カンボジア 特定非営利活動法人 難民を助ける会 所在地:東京都 事業名:障害児の教育環境の整備及びリハビリ支援 配分額:5,979,000 円(平成 24 年度配分事業) あち 背景と目的 カンボジアでは、政府が 2008 年に障がい児教育に関する国家政策を発表し、2009 年には 障がい児統合教育事業の基本計画を採択した。しかし、未就学障がい児の数や生活状況を 十分に把握できておらず、学校のバリアフリー環境の未整備、関係者の理解不足等さまざ まな障壁があり、未だ多くの障がい児が教育を受ける機会を奪われている。 当団体はカンボジアの障がい者支援として、これまでに障がい者のための職業訓練校や 車いす工房を立ち上げてきた。 本事業では、障がい児が学習しやすい環境を整えると同時に障がい児が適切な支援を受 け教育を受けられるようにすることを目的として、現地関係者からなる作業部会の設立及 びそのメンバーの研修、障がい児の実態調査、対象校のバリアフリー工事等を行い、障が い児の就学を包括的に支援することとした。 王実施状況 事業開始後、現地で事業の実施を担う作業部会を設立した。メンバーは 15 名で、州教育 局職員、郡教育事務所職員、対象の 3 集合村の代表、対象の 3 小学校の代表、2 村の保健セ ンター職員、郡社会福祉事務所職員、障がい者団体代表、障がい児保護者とした。設立後、 メンバーの研修会を平成 25 年 6 月と 9 月に延べ 6 日間実施し、障がいの定義、障がいに関 する国内の法律や政策、障がいの有無に関わらず子どもが一緒に学ぶ統合教育等について 学んだ。 学校のバリアフリー工事は、3 集合村の各小学校に障がい者用トイレの新設または修繕を 各 1 基、校内のスロープを 3 校で延べ 16 本、校内の舗装を 3 校で延べ 1,531 ㎡行った。 また、作業部会メンバーが団体スタッフと共に地域および対象校における障がい児の実 態調査を行い、障がい児の保護者を集めて診療や治療、リハビリテーションの希望につい て話し合った。44 名の障がい児が目や耳の治療、リハビリテーション等を受け、13 名の障 がい児が車いすや眼鏡、補聴器等を受け取った。 対象校 3 校の全教員に対し研修を行い、地域住民に対しては、障がいに関するワークシ ョップ等の啓発イベントを実施した。 日本からは 1 年間、1 名のスタッフが駐在して年間を通して活動した他、4 名のスタッフ を短期派遣し事業を推進した。 効果と現地の反響 今までは学校では休み時間もずっと席に座ったままだったが、支援により校内を車いす で移動できるようになった小学校 3 年生のソクリエンさんからは、 「ポリオで車いすを利用 しています。学校の敷地が舗装されて嬉しいです。勉強も楽しいし、前よりも手を挙げて 質問に答えたりするようになりました。友達もたくさんいて、毎日学校に行きたいです。 」 と感謝の声が寄せられた。友達も車いすを押してくれるようになり、ソクリエンさんの母 親からは「統合教育は差別をなくし助け合うことが出来て良いと思います。」とコメントが 寄せられた。また、担当の教員は「以前は障がい児を教えることに苦労もあったが、教員 研修では障がいに応じた配慮の仕方を学ぶことができ、役立っています。 」とコメントした。
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