1.「継起分析について」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・講師:加藤 志ほ子(南青山心理相談室) ロールシャッハ法は,図版から見えたものを連想し,それがカードのどういう点からそう思ったのかについて報告して もらうという作業を通して,病態水準や,パーソナリティ特徴の把握,心理療法への適用などを検討するのに大変役立 ちます。本ワークショップでは,事例を通して,はじめに形式分析に見られる特徴をその事例の心の地図として読みと り,次に,カード毎に精神力動的な考え方を用いて読み進み,最後に,総合的にロールシャッハ法の継起分析や検査者 ―被験者に見る対象関係についてなどの理解を深めていきます。SCT に記述される意識的な自己像や,対人関係や,症 状にまつわる葛藤の受け止め方などの情報も統合して,臨床像とつなげクライエント理解を深めていきたいと思います。 2.「パーソナリティ障害の投映法」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・講師:高橋 昇(人間環境大学) パーソナリティ障害は一時期ほど取りざたされなくなっているようですが, 「変わった人」や「周囲が問題と感じる人」 はむしろ増加していると感じます。彼らは症状そのものよりも,対人関係の持ち方や感情の在り方に特徴があり,投映 法はその特徴をよく表してくれる技法です。検査を丁寧に見ていくと,彼らの生き方さえも浮かび上がってくることが あり,その機微を見ていきましょう。事例に触れながら概説を述べ,その後に参加者の事例を取り上げていきますので, ロールシャッハ法を中心とした投映法の結果を報告していただける方を募集します。臨床経験年数に関わらずご応募く ださい。 3.「医療における心理アセスメント‐ロールシャッハ法を中心として」・・・・・・講師:津川 律子(日本大学) Hermann Rorschachは若き精神科医でした。ロールシャッハ法のルーツは医療にあります。ロールシャッハ法を中心 とした臨床心理検査バッテリーを読み解くことで,対象者が生きている世界を精緻に把握し,心理支援の方向性を具体 的に導き出すことが,医療における臨床心理職の役割のひとつです。 ワークショップ受講者は,臨床経験5年以下の臨床心理職及び臨床心理学系大学院生をイメージしています。医療の近 未来を担う若手にどんどん実力をつけて頂きたいと願っているからです。また,事例を募ります。事例の条件は,医療 場面でとったロールシャッハ法(学派自由)があることだけですが,時間の関係で反応数の多いもの(30 個以上)は厳 しいです。必ずプロトコルを提供してください。ロールシャッハ法以外の検査バッテリーもあれば更に実り多くなるこ とでしょう。 4.「児童思春期のロールシャッハ・テスト」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・講師:前田 志壽代(神戸学院大学) 事例提供者:久野節子・田中千代(大阪市立総合医療センター) 児童青年精神科を受診する子ども達の問題をアセスメントするためには,知能・発達検査だけでなくロールシャッハ・ テストを実施することも多くあります。それは,その子どもの適応様式を理解し,臨床的なアプローチにつながる情報 が得られるからです。その際に我々は阪大法による形式・構造解析を実践しており,その有用性を実感しています。今 回は前半に阪大法によるスコアリングの概略と精神発達のプロセスについて解説します。後半は児童思春期のロールシ ャッハ・テストプロトコルを提示して,その子どもの躓きや困難さをロールシャッハ学的に明らかにしたいと考えてい ます。フロアのみなさんとの討論によって深めることができれば幸いです。 5.「心理臨床場面における投映法 ―なぐり描き法とロールシャッハ・テストの援助介入的適用―」・・・・講師:松瀬 喜治(佛教大学) 前半では,援助(治療)過程に組み込みやすいという特徴を持っているなぐり描き法の研究史を概観する。さまざまな 技法との組み合わせが考案されて発展してきているなぐり描き法の現状をふまえて,心理療法の実践でどのように用い られているのかその有用性と今後の課題にふれてみたい。 後半は,なぐり描き法とロールシャッハ・テストの治療的統合という視点より,自験例を紹介しながら,ロールシャッ ハ・テストと描画法の活用モデルを提示してみたい。 6.「発達支援モデルとしてのロールシャッハ法」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・講師:明翫 光宜(中京大学) 発達障害,特に自閉症スペクトラム障害の心理アセスメントが重要な領域になってきています。特に成人期の発達障害 を抱えるクライエントの心理アセスメントにおいて,ロールシャッハ・テストの理解が支援方針に役立つことがありま す。しかし,発達支援に役立てるために,ロールシャッハ反応を従来の継列分析とは異なる視点も取り入れて解釈する ことが必要だと考えております。本ワークショップでは,発達障害の認知特性についての最近の研究を紹介し,その知 見がロールシャッハ反応にどのように反映され,どのような支援方針が考えられるかについて考えてみたいと思います。
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