ビルとの円滑な関係を築 事長のご活躍も、当組合の運営に す。 ・骨董など、多岐にわたっていま だけでなく、茶道具・書画・貨幣 るとのこと。扱うのは刀剣・甲冑 昭和十九年生まれで、古美術の 世界に四十年以上携わっておられ しひろ)さんです。 おられる濱崎善弘(はまさき・よ 今回紹介しますのは、兵庫県尼 崎市で店舗を構え、長く営業して 下を倉庫に、一・二階を店舗とし 開業し、現在に至っています。地 後に兵庫県の一番東の尼崎で独立 「私は古物商許可証を昭和四十 一年に取得しました。そして十年 す。ここでご本人のコメント―。 書道をたしなむ趣味人でもありま 若いころは柔道を、近年は茶道や ふくよかな体型と温厚な雰囲気 から、古美術業者というより、愛 得て、実力を蓄えています。 で開業。刀剣商や刀匠らの協力を 業。その後、独立して地元宇都宮 十 八 歳 の と き、 岐 阜 県 に 行 き、 本阿弥流の研ぎを五年にわたり修 孝治 さん いるかもしれませんが、東京・港 痛感し、東京を活動拠点とする先 と聞くと、驚きの歴史です。 れ現在に至っており、ご存じの方 全国刀剣商業協同組合には百八 十余名の会員がいますが、営業基 て、 刀 剣 を 主 に、 茶 道 具・ 焼 き 〈研師〉枝松 区 新 橋 に て 昭 和 二 十 七 年 に 登 記、 人たちが、協同組合という中にそ バブル期には、周辺の地上げに よる地価高騰で、資産評価に一喜 も多いと思います。 盤を首都圏においている方が大半 階 東京美術刀剣商業協同組合市場 拠 点は新 橋プラザビル 市場鑑札を取得し運営されている の姿を築いたと言えましょう。市 一憂。長年計画が凍結されていた です。その経済規模に比し、組合 の出張も多い中、刀剣をはじめ古 交換会市場です。 場主申請が伊波富次郎だったのは、 環状二号線(俗称マッカーサー通 また、内装にスポットライトレ ールを付け、会議や勉強会にも対 移転当時から現在まで、温厚実 直なお人柄で知られる笠原泰明理 刀剣登録証発行が昭和二十六年 (一部特例を除く) 、大戦後のサン 設立メンバーの中で公の交渉事に 応できるようにしており、利用を そうです(伊波徳男元理事長談) 。 継続開催していました。また、そ り、略称「東刀会」として市場を 間、 会 場 は 東 京 美 術 倶 楽 部 を 借 も、なかなかです。 路を眼下に眺めるロケーション 受け付けています。新しい環状道 会認可の大阪美術刀剣業組合が創 組合発足以前に、大阪府公安委員 十名ほどのようです。大阪には当 員が少ないのが関西圏です。現在 していきたいと思っています。 ちょっと目先を変えた店づくりも 間 も な く“ 趣 味 の 日 ” を 設 け て、 物・ 掛 け 軸 な ど を 扱 っ て い ま す。 心がけているとのこと。特に刀剣 できるだけ要望に応えられるよう 仕事を預かる際には、依頼して く だ さ る 方 と き ち ん と 話 し 合 い、 好 家 と い う イ メ ー ジ の 濱 崎 さ ん。 美術品の普及に尽力されています。 フランシスコ講和条約調印の年に 向いていたからだったようで、飯 り)再開発計画が始動すると、約 という名に一瞬ピンと来ない方も 始まり、同条約は翌二十七年に発 三年の移転を迫られました。その 刀剣流通の場として確立される 一方、組合組織として早くから警 れに伴う税務対応と周辺事情の変 視庁の協力団体「東京都古物商防 場合には、取り扱いや鑑賞、手入 瓶 詰 め は 人 の 手 を 必 要 と せ ず、 しかも一時間に一升瓶四千本もこ 本を生産しています。 万石、一升瓶に換算すると四百万 ッフです。その八十人で年間約四 朝日酒造の従業員は百八十人ほ どで、そのうち八十人は製造スタ を出してくれる蛍庵という料理屋 は、酒粕を使った料理やへぎ蕎麦 ができます。朝日酒造の敷地内に 予約すれば酒蔵見学で製造工程 を見ることができるし、また予約 酒造の思いだそうです。 なお酒を造りたいというのが朝日 がなくても、びん詰め工程の見学 朝日酒造は、地元の人、地元の 水、地元の米によって酒を造ると 朝日酒造のすぐ裏には紅葉園と いい、名前の通り秋には紅葉で見 その関西で濱崎さんは、博物館 学芸員、大阪美術刀剣業組合理事 だけではないようです。 で、関連業者が少ないという理由 思っています。 」 を集めるための、舵取りの役目と すこと。私はお客さまがいいもの 分自身の気持ちに合ったものを探 でなく、筋の通っているもの、自 美術品はお金をかけて集めるもの 進する毎日です。 「限られた時間の中でできるだ けのことをやる」をモットーに精 努めておられます。 心を持ってもらえるような接客に れの仕方なども説明し、一層の関 (瀬下昌彦) 〒3 7 2 0 8 1 2 群馬県伊勢崎市連取町一八三六 一 TEL ○二七○ 二六 七七七八 F AX ○ 二 七 ○ 二 六 八 八 七 八 松浦 孝子 代表 紀伊国屋 刀剣・宝飾品・高級腕時計・ダイヤ ☎〇九〇 五-五五八 七-二九〇 木県宇都宮市下平出町八〇七 一 - 二 ■連絡先=〒321 7 - 290 栃 研ぎ代は一寸八千円ですが、依 頼内容や刀の状態によって変わる ☎〇六 てください。 濱崎さんのお嬢さんたちは二人 とも、獣医さんであることを付け (服部暁治) ことがありますので、相談してみ 六 -四一一 六-六九九 庫県尼崎市玄番北之町二三 ■有紀美術=〒660 0 - 872 兵 加えておきます。 など数々の公職をこなし、関東へ の知識がない方から依頼があった 自分がいつも思って、お客さま に言っていることがあります。古 遷にもまれながら、現在は再開発 設されており、関西の刀屋さんた による地権者が多く入居する「新 ちが結束して活動していましたの 犯協力会連合会」 (東古連)に加 (伊波賢一) 入。今も各古物取り扱い業種(宝 橋プラザビル」に約三十坪のスペ 温 故 知 新。 発 足 意 義 を 尊 重 し、 これからの運営が期待されます。 石・古書・自動車など)との情報 なします。人の手を必要としない も あ り、 お 酒 を 飲 み な が ら 味 わ ■連絡先=〒142 0 - 063 東京 都品川区荏原二 一-七 一 -三 虹雅堂 美術舗内 ☎ 〇三 三-七八一 六-五八二 朝 日 酒 造 は 天 保 元 年( 一 八 三 〇) 、現在の蔵元がある新潟県長 のは、清潔で安全な商品をお客さ え ま す。 帰 り は お 酒 は も ち ろ ん、 毎月の管理組合設立委員会に委員 ー ス を 取 得。 同 ビ ル 完 成 前 か ら、 長い歴史の中で、いろいろなこ 交換もしています。 岡市の広大な土地に久保田屋とい ま に 届 け る た め で も あ る の で す。 米、酒、酒粕、麹などを使った酒 売店もあり充実しているので、お 昔の屋号だったのです。さらに平 いうことにこだわっています。そ 事に赤く染まります。その秋口に 濱崎善弘さん 日本酒本来の味が楽しめる、そん う屋号で酒造業を始めます。朝日 酒の仕込みは杜氏さんの職人技と の肴やお菓子なども販売している 越後銘酒で浸る愉悦のひととき というのは地名で、ここは寒暖の いう側面が強いのですが、機械を 土肥 富康 差が大きく、おいしい米が育つの 導入することで、より良い品質で 「久保田」 「朝日山」と聞いてピ ンと来る人もいるでしょう。毎日 晩酌をしている方でしょうか。 に最適な気候な土地だったのです。 私たちの元へ届くわけです。 成十二年には「越州」を発売。ロン して、高級酒だけではなく、皆が 紅葉狩りを兼ねて新潟の酒蔵に訪 土産には困りません。 グセラーもありますが、現在も季 楽しく飲める普通のお酒のレベル れてみてはいかがでしょうか。 販売を始めます。久保田の名前は 節限定のお酒を造り、美味しいお を引き上げ、値段は高くなくても とう じ そんな皆さんに、わが新潟の蔵 元、朝日酒造をご紹介します。 大正九年に朝日酒造株式会社を 設立し、昭和六十年に「久保田」の ❼ 枝松孝治さんは昭和五十九年生 まれの、現在三十歳。 効して正式に日本の独立となるの 田国太郎氏、服部栄治氏ら多くの 東京美術刀剣商業協同組合市場 17 協力者が結集したたまものだった 会場から見た虎 ノ門ヒルズ方面 で、ともに六十三年の年月を経過 14 酒造りの研究に余念がありません。 有紀美術の店舗ビル 交換会風景 壮大な朝日酒造の酒蔵 第23号 刀 剣 界 平成27年5月15日発行 (隔月刊) (8) イベント・リポート ■九州国立博物館 〒818-0118 福岡県太宰府市石坂4-7-2 ☎092-918-2807 http://www.kyuhaku.jp/ 九州国立博物館開館10周年記念特別展 「戦国大名 ─九州の群雄とアジアの波濤」 場したのですが、展示場はお客さまであ それに、大関ヶ原展は実は集客率がよ く、四月六日(月)の午後二時ごろに入 鑑賞してきました。 生としては、刀剣類・武具類をしっかり 国神社が再建されると奉納され、今日に 川家の所有となり、明治維新を迎えて豊 献上、大坂夏の陣で豊臣家が滅亡して徳 一度大友家に戻り、そこから豊臣秀吉に 利将軍家、さらに松永久秀に移り、もう 光の作と伝えられる。豊後大友家から足 あるようです。ぜひご覧になるこ 後期でも展示品の入れ替えが相当 というわけで、刀剣・武具とも まだまだたくさんあるし、前期と て尾張徳川家に伝来。 康の手を経て「駿府御分物」とし 十月四日)と巡回します。 日 )、 福 岡 市 博 物 館( 八 月 七 日 ~ ちなみに、この展覧会は京都文 化博物館(六月二日~七月二十六 了しています。 の発行されるころには東京展は終 に三十年以上を数える。創設時か 昨 年 の リ ポ ー ト で も 触 れ た が、 平成会は前身の諏訪会創立から優 製の大鹿角の脇立が据えられる。 付」 。 兜 は 十 二 間 の 筋 兜 で、 金 箔 押 の 木 れたが、家康の家臣に探し出され、徳川 太 刀「 銘 国 俊、 名 物 鳥 飼 国 俊 」。 石 田 三成が細川忠興から五百貫文で買い求め とはしゃいでいたのが印象的でした。 で若い女の子たちが、 「骨喰があるし~」 て寒の戻りもやってくる。 いざ満開となると、決まっ も ま た 恒 例 に な っ て い る。 毎年この季節は、桜の満 開に合わせたように春の嵐 所狭しと並べられた品物には生 ぶ品も多く、ひとしきり“成り行 りに入った。 任された髙橋歳夫会長の挨拶で競 び、午前十時、今年から代表に就 ることなく受け継がれている会で ら堅実の理念を伝え、現在も変わ 行われた。 四月十日、平成会熱海大会が定 宿であるあたみ石亭で盛大に執り ふれており、書状関連などはとても鑑賞 とをお勧めしたいのですが、本紙 上、戦史上、どういう意味を 上杉景勝所用の太刀「銘一、号姫鶴一 文字」 。景勝公御手撰三十五腰のうち。 家のものとなった。 (持田具宏) 至る。 持つのかということを前面に 鍋島勝茂所用の甲冑「青漆塗萌黄糸威 二枚胴具足」 。伊予札萌黄糸威で桃形の 重要文化財 太刀 銘 光忠 重要文化財 太刀 銘 備前国長船盛景 重要文化財 短刀 銘 光包 国宝 太刀 銘 来国光 刀 無銘 銘 則房 国宝 短刀 銘 左/筑州住(太閤左文字) 国宝 短刀 銘 国光(名物会津新藤五) たような寒の戻りが、より から一転、二月に舞い戻っ う花と、数日前の五月陽気 た桜の木からひらひらと舞 がら、少し葉桜になりかけ である。熱海に向かう道す が、天気が荒れるのも恒例 平 成 会 の 大 会 は、 毎 年 四月に熱海で開催される 懇親会では屈託のない意見や情 報の交換が行われ、結束の強さを 力と協力がある。 はじめ会員の方々の並々ならぬ努 記録した。その背景には、役員を れば昨年を大きく上回る出来高を 剣や名品の入札と続き、締めてみ き”で盛り上がった後は、重要刀 (大西芳生) まざまざと感じた大会であった。 たどります。 会期:8月1日㈯~9月13日㈰ 千代姫は三代将軍家光の長女で、 寛永16年(1639) 、わずか数え年3 歳で尾張徳川家二代光友にお嫁入り しました。千代姫の婚礼調度は、調 度の意匠が『源氏物語』の「初音」 の帖にちなんだ「初音の調度」が47 件、同じく「胡蝶」の帖にちなんだ 「胡蝶の調度」が10件、さらに染織 品・金工品を加えた総計70件が現存 し、 一括で国宝に指定されています。 開館80周年を記念し、全点を一挙 に公開いたします。 会期:4月11日㈯~5月31日㈰ 〈開催予告〉 徳川家康 ―天下人の遺産― 徳川美術館の収蔵品の骨格となる 徳川家康の遺産は、江戸時代を通じ て尾張徳川家第一の重宝として大切 に守り伝えられました。徳川家康没 後400年を記念し、尾張徳川家に伝 来した家康の遺産「駿府御分物」 「駿 河御譲本」を通して、家康の生涯を 強く季節の変化を印象づけ 盛り上がりを見せた競りの会場 国宝 初音の調度 ─日本一の嫁入り道具─ るところから「石田切込正宗」とも称さ 太刀 天下人への道のり」 、第五章 国宝 「徳川家康の素顔」 、エピロー 吉房(附 蝋色塗打刀拵) 筑州住左(江雪左文字) (附黒漆研出鮫鞘打刀拵) ■徳川美術館 〒461-0023 愛知県名古屋市東区徳川町1017 ☎052-935-6262 http://www.tokugawa-art-museum.jp/ ある。会場には早くから名品が並 出した展覧会でした。 兜に、家紋である杏葉紋の前立が付く。 刀「 無 銘、 名 物 石 田 正 宗 」 。石田三成 所用の刀。棟に二カ所大きな切込疵があ できない状況でした。 何だかすごい伝来なのだが、この刀は よくわからない。ちなみに、この刀の前 乱の予感」 、 第 二 章「 合 戦 の 榊 原 康 政 所 用 の 太 刀「 銘 国 行 」 。来国 行の太刀。近年に至るまで同家に伝来。 れる。三成から家康の次男結城秀康に贈 銘 銘 江戸東京博物館 催 事 情 報 武器 武 ・具が物語る関ヶ原の戦 江戸東京博物館で「大関ヶ 原展」 (三月二十八日~五月 十七日)を鑑賞してきた。関 まずは、家康の重臣酒井忠次が所用し た甲冑「朱漆黒糸威二枚胴具足兜小道具 前夜」 、 第 三 章「 決 戦! 関 ヶ 真田昌幸の所用と伝えられる甲冑「皺 革包昇梯子文二枚胴具足」 。残念ながら られたそうである。 ヶ原の戦というものが、歴史 原」 、 第 四 章「 戦 後 の 世 界 ― 江戸後期に火災に遭って当時の面影はな 平成会熱海大会を開催 グ「家康の神格化」と、場面 いが、真田昌幸にふさわしく、無骨で実 無銘 備州長船兼光/延文三年二月日 銘 刀 国清 太刀 伝来国光 重要文化財 重要文化財 た刀。関ヶ原の戦場で三成の手元から離 をよく押さえ、直江状をはじ 短 刀「 銘 吉 光、 名 物 包 丁 藤 四 郎 」。 石 田三成に口説かれ、三成を支えて関ヶ原 太刀 太刀 プ ロ ロ ー グ「 描 か れ た 戦 場」 、 第 一 章「 秀 吉 の 死 ― 再 め と し た 書 状 の 類 も 数 多 く、 践的な雰囲気。 国宝 国宝 る。 印刷/株式会社日刊企画 充 実 し た 内 容 な の で す が、 正恒(附梨地桐紋蒔絵糸巻太刀拵) 国宗(附黒蝋色塗打刀拵) で奮戦した大谷吉継が所持した短刀。家 銘 銘 ほねばみ 太刀 太刀 。藤四郎吉 薙 刀 直 し 刀「 骨 喰 藤 四 郎 」 国宝 国宝 出品作品リスト 『刀剣界』の取材を兼ねる小 ・戦国大名の争覇から豊臣大名の登 場と消滅まで、戦国九州のクライ マックスともいうべき16世紀後半 の激動の歴史が一望できます。 ・アジアの海を媒介として華々しく 展開された、戦国九州と中国・朝 鮮・琉球・東南アジア・ヨーロッ パとの海外交流の歴史がわかりま す。 ・国宝「婦女遊楽図屏風」 (松浦屛 風) 、 「唐物茶入新田肩衝」など、 開 館 記 念 特 別 展「 美 の 国 日 本 」 を彩った珠玉の名品9件と再会で きます。 〈構成〉 第1章 大友宗麟の栄光と挫折 第2章 戦国九州を疾駆した大名た ち 第3章 九州の大名とアジアの海 会期:4月21日㈫~5月31日㈰、月 曜休館。ただし5月4日 (月・祝) は開館 〈同時開催〉 中世刀剣の美―ふくやま美術館寄託 「小松コレクション」と九博の名刀― ふくやま美術館寄託の「小松コ レクション」 (登録美術品)は、 「国 宝太刀 銘筑州住左(江雪左文字) 」 をはじめ、国宝・重要文化財を多数 含む国内有数の刀剣コレクションと して知られています。この度、ご所 蔵者および寄託先であるふくやま美 術館の全面的なご協力により、国宝 7件、重要文化財5件の計12件を特 別公開します。また、この公開に合 わせて、九州国立博物館所蔵の「国 宝 太刀 銘来国光」も展示の予定 です。 開館10周年を迎えた当館で 初めての本格的な刀剣の特集展示に して、 「九州初お目見え」となる小 松コレクション。中世刀剣の美をぜ ひご堪能ください。 会期:5月19日㈫~6月28日㈰ 第23号 刀 剣 界 平成27年5月15日発行 (隔月刊)
© Copyright 2024 ExpyDoc