平成27年度入学 看護学部看護学科 一般選抜後期 小論文 講評

平成27年度入学
一般選抜後期
看護学部看護学科
小論文
講評
問1
【出題のねらい】
本資料は,ヒトが困っている他人を見ると助けてあげたいと思う「こころ」の進化の謎に取り組
んだものであり,他人を「助ける」という行動である利他行動の進化について,チンパンジーを対
象に,実験を通じて実証的に検討したものである。そのため,問1は,実験から明らかになったチ
ンパンジーとヒトの利他行動の特徴を資料の内容に即して正確に読解し,的確に文章として表現す
る力をみることをねらいとした。
【講評】
資料には,実験で明らかになったことが2つ記載されている。資料に書かれている内容に忠実に
説明された回答が多かったものの,著者の説明内容を超えた解釈,説明内容の誤読と取られる記述
がみられた。チンパンジーの「要求に応じた手助け」は効率的でありヒトより望ましいという記述
や,資料を要約し文章化したことで,著者の説明とニュアンスが異なってしまったものもあった。
段落全体を通しての文章の流れから,論旨を正確に捉えること,著者の意図していることを変えず
に説明できる文章力が期待される。
問2
【出題のねらい】
問2は,ヒトの利他行動のメリット・デメリットの具体例を挙げて,現在の日本の社会において
どのような助け合いが望ましいかを問い,問いに対する回答の適切さや,自身の考えを筋道を立て
て述べることができる能力をみることをねらいとした。
【講評】
メリット・デメリットの具体例では,バスや電車の中で高齢者に席を譲る場面を挙げて書かれた
ものが非常に多くみられた。また,友人や家族との関わりでの出来事を例に挙げたものもあった。
自身の日常場面を用いて記述したことにより,具体的な例から現在の社会の課題につなげてよくま
とめられていたものもあったが,社会的なことに触れられなかったものもみられた。また,具体例
自体が挙げられていないものや,メリット・デメリットのどちらと捉えているか明記されていない
もの,どのような助け合いが望ましいかの考えが書かれていないものもあった。求められているこ
とを明確に記述しながら文章を構成していくとともに,日頃から,社会で課題となっていることに
関心を持ち,そのことを多角的かつ客観的に捉えて思考する力を期待する。